聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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夢の色
身を焼き尽くす程の熱い情熱。
そんな想いを胸に秘めながらも、その向かう先を亡くしてしまうことが、他のどんな戒めよりも苦痛なモノであることを、彼は忘れてしまった。
しかし忘れても尚、情熱の炎は消えることを知らない。
自らを焼き、滅ぼすまで。全てを焼き尽くし、己のモノにするまで。
白々と夜が開け始める頃、彼はいつも目を覚ます。
昔なら、起きるはずもない時間。取り立てて、早く起きなければならない訳でもない。
「…ったく…」
もう一度寝付くことが出来ないもどかしさを感じつつ、彼は無造作に髪を掻き上げてベッドを抜け出す。そして、閉ざされていた窓を開け放った。
澄んだ空気がぼんやりとした意識をはっきりと目覚めさせるものの、取り戻すことの出来ない何かを、彼は確実にその意識下に感じていた。
目覚める前、最早必ずと言っても良い程に、彼は同じ夢を見ていた。
青い、夢。顔のはっきりしない誰かが、いつも自分を抱き締める。それはとても優しく、暖かい。
しかしその安らぎは長くは続かず、最後はいつも彼が冷たい刃に切り裂かれる。
熱いのは、己の血潮。痛いのは、己の魂。肉体的な苦痛よりも、それは精神的な苦痛でしかなかった。
相手の顔はわからなくても、その眼差しだけはわかっていた。
深い哀しみを称えた、それでいて情熱的な光。
失った記憶の淵に佇む一悪魔。その悪魔の紡ぐ言葉は、聞き取ることは出来ない。
失ったのは、記憶だけではなかったはず。ただ、それ以外のことは何もわからない。
夢の中の一悪魔は、己ですら忘れてしまった、彼自身を知っていた。
「…任務の、継続…ですか?」
久し振りの職務復帰の俺に、皇太子は無情にもその言葉を言い放った。
「あぁ、そう言うこと。御前がいない間、リエラが代わりを勤めていたのだけれどね。御前の方が多分簡単に終わるから、いっそうのこと継続して貰おうと思うんだ。なぁに、心配はいらないよ。作戦参謀はルークだから、御前なら直ぐに済む任務だ」
「……」
職務復帰の一番最初の任務が、戦いだなんて…全く、この皇太子のサディスティックさと言ったら。まぁ、仕方がないけどな。
「わかりました。相棒がルークなら、直ぐに済みます」
「あぁ、頼んだよ」
にこにこと、皇太子は微笑んだ。悪い悪魔じゃ、ないんだけどな。
とにかく。俺は、リエラから任務を引き継いで、戦いに出ることになった訳だ。
その日の夜。
出発を明日の朝に控えて、早目にベッドに入った訳だけれど…どうも寝付けない。眠ろうと目を閉じる度に、甦って来る鮮烈な色。
青い"それ"は、俺を捕らえて離さない。
白い刃が、冷たく煌めく。
身体を貫かれる熱さが、たまらなく苦しい。溢れ出す血潮は、止まることを知らない。
『…愛してる…』
そう聞こえたのは、幻聴だろうか。
初めて聞き取れた声。甘さを含んだはずの台詞なのに、紡ぎ出す声はとても切ない。
白く、冷たく輝く刃に心臓を貫かれた身体を引き込んで抱き締める。その力は、哀しい程強くて。切ない程、暖かくて。
肉体的な痛みよりも、魂の痛みの方が、その意識を支配していた。
彼の刃なら受けても良い。彼になら…奪われても良い。
この、生命を。
そう望んだのは、自身なのだから。
彼の返り血を浴び、混じり合った悪魔の色は鮮烈な、青。脳裏に焼き付いて離れることのない……青。
この骸を、捧げよう。
彼の悪魔が…嘆かぬように。
夢見が悪いのは、今に始まったことじゃない。だが、出陣の朝にこんな酷い夢を見るのは、良い気分じゃない。
出発までに時間が余っている訳じゃないが、俺は嫌な夢を洗い流したくて、ベッドからバスルームへ直行となった訳だ。
熱目のシャワーを浴びながら、夢の色を洗い流す。
戦のことだけ考えよう。戦のことで、頭の中を一杯にしよう。夢見の悪い朝の、せめてもの自己暗示だった。
そして、俺は任務に出発したのだった。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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