聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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青き惑星
昔、誰かが言っていた。
"自然は循(めぐ)る"と。
《人は、生き方を考えて生きる。
他人のフリを見て、
昔の人の生き方を学んで、
他の生き物と一緒に暮らしてみて、
他の生き物の感じ方を見て、
他の人と同じ感じ方をして、
他の人と違った感じ方をして。》
そう言っていたのを、覚えている。
だが、人が生き方を考えなくなったのは、いつからだろう。いつから、それが崩れ始めたのだろう。
崩れた栄光は、もう二度と輝きはしないのに。
崩れた栄光を修復することは、もう出来ないのに。
それをわかっていながら、人は罪を犯すことしか出来ない。だから、愚かだと言われるのだ。
過去を振り返り、未来を見ることが出来ないから。
愚かな人類の最期の望み。それは、とても小さな希望。
見たいモノは未来。しかし、見えるモノは絶望。
彼等が引き起こした罪は、とても絶大なモノだった。だから、例え人類が滅せようとも、誰も人類を哀れんだりはしない。
人類のよって傷付けられた、もっと大きな生命が、ここにあるから…
青い空は、もうなかった。
それどころか、地も、植物も、海でさえも、それは元の色がわからない程にまで、褪せていた。
かつて、青く美しかった惑星。誰が、今の姿を予想しただろうか。このように色褪せた姿を、誰が…
全ての動植物を排除した惑星は、今眠りに付こうとしていた。
誰にも冒されることのない、未来を信じて。
そして、その地に佇む姿があった。
惑星が眠りに付くのを、見届ける為に。
「…いつまで、そうしているつもりだ?」
つぶやいたのは、赤き悪魔、エース。そして、その目の前には、ぼんやりと遠くを見つめている青を纏う悪魔。
黄金の髪は、地を渡る風に靡き、マントも風を受けて靡いていた。
「覚悟は決めていたはずなのにな。いざとなると…こうも離れがたいとは思わなかった」
ぽつりとつぶやいた声に、エースは大きく息を吐き出した。
「思い入れのある惑星程、別れるのは辛いさ。だが、既に俺たちの任務は終わったはずだ。これ以上…ここにいることは出来ないんだ」
「あぁ、わかっている」
そうは答えるものの、彼のその眼差しは一途に惑星の姿を見つめていた。
僅かに、胸が痛む。それがどう言う意味での痛みなのか、その真意をエースは考えあぐねていた。
「そろそろ、出発の時間だ」
「…あぁ」
短くそう答え、顔を上げる。向けられた眼差しは、とても寂しそうで。その眼差しを受けた赤き悪魔は、腕を伸ばしてそっと彼を抱き締めた。
「…いつまでもそんな顔してたら…彼女も、ゆっくり眠れやしない。御前が、しっかりしなけりゃ…」
「……」
「彼女だけじゃない。御前がいつまでもそんな状態なら、俺は…御前が望んだ別れの時を待たずに、強制的に連れて行くぞ」
「…わかっては、いるんだ…だが…」
諦めが付かない。
そう言いたげな表情を見せた彼に、エースは溜め息を一つ。
そして。
「御前は、誰だ?何処へ、帰るんだ?」
その腕を緩め、再び眼差しを覗き込む。
「…吾輩は…副大魔王、デーモンだ。帰るべき場所は魔界、だ」
その答えに、軽く微笑む。
「よし。わかっているなら、心配はいらないな。俺たちは先に行ってるから、後から来いよ」
赤き悪魔は彼の背を軽く叩きそう言うと、踵を返す。そして、彼の視界に映るのは惑星だけとなった。
「…また…御前の美しい姿が見られる日が、来るのか?」
彼は、小さくつぶやく。その表情に、僅かな哀しみを称えて。
惑星がこの姿になることは、彼には最初からわかっていたことだった。だが、こうして実際に目にしてみて、その壮絶さに、心が痛んだ。
もっと早く、助けることが出来たなら。惑星の色は、残っていたのかも知れない。もっと早く、決着を付けていれば…
幾らそう思ったところで、それは後悔の念でしかないのだが。しかし、それが彼の所為ではないことは確かだった。
眠りに付くのは、惑星の意思であり、生命を維持する為の最良の手段だった。
「これで…良かったのか?」
ふと、彼はつぶやく。惑星は答えない。
今の惑星の力では、最早彼に言葉を届けることも出来ないだろう。己の生命を維持することが、精一杯で。
ただ、その想いだけは、彼に伝わった。緩やかな気の流れが、彼の身体に纏わり付き、流れて行く。
「せめて…これぐらいは許されるよな?」
彼は小さくつぶやくと、その地に跪いた。
そして、そっと手を触れる。
「待っているぞ。御前が、再び目覚めることを」
つぶやいた声と共に、彼の手は輝き、その光は惑星に吸い込まれる。
「姿は変わっても、御前は御前だ。吾輩は、御前を見捨てたりはしない。考えたくはないが…御前が再び、危機に晒されるようなことがあれば、きっと助けに来る。だから…」
吾輩を、忘れるな。
彼は、そうつぶやいた。それが、今の彼に出来る精一杯の気持ちだった。
「愛している。例え、どんな姿であろうとも…吾輩の記憶には、美しかった御前の姿が、今も鮮明に残っているのだから」
伝えたいことは、沢山あった。でも、それは口にすれば、きっと過去の栄光を振りかざすだけの、薄汚れたモノになってしまうだろう。
彼は、敢えて口を噤んだ。
「…またな」
その一言を残し、彼もまた、惑星から姿を消した。
青い色は、もうなかった。
けれど…その記憶の中には、その鮮やかな青い色は、確かに残っていた。
いつまでも…その、記憶の中に。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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