聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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かがやきのつぼみ 乖離 1
第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")
こちらは本日UPの新作です。第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
4話完結 act.1
季節は巡る。
双子で生まれ、小柄な身体と平均以下の魔力と言う枷を背負いながらも、穏やかな性格で仲魔にも恵まれたゼフィーは、不安視されていた研修も何とか熟し、順調とは言えないまでもギリギリで昇級出来ていた。 そして、最上級生となったゼフィーは、波乱の武術大会を終え、最後の長期研修を控えていた。
研修を目前に控えたある日の放課後。ゼフィーは医務室を訪れていた。
「失礼します」
ノックしたドアを開けると、いつも通りにこやかに出迎えてくれるのは、医務室の医師であるリン。
「ゼフィー、いらっしゃい」
透き通るような透明な肌に、銀糸の長い髪。滅多には御目にかかれない龍の一族の血を引く種族であるリンは、ゼフィーが入学する少し前に医師として士官学校に配属され、そこからずっと子供たちの成長を見守って来ていた。そして、怪我の多かったゼフィーは特に、気にかけている存在でもあった。
とは言うものの、最近は怪我をする頻度は格段に下がり、怪我をして医務室を訪れると言うよりは、単に気分転換に御喋りをしに来る、と言う状態になっていた。
そして今日も、どうやらそのルーティーンらしい。
楽し気に、話をするゼフィー。その姿をいつものように微笑んで見つめていたリン。それは、ずっと続いて来た時間。リンにとっても、束の間の癒しの時間。そんな時間だった。
だが、一つだけ気がかりなことがあった。それは、ゼフィーの身体がいつまでも小さいこと。そして、魔力もいつになっても平均を越えないこと。
士官学校に在籍している生徒の殆どは、最初の研修の前に"儀式"を迎え、成体になる。そして、卒業までの間に成体にならない生徒は、リンが医師になってからも数えるほどしか見たことがなかった。
そして、ゼフィーはどうやらそのほんの一握りの生徒であることに間違いはないようだった。
ただでさえ、他の生徒よりも小さかった身体は、ますますその体格差がつき、下級生に混ざっても区別がつかないくらい。勿論、種族によっては小柄であったり、"儀式"を必要としない種族もいるので、一概には判断は出来なかった。 ゼフィーは書類上では鬼の種族となっているが、純血ではないようで角もない。そして雷神界で生まれ、保護されたと聞いている。雷神族は、"儀式"を必要としなくても成体となる為、若しかしたら雷神族の血が混ざっているのではないか…と考えることも出来る。だが…ゼフィーを見る限り、そうではないのだろう。
ただ純粋に…魔力も身体も、子供のまま。
"儀式"に対する執着も見られない。同級生たちが続々と成体になっても、我関せず。
流石に、リンも心配をしてゼフィーにそれとなく聞いたこともあったのだが…ゼフィーからは、「他悪魔を好きになると言うことがわからないし、成体になる意味がわからない」と言われてしまっていた。
本魔が望んでいない状況で、周りのオトナが強引に成体にさせる訳にもいかず…若しかしたら、卒業までには何とか成体になれるだろうか…?と、ただ、状況を見守っている状態が続いていた。
勿論…どれだけ待ってもゼフィーの気が変わるはずもなく。いつもと変わらず、ここへ来て、御喋りをして帰る。そんな、ある意味地味なルーティーンが…本当に、彼にとって良いことだったのかどうか。それは、リンの気がかりとなって、その胸に引っかかっていた。
ゼフィーをずっと見守って来た医師として。
「…リン先生…?」
考え事に気を取られ、ゼフィーが怪訝そうに眺めていることに気が付かなった。
「あぁ、御免なさい。ちょっと、考え事を…」
思わずそう口を開くと、ゼフィーはにっこりと微笑む。
「忙しいところ御免なさい。今日は帰りますね」
そう言い残し、医務室を後にしたゼフィー。その背中を…小さな溜め息で見送ったリン。
もう直ぐ長期研修。それが終われば、後は士官学校の試験と、入局試験。全部終わったらもう卒業。
ゼフィーはあとどれくらい、ここへ来るだろうか。
彼は…いつ、手を離れるだろうか。
士官学校ならば、いつかは卒業するのは当然のこと。だが、ずっと見守って来たからこそ…この先彼がどんな道を進むのか、気になると言えば気になる。
ふと、そんな想いが過ぎるものの…それは違う、と首を横に振る。
自分は、士官学校の医務室の医師。そして彼は、一生徒。これ以上、深入りをしない方が御互いの為。士官学校を卒業した後、彼を支えてくれる悪魔は他に現れる。そして…彼の"儀式"の相手も…恋悪魔となるであろう相手も。
ゼフィーを保護したのは、自分の師たるゼノン。だからこそ、何の心配もいらない。
リンは溜め息を吐き出すと、気持ちを切り替える。
自分の役割は…士官学校にいる間だけ。それで、終わり。医者として、気持ちを切り替えなければ。
その想いが…まさかの結末になるとは、誰も想像してはいなかった。
最上級生たちの長期研修が始まった。
半年の間、彼らは研修先に留まったまま。基本的には、士官学校に戻って来ることはない。
ゼフィーは今までの研修同様、軍事局へと研修に出ている。軍事局には、リンの昔馴染みで軍医の一名である瀞瀾(せいらん)がいる。ゼフィーのことも良く知っているので、もし何かあっても問題はない。
そう思いながら、一月ほど経った頃のこと。
「リン、いる?」
放課後の士官学校を訪れて来たのは、瀞瀾だった。
「相変わらず急に来て…一体どうしたんですか?」
「あぁ、御前に話があってな」
そう言いながら、一綴りの書類を差し出した。
「これ。情報局の軍医の採用募集の書類」
そう言いながら、書類をリンの机に置く。
「滅多にない募集だし、御前、軍医になりたかったんだろう?受かるかどうかはわからないが、受けるだけ受けてみたらと思って、貰って来た」
「…瀞瀾…」
瀞瀾の言う通り。軍医になることがリンの目標でもあり、士官学校の医師もその足掛かりになれば…と選んだ道であった。
士官学校卒業後、医師と研究のどちらへ進むか進路を迷い、研究室に入ることを選んだリン。ゼノンはその時の師であり、ゼノンの後を追うように結局医師の道へと進むことを選んだ。だが、卒業後軍医になった瀞瀾とは違い、一度離れた道に戻るには、一から経験を積み直す必要がある。
現にリンも各局の夜勤の医師を渡り歩いた後、漸く士官学校の医師として腰を据えることが出来た。一般の局員と違い、各局共に在籍出来る医師の数は限られている。だからこそ、想像以上の時間がかかった。
その苦労を知っているが故に…瀞瀾も、リンを応援したかったのだ。それが、今回の情報局の軍医の募集、だった。
「多分、これを逃したら…次の募集はまた数年先だ。ウチも殆ど募集は出ないしな…」
「…そう、ですよね…」
確かに、滅多にない募集。そして、締め切りは目前、だった。
「俺もつい最近聞いたばっかりでな。ギリギリになったけど、学長に相談する時間はあると思う。急ぐに越したことはないけどな」
「…そうですね…」
小さな溜め息を吐き出しながら、リンは書類に目を通す。
締め切りは数日後。書類選考の後、試験と面接を経て、正規採用となるのは…恐らく、二~三ヶ月先だろうか。受かるかどうかはわからないが、もし受かったとしたら…最上級生の研修の終わりを待たずに、ここを去ることになる。
「…気にしてるのは、ゼゼのこと、か?」
正直…もっと食いついて来ると思っていた瀞瀾。だが、リンの表情を見る限り、どうやら何処か引っかかっているように思う。そして恐らく…それは、ずっと見守って来たゼフィーのこと、だろうと。
「ゼゼが心配なのはわかるけどさ…御前だって、自分のやりたいことを目指したって良いはずだろう?彼奴がホントに軍事局に入れるのなら、俺だっているし…まぁ今だって、何とか頑張って研修受けてるしな。今のところ、怪我もしてないし」
そう。軍事局には、瀞瀾がいる。その気になれば、幾らでも様子を知ることは出来るはず。
けれど…。
「…どうする…?」
そっと問いかけた瀞瀾の声に、リンは再び溜め息を吐き出す。
「ゼフィーのことは…確かに、気にはなりますけど…わたしの役目は、士官学校にいる間だけ、です。それに、今の研修が終わったら…士官学校にいる時間はあと僅かです。わたしがいなくても…多分、彼はもう大丈夫です。まだ成体にはなっていませんけど、怪我も殆どしませんし…彼の周りには、自然とヒトが集まりますから」
何処までも、穏やかなゼフィー。にこやかな笑顔は、自然と周りにヒトを呼ぶ。そんな不思議な雰囲気を持つゼフィーだから…きっと、大丈夫。それが、"医師として"のリンの見解だった。
そして、自分でそう言いながら…何かを、吹っ切ったようだった。
「学長に、話をして来ます。折角、瀞瀾が持って来てくれたんですから…受かるかどうかはわかりませんが、駄目元で、受けてみます」
「そう、か。良かった」
何処かホッとしたような瀞瀾。
勿論、士官学校の医師が下級と言う訳ではない。子供たちの大事な成長を見守る、と言う点では、重要な役割の一つであることには変わりない。けれど、軍医になることがリンの目標であると知っていた瀞瀾だからこそ、そこは敢えて軍医になることを押したかったのだ。
受かるか受からないかは、運次第。正当な判断がされるのなら、リンの経歴と実力も考慮すればその夢が叶う可能性はかなり高い。勿論、期待だけさせて結果がダメだった時のことを考えれば、瀞瀾がそれをリンに伝えることは憚られるが。
「じゃあ、期限に間に合うように準備しろよ」
瀞瀾はそれだけ言うと、踵を返す。
「えぇ、有難うございます」
小さく微笑んで、瀞瀾を見送ったリン。そして医務室に再び一人きりになると、改めて書類に目を通す。
士官学校の医師として、未練がない訳ではない。けれど、折角のチャンスなのだから…と、リンも前へ進むことを決めた。
長期研修が半分過ぎた頃。医務室に、新たな医師が配属された。
医師の名前はレヴィ。濃紺の瞳に黒髪の赤の種族。リンとは正反対の色を持つ、若い悪魔だった。
当然、見慣れない医師の噂はあっと言う間に生徒たちに広まっていた。
「…あの…リン先生は…」
研修を前に、医務室に用事があってやって来たフレアが見慣れない医師に声をかけると、不機嫌そうに溜め息が返って来た。
「リン医師なら、辞めましたよ。貴方たちは何回説明させるつもりです?」
「…そう言われても…」
その不機嫌さに圧倒されつつ…フレアがここに来たのは久しぶりのこと。リンが来ていないことにも、漸く気が付いたばかりなのだから。
基本的に、大きな怪我をしない限り、医務室に来る用事はない。そんな生徒は沢山いる訳で…毎日通っていたのはゼフィーぐらいだろう。
だが、リンに頼んでいたはずの書類を受け取らなければならない状況なので、対応して貰わなければならない。
「研修に必要な書類を、リン先生に頼んでいたんです。クラス全員分…それを受け取りに来たのですが…」
様子を窺いながらそう口を開くと、レヴィは大きな溜め息を一つ。そして、机の下に押し込まれた箱の中を探し、一つの大きな封筒を取り出して中を確認する。
「学年とクラスは?」
面倒臭そうに問いかける声。
「六階級Aクラスです…」
フレアがそう答えると、封筒ごとフレアの手の中へと押し込んだ。
「六階級の全クラス分。どうせ全クラス取りに来るんでしょう?だったら貴方が全部配って」
「…はぁ…」
リンとは違い、誰に対しても穏やかに優しく接してくれる訳ではない。幾ら前向きな性格のフレアでも、流石にそれを痛感した。
そして…研修中のゼフィーは、リンがいなくなったことを知っているのだろうか…?
それが、何よりも気がかりだった。
けれど、フレアもこれから自分の研修が待っている。ゼフィーの心配をしている余裕はなかった。
書類の入った封筒を抱え、小さな溜め息と共に教室へと戻る。その道すがら。
「…一応…エルに話しておこうか…」
今のフレアには、そうすることしか出来なかった。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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