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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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かがやきのめ 1

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは、以前のHPで2004年08月28日にUPしたものです。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
4話完結 act.1

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◇◆◇

 雷神界に新たなる生命が誕生してから、三百年ばかりが過ぎていた。
 大きな問題もなく、雷神界の世継たるラライとその片割れであるゼフィーも、小柄ながらも元気に過ごしていた。

 その年の春はいつも以上にとても穏やかで。輝くばかりの緑の木々も、咲き乱れる様々な花々も、全てが平和そのものを描いているようであった。
 そして、雷帝の子息たる二名の子供たちも、その面差しは平和そのもの。何の悩みもないように思われていた。勿論、本当に何の悩みもない子供たちである。だが、その穏やかな平和も、少しずつ変わり始めていたのであった。

◇◆◇

 遠くで、泣き声が聞こえる。
 一心不乱に手元の本に意識を注いでいた彼であったが、その泣き声を認識すると、小さな溜め息と共に栞を挟んで本を閉じる。
「…起きたんだ…」
 小さな独り言と共に、彼は座りこんでいた床から立ち上がる。そして、その本をテーブルの上に置くと、再び零した小さな溜め息と共に書斎を出て、泣き声の主の元へと歩き始めた。

「おはよう」
 泣き声の聞こえる部屋のドアを開け、彼はそう声をかける。すると、ベッドの上で泣いていた相手は、顔を覆っていた手を下ろし、濡れた眼差しで彼を見つめた。
「ゼゼ~…」
「泣くことないって言ってるのに…何で昼寝から起きる度に泣くの?」
 眉根を寄せながら、彼はベッドへと歩み寄ると、相手が握っていたタオルで顔を拭き、その頭をなでなでする。
「だってぇ~~…」
 自分でもぐしぐしと袖口で涙を拭いながら、相手は言い訳の準備をする。
「ここにいて、って言ってるのに…ゼゼ、いっつもいないんだもん…」
「…だから、ここにいなければ父様の書斎にいるからね、って言ってるのに…」
「…ゼゼの意地悪…」
「…意地悪、ってねぇ…僕だってずっとここにいたら飽きるもん。ララはなかなか起きないし…書斎の本は持ち出さない約束だもん。向こうにいないと読めないでしょう?」
「でもぉ~~」
 再び抗議の声を上げようとしたその時、大きな溜め息が部屋の入り口から聞こえた。
「…また喧嘩してんの?ったく、飽きないね~、御前たちは」
「…父上~~…」
 呆れた顔で二名を眺めているのは、彼らの父親である雷帝…つまり、ライデンである。そして彼らは、ゼフィーとラライである。三百歳を越えたばかりの彼らだが、双子で生まれた為、平均よりもかなり身体も小さく、魔力も少ない。本来ならやんちゃな盛りなのだが…どうやら、彼らにはそれは当て填まってはいないらしい。二名揃ってかなりのインドア派らしい。隙あらば宮殿を脱走して野山を走り回っていたライデンとは全くの正反対。隙あらばゼフィーは書斎で蔵書を漁り、ラライも大人しくゼフィーにくっついて回っている。その辺りは揃いも揃って、ゼノンに似たのだろう。
「だってね、ゼゼが僕との約束、守ってくれないんだもん~~」
「ララだって、昼寝から起きる度に、いつも泣くんだもん~~」
 二名してライデンに訴える姿は、まさに双子。同じような仕草で、同じように声を上げる。ただララの頬にだけある稲妻の模様だけが、彼らが同等の立場ではないと言うことを物語っているのだが…当然、まだ彼らにその意識はない。
「はいはい。御前たちの言い分はわかったから。早くおやつ食べておいで。シーラが待ってるよ」
 彼らの面倒を見てくれている官吏のシーラが、先程からおやつを用意して待っている。ライデンはたまたま休憩時間にふらりと戻って来たところをシーラに捕まり、こうして呼びに来たのだが…毎日毎日、同じ喧嘩の繰り返しなのである。見ているライデンは苦笑いしか出ないのだが…まぁ、それが子供だと思えば仕方のないことである。
 普段はとても仲の良い二名なのだが、どうも寝起きの悪いラライと、昼寝よりも読書好きのゼフィーのこと、寝起きの喧嘩が絶えないのだ。
「またゼノンに笑われるかな…」
 ばたばたと駆けて行く二名の背中を追いながら、ライデンは小さな溜め息を吐き出していた。


 その夜。ゼフィーとラライが寝入った頃。魔界からやって来たのは、彼らのもう一名の親たるゼノン。
「御帰り~」
 両手を広げ、満面の笑みで迎えるライデン。そして、それを苦笑で受けるゼノン。
「…どうしたの?また悩んでるの?」
「毎度毎度ね」
 苦笑いするライデンを軽く抱き締め、ゼノンも小さく笑いを零す。
 結婚したとは言え、普段は昔の通り魔界で職務を熟しているゼノンは、時間が出来た時にしか雷神界へ来ることが出来ない。だからこそ、日々子供たちの様子を見ているライデンの愚痴を聞く役回りとなる訳である。
「ゼゼとララはもう寝てるんでしょう?」
 問いかけるゼノンに、ライデンは頷く。
「普段は凄く仲が良いのにさぁ、昼寝の後は毎日喧嘩してるんだよ。それも、毎日同じ理由で。ホント、呆れるほど。でもまぁ、そんな姿を眺めてるのも、子育ての醍醐味なのかな」
 笑いながらそう報告するライデン。雷帝の仕事が忙しいとは言え、子育てを楽しんでいるのは言うまでもない。そしてゼノンも、その様子を嬉しそうに目を細めて見つめている。
「…でもさぁ、あんたがいないのは、ちょっと寂しいんだけど…」
「…会いに来る頻度は、昔より多くなったと思うんだけど…」
「…そう言うことじゃなくてさぁ…」
 くすくすと笑うゼノンに、ライデンはちょっと頬を膨らませる。
 ゼノンが戻って来たのだから、これからはオトナの時間。子供たちが大きくなって来たとは言え、今でも一番愛しい相手とベタベタもしたい。それは、ライデンには当然の欲求。
「わかってるよ。冗談だって」
 ゼノンは、そっと手を伸ばしてライデンの頬に触れると、耳にかかる髪を掻きあげるように耳の後ろまで指先を滑らせる。
「静かにね。子供たちが起きるから」
 そう言って、くすっと小さく笑ったゼノン。つられてライデンも笑いを零す。
「夜は良く寝るよ~。そう言うところは親思いだもん」
「だと良いけど」
 くすくすと笑いながら、その頬が寄りそう。
 暫し、二名だけの幸福な時間が流れた。

「…そう言えばさぁ…」
 ベッドで横になったまま大きな欠伸を零したライデンに、ゼノンが不意に口を開く。
「そう言えばって、何?」
 水差しとグラスを枕元まで運んで来たゼノンを見上げるライデン。僅かに首を傾げ、ゼノンの次の言葉を待っているようだった。
 まさか丁度その時、彼らの子供の一名が廊下にいるだなんて、まるで想像もしていなかっただろうが。

◇◆◇

 その夜は、どうも寝つきが悪かった。
 幾度か浅い眠りを漂っていた彼は、何かの物音で眠りから覚めていた。
 物音と言うか…声と言うか。想像がつく範囲では、そんな感じだろう。はっきりとは聞こえないものの、誰かがいる近くの部屋と言えば彼の親の寝室。
----…父様が帰って来たのかな…
 確か、今日は魔界からもう一名の父親が戻って来る日だったはず。それを思い出す。
 醒めてしまった意識に、そう簡単に睡魔は訪れない。
 今すぐに眠ることを諦めた彼は、隣のベッドで規則正しい寝息が聞こえているのを確認すると、そっと自分のベッドから抜け出した。
 ちょっとだけ顔を見て来ようか。
 いつになくそう思ったのはどうしてだっただろうか。そんな理由も思い浮かばないまま、足音を忍ばせて廊下を歩き始めた。
 そして、両親の寝室の前へと辿り着いた時…その声が、自分の名前を発した。それが、ドアを開けようとした彼の手を止めるきっかけになり…そして、予想だにせず、自分の宿命を知る羽目になるのだった。


「ゼゼのこと」
 そう口を開いたゼノンに、ライデンはゆっくりとベッドから身体を起こすと、ゼノンが差し出した夜着を羽織る。
「ゼゼ?」
「うん」
 ベッドの端に腰を下ろしたゼノン。その表情は、先程までとは違い、真剣そのものだった。
「そろそろ…時期かな、と思って…」
「時期って…?」
「…ほら…子供たちが生まれた時に言ったでしょう?ゼゼを魔界に引き取る、って。もうそろそろその時期かな、って思って」
「ちょっ…」
 慌てたライデンは、思わず声を上げる。
「そんな、急に言われたって…っ」
「だけど、もう子供たちだって、自覚を持つべきだよ。ララは皇太子なんだから。いつまでも、ゼゼに甘えている訳にはいかないでしょう?」
「でもさぁ…」
「ゼゼだって、今ならまだ自分の立場を気にしなくても済むんだよ。今のうちに魔界へ降りていれば、自分に王位継承権がないことだって知らずに済む」
 冷静にそう言葉を零すゼノンを、ライデンは腹立たしくさえ思った。
 確かに、それは覚悟していたこと。けれど、先程まで幸福感に浸っていたライデンにしてみれば、ゼノンの言葉は余りに唐突であり、無情に思えてならなかったのだ。
「…ゼゼには…なんて説明するのさ……今まで一緒にいたララと引き離して、一名だけ魔界へ連れて行く理由を、なんて説明するのさっ!王位継承権のないゼゼは、このまま雷神界にいることは出来ないって、そう言うつもり…っ!?」
 興奮して声を荒げるライデンに、ゼノンが慌てて口を挟む。
「ライ、落ち着いてよ。声を上げたら、子供たちが……」
 その瞬間。ふと流れ込んで来たのは、酷く張り詰めた気。
 当然、声を荒げたライデンも、制止しようとしたゼノンも、一瞬にして息を飲む。
 誰かに聞かれた。
 そう思った瞬間、ライデンはベッドから飛び降りるように走り出し、そのドアを開けた。
「……ゼゼ……」
 思わず零れたその言葉に、ゼノンもドアへと駆け寄る。そして、廊下の壁に凭れたまま座り込み、泣き出しそうな顔で震えている我が子を見た。
「…いつからここに…」
 ゼノンの口から零れた言葉。
 自分たちの会話を聞かれたことは確かだった。
 真っ直ぐに自分たちを見つめる我が子の碧の眼差しは涙が溢れ、今にも零れそうで。
「…僕は…雷神界(ここ)に…いられないの…?」
 震える声は、とても細い。
 彼には、信じられない現実。自分は…雷神界にいることは出来ないのだ。双子で生まれたにも関わらず…王位継承権と言う"モノ"がないばかりに。
「ゼゼ、とにかく話を…」
 慌てて膝を落とし、差し伸べられたライデンの手を、彼は力一杯払い除けた。
「嫌だ…っ!!何処にも行きたくないっ!!魔界になんか、行きたくない…っ!!!」
「ゼゼっ!!」
 ライデンの手を払い除けた彼は、その感情のままに駆け出していた。
 慌てて追いかけようとしたゼノンであるが、廊下に膝を落としたライデンが、その腕を捕まえた。
「…俺が行く…」
「ライ…」
 見下ろしたライデンの顔は、とても哀しそうだった。
「俺の所為、だもん…俺が、ちゃんと話をする…」
 悲痛そうな表情を浮かべ、そう口にしたライデンは、すぐ様その背中を追って走り出した。
 ゼノンは何も言えず、走り出した我が子を追いかける背中を黙って見つめるしかなかった。
 すると、その背中に、小さな声が届く。
「…父様…ゼゼは…?」
「…ララ…」
 今の騒ぎで目を覚ましたのだろう。状況は良くわからなかったのだろうが、尋常ではないと言うことは察していたようだ。薄く開けたドアから覗いた残された我が子も、不安そうな表情でゼノンを見つめていた。
「…御免ね…起こしちゃったね…」
 安心させるように、小さく微笑んで見せる。勿論、その微笑みは引き攣っていただろうが。
「大丈夫だから…」
 床に膝を落とし、その身体を抱き締める。
 その身体の温かさが…すっぽりと腕の中に収まってしまうその小ささが、切なくて、溜まらなかった。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
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但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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