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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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壇香 伽羅~邂逅 1

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは、以前のHPで2008年01月10日にUPしたものです。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
3話完結 act.1

拍手[2回]


◇◆◇

 物心が着いた頃から…どう生きて良いのか、ずっと迷っていた。
 病に臥せることが多かった産みの父と、常に忙しかった育ての父。その二名の姿を見て育ち…素直に感情を出して生きていくことが、とても苦しかった。
 だから…早くから、自立しようと、決めていた。
 その一歩が…とても、高い壁。

◇◆◇

 暖かい日差しに包まれる季節。
 今年も士官学校の入学シーズンが訪れ、大勢の新入生が希望を持って入学して来ていた。
 その新入生の中に、一際小柄な一名の姿がある。
 ショートカットの鮮やかな金色の髪の毛。青い紋様の中に琥珀色の瞳を持った、整った顔立ち。けれど、そこに容姿に伴ったような、明るい表情はない。まるで凍りついたかのような…無表情。それが、そこにあった。
 目立たないように、ひっそりと。そんな雰囲気を持った子供、だった。

 士官学校に新入生が入ってから数日後の昼休み。
「…ねぇ、ゼゼ…あの子、さっきからずっとこっち見てるんだけど…」
 資料室にいた彼は、仲魔にそう耳打ちされ、ふと背後に視線を向ける。
 彼の視線の先にいたのは…ショートカットの金色の髪、青い紋様、琥珀色の瞳の小柄な子供。
「新入生かな?」
 そんな仲魔の声が、耳を素通りする。
「……?」
 何処かで、見たことがあるような気がする。
 一瞬、そんな思いが過ぎる。
 そして、思い出そうと記憶を辿る。
「…こっちに来るよ…」
 そう声をかけられ、ハッとしたように意識を戻す。
 小柄な姿は、もう目の前まで来ていた。
「…あの…」
 戸惑いの声を上げたのは、彼の方。
 小柄な彼より、もう少し小さい。その小柄な相手は、真っ直ぐに彼を見上げていた。
「どうかした?」
 彼の仲魔が、そう声をかける。
「…ゼフィー・ゼラルダさん…ですよね?」
 相手が、口を開いた。厘とした、透き通るような声。
「…そうだけど…君は…?」
 未だ、思い出せない。そんな表情で問いかけた声に、相手は暫く口を噤む。そして、ゆっくりとその名前を口にした。
「……エル、です。覚えていませんか…?」
「…エル…?」
 何処かで聞いたような覚えはあった。けれど、それが何処だったか…。
 首を傾げる彼。けれど、相手は表情一つ変えない。
「…ねぇ、ゼゼ…そろそろ時間だけど…」
 仲魔に声をかけられ、時計を見れば、もう直に休み時間は終わってしまう。
「あぁ…御免、先に行ってて。直ぐ行くから」
「…うん」
 怪訝そうな表情を残し、彼の仲魔は一足先に踵を返した。
 その背中を見送り、彼は改めて相手に向かい合った。
「えっと…エル、って言ったっけ?御免、見覚えは何となくあるんだけど…」
 思い出せない、と言うことを素直に告げた彼に、相手は小さな吐息を吐き出す。
「父上が、貴方を訪ねろと言っていました」
「…え…?」
 誰かに頼られる覚えは尚更なかった。だが、真っ直ぐに彼に向けられている琥珀色の眼差しには見覚えがあった。
 父親の仲魔たる、赤き悪魔。自分を心配してくれた…あの赤き悪魔の眼差しと同じ。
 となると、一名しか心当たりはなかった。
「…あ…っと……もしかして…あの雪の日に産まれた子…?」
 ふと、記憶が蘇る。
 微力ながら、彼も能力を分けた出産。彼も初めての体験だった。
 その時産まれた子供がこの相手…エルだとすると、親は当然、副大魔王と情報局長官に他ならない。
「はい。私は記憶にありませんが、御世話になったそうで。父上から話を聞きました。ですから、貴方を訪ねて行け、と」
「そうだったんだ~。大きくなったね~」
 あれは、どれくらい前だっただろう。そんなことをふと考えたところで、あることに気が付く。
「…え?でも、君の年齢だと、まだ入学資格は……」
 自然発生の場合、生まれながらに生きて行く為に必要な能力が備わっている為、特に入学資格の制限はない。だが、そうでない場合は、必要最低限の能力に達するまでは入学の許可が下りない。その最低ラインの年齢には…まだ、到達していなかったはず。
「自然発生、です。登録上は。ですから、能力が規定に達していれば問題ありません」
「……そうなんだ…」
 通りで小柄な訳だ。そう思いながらも、通常ならまだ親の保護下にいる年齢。彼が同じぐらいの時は、まだまだ自立など微塵も想像していなかった。その状態で既に規定ラインに達していることが驚きである。
「…時間、ですね。ただ、一度御会いしておきたかっただけなので。済みませんでした」
 そう、口を開いたのはエルの方。
「え?あぁ、そうだね。じゃあ、また後で…」
 彼がそう口にしてにっこりと微笑もうと思った時には、エルはもう既に踵を返していた。
 そんなエルの背中を見送りつつ、その耳に授業を開始するチャイムの音が聞こえ、慌てて踵を返した。
 そんな、奇妙な出会い。
 それは…彼にも、エルにも、分岐点とも言える出会いだった。

 それから数日間、エルとゼフィーは顔を合わせることはなかった。
 勿論、だからと言って困ることがあった訳ではないし、特別会わなければならない訳でもない。
 ただ、エルがゼフィーの存在を確認出来たことで、多少ホッとしたことは事実だった。
 エルにとって、ゼフィーは唯一、その素性を知っている間柄。話をしたことは一度だけだったが、それでも特別な存在であることには間違いなかった。
 そして、二度目に顔を合わせたのは、最初に出会ってから随分経ってから、だった。
 それは、ある日の放課後。偶然立ち寄った資料室に、彼はいた。
「やぁ、エル。暫く振りだね。元気にやってる?」
 先に声をかけて来たのは、ゼフィーの方だった。
「…えぇ、まぁ」
 相変わらずのポーカーフェイスで答えるエル。
 確かに、暫く会わない間にエルも士官学校の生活にも随分慣れ、決して周囲に遅れることなく、潰されることもなく、順調と言えば実に順調に過ごしていた。
 ただ、まるで周囲との接触を極力拒むかのような姿は相変わらずで、エルが誰かと話をしている姿など全くと言っても良い程、見ることはなかった。だからこそ、こうしてゼフィーと話をしている姿を同級生が見たら驚いたことだろう。
 それは扨置き。
「元気そうで良かった。何かあったら…まぁ、そんなに力にはなれないだろうけど…相談してね。僕で良ければ話ぐらいは聞けるから」
 一応先輩らしく、ゼフィーはそう口にしてみる。
 もしかしたら…学力も実技も、ゼフィーよりもエルの方が上かも知れない。そんなことがふと頭を過ぎった。けれど、士官学校での経験だけはゼフィーの方が豊富である。そんなこともあって、口にした言葉だが…エルには余計な御世話だったのかも知れない。
 ほんの一瞬、怪訝そうに眉を顰めた表情。勿論エルも、それを露骨に出した訳ではない。ただ…ゼフィーはそれを瞬時に感じ取った。
「…あぁ…迷惑、だったね。多分…全てにおいて、君の方が上だものね。御免ね、変なこと言って」
 口にしなければ良かった。そんなことを思いながら、それがちょっと照れ臭くて、自嘲気味に笑って見せたゼフィー。
「…いえ、そんなことは…」
 流石にエルも不味いと思ったのだろう。咄嗟にそう口にしたものの、ゼフィーはエルのそんな姿に小さく笑いを零した。
「大丈夫だよ。気を使わなくても。自分のことは、自分が一番良くわかっているから」
 くすくすと笑うゼフィーの姿。その姿が、エルには不思議に見えたことだろう。
 別に、ゼフィーは悲観している訳ではない。自分の無力さを知っているからこそ、素直にそれを認めているのだ。
 実力は、エルの方が遥かに上。それは、明らかなことだったから。
「僕は…未だに、最低ラインギリギリだもの。君に教えることは何もないかも知れない。でも…僕の実体験としてね、やっぱり…色々吐き出すところがあると、気が楽だな、って思ったんだ。だから、声をかけたんだけど…」
「…吐き出すところ…?」
 ゼフィーの言葉の意味するところは、エルには理解出来なかった。
「そう。まぁ、君が当て填まるかどうかはわからないけれど…僕は、そう思ったよ。自分の生まれのこととか…種族のこととか、ね。ほら、他のヒトには言えないでしょう?特に僕は…一応"鬼"の種族になってるけど、角もないし、"鬼"として覚醒は出来ないから。多分…これから先、そんなことも色々気が付くヒトが出て来ると思う。自分の中だけで消化することにも、限界があるんだよね。僕は…君が生まれた頃、初めてそれに気が付いた。そこで初めて…"仲魔"の有難さ、って言うのを知ったんだ。だから…君にも、そんなことがあるよ、って言うことを言おうとしただけ」
 にっこりと、穏やかに微笑むゼフィー。彼が、エルとこうして出会う前にどれだけ辛い思いをして来たかは、エルは知らなかった。その穏やかな表情が、それを感じさせなかったと言うこともある。
「…ゼフィーさんには…全てを話せる仲魔がいるのですか…?」
 色々な秘密を抱えていることは、エルも同じこと。学内に、他に同じ境遇の悪魔がいるとは聞いていない。となれば、何も知らない友達に、全てを話したのだろうか?
 そんなことを考えながら問いかけたエルの言葉に、ゼフィーはにっこりと微笑んだ。
「まぁね」
「学内の友達、ですか?」
「いや……」
 一瞬口を濁し、辺りをそっと目を向ける。自分たちの周りには、誰もいない。それを確認すると、ゼフィーはエルの耳元にそっと口を寄せた。
「…皇太子殿下」
「…はい?」
 思いがけない言葉に、エルは思わず問い返す。
「ん、だからね、シリウス殿下。会ったことある?」
「…いいえ…」
「君が生まれた時に、彼も一緒にいたんだよ。君が生まれる前に、君の父上様の御屋敷で初めて会ってね。その時から…彼には随分助けて貰った。僕が一番苦しかった時に…彼が、力を貸してくれた。それから、何でも話せる"仲魔"になれた。君が御腹の中にいたから、父上も僕を連れて行ってくれたんだし、彼も多分同じ。君がいなかったら…僕らは出会わなかったもの。もしかしたら…君が、引き合わせてくれたのかも知れないね」
「………」
 微笑むゼフィーの前で、エルは多分…複雑な表情をしていたのだろう。その表情は、自分には見ることが出来なかったが。
「まぁ…君にも、仲魔が必要となる時が来ると思うから…その時に、不安だったら声でもかけて。同士として…君の、力になるから」
 そう言葉を放つと、ゼフィーは手を伸ばしてエルの頭の上にそっと手を置いて、軽く撫でた。
 その、僅かな温もりが…エルには、とても懐かしく思えた。
 だがしかし。
「…貴方にとって、私はまだ子供かも知れませんが…私は、独りで生きていけます」
「…エル…」
 思わず手を引いたゼフィー。決して、子供扱いをした訳でもなく、エルを尊重していたつもりなのだが…エルはそうは取らなかったのだろう。
「私は、レイティスさんに身を護る術を教わりました。それが、士官学校に入る為の条件だったからです。ですから、助けていただかなくても大丈夫です」
 一気にそう捲し立てるエル。ゼフィーは困惑しかない。
「…えっと…レイティスさん、って…?」
 思わず問い返した言葉に、溜め息が一つ。
「ゼノン様からの紹介された"仮面師"だそうです。御存じなかったんですか?ゼフィーさんの面倒も見たと、仰っていましたけど…?」
 何処まで、暢気なのだろうか?モヤモヤする胸の内を吐き出すように、些か強く言葉を放つ。
「…僕も…?"レイティス"の名前も、"仮面師"も、会ったことはないけど…」
 首を傾げるゼフィーだったが、そんな姿が尚、エルの感情を逆撫でする。
「…周りを気にしなくても良いくらい、穏やかな環境だったんですね。なら、私がどんな想いで士官学校に入ろうと思ったのか、貴方にはきっとわからないと思います。私は、貴方とは違う」
「ちょっ…エル?!」
 踵を返し、ゼフィーの前から走り去ったエル。
 取り残されたゼフィーは…困惑したように、指先でポリポリと頭を掻いた。
「…怒らせちゃったな…」
 そんなつもりは毛頭なかったのだが、ゼフィーの言葉がエルの逆鱗に触れたことは間違いない。
 独り取り残されたゼフィーは、大きな溜め息を吐き出していた。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
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