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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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壇香 伽羅~causality 2

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
4話完結 act.2

拍手[3回]


◇◆◇

 無事に子供が召喚され、デーモンはそのまま寝室のベッドに戻り、エースもそこに寄り添っていた。
 生まれたことはゼノンが階下へ伝えに行き、その間生まれたばかりの赤子はアイラが一旦預かっていた。
 新たな生命が無事に生まれたことは、喜ばしいこと。けれど…何処かモヤモヤとした感情がエルの中にはあった。その答えが見つからないまま、エルも遅れて階下へとやって来ていた。
 デーモンの寝室の真下。その部屋には大魔王ダミアンを始め、皇太子たるシリウス、ルーク、ゼフィー、そして各屋敷の使用魔たち。誰もがデーモンを心配して集まって来た面々だった。
 ゼノンはその来客たちに状況を説明しているところだった。
「エル、無事に生まれたんだって?弟?妹?」
 エルの姿を見て直ぐに傍へとやって来たゼフィーが、興奮気味に問いかけて来た。
「…あ…男の子、ってゼノン様が……」
 エル自身は確認してはいなかったが、ゼノンがそう言ったのなら間違いはないだろう。
「…今ゼノンが説明してたぞ。聞いてろよ」
 興奮気味のゼフィーに対し、久し振りに会ったシリウスは実に冷静。そして、やはり皇太子。士官学校の頃よりもずっと気高い雰囲気を纏っていた。
 彼らがデーモンの出産に協力したのは二度目だったこともあり、全く初めてなのはエルだけ。一晩、デーモンの傍について緊張して眠れなかったこともあり、すっかり草臥れてしまっていた。シリウスはそんなエルの様子を察してくれたようだった。
「少し休んだらどうだ?ゼノンはまだ帰らないだろうからゼフィーはもう少しいるだろうし…俺は、親父次第だけどな」
 そう言って、チラッと視線を父親たるダミアンへと向ける。ダミアンは未だ、ゼノンやルークたちと話をしているが、各屋敷の使用魔たちは主の指示に従い、屋敷に帰る準備をしていた。
「…あの様子だと、まだ残りそうだな」
 シリウスはそう言うと、一旦ダミアンの方へと歩いて行く。そして何やら少し話をすると、再び戻って来た。
「デーモンの元気な顔を見るまで帰らないらしい。前回のことが、よっぽど引っかかってるんだろうな」
 そう言いつつ、溜め息を一つ吐き出すシリウス。そしてゼフィーも少し神妙な表情を見せる。
「でも、ただ眠っているのと、意識が落ちてしまっているのと…どう見分けるんだろう?前回だって、最初は眠ってるって思っていたんでしょう?意識が留まっていないって気付いたのは随分経ってからじゃなかった…?」
 そう言ってから、ハッとしたように口を噤んだゼフィー。当然、それはエルを心配しての姿なのだろうが…エルの方は、何も覚えていないのだから、変に気を遣われても困るだけだった。
「私のことは気にしないでください。その時のことは何も覚えていないし…」
 生まれたての赤ん坊だったエルにとっては、確かにその通り。周りにいたオトナたちが、何よりのトラウマになっているのだろうとは思う。
 それだけの状況を抱えて生まれたエル。そしてまた今回も…同じことを繰り返さないようにと、用意周到だったはず。
「さっきのゼフィーさんの疑問は、私も同じです。眠ると言うことは、一時意識が落ちる訳だから…どう見分けるんだろうと…」
 エルたちがこそこそとそんな話をしていると、不意に声が届く。
「探るんだよ」
「…っ!?」
 驚いて声の方を振り返ると、医師たるゼノンとダミアン、ルークが直ぐ傍で話を聞いていたらしい。
「父様…探るって、どう言うこと?」
 言われた意味が良くわからず、ゼフィーが首を傾げて問いかける。
 ゼノンはダミアンとルーク、子供たちをソファーへと促すと、自分も腰を下ろす。
 そして、言葉を続けた。
「言葉の通り、だよ。意識を読み取ってみて、それでわからなければ意識の中に入って"探る"んだ。眠っている時でも、頭は動いているから。何か見えれば"眠っている"。何も見えなければ、意識が"落ちている"」
「意識が落ちるとどうなるの?」
 尚も問いかけるゼフィー。
「意識が落ちたままの状態は、安全とは言えない。無防備なままだから。その状態が長く続けば、身体にも影響が出る。最悪…生命を落とす。だから、エースも俺も…必死だったんだ」
 そう言われ…子供たちは小さく息を飲む。
 エルが生まれた時のことを思い出すシリウスとゼフィー。そしてエルは、全く記憶にはないが、自分が生まれた時にそんな状況だったのか…と、初めてきちんと話を聞いた気がした。
「…この際だからさ…俺も聞いて良い?詳しい話は聞く時間がなかったからさ…?」
 口を挟んだのはルーク。彼はその当時、シリウスの教育係として忙しく、手を貸すことが出来ずにいた。何が起こっていたのかは、後になって聞いたが…状況までは、はっきり掴めずにいたのだ。だから、この際…とばかりに、話に参加して来たのだろう。
「…そうだね。この際だから、みんなきちんと状況を把握しても良いと思う。関わったことは確かだし、今回だってこのまま何事もなく無事に終わってくれれば良いけど…何が起こるかわからないからね」
 そう言うと、ゼノンは昔のことを話して聞かせた。
 デーモンの意識が落ちてから、見つかるまで。デーモンの意識が、エルの中でどんな状況だったのか。
 そこまで一通り話を聞いた後…首を傾げたのは、ルーク。
「状況はわかったけど…デーさんはどうやってエルの意識の中に封印壁の箱を作ったのさ?って言うか、どうやってエルの意識の中に入った訳?」
「その鍵だったのは、デーモンの指輪だったと思うよ。自分に何かあったら、エルに託すようにって予めアイラに頼んでいたみたいだから。強い想いの宿った指輪だったから、それが封印壁の代わりになってデーモンを護っていたんだと思う。エルの中に入ったのは…親子だったから、かな。生まれたばかりの赤ちゃんの生命エネルギーは強いからね。それも相まって、引っ張られたんだと思う」
「…親子…」
「そう。俗に言う"親子の絆"。それは単なる血の繋がりだけではなくて、子を産んだ"親"だけが持てる繋がりみたいなもの、だと思うよ。デーモンがそれを知っていたかどうかは聞いていないけど…自分の生命を削って育てた子供との間には特別な繋がりがあるんだと思う。それが、デーモンとエルを繋いでいたんじゃないかと…まぁ、目に見えるものではないし、俺自身が経験した訳でもないからね。あくまでも憶測、だけど」
 その言葉を聞きながら…渋い顔をしたのはシリウス、だった。
「…目に見えない絆を、そこまで信用出来るものか?」
「ちょっ…シリウス様…っ」
 慌ててシリウスを諫めようと、ルークが口を開くが…シリウスは口を噤む気はなかったようだ。そのまま言葉を続ける。
「だってそうだろう?そりゃ、愛情持って育てた上で、ならまだ話は分かる。でも、産んだだけで信頼を得られると思ってるなら、それは違うと俺は思うけど」
 シリウスの言葉に、エルがほんの少し、不安そうな色を見せた。
 確かに、育てられてからなら話は簡単。だが確かに、生まれた直後に親子の絆だなんだと言われても、子供の方にはその意識はない。ある種の不平等感に、シリウスは異議を唱えたのだろう。
 それを察したのは…父親たるダミアン、だった。
「確かにね、御前の言うことは尤もだよ。けれどね、生命を宿してから生まれ出でるまで、子供は親のエネルギーを糧に生きて行くんだ。自分の生命を削って、子を育てる。ゼノンが言いたいのは、"生命を繋ぐ絆"と言うことだとわたしは思うよ。勿論、それが全てではないし、そう言うものだから、と一概に押し付けるべきではない。生みの親でなくても…我々、"生命を与えた側の親"としても、絆はちゃんとそこにある。そして、"育てた親"との間にも、きちんと意志を持った絆はあるはずだ。だから、心配しなくても良いから」
「…ダミ様…」
 それは、誰に対しての言葉だったのか…と、推察する必要もない。にっこりと笑うダミアンは、その視線を隣に座るルークへと向ける。
 シリウスが大事にしたい"絆"の先が何処を向いているのか。それを理解した上での言葉だったのだろう。
 当のシリウスは…と言うと、何処か気拙そうに横を向いてしまっているが。
「だったら…僕も聞いて良いですか…?」
 今まで話の成り行きを見守っていたゼフィーが、不意に手を上げた。
 そして、ゼノンへとその視線を向ける。
「もしも…万が一、父上に何かあった時…父上を助けるのは、やっぱりララなの…?僕は…その役割ではないの…?」
 その眼差しには、不安そうな色と…半ば、諦めのような色。
 双子で生まれたとしても、王位継承の証を持っているのは、弟たるラライのみ。王位継承権のないゼフィーだからこそ、魔界に降りたのだから。
 王位継承権のない自分には、父王を助けられない。同じ親から、同じように生まれたはずなのに…そこに立つのは、自分ではない。その想いが、再びゼフィーの心に戻って来る。
 その不安を察したゼノンは、小さな溜め息を吐き出すと、安心させるようにゼフィーへと笑いかける。
「それは、その時にならないと何とも言えないけれど…御前がその役割ではない、とは俺は思わないよ。ライデンは、御前の事もララと同じように大事に思っているもの。それに俺も、御前を大事に思っているしね。さっきダミアン様が仰ったように、絆はちゃんと繋がっている。そう思うよ」
「父様…」
 にっこりと笑うゼノンに、ゼフィーは安堵の色を見せる。
 だが、不安げな色を浮かべている姿は、もう一名。
「…もしも…今父上に何かあったら…その時は、今度はやっぱり…あの子が、父上を助けることになるのですか…?生まれたばかりの赤ちゃんの生命エネルギーが強いのなら、そう言うこと…ですよね?」
 それは先程のゼノンの言葉が引っかかっているのだろう。
 自分の役割が終わってしまった。そんな気がして。
 幾ら、デーモンから自分は特別だ、と言われたところで…いざと言う時に選ばれないのなら、その言葉は嘘になってしまう。
 色々と話をするうち、何処かすっきりしないその思いの根源が見えた気がした。
 生まれたばかりの弟に、嫉妬している。
 自分のそんな感情に困惑しつつ、選ばれないかも知れない、と言う現実が怖いと感じる。
 そんな不安を見せるエル。思わず、顔を見合わせたのはオトナたち。
 こればっかりは…もし何かあったら、と言うことを前提にしたくはないが、エルの不安もわからなくはない。
 一同が言葉に詰まる中。
「デーモンは、本当に御前を大事に想っているよ」
 不意にそんな声が届き、一同の視線がそちらを向く。
「…エース。デーモンは…?」
 階下へと降りて来たエースの姿に、ゼノンが席を立つ。
「あぁ、落ち着いてる。今回は眠りに落ちてはいないから、意識もちゃんとある。様子だけ、見てやってくれ」
「わかった」
 ゼノンはダミアンに一礼すると、部屋を出て行く。そして入れ替わりに、エースがゼノンが座っていた場所に腰を下ろす。
「何の心配をしているのかと思えば、そんな心配か」
 そう零しながら、溜め息を一つ。そして、エルへと視線を向ける。
「御前が何処まで覚えているかどうかはわからないが…デーモンは昔から、御前が傍にいれば機嫌が良かった。どんなに体調が悪くても、御前が顔を出すと笑顔になった。御前がデーモンの元気の源なんだ。それが何よりの証拠だろう?こう言ったら情けないことこの上ないんだが…俺だって、あそこまでデーモンの気力と体調を回復させることは出来なかった。そう言うことだ」
「でも…これからは違うかも知れない…」
 尚も納得出来ないエル。だが、今度はダミアンが口を開いた。
「何も変わらないよ。デーモンは、一途だから。ねぇ、エース?」
 くすくすと笑うダミアンに、エースも苦笑しながら頷きを返す。
「今だって、生まれた子より御前の心配をしてるから。今まで言えないまま、急に呼び出して手伝わせて…御前が怒っているんじゃないか、って心配してたぞ」
 そう言いながら手を伸ばしたエースは、そっとエルの頭を撫でる。
「顔を、見てやってくれ。御前が来るのを待ってるから」
「…父様…」
 柔らかく笑うエース。そして、ダミアンとルーク、シリウスとゼフィーにも視線を向ける。
「御協力ありがとうございました。おかげで、無事に生まれました。デーモンも、今のところ大丈夫です。ゼノンの許可が出たら、顔を見てやってください」
「あぁ、御前も御苦労だったね。先に、エルを連れて行っておあげ。我々はゼノンが戻って来たら、顔を見に行かせて貰うよ。そうしたらさっさと退散するから、ゆっくり休んでおくれ」
 にっこりと微笑むダミアンに、エースはソファーから立ち上がる。
「御意に。では…エル、おいで」
 エースに促され、エルもソファーから立ち上がる。そして再び、階上のデーモンの寝室へと、エースと連れ立って向かうこととなった。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
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