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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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壇香 伽羅~causality 4

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
4話完結 act.4

拍手[2回]


◇◆◇

 デーモンとエルが眠りにつく、少し前。隣の部屋には大勢の姿があった。
 ベビーベッドでぐっすりと良く眠っている赤ん坊。そのベッドを囲むように、ダミアン、ルーク、シリウス、ゼフィーが覗き込んでいる。その後ろで、エースとゼノンが苦笑しながら眺めていた。
「赤ちゃん見るの久し振り…ちっさいなぁ…」
 一応起こさないように…の気遣いからか、囁くような小さな声で感嘆を洩らすルーク。
「そうだね。エルが生まれた時以来だからね」
 ダミアンもそう囁きを零す。
 エルとは違って、黒い髪。薄っすらと見えているのは、赤の紋様。眠っているので目の色はまだわからないが、外見はエースの血が強いのかも知れない。率直に、誰もがそう思えた。
「名前は?エルの時は、生まれる前からデーさんが決めてたんでしょう?この子はどうなの?」
 エースを振り返り、問いかけたルーク。
「いや…今回はまだ聞いてない。今はエルと一緒に休んでいるだろうから…後で聞いてみる」
 そう。エースもまだ名前は聞いていなかった。尤も…エルの時も、エースは使用魔からデーモンが名前を考えていたと言う話を聞いただけ。デーモンから直接は伝えられていなかった。
 勿論、エースも幾度か名前に関してデーモンに話はしていたのだが…無事に生まれるまでは、といつもはっきりとした答えは返って来なかった。
 すると、今まで黙ってやり取りを聞いていたシリウスが口を開く。
「…名前は、一生背負うモノだろう?だったら、ヒト任せにするなよ」
「…シリウス様…」
 すっと、その眼差しがエースへと向けられる。
「御前は、俺の教育係を蹴ってまでデーモンの傍にいることを決めたんだろう?だったら、子供の運命を全部デーモンに任せるなよ。御前にだって、責任の一端はあるんだから」
「…そう、ですね。貴方様の仰ることは尤もです」
 そう零すと、エースはベッドへと近寄る。そして、ぐっすりと眠る我が子の頭へと、そっと手を乗せた。
「責任は、勿論あります。我々がどう育てるか…この子がどう育つか。それをきちんと考える必要があることは、エルを育てて良くわかりました。デーモンが、エルの為にもっと出来ることがあったはずだと後悔しているように…わたしも勿論、エルの心を追い詰めていたんだろうと…後悔しています。エルの時に出来なかったことが、この子に出来るかどうか…その気持ちを実行に移すことが出来て、それが叶うかどうか…自信がないところは、正直あります。でも…デーモンに丸投げするつもりはありません。親としての責任は、ちゃんと持ちますから」
 とても穏やかな表情。そしてそのまま、その視線をダミアンへと向けた。
「エルの時は、ゆっくり子供を見ていることが出来ませんでした。だから今回は…休暇を取らせていただきたいと思います。遠征に出る前…リエラと話をしました。わたしがいなくても大丈夫なように手配はしてあります。ですから、局の方は問題ありません。書類は後程提出致します」
 既に自分の周りには手は打ってある。エースの中では決定事項であると言わんばかりのその眼差しに、ダミアンは小さく笑いを零す。
「そうだね、デーモンの為にも、エルの為にもそれで良いと思うよ。書類の件はわかった。心配しなくても良いから。ねぇ、ルーク?」
 話を振られ、ルークもエースへと視線を向ける。
「こちらも了解。何かあったら、俺も手を貸すからって、リエラに言っとくから。しっかりお父さんしなよ」
 そう言って笑うルークに、エースも小さく笑う。
 今度こそ、支え合って子育てをする為に。エースのその選択肢は、誰もが納得する選択肢だった。
「あの…」
 大きな大人たちに囲まれつつ、様子を窺っていたゼフィーが、不意に声を上げる。
「どうしたの?」
 皆に視線を向けられ、ちょっと押され気味のゼフィーに声をかけたのは父親たるゼノン。ゼノンの顔を見て少しホッとしたのか、小さく息を吐き出すとエースへと視線を向けた。
「あの…僕たち、今日から長期休暇なんです。慌てて戻って来たので、エルがどうするかは聞いてないんですけど…また、ここに来ても良いですか…?赤ちゃんももっと見たいし…エルのことも心配なので…」
 そう申し出たものの、ここはエースの屋敷ではない。しかも、生まれたばかりの赤ん坊がいる。負担をかけるようなことを申し出たかも知れない…と、言った後で浮かない表情を浮かべたゼフィーの姿に、エースは手を伸ばし、その頭の上にそっと手を置く。
「頼むよ、ゼゼ。ゼゼが来てくれればエルも安心するだろうから、休暇が終わるまでいてくれるかも知れない。エルがいれば、デーモンも元気になるしな。笑い声がある方が…きっと、この子にとっても良い環境になると思う。デーモンには、俺から伝えておくから。遠慮しないで遊びにおいで」
「…エース様…」
「あ、じゃあ俺も!」
 便乗したように手を上げたシリウス。
「御前は職務があるだろう?」
 思わず苦笑するダミアンに、ルークも小さな溜め息を吐き出す。
「そうですよ。シリウス様は、ゼゼやエルと違って、もう学生ではありませんからね。休みを取りたいのなら、きちんと休暇申請を出していただかないと。若しくは、仕事が終わってから訪れるようにしてください」
 そこは皇太子の御目付け役のルーク。流石に安易にOKを出せない。それはシリウスもちゃんとわかっている。そこに歯向かうことは出来ない。
 口を尖らせ、ムッとした表情を浮かべるものの、それ以上文句を言わない。昔ならば、きっと歯向かって文句を言っていただろうが、堪えたその姿はそれなりに成長したと言っても良いだろう。そう考えたエースは、未だムッとしているシリウスに向け、にっこりと微笑んだ。
「いつでも、御待ちしております。エルの為にも、御時間のある時にいらしてください」
 エースに笑顔を向けられてしまっては、シリウスもいつまでも拗ねている訳にもいかない。
「…わかったよ。休暇が取れるまでは、職務終了後に来るから。デーモンと…エルにも、そう言っておいて」
 そう零し、すっとエースから視線を背けるシリウス。その頬が、耳が、首筋が…ほんの少し、赤らんでいる。 それに気が付いたダミアンとルークは共に顔を伏せて小さく笑いを零し、じっとシリウスを見つめていたゼフィーもくすっと笑いを零している。
 そしてここに至って…ゼノンもまた、それに気が付いた。
 勿論、その場では何も言わないが。
「…さて、シリウスにルーク。それでは我々はそろそろ退散しようか」
 ダミアンの声に、シリウスもルークも帰り支度を始める。
 残るははゼノンとゼフィーだが…ゼノンは当然、まだ経過観察が残っている。
「ゼゼ、レプリカには話をしてあるから、屋敷に戻ってて良いよ。御前も昨夜からいるから疲れたでしょう?ゆっくり休んでから、またおいで」
 ゼノンがそう言うと、シリウスが直ぐに声を上げる。
「それじゃあ、途中まで一緒に行こう。俺も今日は休み……だよな?」
 確認をするようにルークへと視線を向けるシリウスに、ダミアンとルークは苦笑する。
「そうですね。今日は御屋敷に戻られても良いと思います。ゼフィーとゆっくりなさってください」
「やった!じゃあ、ゼフィー行こう!」
 すっかり御機嫌になったシリウスは、苦笑するゼフィーの手を取り、ドアへと向かう。
「あ、じゃあ……っ」
 挨拶もそこそこに、引き摺られるようにシリウスに連れ出されたゼフィー。その姿を笑いながら見送ったオトナたち。
「まぁ、たまには息抜きも良いが…相変わらずだね」
 そう言って笑うダミアンに、ルークは苦笑する。
「少しは落ち着いたと思ったんですけどね…」
 そう零すものの、その表情は以前のように心配そうではない。
「さ、それでは我々も帰ろう。仕事も待っているし…ね」
「…ですね」
 ダミアンも、前大魔王が退くまでは、なかなかに自由に出歩いていた。それを思い出せば、シリウスのことも黙って目を瞑るしかない。
「じゃあ、エース、ゼノン。デーモンを宜しくね」
「はい」
「有難うございました」
 頭を下げる二名ににっこりと笑いを残し、ダミアンとルークが帰って行く。
「…静かになったな」
 ぐっすりと眠っている赤ん坊の頭に、再びそっと触れるエース。
 その表情が、ほんの少しだけ不安げに歪む。
「…大丈夫?」
 思わず声をかけたゼノンに、エースは小さく息を吐き出す。
「…あぁ、大丈夫。でも…不安、って言う感情は…忘れないものだな。ずっと意識は途切れなかったし、俺もデーモンに生命エネルギーを補充したから、デーモンは無事だってわかっているのに…つい、もしもを考える。若しかしたら、この子の中にデーモンがいるかも知れない…無意識にそんなことを考えて…触れずにいられない」
 エースが眠る我が子に触れる度、何かを探るように神経を張りつめているのはわかっていた。だからこそ、ゼノンも未だここから離れられない。
「デーモンなら、大丈夫。エルもいるから」
 ゼノンも小さく息を吐き出す。
「今度は、大丈夫だよ。御前も少し休んで。疲れたでしょう?」
「…あぁ、デーモンの顔見てから、な。御前も休めるなら休んでおけよ。今、アイラ呼んで来るから」
「うん、有難うね」
 溜め息と共に小さな笑いを零し、エースは先に部屋を出る。そして、待機していたアイラに声をかけ、ゼノンを客間に案内するように頼んでから、隣のデーモンの寝室のドアを軽くノックする。だが、中から返事はない。
「…開けるぞ」
 小さく声をかけ、そっとドアを開ける。そして静かに寝室へと足を踏み入れる。ベッドを覗き込むと、デーモンとエルが寄り添って眠っている。
----…ちょっとだけ…な…
 その枕元へと歩み寄ると、その意識を探る為にデーモンの額にそっと手を触れた。
 だが、その直後。
「大丈夫だ、って」
「…デーモン…」
 薄っすらと目を開けたその姿に、エースは安堵の溜め息を吐き出す。
 未だ眠っているエルを起こさないよう、そっとベッドから抜け出したデーモンは、そのままエースを連れてテラスへと向かう。そしてその窓を閉めると、漸く口を開いた。
「いつまで心配しているんだ?」
 テラスの手摺に凭れてくすくすと笑う。けれど、エースは相変わらず。
「いつまでだって、心配するのは当たり前だろう?また、御前に何かあったら…」
「だったら、もう少し…?」
 くすっと笑ったデーモンは、腕を伸ばしてエースの首へと回す。そして、少しだけ背伸びをしてエースに口付けた。
「ちょっ…エルに見られたら…」
「大丈夫。ベッドからは見えないから」
 こういう時のデーモンは度胸が据わっている…そう思いながら、エースもデーモンの腰に腕を回し、抱き寄せる。
「エル…大丈夫そうか?随分心配していたが…」
 デーモンを抱き寄せたまま問いかけたエースに、小さな笑いが零れる。
「大丈夫。まぁ、色々話はして…吾輩の本心は全部、伝えたつもりだ。エルに対する想いも、生まれたばかりの"あの子"に対する想いも…な」
「そう…か」
 デーモンの肩口に顎を乗せ、小さな吐息を吐き出す。それをどう受け取ったのか…デーモンはエースの背中へと、その腕を回す。
「今は、子供たちが大事だが…御前はまた別だからな?」
 まるで取り繕うかのような言葉に、エースは少し考えてから笑いを零した。
「今更言うか?…って言うか、知ってるし」
 くすくすと笑う声を聞きながら、デーモンもまた、笑いを零す。
 想いは、ちゃんと伝わっている。だから、その想いが支えになる。
「なぁ…"あの子"の名前…どうするんだ?みんなから聞かれたんだが…」
 笑いを収めたエースは、デーモンの身体を離し、手摺へと凭れる。
「あぁ、そのことなんだが…みんなで、決めないか?」
 エースの隣で同じように手摺に凭れ、少し首を傾げてエースへと視線を向けるデーモン。
「みんなで…とは、何処から何処までの線引きだ…?」
 先ほど、自分も"みんな"と口にした。それはあくまでも、あの場にいた"みんな"であるが…デーモンの言う"みんな"は、果たして何処までなのか。
 エースのその疑問を聞き、デーモンは再び笑いを零す。
「吾輩の言う"みんな"は、御前と、エルと、"あの子"と、吾輩、だ。流石に"あの子"はまだ話し合いに参加出来ないが、"あの子"もいる場で。"みんな"で、決めよう」
 その言葉に、エースも笑う。
「考えること同じだな」
「…そりゃ、伴侶だからな」
 そう言って、笑い合う。
 例え、書類上の籍は入っていなくても、"伴侶"として…そして"親父"として。その絆は、しっかり繋がっている。
 これからも、ずっと。
「さて、エルが起きたら名前考えよう。いつまでも"あの子"では可哀そうだしな」
 大きく腕を広げ、身体を伸ばす。
「そうだな。あぁ、そう言えば…ゼゼが長期休みの間遊びに来たいそうだ。エルと"あの子"に会いたいって。それから、シリウス殿下も時間が出来たら来るそうだ。事後報告になって悪いが、そう言うことだ」
 元気そうなデーモンの姿に安堵の笑いを零しつつ、思い出したようにそう報告する。
「そうか。では…賑やかで良いな」
 にっこり笑うデーモン。実に前向きなその姿。それが何よりも喜ばしい。
 これから先の未来が、楽しいものであるように。
 それは、彼らだけでなく…エルにとっても、良い関係でいられるように。
 穏やかに眠るその顔を眺めながら、共にそう願うのだった。

◇◆◇

 数日後。
 デーモンが産んだ男の子は、『ディナ』と名付けられた。
 書類上はデーモンが保護した子供として届けられた。
 デーモンとエースとエルと。そしてディナも含め、新しい時間が始まった。
 そして、ゼフィーとシリウスが事あるごとに顔を出し、エルは大事な"仲魔"とも、久し振りに穏やかに休暇を過ごすことが出来た。

 そこにはしっかりとした家族としての"絆"が育っていた。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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