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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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壇香 伽羅~suggestion 1

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
4話完結 act.1

拍手[4回]


◇◆◇

 季節が変わる。
 穏やかな季節。それぞれ階級が一つずつ上がり、誰もがまた一つ、目標へと近づいて行く。
 そんな中。エルの運命を変える出来事が目の前に迫っていた。
 それは高学年を対象にした武術大会。エルの学年も今期から参加資格があり、希望者は誰でも参加出来るのだが、そこに一切容赦はない。つまり、最高学年も初めて参加する学年も、皆同じフィールドで戦うことになる。
 そうなると当然一番有利なのは最高学年となるのだが、最高学年はその後研修を控えている。そんな状況で参加しようとする生徒は殆どいない。実質、最高学年を除いた生徒たちの参加となる。だがそれでも実力の差は大きく、下の学年の生徒も殆ど参加はしないのだが、中には高学年を上回る実力を持つ生徒が数名、度胸試し的に参加していた。
 そして…極力目立たないように。そう思って生活していたエルであったが…ここに来て、その不運を実感するのであった。

 ある日の放課後。
「エル。今度の武術大会、クラス代表で参加の申し込みしておいたから」
 同じクラスの女子グループに、突然そう声をかけられた。
「…武術大会?出るなんて一言も…」
 眉を寄せ、冷静にそう返したものの、相手のグループのメンバーはくすくすと笑うのみ。そんな中、恐らくリーダー格なのだろう。先ほどエルに話しかけた相手…ワイヴィと言う名前だったはず…が、ニヤリと笑う。
「遠慮しないで。貴女、強いんでしょう?普段からクラスの誰にも負けないじゃない。代わりに申し込んであげたんだから、感謝して欲しいわ」
「………」
 ここに来て、エルも漸く察する。
 要は、嫌がらせなのだ、と。
 確かに、いつもはクラスの誰にも負けない。それは強くなりたいと訓練にも手を抜かないから。けれど、他の女子グループは違う。武術よりも学力。多少呪は操れるようだが、その程度ならエルも負けはしない。文武両道。それもかなり優秀。彼女たちはそれが最初から気に入らないのだ。
 学年一強くても、上級生相手に普通なら到底勝てるはずもない相手と戦って、大勢の前で負けることで恥をかかせようと…そう言う魂胆なのだろう。
 ならば…と、エルは小さく息を吐き出す。
「…わかった。出れば良いんでしょう?」
 こんなところで文句を言ったところで、無駄に争うだけ。ならば、取り敢えず素直に従っておこう。
 そんな意に気付いているのか、いないのか。彼女たちは笑いを零す。
「楽しみにしてるから」
 そう言い残し、エルの前からいなくなる。
 勿論、端っから負けるつもりなど毛頭ない。ただ、誰が出場するのかはまだわからない訳で…出場者が発表されたら、対策を練ろう。そう考えながら、再び小さな溜め息を一つ。
 周りの生徒たちは、黙って様子を窺っている。そこに、助け舟を出してくれる仲魔はいない。尤も、ずっとそうだったので特に思うところは何もなかったが。
 無言で帰り支度を始め、さっさと教室を後にする。
 既に、その心は前を向いていた。

◇◆◇

 武術大会の申し込みを無断で行われてから数日後。その頃には参加者はほぼほぼ出揃い、参加者は各々準備に取り掛かっていた。
 そしてエルは…と言うと、改めて何かを…と言うこともなく、いつもと変わらず。放課後は通常通り、図書館へと向かう。とそこで、久し振りにゼフィーと出会った。
「やぁ、エル。久し振り」
 にっこりと笑うゼフィー。その穏やかな表情は相変わらずだった。
「最近、武術大会に向けての訓練で賑やかだよね。まぁ、僕には元々関係ないけど」
 最高学年になったゼフィーだが、元々武術は得意ではない。今の今まで、武術大会とは縁がない。
 だがしかし。
「…私は出ますけど」
「……え?」
 平然とそう言ったエルに、驚いた表情を見せたゼフィー。
 エルの性格を考えれば…目立つ場には絶対自分から出るはずはない。だが、平然と参加を口にしたので、当然信じられない訳で。
「え…出るって、何で?興味あったの…?」
 何かの聞き間違いではないか。そんな疑いの拭えないゼフィー。
「別に、興味があった訳では…」
 そう、言葉を続けようとした時。もう一名、乱入して来た相手。
「エル!武術大会に参加するってホント!?」
 駆け込んで来て早々に声を上げる相手。エルはその声に思わず溜め息を吐き出す。
「フレア、静かに」
「あぁ…御免…」
 エルに指摘され、気まずそうな表情を浮かべたフレア。そしてゼフィーの姿もここに来て気付いたようだ。一つ頭を下げる。
 エルに積極的に好意を向けるフレア。だが未だに"顔見知り"の域を出ていないようだが…それでも、最初の頃に比べたらエルの警戒もそこまで強くはない。そんな二名の掛け合いに、いつもなら笑いが零れるところだが…今はそれどころではなかった。
「ねぇ、武術大会に出るってホント?」
 改めて声のトーンを落として問いかけたフレアに、ゼフィーも同意を示す。
「そう、どう言うこと…?」
 二名に問いかけられ、エルは小さな溜め息を一つ。
「…いつの間にか、クラスの代表で申し込みされていただけで…私の意思ではないです。元々興味もありませんでしたし。でも、断って、色々面倒になるのも嫌だったので…だったら出ようかと。それだけです」
 その言葉に、フレアが眉を顰める。
「勝手に申し込まれた、ってこと?そんなの、嫌がらせの上の暴挙じゃないか。君の意思でないのなら、それは無効だよ。今からだって、先生に話をすれば出場を取り消すことは出来るはずだよ。一緒に教務室に申し立てに…」
「やめて下さい」
「エル…っ」
 心配そうな表情を浮かべるフレア。だが、エルの表情は変わらない。
「確かに、私の意思で申し込んだ訳ではないです。でも、納得して受け入れたんです。騒ぎ立てられたら、そっちの方が迷惑です」
「でも…」
「大丈夫です。出る以上…負けませんから」
 ほんの少し、エルが表情を緩める。
 その表情に、今まで黙っていたゼフィーが口を開く。
「フレア、大丈夫だよ。エルは本当に強いから、きっと負けない。だから、エルを信じよう」
 にっこりと笑うゼフィー。だが、フレアは未だ心配そうで。
「…俺も、出るんです。武術大会。俺だって、当然負けるつもりはないんです。でもそうなったら、エルと戦うことになるかも知れないし…」
 小さな溜め息が零れる。それは、フレアから。
「…そっか。前回の優勝者はフレアだっけ…」
 思い出したように、ゼフィーがそう言葉を零す。
 上級生が多く参加した中、優勝したのはフレアだった。フレアも元々強いことは知っていたが、それに伴う実績もちゃんとある。エルが幾ら強くても、それはあくまでも学年内。授業の一環でしかなく、実践での評価はまだ一切ない。対戦相手がまだ決まっていないこともあり、どんな作戦で攻めて来るかもわからない。それをわかっているからこそ、フレアは心配しているのだ。
 だが、エルは相変わらず。
「例え優勝者でも、容赦しませんよ。私も負けませんから」
 改めて、フレアにそう告げる。そして、踵を返す。
 不安そうな表情のフレアは、そこから動けずにいた。

 図書館を後にしたエルを追いかけて来たのは、ゼフィー。
「…ねぇ、初めての実践でしょう?何か策でもあるの…?」
 その背中に問いかけるゼフィーに、エルは足を留めて振り返る。そして周りに誰もいないことを確認すると、そっと口を開いた。
「…この前の長期休暇に父上のところに戻った時に…少し、父様とルーク様に鍛えて貰いました。戦法の組み立て方も教えて貰って。だから、それを実践で活かせるチャンスだと思ってます」
 それは、フレアには言えなかったこと。ゼフィーだから打ち明けたのだ。
「現役の情報局長官と軍事局総参謀長直伝じゃ、そりゃあ完璧だろうけど…」
 以前は、近寄ることも躊躇うくらいだった父親と父親の仲魔。前回の長期休暇中の帰省で、かなり歩み寄った感が感じられた。それは、新たなる生命の誕生もそうだが…育児休暇とばかりに、思い切ってしっかりと休みを取った父親の一名たるエースの努力もあったのだろう。おかげでエルと過ごす時間も出来、敬遠していた実技の訓練にも結び付いたようだった。
 同じく帰省していたゼフィーも何度も顔を合わせてはいたが…流石にそこに参加出来るだけのレベルではなかったので、完全にスルーしていたりする。
「エルが強いのは十分わかってるけど…十分気を付けて。前回フレアが優勝した時もそうだったけど…正統派の攻撃をして来ない相手もいるから」
「…はい」
 念を押すゼフィーに、エルはほんの少しだけ笑った。
 そんな表情も出来るようになったと、感慨深く思いつつ…それでも心配は心配。
 意外と機嫌の良いエルとは裏腹に、溜め息の絶えないゼフィーであった。

◇◆◇

 それから数日後。武術大会の前日。
 訓練室の壁に張り出されたのは、翌日の武術大会のトーナメント表だった。その時になるまで対戦相手はわからず、そこで初めて自分が誰と戦うのかを知ることとなる。
 放課後、生徒の殆どがいなくなってから訓練室を覗きに来たエルは、そこで再びフレアと顔を合わせた。
 まだ数名、他の生徒はいる。なので特にエルから声をかけることもなく(いつもそうだが…)、トーナメント表へと視線を向ける。エルが戦う相手は、名前も顔も知らない。そんな相手が殆どだったが…幸い、フレアとは最後まで勝ち抜けば当たるだろう、と言う組み合わせだった。
 自分が何番目に戦うか。それだけを確認し、訓練室を出て、いつも通り図書館へと向かう。すると、その後を追いかけて来たのはフレアだった。
 エルを奥の資料室へと促したフレアは、ドアを閉めると漸く大きく息を吐き出した。
「…直ぐにエルと戦う組み合わせじゃなくて良かった…」
 流石に、大好きなエルと戦うのは気が引ける。
 未だにそう感じているフレアに、エルは小さく息を吐き出す。
「最後まで勝ち進めば戦うことになるのに…」
「でも最初よりは最後の方がまだ良いよ」
 そう言いながら、エルの傍へと歩み寄る。そして、その灰色の眼差しで、真っ直ぐにエルを見つめた。
「ここまで来たら、もう反対はしない。でも…俺も、負けるつもりはないから」
「私も負けるつもりはないです」
 エルも、琥珀色の眼差しを真っ直ぐにフレアに向けている。
 どちらも、譲るつもりはない。
「だから…賭けをしよう。俺が勝ったら、俺の御願いを一つ聞いて。エルが勝ったら…エルの御願いを一つ、聞く」
 その提案に…エルは眉を顰める。
「御願い…?」
 その怪訝そうな表情に、フレアはにっこりと笑う。
「そう。何でも良いよ。迷惑だから近付くな、って言うなら…残念だけど、それに従うし。あくまでも、常識的なレベルでの御願い、ね。死ねとかそう言うのはなし」
「…まぁ良いですけど…負けませんし。ただ、死ねだなんて言いませんけど…」
 流石に、そんなことは思わない。そこまで敵視もしてはいない。そんな感情が垣間見え、フレアは再び笑いを零す。
「心底嫌われてないようで良かった。ただ、俺としては…もう少し近付きたいけどね。まぁ、それは扨置き…決勝で戦うことを願ってるから。御互い、頑張ろうね」
 そう言って差し出された手。正々堂々と、真正面から。そんなフレアの姿に、エルは小さく息を吐き出して…そして、その手を握る。
「…宜しく御願いします」
 しっかりと握手をしたその手は、とても温かい。
「じゃあ…また明日」
 にっこりと笑ったフレアは、踵を返して資料室を出て行った。
 その背中を見送ったエルもまた、暫しの後資料室を出て行く。
 翌日の武術大会。校内一の主要行事が、もうじき始まる。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
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