聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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檀香 伽羅~眩耀(後半) 4
第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")
こちらは、本日UPの新作です。第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
4話(後半) act.4
ゼノンが帰った後、遅い時間になってデーモンの屋敷を訪れたエース。
「元気そうだな」
「あぁ、御陰様で」
顔色も良いし、何よりベッドから起きている。それが何よりのバロメーター。
「エルは?」
ソファーに腰を下ろしながら問いかけた声に、デーモンもエースの向かいに腰を下ろす。
「朝、ゼノンが来る時はかなり警戒しててな。アイラと一緒に外に出ていた。その後は、一緒に歌いながら庭を散歩したりな。夕方にはティムが迎えに来て、御前の屋敷に帰った。その後、またゼノンが来てな…」
「何してるんだ、彼奴…」
朝と晩、デーモンの屋敷を訪れていたゼノン。朝は定例の検診だが、夜はまた話が別。
「…何か、あったのか…?」
表情を硬くして問いかけたエースに、デーモンはくすっと笑う。
「別に大したことじゃない。ライデンが風邪気味らしくてな。明日から二、三日、雷神界に行くそうだ。だから、それを言いに…な」
「…なら、良いんだが…」
デーモンの体調云々ではなかった。それだけで一安心。だが、どうも…それだけではない。そんな気がして、エースは言葉を続けた。
「…他には…?何か…あるんだろう…?」
「…エース…」
真っ直ぐに、デーモンを見つめた眼差し。その眼差しの前…デーモンは、小さく息を吐き出す。
「…朝、ゼノンが来た時にな…話をしたんだ。エルの、指導者としての適役は誰かいないか、とな。そうしたら…レプリカはどうか、と」
「…レプリカ?……あぁ、成程な…確かに、レプリカは仮面師として、申し分ない能力は持っていると思うが…本魔には聞いたのか?」
思いがけない名前に、驚きの表情を見せたエース。
「あぁ。夜立ち寄ったのは、その報告だ。レプリカはOKらしい。後は、我々と、エルが納得すれば。レプリカには、その後正式に話をすることになっている」
「そう、か…」
昨日の今日で、あっさり適役が見つかるとは。エースの表情は、まさにそう言いたげだった。
エルが納得すれば、そこから話はどんどん進む。そしてきっと、あっと言う間に士官学校に入ってしまうだろう。そこから先、エルは自立するだろう。そうしたら…エルが、彼らの元に戻って来る可能性は…多分、ない。
「…子離れ、しないといけない…か…」
「…寂しいか?」
「まぁ…な。ロクに面倒見てない俺が言うのもどうかとは思うが…」
「十分、頑張ってるじゃないか。御前だって」
そう言いながら、デーモンはエースの隣へと席を移す。そしてその身体にそっと寄り添う」
「何なら…もう一名ぐらい、産んでおこうか?」
「…飛躍し過ぎだな…」
何処まで本気なのか…。ここで茶化したり否定してしまうと、多分意固地になって尾を引く。それを察しながら、溜め息を一つ。
「エルには…話したのか?」
話を戻しつつ、デーモンの様子を窺う。
「いや、まだだ。御前に話して、納得出来たら…と思ってな」
先ほどの話には、デーモンも触れない。取り敢えず…そのまま、そっとしておくことにする。
ほんの少し、安堵の色を乗せた溜め息をもう一つ吐き出すと、エースは背凭れへと身体を預ける。
「レプリカに関しては…文句のつけようはないんだ。普段はそんな雰囲気は全く見せないが…以前、幾度か関わった時は、かなり有能だった。仮面師は元々能力的にオールマイティだからな。攻守ともに優れている。俺たちが頼んでも拒否するだろうが、ゼノンから頼めば、納得はするだろう。何年もに渡って鍛え上げろ、と言う事でもないしな」
「じゃあ、御前も納得出来るんだな?」
「せざるを得ない、だろう?他に心当たりもなければ」
「まぁ、な」
ならば後は、エルに話をするだけ。恐らく…士官学校に入りたいと思っているのなら、妥協せざるを得ないだろう。
ただ…妥協してまで、士官学校に入りたいと思う理由。憶測でエースに話したものの…果たしてそれが、何処までエルの心に沿っているのか。それはまだ、デーモンにもわからない。
早く離れたいと思うほど…嫌われていないことを、願うしかない。
そんなことを考えていると、デーモンの横顔を見つめていたエースが、再び口を開く。
「そう言えば…御前、エルといる時に結構歌ってるみたいだが…エルは、言霊師としてはどうなんだ?」
士官学校に入るにあたり、重要なこと。それは、種族に関してのことだった。
青の紋様を頂いている時点で、恐らくデーモンの血筋の方が強いのではないかとは思う。だが、まだはっきりしていなのは、言霊師なのか、邪眼族なのか、と言うこと。若しくは…どちらの能力も、受け継がなかった、と言う可能性も含めて。
異種族間の子供なので、どちらか一方の能力が圧倒していれば必然的に受け継がれる可能性は高いが、御互いに高い能力を持っている場合は相殺されることもある。
今のところエルに邪眼はない。成体になった時に覚醒する可能性はあるかも知れないが…多分、確率的には低いだろうと思う。そしてデーモンの言霊師としての能力を受け継いでいるのなら。これは、邪眼族と違って、目に見えてわかるものではなかった。
もし言霊師としての可能性があるのなら、その辺りも良く話しておかなければ。そう思って問いかけたのだが…デーモンは小さく首を横に振る。
「歌っているのは吾輩だけ、だ。エルは…昔から、歌ってはくれないんだ。言霊師としての能力があるかどうかはわからないな。と言うより…エル自身が、その気にならなければ、言霊師の能力は扱えない」
「そう、か…」
どちらの能力も受け継がなかったからと言って、特別に困る、と言うことではないのだが…御互いに、自分の能力はともかく…相手の能力を受け継いでいてくれたら…と思う気持ちも、今更ながらに出て来ているのも確かだった。
「今までは、まだ魔力も能力も十分ではないから、調べようとも思わなかったんだが…まぁ、今だって状況としては変わりない。いつか、どちらかの能力が目覚める可能性があるかも知れない、と言う事だけは伝えておいた方が良いな」
親が手を出せる範囲は限られている。だからこそ、出来ることは精一杯やっておかなければ。
「エルには吾輩から話すから。御前は就学の準備の方を頼むな」
「あぁ。それは任せておけ」
時間はまだあるとは言っても、恐らくあっと言う間に過ぎ去ってしまう。
"親"としても、子離れの時が迫っていた。
それから数日後。再びデーモンの屋敷にやって来たエル。
いつものように、エルはデーモンと一緒に庭を散歩する。だが…いつもとは、何かが違う。
「…今日は…歌ってくれないの…?」
ふと零したエルの言葉に、デーモンは足を止める。
気持ちが乗らない。それが、無意識にいつもの歌を消していた。エルの一言でそれに気が付いたデーモンは、小さく笑いを零し、エルを抱き上げた。
士官学校に入るには、まだ小さな身体。だが…この子は、もう独り立ちをしようとしている。
見守ってやらなければ。そう思いながらも…やはり、寂しいものは寂しい。
「なぁ、エル…士官学校に入りたいと思う気持ちに、変わりはないのか…?」
問いかけた声に、エルは少し、口を噤む。そして、真っ直ぐにデーモンに向けられた眼差し。
やがて、小さな吐息と共に…エルは、口を開いた。
「…変わらない。私…士官学校に入りたい」
「…どうしてだ?士官学校に入りたいと言う意思表示は受け取ったが…御前から、ちゃんとした理由を聞いていなかったよな?どうして、こんなに早く士官学校に入りたいんだ?」
再度、そう問いかける。すると再びの沈黙。そして、今度は大きな吐息。
「…私がいなければ…心配事が、減るでしょう…?父上も…父様も…」
「…心配事、って…」
目を伏せたエル。その表情が、とても苦しそうに見えて。デーモンもつい、眉を寄せる。
「私がいるから…父上の病気も、なかなか良くならない。今だって、仕事に行ける時もあるけど…ベッドから出られないことも多い。私を産んだからでしょう…?だから…」
「違う」
エルの言葉を遮り、デーモンが声を上げた。その声にハッとしたように口を噤み、エルはデーモンへと視線を向ける。
「誰が、御前の所為だと言った?そんな訳ないだろう?いつだって、御前が来ると元気になると言っているのに」
「…でも…」
相変わらずの表情のエルに、デーモンは大きな溜め息を一つ。そしてエルを抱えたまま、近くのベンチへと腰を下ろした。
「…きちんと話しておかなかった吾輩がいけないんだが…吾輩の体調が悪いのは、御前の所為じゃない。御前を産もうが、産むまいが…何も変わらない。寧ろ今の方が、仕事に戻れることがあるだけ調子は良いんだ。だから、自分の所為だと思うな」
「…父上…」
不安そうな表情。そんな表情を前に、デーモンは膝の上に抱いたエルのその頭をそっと撫でる。
「吾輩の体調が悪いのはな…ただ単に、エースや他の仲魔たちよりも…残された生命が短いから、だ。だから、ちょっと風邪を引いただけでも拗らせることもあるし、長引くことも多い。でもな…それは御前が生まれる前にゼノンから言われていたことであって、御前を産んだから急にどうこうなった訳でもない。まぁ…エースやゼノンには、必要以上に心配をかけてしまっているから…御前も不安に思っていたんだと思う。でもな、さっきも言った通り…御前といると、元気を貰える。回復が早いのは、確かなんだ。それに…エースといる時もそうだ。エースが吾輩のところに長くいるのは…自分の生命エネルギーを、吾輩に分けてくれているから。吾輩は…御前と、エースがいるから…こうして生きていられる。これからの未来も、自分がそこにいることを、考えられるんだ」
「…じゃあ…私が士官学校に入ったら…どうなるの…?元気が、足りなくなる…?」
デーモンを見上げ、問いかけた声。だが、デーモンは小さく笑う。
「心配するな。昔に比べたら随分体力は落ちてしまったが…それでも、無理をしなければ大丈夫。約束しただろう?何かあっても、戻って来られる場所を、ちゃんと残して置くと。だから、御前は吾輩のことを気にしないで、真っ直ぐに生きれば良いんだ」
真っ直ぐに、その眼差しでデーモンを見つめる。
その心の中は、どんな想いがあるのだろう?未だ、エルの心の中が良く見えない。
親に対する想い。特に…エースに対しての想い。それが…未だに、良くわからない。
そう思いながら…ほんの少しだけ、様子を見るように言葉を続けた。
「士官学校の話は、エースにもちゃんとした。エースはな、幾ら魔力が十分だとは言っても御前がまだ小さくて、自分を護る術を持たないことを心配していたんだ。御前が身を護る術を身に着ければ、入学することに反対はしない。だから、御前にその術を教えてくれる悪魔を探していたんだ」
「…誰?父様…?」
一番可能性の高いのはエースである、と言う認識は、エルの中にもあったようだ。だが、その表情からするに…やはり、エースを指導者として受け入れるのは不満なのだろう。エースには申し訳ないが…余りにも予想通り過ぎて、思わず笑いが零れる。
「いや。ゼノンのところにいる、"レイティス"と言う仮面師がな、御前の相手をしてくれる。能力的には十分有能だから、我々も…勿論エースも、納得済みだ。身を護る術を身に着けたら…士官学校の入学を、認めると」
「……そう…」
小さな溜め息を吐き出したエル。そしてそのまま、デーモンの身体へと自分の身体を預ける。
「…わかった…言う通りにする…」
多分、エルにとってはその選択肢は妥協。けれど、士官学校に入る為なら…と、覚悟を決めたのだろう。
「多分…御前なら、あっと言う間だと思うんだ。この時期からなら、丁度入学の時期には間に合うだろうな。まぁ、必ずその時期に入学しなければならない訳でもない。間に合わなかったらそれでも構わないんだ。だから無理することはないから」
出来ることなら出来るだけ長く傍に置いておきたい。けれど、それは親だけの想い。エルにとっては…早く独り立ちしたいのだから、恐らくは入学の時期に合わせて来るだろう。
勿論、それで良いのだと思う。これから先のことを考えたら、自分で自分の行動の予測を付けるのは良い勉強にもなる。勿論、デーモンも口にした通り、間に合わなくても問題はない。そこから調整していくことを覚えて行けば良いのだから。
どちらにしろ、やはり身を護る術を覚えることが、これから先のエルを作ることにもなる。エースが妥協出来なかった気持ちも、良くわかるのだ。
「準備を、始めないとな」
そう言って、デーモンはエルの頭を撫でる。
これから先、あとどれくらいの時間、こうしていることが許されるのか。わからないからこそ、大事な時間だった。
それから数日後。エースの屋敷を訪れたのは、ゼノンとレプリカ。否、"レイティス"だった。
「エル、おはよう」
声をかけたゼノンから少し逃れるように、エルは隣に立つエースの背後へとそっと移動する。流石にデーモンがいなければ、縋る相手はエースしかいない。それは当然の姿だが、そんな些細な姿もエースはちょっと嬉しく思う。
そして、相変わらずのそんなエルの姿に苦笑するゼノン。
「デーモンはまだ?」
もう一名の親たるデーモンの姿が見えないので問いかけると、エースは小さく頷く。
「あぁ。もう直来ると思う。さっき連絡があったからな。取り敢えず、彼奴も元気そうだから一安心だ」
「そう。このところ調子良いからね。このままでいてくれると良いけど……取り敢えず、紹介するよ。"レイティス"、おいで」
そう言いながら、未だに警戒を続けるエルに笑いかけながら、自分の背後に立つもう一名を前へと促した。
「初めまして。わたくしは"レイティス"と申します。これから少しの間ですが、仲良くしてください」
膝を折り、目線を合わせてにっこりと笑いながら、エルに声をかけた"レイティス"。さらりとした肩までの茶色の髪に、茶色の瞳。何処か中性的な面差しは、親たちと違う、"紋様のない種族"。デーモン、エースの屋敷の使用魔以外では会ったことのない種族に、暫し、エルの視線が注がれた。
「…エル、挨拶は?」
エースに促され、エルは一つ、息を吐き出す。そしてゆっくりとエースの背後から出て来ると、少し頭を下げた。
「…エル、です。宜しく…御願いします…」
「はい。宜しく御願いします」
柔らかくにっこりと微笑むレイティスに、警戒心よりも関心の方が少し上回ったらしい。一緒に散歩をしよう、と誘ったレイティスと一緒に、すんなりと庭へと出て行った。そんな姿を窓から眺めていたエースとゼノン。
「…レプリカ、ではなくて"レイティス"の御指名とはね」
くすっと笑うゼノンに、エースは溜め息を一つ。
「そこは、デーモンの要望だ。エルを説得するには、使用魔としての"レプリカ"の名前よりも、仮面師としての"レイティス"である方が、すんなりいくんじゃないか、とな。だから、レプリカの名前は一切伝えていないらしい。あくまでもレイティス、なんだ」
「わからなくはないよ。使用魔が指南役になるよりも、伝説に近い仮面師の方が、レア度も違うしね。実力は同じだけど、希少価値で言えば、仮面師の方が断然だしね」
そんな話をしていると、遅れてデーモンがやって来た。
「悪い、遅くなったな」
「デーモン、おはよう」
窓際に立つ二名へと歩み寄りながら、自身も窓から外へと視線を向ける。
「ティムから聞いたが…エルはレイティスと外、だって?」
「あぁ、すんなり馴染んでる。奇跡だな」
苦笑するエースに、ゼノンも笑いを零す。
「良かったね。レイティスも、ゼゼとの経験が役立ったみたいだし」
「そう、か」
目を細め、安心した表情を浮かべるデーモン。その視線の先には、警戒する様子も見せずにすんなりとレイティスに懐いたエルの姿。その姿は、デーモンだけではない。エースにもゼノンにも、安堵を与えた。
「…さ、ここからは早いぞ。取り敢えず…就学準備を始めないとな」
「そうだな。頼むな」
「あぁ」
穏やかに。親として、子供の成長を実感するかのように、窓の向こうから目が離せない二名。そんな姿を、こちらも穏やかな笑顔で見守るゼノン。
正直、ゼノンも以前はここまで安心してデーモンの様子を見ることが出来ずにいた。その運命がわかった時から、子供を産みたいと言い出した時。いざ子供が生まれても、一ヶ月も眠ったままで…エース共々、眠れない日々を過ごした時。そこから先も、決して順調とは言えない体調を抱え、それでもみんなで乗り越えて来た。
「みんなで…成長したんだね。エルだけじゃなくて…デーモンもエースも…俺も、改めて」
感慨深げに零したそんな言葉に、デーモンが笑う。
「気を抜くなよ。吾輩は…まだまだ、やりたいことがあるから。御前にも見守っていて貰わないと」
「…やりたいこと、って…」
「…そう。最近、ちょいちょい、怖いこと言うんだぞ、こいつ。そのうちまた、俺たちの度肝を抜くことをやりそうだろう?」
顔を顰めるエース。けれど、その表情は心配は心配でも、以前のように随分前向きに見えた。
「まぁ、もう暫く大人しくはしているから」
くすくすと笑うデーモンに、苦笑するエースとゼノン。
実に平和な時間。それが…ずっと、続くように。誰もが、そんな願いを胸に秘めていた。
暖かな日差しが溢れる季節が巡って来た。
ショートカットに切られた金色の髪に、琥珀色の真っ直ぐな眼差し。士官学校の制服に身を包んだ、まだかなり小柄なエル。
それでも、真っ直ぐに生きる為に。
振り返らずに歩き始めたその一歩は、エルにとって、運命の一歩だった。
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COMMENT
プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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