聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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檀香 白檀~序章 2
第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")
こちらは、本日UPの新作です。第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
5話完結 act.2
ルークはゼノンを連れ、自分の執務室へとやって来ていた。そして、事の顛末を話して聞かせる。
まぁ…内密に…と言われた話は出来ないので、自分の憶測でデーモンと口論になった、と。
「…つまり、先走ったのは御前、って言うことなの…?」
「…まぁ…多分…」
内密にしなければならない分、当然分が悪い。だが、怒らせたのは間違いないだろうから…ここは、ルークが自ら泥をかぶった。
「もう一名子供を産みたいだなんて、聞いてないよ?」
予想通り、眉を顰めるゼノン。
「…まぁ…デーさんは確かに言ってないし…でもさ、可能性がない訳じゃないじゃん?元を糺せば、ライデンだって……」
言ってしまってから、拙いと思って咄嗟に口を押える。
「…ライデンがどうしたって…?」
「いや……」
今日は何処までも…口が滑る。
「…ルーク」
問い質すように名を呼ばれ、溜め息を一つ。そして、自白した。
「…前に、雷神界に行った時にさ…ほら、シリウス様が士官学校に入った後。あの時に…ちらっとライデンが言ってたんだよ。デーさんなら、もう一名産めるんだって…本魔に言っちゃった、って…勿論、直ぐに冗談だって言ったらしいけど…それを本気にしないでね、って俺も念を押しちゃったし…最近、調子も良いみたいだからさ、そんなこと考えないでよ~って…もし考えてるなら、あんたやエースにちゃんと話さないと、って…そんな話してたら、機嫌悪くなっちゃって…」
「…もぉ…ライデンがそんなこと言ったなら、教えてくれれば良いのに…」
流石に、伴侶に非がないとは言えない。だが、あくまでも本気ではない。そう言いたいのだろうが…それをどう受け取るかは、デーモン次第。そして、その後のことも。
「でもさ…デーさんの言うこと…間違ってないんだよね…もし万が一、子供が出来たとしたらさ…咎められるのはデーさんなんだよな、って…」
「…誰が咎めるって言うの?俺が、ってこと…?」
今度は、ゼノンも眉を顰める。
「いや、別にあんただけのことじゃないよ。その時になってみたらさ…きっと、みんなが言うんだ。デーさんの身体を心配して…無理だ、って。エルがいるんだから、わざわざ無理をする必要はない、って。だって、怖いじゃん。また、エルの時みたいになったらどうするの?あの時は何とか大丈夫だったとしても、二度目が順調だとは限らないでしょ?みんなそれをわかっているから…デーさんだって、ちゃんとわかっているから…だからデーさん…もう一名産みたいだなんて、絶対言わないって…」
「…それであの台詞だった訳か…でも、ライデンの話で御前がそんなに心配するって言うことは、デーモンは…本当はもう一名…って、思っているってことじゃないの…?」
「…それは知らないよ。デーさん、言わないもん。あんたやエースにも言わないのに、俺にだけそんなこと言う訳ないじゃん」
そう零し、ルークは幾度目かの溜め息。
デーモンのことを思えばこそ、安定しているのなら無理をして欲しくはない。それは誰もが思うこと。
だからこそ…その想いに、蓋をした。それがわかっているからこそ…ルークもゼノンには言えなかった。
"いつか"を…本当は、待っていたことを。
「…御免な、巻き込んで。取り敢えず、話はそれだけだから」
そう言って、ルークはソファーから立ち上がる。
「デーさん、捜して来るよ。何処にいるかわかんないけど」
「アテはあるの?」
心配そうに問いかけたゼノンに、ルークは外套を羽織りながら首を振る。
「全く。いつも、屋敷か執務室だからね…一応屋敷に行ってみるけど…素直に帰っているとは思わないから、そうだったら何処にいるやら」
滅多にないデーモンの職務放棄なのだから、逃げ場など心当たりも何もない。
「エースのところは?」
「エースは外回り。執務室に行ってもいないよ」
「…そう。まぁ…一応、俺はエースの方の様子見て来るよ。放置は出来ないから」
そう言って、ゼノンもソファーから立ち上がる。
「あんまり…思い詰めないでね」
表情の優れないルークにそう声をかけ、ゼノンは執務室から出て行く。
その背中を見送り、ルークも溜め息を吐き出しながら執務室を後にしたのだった。
外の風は冷たいが、部屋に入ってしまえば問題はない。寧ろ、窓越しの日差しは暖かかった。
窓辺に座り、ぼんやりと空を見上げていたデーモン。
ルークとの口論の後、やって来たのはこの生家。ここからサラに連絡を入れ、今日は戻らないと伝え…そしてただぼんやりと外を見ていた。
使用魔のいない生家。いるのはデーモン一名。殆ど足を踏み入れることのない生家だったが…デーモン自身とエース、そして昔馴染みの觜輝(クルアール)しか知らないこの場所。だからこそ、良い避難場所になることがわかった訳で。
「…あぁ、腹減ったな…」
そう言えば、朝食を食べたきり。もう夕方の日差しになりつつある訳で…食事はおろか、水分すらとっていなかった。だが、所詮は誰も住んでいない空き家同然の生家なのだから、食料や水も、あるはずがない。
さて、このまま素直に屋敷に帰るべきか…と思いを巡らせていると、窓の外をふと通り過ぎた黒い影。
「…今のは…」
一瞬だが…目の前を通り過ぎたのは、黒い翼。見間違えるはずのない、懐かしの。
「…觜輝…?…まさかなぁ…」
目の錯覚だったか…と思いつつ、窓を開けてみる。
夕方の風は、思っていたよりも冷たい。思わず首を竦めると、バサッと言う音と共に、目の前に上から落ちて来た影。
「やっぱりここにいたか」
そう声が聞こえた。
「…觜輝…」
「…入っても良いか?」
「…あぁ…」
思わぬ登場の仕方に唖然とするデーモンだったが、久し振りの級友はにっこりと笑っていた。
「どうしてここへ…?」
そう問いかけると、窓から入って来た觜輝は背中の翼をしまうと、抱えていた紙袋を差し出した。
「ルーク総参謀長から連絡があってね。御前が何処かに行ってしまったが心当たりはないか、何処にも見当たらないから、若しかしたら俺のところに来ているんじゃないか…とね。まぁ、何処にもいないのなら、ここかなと思って…内緒で差し入れ持って来た」
くすっと笑いながら、紙袋を受け取る。中には軽食と御茶。
「…流石、觜輝。吾輩のことを良くわかってくれているな」
「…エース長官は…?」
エースなら当然いるだろうと思っていたのだろう。だが、デーモンは首を横に振った。
「いや…エースには何も言っていないから。御前のところに連絡が行ったくらいだから、恐らくエースのところにも連絡は行っているだろうな。エースもここは知っているから…思い出せばそのうち来るかも知れないけれど、外回りなら暫くは来ないかな」
「そう、か。じゃあそれまで…相手していようか。取り敢えず、食べたら?」
「あぁ、有難い。丁度腹が減ったと思ってたんだ」
觜輝もくすっと笑うと、デーモンが促したソファーへと座る。デーモンも窓を閉めると、觜輝の向かいへと腰を下ろした。
そして、觜輝が持って来た軽食を食べ終えると、それまで眺めていた觜輝が口を開いた。
「…で?何でルーク総参謀長と喧嘩した?」
「喧嘩、って……吾輩が勝手に怒っただけだ」
御茶で喉を潤し、溜め息を吐き出しつつ言葉を続ける。
「別に…ルークが悪い訳じゃない。勿論、他の誰も。吾輩が…勝手にな」
「でも、御前が怒るだけの理由があった訳だろう?それが聞きたいんだ。その為に、わざわざ手土産持って来たんだから」
「觜輝…」
「御前が頑固なのは良く知っているんだ。そして、言いたくないことは絶対に言わない。それで何度、エース長官と揉めたんだ?」
「…今回はエースは関係ない。彼奴は本当に何も知らない。言っただろう?吾輩が勝手に怒ってるだけだ。自分の体調管理が上手くいってると思って、好い気になっていただけだ。吾輩が何かをしようものなら、みんなに心配をかける。普通に仕事をしていたって、心配するような奴らだからな。だから、吾輩は…何も言わないことに決めたんだ。だが、もし仮に…もう一名、子供が出来たとしたら…それはエースの所為ではなく、吾輩の所為になる。バカみたいな話だろう?吾輩が何も言わなくて…想いが通じたって…悪いのは吾輩だ。吾輩だけが…悪者だ」
「悪者、って何だよ。そんなに自分を卑下するなよ。で、何だ、もう一名産みたいのか?」
苦笑する觜輝。だが、その顔はとても穏やかで。
昔と同じ。何でも話せる相手。そんな姿に、デーモンも思わず…本音が零れた。
「…産みたいなんて…言える訳ないだろう?彼奴らを前に…」
「だろうな。御前の周りは…きっと、また無謀なことを…って言うだろうな。だが…もし仮に、御前が何も言わなくても子供が出来たのなら…それは、エース長官が納得した結果じゃないのか?そこで御前が責められるのは可笑しいし、その時はきっと…エース長官が、御前を庇ってくれる。俺はそう思うけれど?」
「…庇う…?」
今更どうなのかとは思うが…エースが庇ってくれると、考えたことがなかった。それを思いつかなったのは…どうしてだろう。デーモンには、その答えも見つからなかった。
けれど、觜輝はそれを当然のように思っていた。
もし、現実にそうなったら…背負うべき責任は、同等なのだから。
「あぁ、そうだ。もし、御前を庇わなかったら、俺はエース長官に幻滅する。速攻で、御前と別れさせる。だがきっと…彼は、御前を護ってくれる。そう、約束したからな。約束を破るような悪魔ではないことは、御前が一番良くわかっているだろう?誰が何を言おうと、御前はエース長官を信じていれば良い。子供を産む、産まないは、御前とエース長官の問題だから」
それは、上層部とのシガラミのない觜輝だから言えること。
「俺は昔から御前の生き方が好きだし、御前そのものも好きだから。無条件で味方にもなる。でもな、御前もわかっている通り、御前の仲魔みんなが、御前を大事に思っているんだ。だから喧嘩もするし、無理をするなと口を出す。それだけ、大事に思われているんだって、十分わかっているだろう?」
「…勿論、わかっている。だが、だからこそ迷惑も心配もかけたくないんだ」
「そこで御前がそうやって遠慮するから、みんな神経質になるんじゃないのか?御前が本心を見せないから」
全くの予想通りの反論をするデーモンに、觜輝は笑いを零す。
「だったら寧ろ、目一杯、心配かけてやれば良いじゃないか。それを苦だと思わないから仲魔なんだろう?だったら、素直に甘えれば良いんじゃないのか?まぁ…御前には難しいのかも知れないが…エース長官になら、出来るだろう…?」
「…簡単に言うんだからな、御前は…」
思わず溜め息を吐き出すデーモンを、觜輝はくすくすと笑ったまま眺めている。
「簡単だよ、俺にはな。御前が何をしようが、見護るだけだから。子供を産みたいのなら産めば良い。それで御前が納得するのなら、俺は何も言わない。御前が何をするのか、見ていたいんだ。だから、後悔のないように生きてくれた方が、俺は見護り甲斐がある。だが、御前の仲魔たちはそうじゃない。後悔のないように生きて欲しいと思いながらも、自分たちも後悔したくないんだと思う。御前の無鉄砲さを止めなかったばっかりに、御前にもしものことがあったら…それが自分の後悔になるだろう?自分の無力さを嘆くだろう?御前の為に、何をするべきだったのかと、悩むだろう…?でもきっと…それが正しい。御前が大事だから。俺は、御前はそう言う奴だと思っているから平気だが、みんな…もっと、御前と一緒にいたいんだと思う。ただ、それだけの違い。御前を大事に思うことには変わりない」
「…御前、吾輩を無鉄砲な奴だと思っていたのか…?」
「実は無鉄砲だろう?色々計算ずくで動いていると思っているのなら、自分をもう一度見直してみた方が良いぞ?無鉄砲でないのなら…子供を産みたいとは、きっと言わない。最終的にどうにかなると思っているから、無鉄砲だと言ったんだよ。でも俺は好きだよ?」
「それはフォローなのか、馬鹿にされているのか…」
思わず苦笑するデーモン。ここまではっきり言われても、嫌な気にはならない。"觜輝"と言う悪魔を、良く知っているからなのだろうと思うが…なら、他の仲魔たちのことは…?どれだけ、わかっていただろう…?
ふと、神妙な表情を見せたデーモン。
「吾輩は…自分の想いが正当だと、そう思っていただけなんだろうか…」
ぽつりとつぶやいた言葉に、觜輝もすっと笑いを収める。
「どうして、そう思う…?」
問いかけられ、ほんの少し、思いを巡らせる。そして。
「…吾輩の想いを伝えたところで…向こうは、吾輩じゃない。どんなに受け入れて貰っても、その想いの底まで伝わらない。そう…諦めてしまっていたんだろうか…伝える前から、伝わらないと…思い込んでいたのかと…」
そう。伝える前から、諦めていた。エルの時は、そんなことはなかったはず。どうしても産みたいとゼノンを納得させ、エースも説得した。あの時の勇気は…今は見つからない。それどころか、反対される前から、どうせそうなるだろうと伝えることさえ辞めてしまった。
「…情けない、な…」
溜め息と共に零した言葉に、觜輝はデーモンの隣へと席を移すと、その頭を撫でた。
「情けないことあるか。それがきっと、"生きる"と言うことだと思う。色々と状況が変わる中で、自分の中に葛藤があるからこそ、"生きている"んだ。だからこそ、そこを補う仲魔がいるんだろう?だったらちゃんと自分の想いを伝えるべきなんだ。ルーク総参謀長はきっと…それを伝えたかったんだと思う。自分がちゃんと支えているから、御前の想いを伝えるべきだ、と」
そう。最初に子供を産みたいと望んだ時…觜輝に対して、ルークが放った言葉。それが觜輝の脳裏を過ぎる。
----勿論、デーさんの願いが寿命を縮めるかも知れないことは重々承知。でも、それがデーさんの願いなら、俺はデーさんの味方でいる。それが、俺の役目だもの。
ちょっとやそっとのことで、崩れる絆ではない。だからこそ、それを忘れてはいけないのだと。それを伝える為に…自分は、ここへ来たのだと。
「…勝手に怒って…ルークに悪いことしたな…」
流石に申し訳ないと思ったのか、そう零したデーモン。
「それはしょうがない。今更後悔したところで、どうにもならないんだから。ルーク総参謀長だって、御前の態度に怒っている訳じゃない。心配しているだけなんだ。だから、これから先のことをちゃんと考えて、結論を出せば良い。その上で、頭を下げれば良いんだ。まさか、頭を下げたくない、だなんて言わないよな…?」
「自分が悪いと思えば、ちゃんと謝罪は出来る。昔からそうだぞ?そこまで自己中じゃないから」
苦笑するその姿に、觜輝も笑いを零した。
「じゃあ、大丈夫だ」
そう言って、デーモンの頭をぐりぐりと撫で回す。
「ちょっ…こら、觜輝…」
まるで、時間が戻ったような、そんな感覚。
悩むことだらけで、一つも倖せだとは思えなかった頃…唯一の安らぎは、觜輝と言う存在だった。彼がいたから、救われていたんだろう。今更ながらに、そう感じた。
「…有難う、な」
そのたった一言で、ここまで来た甲斐があった。
先の未来に、不安がない訳ではない。けれど、それもまた一興。楽しみに、見ていよう。
そんな想いを抱いていた觜輝。そしてその顔で、デーモンもその想いは強く感じていた。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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