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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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檀香 白檀~序章 3

第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")

こちらは、本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
5話完結 act.3

拍手[3回]


◇◆◇

 すっかり日も暮れた頃、小さく窓を叩く音が聞こえた。
「…ん?」
 昔話に花が咲いていたデーモンと觜輝が窓の方へと視線を向けると、闇の中で部屋の中を覗き込む姿が見えた。
「あぁ、エース長官の御迎えだ」
 笑いながらソファーを立ち、窓へと歩み寄る觜輝。そしてその窓を開ける。
「御待ちしておりましたよ、エース長官」
「クルアール司令官…」
 エースを部屋の中へと促すと、ソファーからデーモンが声をかける。
「あぁ、エース…ルークかゼノンが連絡入れたんだろう?悪かったな」
「…楽しそうで何より…」
 溜め息を一つ吐き出すと、帽子と羽織っていた外套を脱ぎ、填めていた手袋を外す。
「クルアール司令官も、呼ばれましたか?」
 そう問いかけたエースに、觜輝…クルアールは、くすっと小さく笑った。
「えぇ、ルーク総参謀長から御声がかかりまして。何処にもいないのなら、ここかと。貴殿が来るまでの話し相手に」
「遠いところから御足労頂いて、申し訳ありませんでした」
 小さな溜め息を吐き出しながら、頭を下げるエース。
「いえ。わたしが勝手に押しかけて来ただけです。ルーク総参謀長からは、行先を知らないかと問われただけで、一緒に探してくれとは言われておりませんから。その辺りは御心配なく」
 にっこりと笑うクルアールに、エースはデーモンへと視線を向けた。
「…体調は?」
「大丈夫。問題ない」
「…そう、か。なら良い」
 エースは少し安堵の色を乗せた吐息を吐き出す。
「…では、エース長官もいらしたので…わたしはこれで。後のことは頼みます」
 外套を羽織りながらそう言葉を放ったクルアールに、デーモンがソファーから立ち上がる。
「有難うな」
「あぁ、じゃあまたな」
 仲魔としての挨拶を交わした二名を眺めていたエース。だがクルアールが窓を開けると、小さく笑いを零した。
「クルアール司令官もそこから…?」
「…えぇ。わたしが様子を見にここを飛んでいたら、デーモンが窓を開けたので…ついここから」
 クルアールも苦笑し、そう言えばエースも何の抵抗もなくここから入って来たな…と思っていた。
「みんなして窓から入って来るんだぞ?礼儀は何処へ行ったのやら」
 くすくすと笑うデーモン。
「御前がそれを許しているからだろう?」
 笑ってそう言いながら、背中に翼を構える。
 デーモンが憧れた、漆黒の翼。仲魔の為なら、多少距離が遠かろうが問題ない。いつでも駆けつけるつもりでいるその翼は…とても頼り甲斐があるのだろう。
「…御気をつけて」
「有難うございます」
 小さな笑いを残し、クルアールは闇夜へと飛び立っていった。
 必然的に残されたのは、デーモンとエース。
「…外回りだったのか…?」
 外套のみならず、防寒の手袋までしていたのは珍しい。そして時間も遅かったことからそう問いかけたデーモン。
 エースはデーモンの隣へと腰を下ろしながら、溜め息を一つ。
「まぁ…な。夕方執務室に寄ったら、ゼノンが言伝して行ったらしくてな。そのまま御前を探しに出た、って訳だ。念の為御前の屋敷に寄って…まだ戻っていなかったから、心当たりを幾つか回って…ここに来たら、クルアール司令官がいた…」
「…嫉妬、か?それとも…御前も、吾輩が身勝手だと…?」
 些か機嫌が悪い。そう思いながらエースの顔を覗き込むデーモン。その顔へと視線を向けたエースは…大きな溜め息を一つ吐き出すと、腕を伸ばしてデーモンを抱き締めた。
「…エース…?」
「無茶はしないだろうとは思っていたが…一応、心配はしたんだ。やっと見つけたと思ったら、上機嫌で笑っているんだから…気が抜けるのは当たり前だろうよ…クルアール司令官の顔見た途端、膝から崩れ落ちるかと思ったよ…」
「そう、か。御免な…心配かけて」
 苦笑しながら、エースの背中へと腕を回す。
「…觜輝は…御前たちにはクルアール司令官だが…吾輩には、昔と同じ觜輝、なんだ。だから、他意はない。ただ…吾輩の話を聞いてくれて、彼奴なりの正論を返してくれただけで。後は…昔話ぐらいだな。彼奴、吾輩のことを無鉄砲だと思っているんだぞ?あんまりだと思わないか?」
「…無鉄砲、か。成程な…わからなくもない」
「何だよ、御前まで…」
 小さな溜め息を吐き出したデーモンに、エースは身体を離す。
「…で?一体ルークと何があったんだ?」
「…聞いてないのか?」
「御前が消えた、とだけ。理由まで言っていかなかったらしい」
「そうか。まぁ…ルークと何か、と言うよりも…吾輩が勝手に怒って、出て来ただけなんだがな…彼奴は、吾輩を心配していただけで…それがちょっとだけ…癪に障った。吾輩は、御前たちに余計な心配はかけたくない。それだけなんだ」
「デーモン…」
 すっと表情の変わったデーモン。
「だけどな…觜輝に言われたんだ。みんなが、吾輩を心配するのは当たり前だと。だから…いっそうのこと、目一杯心配をかけてやれば良い。素直に吐き出せば良い。もっと素直に…御前に、甘えれば良い、と…」
 何処か、不安そうに見えるその顔に…エースは小さく笑いを零す。
「…そうだな。素直に何でも話してくれたら…それが一番楽で良い。ルークやゼノンなら、それで安心するんだと思う。でも俺は…御前が話そうと思うまで、待てるけど?」
「…何でだ?御前が一番…聞きたいんじゃないのか…?」
 以前なら、そう望んだはず。それが、恋悪魔としてのエースの立ち位置だったはず。だが今は、待てると言う。その理由を、知りたかった。
 真っ直ぐにエースを見つめた金色の眼差しを前に、エースは目を細め、その指先でデーモンの頬に触れた。
「御前が色々考えていたように…俺も、色々考えていたんだ。御前の生命の時間を知って…エルを産みたいと懇願され…産んでから一月眠り続けていた間も。一緒にエルを育てて…士官学校に見送るまで。その後も。ずっと…考えた。御前は…どう、生きたいのか。本当に、御前がしたいことは何なのか。それが…漸く、わかった気がするんだ」
「…何だと思う…?」
 思わず零した言葉に、エースは笑った。
「笑って…いたかったんだろうな、って…それを倖せだと思えるように、生きたいんじゃないかと…」
「…エース…」
 思いがけない言葉に、デーモンは息を飲む。
「御前…俺に言っただろう?御前が俺とあの子と一緒に生きる為に。その時間を"得る"為に。そして俺たちもあの子も、倖せを"得る"為に…御前の願いを託して、"エル"と名付けたと。御前が望んだのは、当たり前の倖せだ。平穏で、ごくごく普通の倖せ。ただ、笑って過ごせる倖せ。少なくとも、俺は…そう思ったんだ。エルと一緒にいた時の御前は良く笑っていたし…それが、御前が求めている倖せなんだろう、と…」
 勿論それは、エースなりの結論。デーモンが求めていたものが同じかどうかは…正直、自信はなかった。ただ…そうであれば良いと。穏やかに笑うデーモンを…エースも、見ていたいのだと。そんな、思いを込めた言葉だった。
「御前が考えて考えて考えた結果なら、俺は待っていられる。御前が出す結論を一番に聞かなくたって、御前が望む未来が見えるのなら…俺はその時まで待つから。それで良いと思った。ただ、それまで俺を遠ざけなければ…な」
 くすっと笑い、顔を寄せる。
「共に歩くと…生きていくと、約束しただろう?だから、心配するな。俺は…ちゃんと、御前を見ているから」
 そんな言葉と共に、そっと重ねられた唇。
「御前は…俺を、信じるか…?」
 唇を離して問いかけたつぶやきに、デーモンはそっとその瞼を閉じる。
「…信じる、から……」
 まるで譫言のように零した声に、深く口付ける。
 吐息を分け合い、何処までも深く求める心。
 愛されている実感を、御互いに存分に感じながら…甘い時間に満たされた。

「…さ、どうする?このままここに泊まるか…屋敷に帰るか」
 身繕いを整えながら問いかけたエースの姿を、ソファーに凭れたまま眺めていたデーモン。
「…そうだな…」
 少し考え、それから口を開く。
「…觜輝や御前に声をかけていたんだ。ルークもゼノンも心配しているだろうから…戻るか」
 くすっと笑うデーモン。その顔は、とても穏やかで。そんな姿に、エースも笑いを零す。
 信じていられるのは…誰よりも愛おしい相手だから。
 だから…何があっても。その想いは変わらない。
「…有難う、な」
 にっこりと笑みを零しながら、零れた言葉。そして、繋いだ手。
「帰ろうか」
「…あぁ」
 流石に誰もいない生家は戸締り必須なので、今度はちゃんと玄関から。
 揃って歩くその道は、絶望ではなく…希望であると信じて。

◇◆◇

 デーモンの屋敷に戻って来ると、リビングにはルークとゼノンが揃って待っていた。
「何で御前らがここに?」
 ルークとゼノンには、戻ることは伝えていなかったはず。それはエースも同じだった。
「いや…クルアール司令官から連絡があって…エースがデーさん見つけたから、心配いらないって…もう直戻るだろうからって…だから、ゼノンにも連絡したんだけど…」
 少し気まずそうな表情でそう言ったルークは、ソファーから立ち上がると、デーモンに向けて頭を下げた。
「デーさん、御免!」
「…何で御前が謝るんだ?」
 突然謝られ、きょとんとした表情を浮かべたデーモン。
「だって…俺が余計な心配したから怒ったんでしょ…?」
 未だに気まずそうに、上目遣いで口を開いたルークに、デーモンは小さく笑いを零した。
「いや…悪いのは吾輩の方だ。御前たちが心配することはわかっているのにな…悪かったな、ルーク。もう…絶望だなんて、言わないから」
「…デーさん…」
 小さく笑いながら、ソファーへと腰を下ろしたデーモン。エースは窓辺へと向かい、窓を開けて煙草に火をつけている。
「…何?絶望、って…」
 話の見えないゼノンが問いかけると、デーモンが笑う。
「吾輩だけが孤立する状況だ。誰からも賛同されない。孤立無援。そんな状況は絶望でしかない。吾輩が、ルークに言った言葉だ。だが…どうやら、そんなことはなさそうだしな。吾輩には…ちゃんと、仲魔がいる。吾輩を心配してくれて…信じてくれる仲魔が、な」
 窓辺のエースへを視線を向けると、ニヤリと笑うエースの姿。
「俺だって…っ!デーさんの仲魔でしょ!?エースだけ特別なのっ!?」
 慌てて声を上げたルークに、煙草の火を消したエースが戻って来る。そして、デーモンの隣へと腰を下ろした。
「特別なのは俺じゃない。クルアール司令官だ」
「は?クルアール司令官って…」
 きょとんとした表情を浮かべるルークに、エースは笑いを零す。
「一番、デーモンを信じているのは…多分、クルアール司令官だ。俺たちだって確かに信じているし、デーモンを大事に思っているよ。でも…多分、彼は根本から違う。俺たちのように、デーモンの生命を護るつもりはない。本当に、ただ見ているだけ。デーモンがどんな生き方をするのか…それを知りたいだけ。でもそれが…一番の信頼なんだと思う。俺たち以上に…な」
「…エース…」
 ルークの脳裏に蘇ったのは…かつての記憶。最初に子供を産みたいと願ったあの時に…話したこと。
 誰よりも長く、デーモンを見て来た。だからこそ…誰よりも、その信頼は強い。
「…何だよ…それじゃ、絶対敵わないじゃん…」
 思わず零したルークのそんな言葉に、デーモンは再び笑いを零す。
「大丈夫、心配するな。御前たちも…大事な仲魔だから」
「…デーさん、大好き…っ!!」
 腕を伸ばし、デーモンを抱き締めるルーク。
「おい、こら…っ」
 ルークの腕を引き離そうとしたエースだったが…デーモンの肩口に伏せたその顔に、思わず手を止める。
 伏せた睫毛が、濡れている。大きく吸い込んだ息も、微かに震えている。どれだけ心配していたか…それを感じたのは、エースだけではなく…受け留めたデーモンもまた然り。
「…有難う、な。ルーク。吾輩も御前が大好きだから。心配しなくても大丈夫だ」
 改めてそう零すと、デーモンはルークの背中を擦る。
「…うん…」
 どんなことがあっても、一生デーモンの参謀でいる。ルークの変わらないその想いは、デーモンにもちゃんと伝わっている。
 だから…揺るぎない想い。
「…俺も、いるからね。忘れないでよ」
 忘れられている感満載のゼノンが口を挟むと、デーモンはその視線をゼノンへと向けた。
「勿論、忘れる訳なかろう?御前を忘れたら大変だ」
「…なら良いけど」
 ルークのように感情を露にする訳ではないが、ゼノンもデーモンのその言葉には小さな笑いを零した。
 ただ、デーモンが本当は何を思っているのか。それが…不安ではあるが。
「まぁ…くれぐれも、無理はしないでね。何かあったら必ず…」
「わかっているから」
 苦笑しながら返すデーモンに、ゼノンは小さな吐息を一つ。その様子を眺めていたエースも…こっそりと吐息を吐き出していた。
 先の不安がまるでないか…と言われれば、誰にだって不安はある。だからこそ、支え合っていかなければと思うところが大きい。
 今は、素直に現状を受け留めることが最善。
 それは…エースとゼノンに過った想いだった。


 そして…季節は流れる。
 冬から春へ。そして日差しが暑くなり始めた頃。
 小さな不安は、現実になる。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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