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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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翠烟 3

第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")

こちらは、本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
4話完結 act.3

拍手[2回]


◇◆◇

 その日の夜。デーモンの屋敷を訪れたエース。出迎えた主は、非常に上機嫌だった。
「…あれから、サラはどうしたんだ?」
 自室へとやって来たエースは、自分が帰った後の様子が気になるらしい。
「あぁ、あれから少し話をしてから、ディールのところに帰ったはずだ。書類が下りれば、こっちで暮らすことになるからな。荷物の整理もあるからと言っていたな」
「そう、か」
 自分もダミアンと一緒にディールのところに行ったことは…デーモンはまだ知らない。話した方が良いかどうかを考えながら…上機嫌のデーモンを眺めていた。
「…御前は?午後から執務室にいなかっただろう?ダミアン様も留守にしていたようだが…何処に行っていたんだ…?」
 ソファーで寛ぐエースの隣に座りながら、問いかけた声。
 エースが口を割らなくても、どうやら二名で出かけていたことは知っていたようだった。
「…あぁ…ちょっと……ダミアン様の御供で、ディールのところに…」
「…何で黙って行くかな…吾輩も、一言挨拶した方が良かったんじゃないのか…?」
 デーモン自身が雇う、と言う話なのだが、デーモンの周りが先に父親たるディールに会いに行くとは。声をかけて貰えなかったことにちょっと頬を膨らましつつ…溜め息を一つ。
「しょうがないだろう?俺だって、急に呼び出されたんだから。まぁ…ダミアン様にとっては、サラのことを…と言うよりも、自分の気持ちの整理をしたかったんだろう。サラの話よりも、昔の話がメインだったからな。まぁ俺は…御前の状況を、全部話して来たけれどな…悪いな、勝手に話をして」
 一応そう詫びて、一つ息を吐き出す。
「…いや。御前が話すなら、別に構わないさ。サラにも話をしたしな。吾輩のところで働いて貰う以上、何も知らない、では無理だからな」
 そう言いながら、デーモンは苦笑する。その顔は、何処か楽しそうにも見える。
 まるで…以前の、健康上何の問題もなかった頃のようで。
 そんな姿を横目に、エースはもう一つ、溜め息を吐き出す。
「…どうした?」
 今日のエースは些か元気がない。そう思いながら問いかけた声に、エースは小さく首を傾げる。
「どうした、って聞きたいのはこっちだよ。御前こそ、何なんだ?」
「…何が?」
 エースが問いかける意味が良くわからない。デーモンもまた、首を傾げた。
「…今日で、連勤何日目だ?前は、調子が良くても三日と持たなかっただろう?そうかと思えば、俺からのエネルギーもこのところいらないと拒否するし…」
 溜め息を吐き出すエース。勿論、デーモンを心配していることは間違いない。
 寿命の宣告を受けてから…少しでもその生命を保つ為、エース自らの申し出から自分の生命エネルギーを毎日少しずつ分け与えていた。デーモン自身も、エースの生命エネルギーを分けて貰わなければ、今の自分はいない、と言い切るくらい、その役割は重要だったはず。
 だがしかし。愛娘が士官学校に入り、再び二名きりになった途端…デーモンは、エースからのエネルギーの分与を拒否し始めた。
 勿論、仲は悪くはない。喧嘩した訳でもない。ただ、不意に思い立って…と言う表現が相応しいくらい唐突に、そう言い始めたのだ。当然、スキンシップも何となく微妙になり…言い始めたその日から、エースもデーモンの屋敷に泊まってはいない。軽いキスぐらいなら許されるが、それ以上を拒まれる理由もわからない訳で。
 流石にエースも混乱気味で…このタイミングで、話を切り出したのだ。
 まぁ…今日になって、急に理由を説明するとも思えないが。
 そんな雰囲気を感じ取ったデーモン。隣に座っているはずなのに、身体を寄せることも躊躇う。
 顔つきの変わったデーモンに、エースは溜め息を一つ。そして、ソファーから立ち上がった。
「まぁ…御前が元気なら、別に良いけれどな。無理だけはするなよ」
 そう言って、外套を手に取るとドアへと足を向けた。
「また明日な。サラが来たら、連絡してくれ」
「…あぁ、御休み…」
 軽く手を上げ、部屋を出て行くエース。その背中を見送り、デーモンも溜め息を一つ。
 その真意は…まだ、口に出来なかった。

◇◆◇

 翌日の朝。ベッドから出ようと身体を起こしたデーモンであったが、どうも身体が重い。そう思った途端、目の前がぐらっと大きく揺れた。
----拙い…
 そう思った瞬間、既に身体は倒れていた。その音に気が付いた使用魔たるアイラが顔を覗かせると、倒れているデーモンを目の当たりにして慌てて助け起こす。だが…デーモンの意識はそのまま闇に落ちていた。

 遠くで、誰かの話声がする。そう思った途端、意識が引き戻された。
 目を開けると、見慣れた仲魔の姿。その隣には、アイラの姿もある。どうやら、この二名の話し声が聞こえていたようだ。
「あぁ、目が覚めた?倒れたって聞いたけど、大丈夫?」
 そう声をかけ、そっと額に触れた手。その感触が冷たく感じたのは…。
「少し熱があるね。登庁するつもりだった?」
 顔を覗き込むように問いかけると、小さな溜め息が零れた。
「あぁ…流石に今日は無理だな…休むと連絡してくれるか…?」
「アイラから連絡があった時、一応話はして来たよ。エースにも連絡入れたんだけど、外回りに出ちゃって捕まらなくてね。一応、リエラに伝えてあるからそのうち戻って来ると思うけど」
 そう言いながら、ベッドの傍の椅子へと腰を下ろす。
「では…わたくしは仕事に戻ります。ゼノン様、宜しく御願い致します」
 安堵の表情を浮かべたアイラは、頭を下げて自分の仕事へと戻って行った。
 その姿を見送った後、医師たるゼノンが口を開く。
「連勤、何日目だっけ?ちょっと無理して疲れたんじゃない?まだ…エースから生命エネルギー、貰ってないんでしょう?」
 一応、ゼノンにはエースからの生命エネルギーの分与を止めることは話していた。それが今後どう影響するか、それも全て考えての結果なのだが…こうして体調に現れてしまうと、挫折感を感じざるを得ない。
「今のところ…大きな変化はないけど、無理しないに越したことはないよ。少し、ゆっくり休むと良いよ」
 安心させるように、そう声をかける。デーモンは目を閉じ、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「…昨夜…エースが来たんだが、余り機嫌が良くなくてな…吾輩も色々考えてしまって…眠れなかったんだ…」
「…そう。まぁ、エースの気持ちもわからなくはないよ。エースは本気でデーモンを心配しているんだから。生命エネルギーを受け取らないことがどう言うことになるのか、俺にもまだわからないけど…このところ調子が良かったから、ちょっと頑張り過ぎたんじゃないかな。疲れも出るよ。だから、こんな時はゆっくり休むこと。エースだって、ちゃんと話せば御前の想いはわかってくれると思うよ」
「……あぁ…」
 反応が鈍くなって来た。どうやら、眠りに落ち始めて来たらしい。
「ここにいるから。ゆっくり眠って」
 デーモンの額にそっと手を置き、そう声をかける。そうしている内に、寝息が聞こえて来た。
 この様子なら、しっかり眠れば回復して来るだろう。そう思いながら、ゼノンはその寝顔を眺めていたのだった。

 ゼノンがデーモンのところに呼び出されてから、どれくらい経っただろうか。持ち込んだ研究資料を読んでいると、ドアがノックされた。
『ゼノン様、エース様がいらっしゃいました』
「あぁ、はい」
 顔を上げれば、窓から差し込む日差しに昼頃だろうと察した。資料をしまい、ドアを開ける。そこにはアイラと、何とも言えない表情のエースがいた。
「あぁ、アイラ…ちょっとだけデーモンの傍にいて貰っても良い?エースと…ちょっと話があるから…書斎、借りるね」
「はい、承知致しました」
 アイラにデーモンを任せ、ゼノンはエースを促して書斎へと向かう。そしてそのドアを閉めると、エースと向かい合う。
「御免ね、忙しいところ呼び出して」
「何だよ、誰にも聞かれちゃまずい話か?そんなに…悪いとか…?」
 場所を変えたことで心配そうな表情を浮かべたエースに、ゼノンは小さく笑う。
「体調云々に関しては、そんなに心配はいらないと思うよ。少し熱があるけど…昨夜、眠れなかったみたいだから。しっかり眠れば、眩暈も熱も落ち着くと思う」
「…じゃあ…」
 場所を変えた理由がわからずに少し首を傾げると、ゼノンはエースを椅子へと促す。そして自分も腰かけると、その口を開いた。
「…御前の機嫌が悪いって言ってたけど…怒ってる?デーモンが、御前から生命エネルギーの分与を拒んでいること」
 そう切り出され…エースは溜め息を一つ。
「別に、怒っちゃいない。ただ…ちょっと疲れてるだけだ。俺のエネルギーはいらないとか急に言い出した理由がわからない上に、御預け喰らってみろ。勿論、それだけが全てじゃないが…ストレスが溜まるのは当然だろう?御前が俺の立場ならどうだよ」
 エースにそう言われ、ゼノンも少し考える。
「まぁ…それはそうだよね。その辺はわかるよ」
 エースの機嫌が悪い理由はわかった。勿論、ゼノンがエースの立場で…意味も分からずにライデンに触れてくれるな、と言わんばかりの態度を取られたら…エースと同じ態度になるだろうと。
 だが、成程ね、では終わらない訳で。
「…御前、知ってるんだろう?デーモンがあぁ言い出した理由をさ。毎日様子見に来てるもんな?」
 ゼノンの表情を見ながら、問いかけたエース。
「…知ってるよ。でも、俺の口からは言えない。それは、デーモンが御前に直接話すべきであって、俺が言うことじゃないもの。勿論俺は、医者としてちゃんとデーモンの様子は見てるから、体調が危ういのであれば当然辞めさせるよ。でも今のところ安定はしているからそのまま様子を見ているんだけど…」
「御前の立場はそうだよな。まぁ、別に俺が勝手にストレス抱えてる分には構わないだろうよ。別に、デーモンに八つ当たりしてる訳じゃないんだから」
「それはそうだけど…」
 確かに、エースから何か文句を言われる訳でもなく、デーモンに八つ当たりをしている訳でもない。ただ、エースがストレスを抱えたまま、と言うのも精神衛生上どうかと思う。
「…デーモンにはね、ちゃんと御前に話すようには伝えてあるから…ゆっくり休んで、気持ちが落ち着いたら、打ち明けてくれるとは思うよ」
 今のゼノンには、そうフォローすることしか出来ない。まぁ、悪い方向ではないと思うので、デーモンに任せるしかない。
 そう思っていると、エースが再び口を開く。
「…そう言えば…デーモンから聞いたか?サラを、側近に雇ったって」
「…サラって……あの、ディール元長官の…?」
「そう。まぁ、昨日の話だけどな。流石に聞いてないか?」
「…聞いてないね……そう、側近に…って言うか、何でサラなの?わざわざ呼んだの?」
 首を傾げるゼノンに、エースは溜め息を一つ。
「枢密院のロビーで偶然会ったらしい。仕事の面接に来てたらしいぞ。で、そこがダメで落ち込んでいるところにデーモンが通りかかってスカウトした…と。俺が聞いた時には、もうダミアン様のところに書類が通ってたからな。事後報告だよ。その上、ダミアン様に呼び出されて、ディールに会いに行くのに連行された。そんな状態で御預け喰らって、癒されもせず昨日の今日でまた外回りから戻ったらここへ呼び戻されて…それで笑っていられたら、そっちの方が真面じゃないだろうが」
 溜め息を吐き出しつつ、両手で顔を覆う。相当疲れも溜まっているのだろう。
 朝からずっと働き詰め。しかも、外回りに出ていたのなら、執務室の何倍も肉体的には疲れているだろう。
 今までなら、デーモンに生命エネルギーを分け与えていたとはいえ…デーモンに触れていることでエースも少なからず癒されていたはず。それまで取り上げられてしまったのだから、気の毒としか言いようがなかった。
「何もかも事後報告じゃ、ココロが休まらねぇよ」
 溜め息と共に吐き出された本音。多分…デーモンには直接言えないのだろう。
「…今回のことで、デーモンも少し考えていると思うから…もう少しだけ…ね?御前も休める時にちゃんと休んで…」
 ゼノンには、それが精一杯。そんな、心配そうな表情を見せたゼノンに、エースは顔を上げると少しだけ表情を和らげた。
「まぁ、今日は呼び出しだからな。午後は休暇を取ったから、少しゆっくりするさ。そのうちデーモンも目覚めるだろうしな。そうしたらウチに帰っても大丈夫だろう?」
「まぁ…ね。デーモンの容体が落ち着いていれば…ね」
「さて、どう出るかね」
 苦笑しながら、エースは椅子から立ち上がる。
「話はそれだけか?」
「うん。俺もこれから局に行かないといけないしね。暫く研究室に籠ってたんだけど、まだ暫く終わりそうにないしね…」
 ゼノンもそう言いながら椅子から立ち上がる。
「御前もちゃんと休めよ。ライデンが寂しがってるぞ」
「…わかってるよ。次の休暇にはちゃんと戻るから」
 放っておけば、こちらもロクに休みを取らないゼノン。デーモンのことを抱えてから、それが更に輪をかけている。雷神界へ戻らなければ…と思いながらも、魔界から離れることが気が気ではないのだろう。
 御互いに、限界に近い状態。それは、未だに続いていた。
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筋金入りのオジコンです…(^^;
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