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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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翠烟 4

第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")

こちらは、本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
4話完結 act.4

拍手[2回]


◇◆◇

 エースとゼノンがデーモンの寝室へと戻ると、丁度デーモンが目覚めたところだった。
「アイラ、有難うね」
「いえ。何かありましたら、また声をかけてください」
 にっこりと笑って寝室を後にするアイラ。
 その姿を見送りながら、ゼノンは目が覚めたばかりのデーモンへと歩み寄る。
「気分はどう?」
「…あぁ、悪くない…」
 額に手を当てると、朝の熱も引いたようだった。
「熱は大丈夫そうだね。一応、薬置いて行くね。エースが戻って来たから、暫くここにいてくれるよ。調子が悪くなるようならまた呼んでね」
 一通り容体を見てから、ゼノンは荷物を手に、未だドアの傍にいるエースを振り返った。
「じゃあね、エース。宜しくね」
「…あぁ…」
 そう言い残して仕事へと戻って行ったゼノン。
 ゼノンがいなくなると、エースは小さく溜め息を吐き出してデーモンの傍へと歩み寄る。
「大丈夫か?」
「あぁ…悪かったな、呼び出して…」
 デーモンはそう言いながらゆっくりと身体を起こす。
「久々にちょっと…駄目だったな…」
 溜め息を吐き出すデーモンに、エースは枕元の椅子に腰を下ろし、その背中を軽く擦る。
「慣れないことするからだろう?エルが出来てから三日と続けて働いてないクセに、何日連勤したんだよ」
「…まだ五日目だか六日目だか…だ。それぐらい、昔は平気だったんだけどな…」
「昔は昔、だ。俺たちみんな、年も取ったしな。同じように動ける訳じゃない。もう直サラが来るんだろう?そうしたら、また暫くは仕事教えたりで忙しくなるんだから。だから、今は…無理をするな」
 慰めているのか、無理をしないように念を押しているのか…とにかく、デーモンに向けたその言葉に、再び溜め息が零れる。
 いつの頃からか…エースと本気で喧嘩をしなくなった。喧嘩、と言うより…エースがデーモンに対して、本気で怒らなくなった。
 生命エネルギーの分与を拒否した時も…困惑した表情で溜め息は吐かれたものの…問い質すこともなかった。
 その感情の矛先が何処に向いているのか…デーモンにも、わからない。だからこそ……。
「…なぁ、エース…」
 視線を落としたまま、言葉を零す。
「…ん?何だ?」
 そう問い返したものの…デーモンは、顔を伏せたまま。言葉が続かない。
「…デーモン?」
 顔を覗き込むように身体を寄せると、小さな溜め息。そしてデーモンは、手を伸ばしてエースの手を握った。
「…どうした?」
 改めて、問いかける。そこでやっと、デーモンが口を開いた。
「…戻りたかったんだ…昔に…」
「…デーモン…」
 思いがけない言葉に、エースはどう言葉を返して良いものか、考えあぐねていた。だが、デーモンはエースの答えを聞かず、言葉を続けた。
「…吾輩は…昔に戻りたかった。御前に迷惑をかけず…御前の生命エネルギーを貰わなくても、一名で自分の生命を繋げるように…戻りたかった…」
「………」
 はらりと、零れた涙。それは、ずっとデーモンの心の中に蟠っていた想い。
「ゼノンには…話をした。彼奴は、吾輩の想いをわかってくれて…暫く、様子を見てくれている。勿論、今日のようにまた体調を崩すようであれば、素直に御前のエネルギーを分けて貰えと言われている。ただ…吾輩は、まだもう少し頑張れる。働き過ぎにさえ気を付ければ、倒れることはない。サラも来てくれれば、仕事も全部一名で抱えなくても良くなる。だから…」
「…わかったから…ちょっと落ち着け」
 エースも溜め息を一つ吐き出すと、もう片方の手でデーモンの頬を拭い、重ねられたその手を握り返す。そしてそっと手を離すと、椅子から立ち上がって御茶を淹れに行く。
「御前の言い分はわかった。だが…どうして、昔に戻りたいと…?そこまで頑張る必要性は?」
 問いかけながらカップに入れた御茶をデーモンの手に握らせ、再び椅子に座る。
 デーモンは貰った御茶を一口飲むと、改めて口を開いた。
「吾輩は…御前と、同等に戻りたい。御前に頼って生きていくのが嫌な訳ではない。だが…御前は吾輩の生命を護ろうと、無理をしているだろう…?吾輩がこうなってから、ずっとそうだ。エルがいる時は、しょうがない。あの子を育ててやらなければならなかったし、吾輩もまだ体力が戻らなかった。でも今は…吾輩は少しだけだが、体力も戻って来たし、サラが来てくれれば、仕事もどうにか回せそうだ。まぁ、サラに会ったのは偶然だったが…まるで吾輩を助けてくれるかのように現れたように思えてな…強引だったが、側近にスカウトしたんだ」
「…成程な。通りで…バタバタと決まった訳だ」
 側近の話が事後報告だったことは、エースも納得出来た。
 だが…エースはエースで、引っかかることもある。
「…だが、どうして…俺と同等に戻りたいと?御前は俺を心配するが、別に体調も崩していないし、休みだって取れているんだ。生命エネルギーを分け与えることは、俺が言い出したことだから…御前は腑に落ちないのかも知れないが…」
「生命エネルギーを分けて貰っていたことは、本当に感謝しているんだ。御前はそれを恩に着せる訳でもないし、御前が言い出したことだとは言え、吾輩も御前と一緒に生きる為に選んだ手段だ。でもな、エルの士官学校の準備が始まってから…色々、考えた。御前…吾輩に、本気で怒らなくなっただろう?吾輩が勝手をしても、窘めるだけだ。吾輩が御前に愚痴を零しても、文句を返さないだろう?御前はそれに慣れてしまったのかも知れないが…吾輩は、それが嫌なんだ。御前と同等の立場ではない。吾輩はあくまでも病魔で…御前は看護者。患者の我儘は文句を言わずに受け止めてやろう。御前はそう思っていないかも知れないが…吾輩には、そう思えてならない。勿論吾輩が患者であることはそうなんだが…考えれば考える程、自分が情けなく思えて…」
「…ばぁか。考え過ぎだ」
 思わず苦笑したエース。
「まぁな、確かに俺も過保護になり過ぎていたんだろうとは思う。だが、あくまでも御前の生命を護る為であって…御前の愚痴を患者の我儘だと思ったことはないし、愚痴を零せるだけの気力があることに安心していたんだ。このところ疲れが溜まっていたから、機嫌が良くなかったのかも知れないが…御前が思うようなことはないから」
「だが…前はそんなに疲れたなんて言わなかっただろう…?エルが小さい頃の方が、もっと激務だったじゃないか」
 尚も食い下がらないデーモンに、エースは少し考え…溜め息を吐き出す。
「あのなぁ…じゃあ、はっきり言うけれども…御前が、俺の生命エネルギーをいらないと言い出してから、ロクに御前に触ってないんだよ。拒否されていることを強引にしようとは思わないが、エネルギーの分与だけじゃなくて…俺が癒される、って言う意味もあるんだぞ?御前は仕事で疲れて良く眠れていたかも知れないけれど、俺は何だかモヤモヤしてな…安眠も出来やしない…」
 それは、エースが久々に本気で零した愚痴。当然…予想外の所から責められ、きょとんとした表情を浮かべたデーモン。
「…えっと…それは…だな…」
 少し赤くなりながら、言葉を零すが…ふと、もう一つの"想い"が、胸を過ぎる。
「…良く…考えてみろ。状況からして…吾輩は御前よりも先に死ぬ。と言うことは、吾輩は…きっと御前よりもずっと早く年を取るのだと思う。見た目も含めて、な。吾輩が年を取って…じぃさんのようになっても、多分御前の見た目は今と殆ど変わらないだろう。どう見ても不釣り合いだ。そんな吾輩を…御前はいつか、幻滅するんじゃないかと…吾輩は、いつまでも御前に見合う姿ではない。吾輩は…御前が好きだから…だから…嫌われる前に、留めて置こうかと…」
 上手く気持ちを伝えられないが…と言わんばかりの表情のデーモンに、エースは再び溜め息。
「誰が嫌うかよ。今更何言ってんだ。共に生きると…約束したんだ。幻滅なんかするはずないだろう?どんな姿になろうが、俺が御前を嫌うことは絶対ない。断言してやるよ」
「…エース…」
 そこまで言って、エースは少しデーモンへと顔を寄せる。そしてその耳の傍で、言葉を零す。
「…御前もわかるとは思うけどな…興味のない相手を何度も抱ける訳ないだろう?俺はそこまで節操なしじゃない。知ってるだろう…?」
「……っ」
 途端に真っ赤になる。久し振りに耳元でそんなことを言われたら…それは当然の反応だろうが…そんなデーモンの反応にちょっと気を良くしたエースは、その頬に軽く口付ける。
「ちょっ…」
 慌てるデーモンの姿に小さな笑いを零しつつ、その耳元で再び言葉を零す。
「…頼むから…俺を、拒まないでくれ。生命エネルギーがいらないなら、それは受け入れる。だが…それが伴わなければ、構わないんだろう…?」
「エー……」
 軽く触れられた唇に、名前を呼ぶ声が遮られる。ゾクッと背筋に甘い感覚が走る。
 エースのエネルギーの分与を拒否し始めてから、まだそんなには経っていない。だが、最後にこんな感覚を覚えたのは…いつだったか。
「…デーモン?」
 軽く口付けただけだが、うっとりとした表情を浮かべたデーモン。エースにしても、久し振りにそんな顔を見た気がした。
「…一応病み上がりだから…今日はやめておく。ゆっくり休むんだぞ」
 一応理性で感情を抑え込んだエースは、そう言ってデーモンの頭をポンポンと軽く叩く。
「俺も疲れが溜まってるから…屋敷に帰って休むから。折角の半休だからな」
 そう言って、大きく伸びをすると、欠伸を一つ零す。そんな姿を、未だ赤い顔のまま見つめていたデーモン。
 日を改めたとして…その時、果たしてもう一度受け入れようと言う気持ちが素直に出せるかどうか。
 そんなことを考えていると、エースが椅子から立ち上がった。
「じゃあ、また明日な」
 小さく笑ってそう言い、踵を返そうとしたその途端。デーモンが慌ててエースの軍服の上着の裾を掴んだ。
「…デーモン…?」
「……えっと…」
 慌てて掴んだものの、その後の言葉を考えていなかった。だが、エースはくすっと笑いを零した。
「俺が帰ったら寂しいって?」
 問いかけられ…一瞬、考える。
「…はっきり言えよ」
 追い打ちをかける言葉に、無意識に零れた言葉。
「…仕事に戻らなくても良いのなら……ここに…いてくれ…」
 すっと、細められた琥珀の眼差し。それは…ほんのりと嬉しそうで。
「…ここ、って…御前の傍?良いのか…?」
「………」
 返って来たのは、小さな頷き。それだけで、十分。
「…じゃあ…御言葉に甘えて」
 そう言うと、エースはベッドの端に腰を下ろす。そして腕を伸ばし、デーモンの身体を抱き締める。
「……良かった。嫌われてなくて」
 くすっと笑いながら零した言葉に、デーモンも小さく笑いを零す。
「…吾輩も…良かった。嫌われていなくて…」
 御互いの言葉に、改めて二名して笑いを零す。そしてその笑いが収まると、どちらからともなく頬を寄せ、唇を重ねる。
 生命を繋ぐ手段ではなく、ただ、愛おしい相手へ求める想い。
 久し振りのその感覚は、御互いに固くなりつつあった心を緩めてくれた。

◇◆◇

 数日後。
 デーモンの体調もすっかり回復し、執務室には主たるデーモンを始め、エース、ゼノン、久し振りに顔を合わせたルーク。そして、大魔王たるダミアンの姿もあった。
 そしてその執務室を訪れて来たのは…新たにそこで働くことになった、サラ。
 当然、その錚々たる面々に出迎えられ…呆気に取られている。
「…あの……本日より、御世話になります…宜しく御願い致します…」
 頭を下げるサラに、雇用主たるデーモンが歩み寄る。
「あぁ、宜しく頼むな。悪かったな、こんな大勢で出迎えてしまって。みんな、どうしてもと言って聞かなくて…」
 苦笑しながらそう言葉を放つデーモンに、久し振りに合流したルークが口を開く。
「当たり前じゃないのさ。デーさん一名で独占しようったって、そうは行かないからね」
 ルークはサラへと視線を向けると、にっこりと笑って見せる。
「久し振り。覚えてる?」
 問いかけられ、サラは小さく頷く。
「はい。ルーク様、ですよね。軍事局の総参謀長様の…」
「そ。今は皇太子殿下の教育係も兼ねてるから、なかなかここにも来られないけど、副大魔王付きの参謀も現役だから。宜しくね」
「…何、ちゃっかり顔売ろうとしてんだよ」
 にっこりと笑うルークに苦笑するエース。すると、その視線がすっとエースへと向けられた。
「良いじゃん、別に。俺、デーさんの参謀だもん。ここに来ることも多いし?」
「シリウス様の入局まで、教育係で忙しいんだろう?無理するな?」
 くすくすと笑いながらそう言ったエースに、ルークはちょっと顔をしかめる。
「サラ、聞いた?彼奴ね、デーさんのこと以外はあんなもんよ?胡麻化されないように気を付けなね?」
「当たり前じゃないか。デーモンは特別だから。あと、サラのことも御前よりは大事にするぞ?」
 笑いながらそう言ったエース。その表情は、つい先日とは打って変わり、とても穏やかで。
「自分が話に参加出来なかったからって拗ねるなよ」
「…拗ねてないし…」
 更にエースに突っ込まれ、拗ねてないと言いながら少し拗ねたように頬を膨らませる。そんな姿は…以前も見たような気がする。
「宜しく御願い致します、ルーク様」
 くすっと笑いながら、サラは頭を下げる。
「優しいなぁ、サラは~」
「良かったな。慈悲が貰えて」
「もぉ、エースったら!」
 そんなエースとルークのいつものやり取りを宥めつつ、ゼノンがサラへと声をかける。
「ねぇ、サラ。デーモンの体調のことは…聞いているよね?」
「…はい。伺っております…」
 内容が内容だけに少し緊張した面持ちで返事をすると、ゼノンはくすっと笑いを零す。
「今は落ち着ているから、そこまで心配しなくて良いよ。でも何かあったら、直ぐに俺のところに連絡を入れてね。体調云々に関しては、やり取りが多くなると思うけど…宜しくね」
「はい。宜しく御願い致します」
 ゼノンが差し出した手を握り、握手をする。
「…さぁ、挨拶はそれくらいで良いかな?まぁ、みんな初対面ではないし、これから時間は沢山あるから。ゆっくりやって行こう。なぁ、デーモン?」
 ダミアンがそう言って、取り敢えずその場を収める。その言葉に、デーモンもにっこりと笑う。
「そうですね。じゃあ…本日のメインで」
「…メイン…ですか…?」
 まるで歓迎式のような状態がメインだと思っていたサラは、当然きょとんとした表情を浮かべる。その顔を前に、先ほどまでやいのやいのとじゃれ合って(?)いたエースとルークが、揃って執務机の背後にある窓へと歩み寄る。そして両側からその窓を大きく開けた。
「おいで、サラ。今日のメインは、花見、だ」
 エースに呼ばれ、サラは窓へと歩み寄る。そしてそこに…淡い、ピンク色を見て、息を飲んだ。
「……素敵…」
 満開に咲き乱れ…風に舞う花弁。それが、とても綺麗で。執務室の向こうに、そんな景色があるとは思いも寄らなかった。
「この執務室の特権、だ。まぁ、季節限定だがな」
 デーモンも窓辺へと歩み寄り、自然とエースの隣へと身を置く。そして、目を細めてエースを見上げる。エースも柔らかく微笑む。
「はいはい。執務中にイチャつかない」
 溜め息を吐き出すルーク。
「何なら…参加するかい?」
 笑いながらそう言ったダミアンに、ルークの表情が一瞬変わる。そして赤くなった顔を伏せる。
「…執務中ですよっ」
 そんなやり取りを前に…サラは、まさかこの二名も…と思わずにはいられなかった。
「…一応…内緒にしてやってね。公表出来ないから」
 サラの背後から、そう囁きが届く。振り返ってみれば、ゼノンが苦笑している。サラの表情…と言うよりは、あからさまな態度を見せる彼らは、常にこんな感じなのだろう…とサラの方が察した。
「…はい」
 くすっと笑うサラ。
 実に楽しそうに。それは、この執務室の全員に言えること。
 穏やかな時間は束の間なのかも知れないが…そのささやかな時間を、目一杯堪能するかのように。
 そこに加わったサラ。
 そして、また新たな道がそこに見え始めた。

 満開の、桜の花と共に。
 新たな時間が、動き始めた。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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