聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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LEAVES 1
第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")
こちらは、本日UPの新作です。第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
5話完結 act.1
空は、透き通るような綺麗な青い色。
柔らかな日差しは暖かく、木々の緑も柔らかい。
その陽気は、暗く沈んでいた心の中も明るくしてくれるようだった。
「…はぁ…」
ぼんやりと空を見上げながら、思わず零した溜め息。その溜め息を聞いている者は、誰もいなかった。
「あれ?ルークは?」
そこにいるはずだった仲魔の姿が見えず、そう問いかけた声。それに答えたのは、副官だった。
「参謀長なら、先ほど散歩に行くと出られましたが…御会いになりませんでしたか?」
「…散歩?」
「えぇ。天気も良いから、気晴らしに、とおっしゃっていましたが」
「…あぁ、そう…」
わざわざ散歩と言い残して行くだなんて、ルークにしては珍しいことだ。まぁ尤も、用事がなくても仲魔の執務室を訪ねて回っていることを考えれば、年中散歩しているような気もするのだが。
副官に礼を言い、踵を返す。
さて、ルークは何処を散歩しているのやら。それを見つけるのは、至難の業である。
まぁ、急ぐ用事でもないし。
彼は、再び出直そうと思い、大人しく自分の執務室へと帰って行った。
その帰り道。ふと思い立ってある場所へと向かう。
枢密院の裏を通る道。そこに立つ一本の古い木がある。古いとは言え手入れは行き届いている為、生命力はまだ衰えてはいない。
ピンク色の花弁は、もう散り落ちてしまった。だが、しっかりとした緑の葉が木の枝を覆っている。それは、懐かしさと共に、"生命"の息吹を感じさせた。
「…来年も…頼むな」
木の下に立ち、葉の緑を見上げる。眠りから目覚め、しっかりと生きている証。彼らにはそれだけで十分価値のあるものだった。
夢を、見た。
淡い花弁が綻ぶ。柔らかい芳香。
誰もが目を細め、微笑を浮かべている。
手を差し伸べ、その花弁を掴もうとする。けれどそれは、指先を掠め、足元へと落ちて行く。
幾ら手を伸ばしても、花弁は捕らえられない。
それは…何を、暗示しているのだろう?
『…何で…親父だったの?』
『……え?』
咄嗟に答えられず、思わず息を飲んだ。
自分を見つめた、青い瞳。恋悪魔と同じ色の瞳を前に、どう答えて良いのかわからなかった。
けれど、それ以上問われることもない。
すっと伏せられた瞳。
『まぁ…良いや』
そう言われ、その話はそこで終わった。
だがしかし。
何故、それを聞かれたのだろう…?
まるで意味がわからなかった。けれど、その言葉は、耳の奥に残っていた。
その日、ルークは珍しく文化局のゼノンの執務室を訪ねていた。
「特に用事もないのに来るなんて、珍しいね。どうしたの?」
小さく笑いを零し、コーヒーのカップを両手に戻って来るゼノン。そしてその一つを、ソファーに座るルークに手渡す。
「ん~…ちょっとね」
ちょっぴり曖昧な返事。
「何かあったの?」
ソファーに凭れかかり、カップに口をつけるルークの姿に、ゼノンは小さく首を傾げ、そう問いかける。
「………」
暫しの、沈黙。その沈黙は、嫌に意味深で。
敢えて、ゼノンもそれ以上問いかけなかった。
コーヒーのカップを片手に、自分の椅子に腰を降ろす。そして、机の上に溜まっている書類に目を落とす。
「…そう言えばさぁ…最近御前が捕まらないって、エースが言ってたよ。何処をほっつき歩いてるの?」
「ん~…」
そんな問いかけにも、ルークの返事は心許ない。視線も、天井を見上げたままだ。
「…ルーク?」
「………ん?」
会話が全く成立しない。これは…何かある。
そう察したゼノンは、小さな溜め息を吐き出す。
また、面倒なことにならなければ良いけれど…。
そう思いながら、諦めたように首を横に振る。
否。巻き込まれないはずはない。現にこうして…ルークはここにいるのだから。
「…言いたいことがあるなら、はっきり言ったら…?何か相談があるから来たんじゃないの…?」
巻き込まれることに覚悟を決め、そう口を開く。その言葉はルークの耳に届いたようで、天井に向いていた視線がふとゼノンへと注がれた。
深い、黒曜石の瞳。その瞳に、一瞬迷いが見えた。
けれど直ぐにその視線を伏せ、小さな溜め息を吐き出した。
「…えっとねぇ…」
割とすんなりと話す気になったようだ。期を逃すまいと、ゼノンはすっとルークの正面のソファーへと移動する。
「…シリウス様がね、士官学校に一時入学したんだ」
「…うん、それは俺も聞いたよ」
それは、先日聞いたばかりの報告。表向きは、入閣前に経験を積む為。本当は…ただの興味本位。それは何となく察してはいる。
「…でね、戻って来たら入閣することも決まっているから…ちょっと早いけど、やっと俺も教育係から御役御免、って訳」
「そうだね。御苦労様だったね」
「それだけ」
「……は?」
「ん、だから、話は以上」
「………」
確かに。同じ皇太子とは言え、父たるダミアンは教育係に反抗することもなく、静かにその実力を研いて行った。だが、その息子たるシリウスはと言えば、多くの教育係をクビにした挙句、漸く認められたルークとて、元を糺せば戦いを挑んで負けたから渋々従ったまでのこと。実力はあるものの、そんな我儘とも言える程の皇太子の教育係は、一筋縄ではいかない。当然、容易ではなかっただろう。
そして、最後の最後に興味本位で士官学校に一時入学を企てたのだから…まさに、気苦労が絶えなかっただろうとは思う。だが…この気の抜けようは何だろう?
ぼんやりと、手に持ったコーヒーのカップを眺めているルーク。今までのルークには見られない程の、脱力感。
「…大丈夫?調子悪い?」
ゼノンも、思わず、そう問いかけずにはいられなかった。
すると。
「…俺さぁ…多分、侮ってたんだろうな…」
「…はい?」
不意に口を開いたルークの言葉。
「流石、ダミ様の子供、だよな。それを忘れてたよ。十分気をつけていたし、一緒にいるところを見せたのも、教育係に決まった時の一度だけのはずだから…絶対見透かされているはずはない、って…何処かで過信してたんだろうな…」
「…ルーク?」
何だろう。この、不安を掻き立てる言葉は。
そんなことを思いながら、ルークを見つめるゼノンの眼差し。
「…多分…バレてると思う。俺とダミ様のこと」
「…ちょっ…それって、ホントなの…っ?!」
思わず声を上げたゼノンに、ルークは小さく溜め息を零した。
「士官学校の門の前でさ…言われたよ。『何で…親父だったの?』ってさ」
「………」
「勿論、答えは返せなかった。にっこり笑って、「何のことですか?」って誤魔化せば良かったのかも知れないけど…多分、そんな誤魔化しは通用しない。きっと…シリウス様は、ずっと知ってたんだよな。知ってて…最後の最後まで、何も言わなかったんだ。それが…何でだろう、ってさ」
「…ルーク…」
その心情を察するに…尋常ではなかっただろう。
そしてシリウスも…ずっと…何を、考えていたのだろう。
自分の父親の愛悪魔。その悪魔が、教育係だなんて。
「…シリウス様は…その後何か言ったの?」
「いや。まぁ、良いや、って…その話はそれでおしまい。後は…笑って見送れ、って怒られたけどね。でも…何でだろう?それを聞くなら、咎められるのかと思ったりもしたけど、そうでもないみたいなんだよね…士官学校にいる間に、気にならないのかな…?」
「何で、って……」
根本的に…何かが違う…。
「…あのさぁ、ルーク…ルークは、何を心配してるの…?」
思わずそう問いかけたゼノン。だが、その声に顔を向けたルークは、きょとんとした表情をしていた。
「…心配?別に、俺、心配なんかしてないけど…?」
「…はい?」
「ただ、シリウス様の胸の内って言うの?考えてることがわからないんだよね~。問いかけて答えを聞かない、ってさ…究極のサディストだと思わない?答えを知らなくて良いのか、って…こっちが気になるじゃん?その先を問いかけられないのはこっちも同じなんだから、こっちの気持ちばっかり弄んでさ、ホント、サディスティックでしかないじゃん。まぁ、何を考えているのかわからないのは、最初からだったけど…」
どうやら、ルークの頭の中には、自分の身に降りかかる災難などとは思っていないようだった。それよりも、シリウスの思考に興味があるらしい。
「…あのさぁ、ルーク…自分のことは心配じゃないの?シリウス様に知られてるんだよ?シリウス様がその気になれば、ルークの首なんて簡単に切れるんだよ?永久に、王都に戻って来れないようにすることだって簡単なんだよ…?」
ゼノンは、呆れたように溜め息を吐き出した。
「あぁ、多分そんなことはないよ。シリウス様はそんなことをするようなタイプじゃないし。それに何より…俺のことに、興味はないと思うよ。俺の答えも、聞いたところで何をする訳でもなかったと思う。だから、答えを聞かずに行ったんじゃないかな…」
腕を組み、唸るようにぶつぶつとつぶやいているルーク。まるで、自問自答しているようで。
「…俺は、御前が何を考えているのかわからないよ…」
幾度目かの溜め息を吐き出しながら、ゼノンは首を横に振る。
「ダミアン様にはそのこと言ったの?」
「いや。余計な心配かけない方が良いかな、と思って…」
「まぁ…それはそうだけど……でも、何れシリウス様の口から伝わるかも知れないよ?」
「その時はその時。俺は、覚悟を決めてこの立場にいるんだもの。今更、どうなったって後悔はしないよ。ただ……」
「…ただ?」
ふと、ルークが口篭った。その表情に、再び迷いの色が見えた。
大きな溜め息が一つ。多分…それが、ルークの足をここへ向けた理由だろう。
「…どうしたの?」
問いかけたゼノンの声。その問いかけから暫しの沈黙の後…ルークは、意を決したように口を開いた。
「…イエスかノーの答えだけで良い。何度も聞いてわかってるけど…一応、念の為にもう一回聞くけど……何らかの手段を取れば…"俺"は、子供が産める?」
「………はい?」
一瞬、耳を疑った。けれど、ゼノンに向けられている眼差しは、冗談を言っているようには見えない。
小さな溜め息を吐き出したゼノン。本当は理由を問い質したいところだが…多分、聞いてもはぐらかされるだろう。
「…手段って言われても…根本的に無理、だよ。元を辿ればルシフェル様だって天界人だった訳だし、母上様だって天界人でしょう?悪魔の姿を持っていても、天界人の血の方が魔族の血よりも圧倒的に濃い訳だからね。今魔族だろうと…元から子を身籠る能力は備わっていない。何らかの手段を取ったとしても…それはあくまでも自然の摂理に歯向かうことだよ。謀反と見做されても文句は言えない。御前の種で子供を作ることは可能だけれど、御前が産むとなると話は別だからね。そう考えると、残念だけど…現実として、御前に…子供は産めない」
はっきりとそう口にする。その言葉に、ルークは小さく吐息を吐き出し、小さな笑いを零した。
「まぁ…ね。何回も聞いてることだし、今更現実が変わる訳はないしね。駄目元で聞いてみただけ。十分わかってるよ。そんな手段なんか別に心当たりも何もないし」
くすくすと笑いながら、ソファーに背を預けるルーク。その表情に憂いが見えないのが幸いだった。
「…どうして、また急にそんなこと…?」
答えが返って来るかどうかはわからなかったが、聞かずにはいられなかった。
だが、ゼノンの思いとは裏腹に、ルークは笑いながら口を開いた。
「前からもう一度確認してみたかったんだよね。俺以外はみんな子持ちじゃない?前はそんなこと思わなかったけどさ、最近ちょっとだけ羨ましいな~って思うんだよね。俺も、子供欲しかったな~って。俺の種で子供を持つことが出来ることはわかってたけど、自分で産まなきゃ意味がない気がするし…まぁ、産んだところで、認知なんかされるはずはないけどね。結局、素性は誰にも言えないまま育てなきゃいけない訳じゃない?俺もそうやって育った訳だから、それはそれで可哀想だしね」
「…ルーク…」
笑って答えてはいるものの……その胸の内を察するに、複雑な思いだったに違いない。
自分だけ、仲魔と違う。それは…辛いことだっただろう。例えそれが、自分で選んだ道だったとしても。
「…俺が子供の頃…俺に勉強や剣術を教えてくれたのは、ミカエルとラファエル。それからラファエルの側近のレイだった。俺が、一名でも生きて行けるよう、最低限でも自分自身で生命を護る術を叩き込んでくれた。あの時は、何の為に…って恨んだこともあったけど…今にして思えば、ホントに感謝だよね。その御陰で俺は魔界でも大きな苦労もなく仕事をしていけたんだもん。幾ら彼らが黙認したとは言え…素性を明かせない子供を、王都から遠く離れた人里離れた場所で…母様はいたけど、その手助けとして三人交代でやって来て、相手をして、育てるのは大変だったと思うよ。一端に我儘も言ったし、反抗もした。文句も散々言った。それでも、めげずに通い続けてくれた。その御陰で今の俺があるんだもんね。俺も教育係と言う同じ立場になって…自分の仕事と掛け持ちしながらの職務を経験して、改めてそう思った…」
記憶を辿るように、そう言葉を紡ぐルーク。
天界にいた頃の話は、ゼノンは殆ど聞いたことがない。良い思い出ではなかったことがその一端なのだろうが…それを口にしたと言うことは、何か思うところがあったのだろう。
どう言葉を返そうかとゼノンは悩んでいたのだが…ルークはゼノンからの答えを必要とはしていなかったのだろう。平然と言葉を続けた。
「シリウス様の教育係をやってみてさ、子育てのほんの端っこにしか当たらないかも知れないけど、少し感じたんだよね。"生命を育ててるんだ"って言うこと。高だか教育係だけど…ダミ様の様子を見てるとね、ホント、教育係だった父様を今でも崇拝してるんだよね。自分を育ててくれた、最愛の悪魔。例え親子だとしても、どう頑張ったって俺はその壁は越えられない。勿論、俺がシリウス様にとってそんな立場にいるとは思ってないよ。シリウス様には…他に、崇拝している悪魔がいる。俺はその立場に立とうとも立てるとも思わない。でも…何かしらの影響はあるんじゃないかと思う。だって、俺が一番長い間、シリウス様と一緒にいたんだ。礼儀だって、言葉遣いだって、一から教え直した。まぁ…面倒くさい教育係だった、と思ってるだろうけどね。でもそれだけ記憶に残っているはずでしょ?このところ…俺がちっとも笑えないことも、ちゃんと見抜いてた。だから、笑って見送れ、って怒られたんだ。ちゃんと…俺を、見てたんだよね。それってさ、まるで反抗期に一緒に戦った親みたいじゃない?」
「…その辺は、わからなくはないよ。ゼゼは早くに離れてしまったから、反抗期らしい反抗期は見られないけど…ララは今そこそこ反抗期だしね。一緒にいるライデンは大変だろうなといつも思ってるから。あのシリウス様だもの。確かに…そうだよね」
雷神界にいる自分の子供を思い出し、ゼノンも思わずそう言葉を零す。
反抗期の子供の親たる苦労。確かに、シリウスの教育係はまさにそのような感じだった。
そんな苦労をしたからこそ…ルークの方もまた、感慨深かったのだろう。そしてそれ以上に…吐き出された言葉の大きさに、驚いているのかも知れない。
じっと観察されていた。全て知られていた。その事実に。
「今更…子供を産みたいと思ってる訳じゃないんだ。産んだところで、育てるのは大変なのもわかってるから。だから、そんな顔しないで。ちゃんと一人前に育てたんだもん。もう結構満足よ?まぁ、士官学校から戻って来たら、入局後は御目付け役として、もう少し大変だろうけどね」
表情を曇らせるゼノンに、ルークはにっこりと笑ってみせる。
それは、当然のこと。そう、言わんばかりに。
ルークが執務室を出て行った後、ゼノンは大きく溜め息を吐き出した。
今まで聞かれたことがなかったとは言え…ルークが全く気にしていないと思っていた訳ではない。ただ、問いかけられたことがなかったから…何処までの想いなのだろうと、探り切れなかったのはゼノンの反省すべきところだった。
彼が、天界人として生まれたから。子を孕むことが出来ないから…だからこそ、最愛の恋悪魔と正式に伴侶となることが出来なかった。妾として、目立たないように傍にいることしか出来ない。そして…最愛の恋悪魔の子供とは言え、自分とは全く血の繋がりのない子供の教育係として育てていくことになった現実は、どれだけの決意が必要だったか。
幾ら溜め息を吐き出しても、その心は晴れるはずはない。
本魔の与り知らぬところで、一名重い悩みを抱えるところだったが…それを見越したかのように、情報局の長官たるエースから、連絡が入った。
「…はい」
通信画面を繋ぐと、そこには見慣れた姿。
『…どうした?そんな顔して…』
用事があったのはどちらだったか…と、ゼノンは思わず溜め息を一つ。
「用があるのはそっちじゃないの?」
『あぁ…俺は別に急ぐ訳でもないし、大した用事じゃない。それよりも御前の方がどうにかした方が良いみたいだが…?』
エースのその言葉に、ゼノンは項垂れるかのように視線と顔を伏せた。
「…ダミアン様とルークのこと…シリウス様が知ってるみたいだ、って…」
『…はぁ!?』
当然、エースは驚きの表情で声を上げた。
『知ってるみたいだ、って…どう言うことだよ!?』
「俺に聞かれても、状況は良くわからないよ。ただ、シリウス様が士官学校に一時入学したって言う話を聞いて…その時に、一緒に零して行ったんだ。ただ、ルークの様子が奇妙なんだよね…知られていたからと言って慌てる訳でもないし…今更だけど、子供を産めるか、なんて再確認されてさ…子供に関しては、前からルークには子を孕むことは出来ないって言うことは話していたから、それをまた繰り返すことになっただけだけれど…士官学校から戻ったら入局することも決まって、反抗期の子供がやっと落ち着いたって言う感じで、漸く教育係から解放されるって言う解放感と言うか…喪失感と言うか…妙にぼんやりしちゃって…」
そう零すゼノンの表情は、まさに困惑。眉間の皺を指先で伸ばしながら、溜め息を吐き出すその姿に…エースも奇妙な顔をしていた。
『まぁ…シリウス様が何を考えているのかわからないのは、昔からそうだが…それでも、彼奴に一番懐いているんだろう?確かにずっと反抗期みたいな感じだったが、それを乗り越えて来たんだから』
「そうね。だから、子供のことは確認だけで、シリウス様を一人前に育てたから結構満足した、って。まぁ、それで良いなら良いんだけど…ダミアン様とのことをどうするつもりなのか、それがわからないからね…言ってしまえば、事実を知ってて黙っていた俺たちみんな共犯だもの。別に、保身を気にしている訳じゃないけど、シリウス様がその気になれば、俺たちを一掃することだって出来なくはないでしょ?」
『一掃出来るだろうが…多分、あの方はそんなことはしないと思うぞ。今一掃したところで、今と同等以上の勢力を求めることは難しいだろう?まぁ、かなり手前味噌だがな。と言うか…シリウス様は、そんなことには興味がないと思うぞ』
「…ルークも、自分のことには興味はないと思う、って言ってたけど…俺は良く知らないけど、シリウス様はそんなに周囲に無関心なの?ゼゼの話を聞く分には、多少反抗的だけど、ゼゼとそんなに変わらないように思ってたんだけど…」
ルークにしてもエースにしても、シリウスの周囲への関心の薄さを口にする。魔界に在籍しているとは言え、雷神界の皇太子の父親でもあるゼノンからしてみれば、皇太子がそれで大丈夫なのか…と心配になる気持ちもわからなくもない。
だがしかし。エースの見解は、それだけではなかった。
『まぁ、心配する気持ちはわかるが…それに関しては、ただ俺たちに対する興味が薄いだけで、魔界の未来ことはそれなりに考えているはずだ。曲がりなりにも、皇太子だぞ?俺としては、冷静に周りを見ていると思っているんだ。あぁ見えて…状況を良く把握していると思う。だからこそ…ダミアン様とルークのことも、わかっていたんじゃないのか…?あの二名のことだ、目立つところでイチャイチャするはずもないしな』
「そう…だね。ルークも、一緒にいるところは見せたことはなかったのに、って言ってたからね。それに、このところずっと笑えなかったことも見抜かれてた、って言ってたよ。笑って見送れ、って怒られた、って。それだけ見ていたことは確かだよね。まぁ…少し様子を見るしかないのかな…ルーク自身は、危機感も持ってないみたいだし…」
溜め息を吐き出すゼノンに、エースは小さく笑った。
『そ。御前が悩んでもしょうがないことだ。まぁ、暫く傍観してろ』
「もぉ…他悪魔事だと思って…」
『半分は他悪魔事さ。残りの半分は…まぁ、俺もシリウス様の今後にはちょっと興味はあるんだけどな』
「そう言えば…ルークは、シリウス様には崇拝している悪魔がいる、って言ってたけど…知ってる?」
ふと問いかけた声に、画面の向こうのエースは小さく首を傾げた。
『いや…俺は聞いたことないが?ルークは知っているんだろう?だったらルークに聞けば良いじゃないか?』
「聞きそびれたんだよ…改めて聞くのも何か違う気がするし…ゼゼなら知ってるかも知れないけど、そこまで探るのもね…」
多分…今ここで知らなくても、何ら問題はない。それが、自分たちの脅威になるとも思えない。なので、気にしなければ済む話なのだ。
「…まぁ、それはそのうちルークに聞いておくよ。で?エースの用件は?」
話を元に戻したゼノン。するとエースは一瞬の間のあと、首を傾げた。
『…あぁ……何だったっけ?ルークの話が衝撃的で忘れた…』
「…は?大丈夫?」
思いがけないエースの言葉に、ゼノンも面食らったようだ。
『まぁ、たいした用事じゃなかったことは確かだ。必要なことだったら思い出すからその時また連絡するから』
思い出すことは、既に放棄したようだ。
『じゃあな』
そう言って通信を切ったエース。まるでゼノンの愚痴を聞く為だけに連絡を入れて来たかのようなその行動。直感の為せる業なのか、何なのか…流石のゼノンの頭も回らない。
幾度目かの溜め息。悩みは、まだまだ尽きない。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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