聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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LEAVES 3
第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")
こちらは、本日UPの新作です。第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
5話完結 act.3
ルークがダミアンの執務室へとやって来ると、そこにはデーモンの姿もあった。
「あぁ、ルーク。久し振りだな。エースとゼノンが心配してたぞ?」
少し心配そうにそう零したデーモン。だが、例の勅書の話はない。
「あぁ…うん。大丈夫。エースには…さっき、会ったから」
小さな溜め息を吐き出しつつ、ルークはダミアンの前へとやって来た。
「どうした?」
何処か思い詰めたような表情に気付いたのはダミアン。問いかけた声に…ルークは、デーモンへと視線を向けた。
「エースから聞きました。デーさん…いや、デーモン閣下に宛てて、奥方様から御目付け役要請の勅書が届いたと。それについて…話を聞きに来ました」
真っ直ぐな…何処か攻撃的な色を見せたその眼差しに、デーモンは小さな溜め息を零すと、ダミアンへと視線を向けた。
「…その件は…断りを入れた。吾輩は、ダミアン様の意に従う。御目付け役は最初から御前だ。御前には…既にダミアン様が伝えてくれていると思っていたんだが…」
困ったようなその眼差しを受け、ダミアンは溜め息を一つ。
「連絡を入れたが捕まらなかった。まぁ、タイミングが悪かったんだ。エースから聞いたのなら…そう言うことだ」
その返答に、ダミアンは触れられたくはない話題だったのだろう。それは察した。だが、だからと言って…そのままにしておくのは、どうしてもルークの気持ちが収まらない。
「…閣下を咎めるつもりはありません。今の状況を考えても、その話は受けないであろうことはわかりますから。でも、そんなつもりがなかったとはいえ…どうして奥方様は、閣下を指名したんですか?それも…陛下を通さず、個悪魔的に。そんな通りが通るとでも?」
いつものように名前を呼ばない。それだけで、明らかに機嫌が悪いことがわかる、棘のある言葉。
「…それは、わたしにもわからないよ。だから、直接話をしに行った。勿論、御目付け役は教育係が続けて担うと話はしたが、どうして閣下ではダメなのかと…向こうも聞く耳を持たない。どうしてデーモンに拘るのかは私にもわからないんだよ」
溜め息を吐き出すダミアンに、デーモンもまた、小さく溜め息を吐き出す。
「…まだ、納得はしてらっしゃらない、と?」
その様子からして…未だ膠着状態なのだろう。通りで誰もはっきり言わない訳だ。
「まぁ…ね。シリウスは士官学校へ入ったから、入局にはまだ時間がある。それまでにまた説得には行くけれど…彼女がどう言おうと、その権限はわたしにある。シリウスの御目付け役はルーク、御前だ。それは間違いない」
「………」
ダミアンの言葉の意味はちゃんとわかる。御目付け役として認めて貰えていることはわかるのだが…やはり、腑に落ちない。
「…一つ…聞いても良いですか…?」
「…何だい?」
大きく息を吐き出し…少し、気持ちを落ち着かせる。そして、問いかけた言葉。
「以前…婚姻の儀の前に、奥方様と話をした、と言っていましたよね。別居について」
「…あぁ、そんな話をしたね。それが何か…?」
そこに何が引っかかっているのか。そんな表情を浮かべるダミアンに、ルークは言葉を返す。
「俺のこと…話してないですよね…?シリウス様の教育係としてではなく…貴方の恋悪魔として」
「…まさか。話す必要性は何処にもないだろう?」
その思いがけない言葉に、流石のダミアンも驚いたようだ。だが、ルークは相変わらず、ダミアンを見つめたまま。
「勿論、貴方が違うと言うのなら、それを信じます。でも…王都に来た時、シリウス様はオトナを信用していなかった。それは、俺やエースだけじゃなくて…貴方や、奥方様のことも。それは、エースに吐き出した想いだったから、確かなはずです。こう言ったら何ですが…俺たちや貴方は、まだわかります。勝手なオトナが自分を振り回す。子供ながらにそう思うのは、納得出来るんです。でも…ならどうして、奥方様を信用していないんですか?会いに来ても喜ばない。そこに何があるんですか?俺が貴方がたの全部を知る必要はない。でも…シリウス様を育てたのは俺です。俺は…あの方を、護りたいんです…その為なら俺は…闘いますよ」
「…ルーク…」
無意識に握り締められた掌。そして、噛み締めた唇。多分…大声で怒鳴りたい心境なのだろう。だが、幾ら恋悪魔とは言え…相手は大魔王陛下。流石に、そんな攻撃的な抗議をする訳にもいかない。だからこそ、これ以上の感情を抑え込んでいるのだろう。
一度大きく息を吐き出し、少しだけ荒ぶる感情を抑える。そして、再び口を開く。
「…シリウス様が士官学校に入られる時に…"あのオルゴール"を、受け取りました。自分と離れている間、俺が寂しくないように、って…戻って来るまで、貸してやるから、って。それなのに…戻って来た時に俺がいると思ってくれているのに…やっと、信用して貰えたと実感出来たのに…その想いを、俺は裏切れません」
ルークの真っ直ぐな想いを受け、ダミアンは何かを考えるかのように、その手を組んで溜め息を一つ。
「…御前が闘う必要はない。それは、わたしの役目だ」
「…だったら…っ」
尚も食って掛かろうとするルーク。
隣にいて、思いがけないそんなやり取りを目の当たりにしたデーモンは…小さな溜め息を一つ。そして、固く握り締めたルークの手を掴んだ。
「…デーさん…?」
不意にその手を掴まれ、ルークの視線がデーモンへと向いた。
「口を挟んで申し訳ありませんが…ルークの言葉は尤もです。きちんと…奥方様と、話をしてください。少し様子をみて…と後回しにしたい御気持ちはわかりますが、今は駄目です。速やかに話し合ってください。貴殿がルークをシリウス殿下の教育係として任命したのですから、その後まできちんと責任は持たなければ。貴殿には…その権限があるのですから」
真っ直ぐにダミアンを見据えたデーモンの眼差し。それは、ルークを護ろうとしている姿に他ならない。
そんな姿を目の当たりにして…ルークの緊張が、ふっと緩んだ。
闘う相手は…ダミアンではない。それを、思い出した。
ダミアンを、困らせたかった訳ではない。ただ…シリウスとの絆を、護りたかっただけ。
大きく息を吐き出したルークは、ダミアンに向け、深く頭を下げる。
「…御願いします…奥方様を…説得してください…シリウス様との絆を、断ち切らないでください…」
口にした言葉で、ルークが今何を大事にしたいと思っているのか、それを痛いほど感じた。
「…吾輩からも、御願い致します」
ルークと共に頭を下げたデーモン。
ルークのみならず…デーモンまで、敵に回す訳にはいかない。
大きな溜め息を吐き出したダミアンは、そのまま席を立つ。
「…わかったよ。今からもう一度行って来る。勿論、わたしの意を変えるつもりはない。御目付け役は御前だからね、その心づもりでいてくれよ」
「…御意に…」
顔を上げ、大きく一息。そんな姿を、デーモンは小さく笑った。
かくして、ダミアンを王妃の私邸へと見送ったデーモンとルークは、そのままデーモンの執務室へ…と場所を変えたのだった。
デーモンの執務室へとやって来た二名は、そのままソファーへと腰を落ち着かせる。
「デーさん、有難うね。加勢してくれて」
やっと一息。そんな雰囲気のルークに、デーモンは御茶のカップを二つ持って来てテーブルへ置いた。
「加勢も何も…吾輩は、思ったことを伝えたまでだ」
苦笑しながらそう零し、御茶を一口啜る。それから改めて口を開いた。
「…ダミアン様の気持ちも、わからなくはない。頑なになられたら、少し時間をおいて改めて…とも思うが…今回は、直ぐに話をした方が良いと思ったまでだ。吾輩も、奥方様に会ったのは御前と一緒に行ったあの時だけだが…確かに、御前の言いたいこともわかるしな。どんな親であれ…子供にとっては、一番大事な存在であるはずだ。吾輩だって、そう思っていたからな。強引に引き離されたのなら尚更、寧ろ一緒に帰りたがるだろうに…喜ばない、と言うのは…やはり、生家で何かあったのではないか、と思っても不思議じゃないからな。まぁ、何があったかは我々は知らなくても良いことなのかも知れないが…御前は"育ての親"だからな。シリウス殿下を護りたい気持ちもわかる」
その言葉に、ルークは小さく笑いを零す。
「実親よりも出しゃばっちゃいけないとは思っていたんだけどね…ずっと、シリウス様の傍にいてさ…鬱陶しいと思われていたかも知れないけど…俺が教育係としている間は、俺が一番の理解者でありたいと思ってたから…」
「それで良いと思うぞ。ダミアン様のオルゴールに纏わる話は、吾輩も聞いていたしな。ルシフェル参謀からダミアン様に、そして御前に。それからシリウス様に…そしてまた御前に。そこまでちゃんと繋がっている絆だ。それを大事にしようとするシリウス様の姿も初めて聞いたからな。立派じゃないか。十分、自信を持って良いんだからな」
そう言って笑う姿が、何よりも心強い。
「まぁ…後は結果を待つしかないんだけどね」
ルークもテーブルに置かれた御茶に手を伸ばし、一口飲むと、再び大きく息を吐き出す。
「…そう言えばさ、デーさん最近元気だよね?このところ、ずっと仕事してるでしょ?エース…心配してない?」
ふと思い出したこと。御目付け役の話ですっかり忘れていたが…ライデンとした話が思い出され、様子を窺いつつ、問いかけてみる。
「…あぁ、心配はしているが…まぁ、な。無理はしていないから。ちょっとずつ、体力を付けようかと…な」
「体力?」
思いがけない返答に、ルークは首を傾げる。
「そう。体力づくり。今のところの目標だ。サラも頑張ってくれているから随分楽になったし、そのおかげで体調を崩さないで仕事を熟せるラインが、やっとわかって来たんだ。まぁ、その時々で、調子が良くない時もあるが、以前に比べたら気持ちも随分楽になったしな。この調子でいけば…まぁ、いけるんじゃないかと…な」
くすっと笑いながらそう言うデーモン。その何処か意味深な言葉に、ルークは小さく息を飲む。
「…ねぇ、デーさん…まさかそんなことはない…とは思うけど……もう一名、産もうとか…考えてないよね…?」
「…どうした?急に…」
デーモンの方も、まさかルークがそう切り込んで来るとは思っていなかったのだろう。先ほどのルークと同じように、小さく息を飲んだ。
「…いや、昨日息抜き兼ねて雷神界に行ったら、ライデンが言ってたんけど……つい、デーさんに、元気ならまだ産めたのに、って言っちゃった、って言うから…」
「…あぁ、そう言うことか…」
その話が出て来た理由がわかり、デーモンの方は苦笑する。だがルークは、とても笑い飛ばせる心境ではなく…ただただ、心配そうな表情を浮かべていた。
「焚きつけた訳じゃないのはわかってるでしょ?本気にしちゃダメだよ?」
「…本気に、って御前…面白いことを言うな」
笑うデーモン。その顔を見る度に…ルークは、気が気ではない。
「…忙しいな、御前。さっきは御目付け役のことで怒鳴り込んで来ておきながら、今は吾輩の心配か?少し、気分転換した方が良いんじゃないのか?」
「気分転換した結果がこれなの。わかってるでしょ?」
「…そんなに心配しなくても大丈夫だから」
「だって…」
真剣な表情のルークの前…漸く、デーモンも笑うことをやめた。
のらりくらりとはぐらかして来たが…一度たりとも否定はされていない。つまりは…そう言うことだ。
「エースは?知ってるの?あんたが、もう一名産もうと考えてること」
思わず問い質すと、小さな溜め息が一つ。
「同意がなければ…我々が同等の想いでなければ、子供は生まれない。エースには何も言っていないから、産まれることはない。まぁ…今のところは、と付け加えるが」
「…デーさん…」
エルが士官学校に入ってから、急にデーモンの登庁が増えた。そして、偶然ロビーで会ったサラを勧誘して、誰にも相談もせず勝手に側近に採用してしまった。いつにないそんな行動に、ずっと何かが引っかかっていたような気がしていたが…恐らく、これだったのだろう。
あからさまに言葉にしたり、態度で表した訳ではない。だが、虎視眈々とその時を狙っていたのかと思うと…最早、溜め息しか出て来ない。
「ライデンの冗談を、何で本気にするかな…」
思わず頭を抱えたルークに、デーモンは苦笑する。
「御前も酷い言い方だな?ライデンが悪者みたいじゃないか」
「そうは言ってないけど…でもね、自分でわかってるでしょうよ。確かに、産めなくはない。でも、現実的じゃない。あんたがそんな無謀なことを考えてるとわかったら、またエースとゼノンが衝突するじゃないよ…」
「…そう言うな。まぁ、話を聞け」
困惑顔のルークを宥め、デーモンは再び御茶を口にする。そして。
「体力づくりは…別に、子供を産む為だけじゃない。これはエースにもゼノンにも話したことだが…吾輩は、エースと同等に生きたいんだ。彼奴の生命エネルギーに頼らず、自力で生きたい。彼奴から生命エネルギーを貰わないことが、どういう結果になるか…それはゼノンにもわからないと言われた。だが、目標を持って生きるんだ。そこは否定的な生き方じゃないだろう?その延長上に…そう言う結果がついて来れば良いな、と…まだその程度の想いだ。だからそれに関しては、エースにも…勿論ゼノンにも、まだ話はしていない。確かに、もう一度…ちゃんと子育てをしたい。その想いはある。だが、子供を産むにあたって、同じことを二度繰り返すつもりもない。その為には、事前に準備が必要だしな。今すぐに、と言うのは流石に無理がある。昔と同じように…と言うのは厳しいが、ある程度働いても倒れないぐらいの体力は必要だから、今はその…準備段階と言うところかな」
「…デーさん…」
デーモンが、エースの生命エネルギーを分与して貰っていることは、ルークも知っていた。だが話の内容からして、今は生命エネルギーの分与を受けていないのだろう。
「…いつから…そう思ってたの?いつ、エースのエネルギーを貰うのをやめたの?」
立て続けに問いかけた声に、デーモンは小さな吐息を一つ。
「…エルが士官学校に入ってから、だ。考えていたのはもう少し前だが…エースに全部打ち明けたのは、サラの採用を決めてから、だ。ちょっと無理をして倒れてしまって…その後な、エースと話をした。吾輩が思っていることを全部話して…その上で、生命エネルギーの分与をやめることを納得して貰った。彼奴との関係を…元に戻したかったんだ。生命を分け与える関係ではなく…同等の恋悪魔同士に、な。いつまでも、彼奴を好きでいたい。彼奴に好きでいて貰いたい。それが吾輩の望みであり、我儘でもある。だが…エースにしてみれば、吾輩の言うことは今更で…彼奴の吾輩への想いはこの先も変わらないと……まぁ…エネルギー関係なく、触れ合えるのなら問題ないと言うか……まぁ…そう言うこと、だ…」
ほんのりと赤くなるその顔で、エースとの関係は良好だと…否、多分以前のように激甘なのだろうと…察する。
実に平和。平穏。自分一名慌てているのが馬鹿みたいに思えて…思わず溜め息を吐き出したルーク。
「…話はわかったけど…ちょっと…俺だけ随分置いてけぼり喰らってない…?」
「…いや…そう言うつもりはなかったんだが…ほら、御前はシリウス様にかかりきりだったから、言うタイミングがな…?」
ちょっと慌て気味にそうフォローするが、ルークは再び溜め息を吐き出す。
「まぁ…良いけどさ……ま、これからはまた副大魔王付きの参謀に専念するしね。置いてけぼりになんかならないし…っ」
「…拗ねるなって……ほら、何れ…の話は、御前にしか話してないから。吾輩の参謀だろう?彼奴らにはまだ、内緒だぞ…?」
「…拗ねてないし…」
最近、同じやり取りが多い…とふと過る。つまり…色々なところ自分の知らないことが多過ぎて…確かに拗ねていたのだろう。今更ながらに実感しつつ、自分が元の場所に戻って来たのだと、改めて感じた。
「…わかった。まぁ、デーさんの内緒に付き合いますよ。でも、無理したら即刻彼奴らに報告、だからね」
「…あぁ…」
久々にルークにそう詰め寄られ、了解せざるを得ないデーモン。だが、そんなやり取りも何処か懐かしい。
「あ~、もぉ…疲れた…」
ソファーの背に深く凭れながら零したルーク。だが…その顔は、何処か楽しそうで。
「…機嫌、直ったか…?」
思わずそう問いかけたデーモン。
「直った、って言うか…気ぃ抜いてる場合じゃない、ってわかった。俺がちゃんと状況確認出来てないと、あんたたち勝手ばっかりするんだから…これからは厳しくいくからねっ」
そう言いつつ、つい笑ってしまう。久し振りのルークのそんな姿に、デーモンも笑いを零す。
「あぁ。そうして貰えると助かるな」
エースが見る伴侶としての目。ゼノンが見る医者としての目。それとはまた違う、ルークの目。仲魔であり、大事な片腕。エースやゼノンとは違う視点から見てくれているからこそ、デーモン自身が気づかないことも察知する。その姿が傍に戻って来たことに安心する。
ルークは、こうでなければ。
「…さて。じゃ、エースのところに行って、ダミ様とのことを報告して来ないとね。必ず報告しろ、って言われてるからね」
一頻り笑ったルークは、大きく伸びをしてからソファーを立つ。
「さっきの話は…」
「わかってるよ、内緒、ね」
口を挟んだデーモンに小さく笑ったルーク。
「でも…無理しないでね。ホントに」
踵を返しながら、零したルークの言葉に、デーモンは笑いを零す。
「わかっているから」
「…うん。じゃあ、ね」
「あぁ」
手を振って執務室を出て行ったその背中に、デーモンは小さな吐息を一つ。
他悪魔のことばかり心配するが…ルーク自身もかなり心労があるはず。
話を聞いてくれるだけで嬉しい。その想いをわかってくれて…受け留めてくれたなら、尚嬉しい。
自分も、そう出来るように。
「ルークが戻って来たら…賑やかだな」
くすっと小さな笑いと共に零した言葉。今は、その賑やかさを何よりも心待ちにしていた。
情報局のエースの執務室へと向かったルークは、そこでダミアンとの話を、約束通り報告する。そうして漸く自分の執務室へと戻って来た。
既に日は落ち、執務時間も終わっている。
「…一日、何にも仕事しなかったな…」
執務椅子に腰かけ、大きく伸びをする。そうしながら、昼間の話をもう一度思い出す。
ダミアンは今頃…王妃の生家で話をしているだろうか。
婚姻の儀の時に、何を何処まで話したのかは、ルークにはわからない。それはルークが知らなくても良いこと。否、寧ろ…聞いてはいけないのではないかと思っている。
ただ、シリウスの話になるとまた話は別。
そう思いながら…思い出したように、引き出しを開け、中にしまってあった小箱を取り出して蓋を開ける。
柔らかなメロディ。何処か懐かしいその音色に、小さな吐息を零す。
間違ったことをしたとは思っていない。ダミアンのところに押しかけたことも、シリウスの為に闘う心づもりであることも、デーモンの体力づくりを黙認することも…ルークとしては正当だと思ってはいる。だが…その心に、ダメージがないとは言えない訳で…。
執務机に盛大に突っ伏し、柔らかい音色のオルゴールを眺めて溜め息を一つ。
「…癒されてぇな…」
自分の今の癒しは何だろう。そんなことをぼんやりと考えながら、目を閉じてオルゴールのメロディに耳を傾ける。
もしも…今と違う未来を歩けるなら。自分は…何を、望むのだろ。
「……ばぁ~か…」
何に対しての言葉か…自分でもわからない。
色々と考えているうちに、大きな欠伸が零れ…うとうとと、意識が微睡む。
オルゴールの音色を聞きながら、執務机に突っ伏したまま…眠りに落ちて行った。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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