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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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LEAVES 4

第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")

こちらは、本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
5話完結 act.4

拍手[2回]


◇◆◇

 目の前にあるのは…目を細め、小さく笑いを零した…穏やかな顔。
----…本当に疲れたら…立ち止まって、振り返ってみても良いんじゃない?引き返せとは言わない。どうせ戻れない道だもの。でもその時は…私が、幾らでも慰めてあげるから…
 真っ直ぐに見つめた眼差しで、そう言葉を零す。
 現実を突きつけられ…そして、慰められた。
 そっと手を伸ばし、漆黒の髪に触れる。そして、再び穏やかに笑う。
 その顔が…とても、懐かしい。

「…アリス…」
 自分の口から零れた声。その声に……ハッと、目が覚めた。
「…ルーク、大丈夫…?」
 不意に声をかけられ、ドキッとして顔を上げてみれば…恐らく頭に触れていたであろうその手を伸ばしたまま、心配そうに顔を覗き込んだ碧の眼差し。
「…大…丈夫…」
 慌てて両手で顔を覆い、目を覚ますようにそのまま顔を擦る。
「ライデンから、ルークが二日酔いかも…って聞いたから来てみれば、机に突っ伏したまま動かないから、どうしたのかと思ったよ」
「…御免。あれこれ考えて、あちこち行ったから疲れちゃって…二日酔いは大丈夫」
 大きく息を吐き出して顔を上げ、時計へと目を向けると、執務終了時間から一時間ほど経っていた。オルゴールも音が止まり、ただ蓋を開けた状態でそのままそこにある。つまり、それだけここで寝ていた、と言うこと。
「…夢でも見てた…?」
 様子を窺うように問いかけられ…その視線を向けると、心配そうに首を傾げている顔がある。
「…何か…聞いた…?」
 オルゴールの蓋を閉じ、引き出しにしまいながら問いかけると…気拙そうに、碧の視線が逸れる。
「…まぁ…何となく…」
「…そう…」
 自分の声で目が覚めたのだから…彼が聞いていても、何ら不思議はない。
「まぁ…座んなよ。眠気覚ましのコーヒー淹れるし」
 気拙さを胡麻化すように苦笑し、コーヒーを淹れに立つ。そして淹れたてのコーヒーのカップ二つを手に、ソファーへと腰を下ろす。
「何だろうね、アリスの夢見たんだよね」
 コーヒーを手渡しつつそう切り出すと、心配そうに細められた眼差し。
「…良く見るの?アリスの夢…」
「…いや、全然。あれから初めて。しかも転寝で、って…何だろうね」
 苦笑しながらコーヒーを飲むと、漸く相手から小さな笑いが零れた。
「そう。なら良いけど…てっきり、結構思い出しているのかと思った」
「…ゼノン…」
 何処までも心配性。そんな仲魔の姿は、寧ろ見ている方が心配になる。
「あんたこそ大丈夫?疲れてない?」
「俺は大丈夫だよ。デーモンの体調もこのところは安定しているから、前ほど神経質にもなってないし。エースと仲良くやってるから、暫く大丈夫じゃないかな。俺も休暇が取れる」
 くすっと笑う姿に、ルークもまた笑いを零す。
「そうそう、ライデンがさぁ…」
 笑いながら昨夜の深酒の話をしつつ、頭の何処かにこびりつくように残っている記憶。
 滅多に笑うことがなかったが…あの笑顔は、嫌いじゃなかった。
 話が途切れると、途端にその表情が曇る。
「…ルーク…アリスのこと…まだ、気にしてるの…?」
 問いかけられ…その顔を上げる。
「…久々に思い出しただけ。別に…気にしてる訳じゃ…」
 そう言いつつも…何処か、言葉を濁す。
 一方的に好意を向けられて…困惑したことは確か。だが、ある意味…誰よりも、本音を吐き出した相手だったのかも知れない。
 もし、あのまま傍にいたら…どうなっていただろう…?
 今更ながらに…自分の無力さに、溜め息が零れた。
「…何年前だっけ…天界で、オズウェルとアリスらしき二名がいた、って報告聞いたの…」
 ソファーに深く凭れながら問いかけた声に、ゼノンは記憶を辿る。
「…えっと…俺たちが結婚する前だから…結構前だね…」
「だよね…あの時、天界でのことだったし、確証はなかったから、向こうに任せたままで…そのまま、情報は途絶えちゃったけどさ…もしあの時、天界に乗り込んででも捜しに行っていたら…アリスを、見つけられたのかな…」
 今でも…ルークの心の傷は、癒えた訳ではない。だが、ルーク自身…その傷を見ないように、目を瞑っていたのだと…自分でそう思い知った。
「…捜そうと思えば…手立てがなかった訳じゃない。でも、それをしなかったのは…アリスよりダミアン様を選んだからでしょう?今それを後悔したところで、あの時には戻れないもの。それとも今更、アリスを追えば良かったと…選べば良かったと、そう思うの?」
 後悔する気持ちはわかる。だが、それに同情することは、今のルークを否定することにもなり得る。だからこそ、ゼノンには…同意は出来なかった。
「そんな訳ないじゃん。まぁ…色々すっきりしなくて…そのおかげで、昔の夢を見たんだと思う。戻りたいって言えば戻れるって訳じゃない。今の俺は、ダミ様が大事で…シリウス様も大事。デーさんのことも、ちゃんと見てないと…って思うし…」
「…良いね、都合の良い言い訳があって」
「…何だよ…」
 いつになく、棘のある言葉。だが、ゼノンは真剣そのもの。
「はっきり言いなよ。アリスに未練がある、って」
「…未練、ね…」
 溜め息を一つ。確信を突く言葉に…ルークはソファーから立ち上がると、窓辺へと向かう。そして、その窓を開ける。
 そろそろ暑くなる季節だが…夜風はまだ、心地好かった。
「あんたがイラついてる理由は知らないけどさ…俺は、あんたが思ってるほど…誠実じゃないのよ」
「…ルーク…」
 思いがけない言葉に、当然ゼノンは唖然としている。
 そんな顔を一笑し、ルークは言葉を続けた。
「…まぁね、ダミ様とのことは…本気だよ。勿論、シリウス様のこともね。デーさんのことが心配なのもそう。あんたにとっては全部都合の良い言い訳に聞こえるのかも知れないけど…それは全部俺の本心。たださ…アリスは、その俺の本心の更に奥をさ、完全に見透かしてたんだよね。俺が、必死で隠そうとしてる…心の奥深くをね。あんたたちの前では笑ってても、本当は落ち込んでたり…後悔したり。まぁ、隠したいじゃないの。自分の弱みだもの。でもアリスにはそれを見透かされてさ、俺よりも俺の気持ちに詳しくて…勝手に押しかけて来て、それ見たことか、って現実突き付けて…でも、それでも良いじゃない、って…甘やかす、っての?別に、それだけなんだけど…泣いても良い、って…慰めてあげる、って…笑うんだよ。変な奴だったよね。でもそれが…変に、心地好かった。滅多に笑わないクセに、そう言う時ばっかり笑って…その顔を…言葉を…記憶から、消せない…」
 心の奥の感情を抑えるかのように、グッと唇を噛み締める。滅多に見ない、ルークの表情に…ゼノンは、小さく息を吐き出した。
「…御免。嫌味言って…」
「何でよ。謝られる意味もわかんないし」
 苦笑しながらソファーへと戻って来たルーク。
「未練、って言われてさ…そうなのかも、って思ったよ。アリスを護ってやれなかったことも未練だし…追わなかったことも未練。探さなかったことも未練。全部未練だよね。当たってんじゃん」
「…まぁ…それはそうなんだろうけど…」
 相変わらず…こういう時のルークは掴めない。だが…ルークが未練をぶつける相手は…こんな時のルークに、何を言うのだろう。どう…その心の中を覗くのだろう。
 自分には掴めない心。医者として…と言うよりも…仲魔として。どうなのかと…反省。
「…あんたはさ、レプリカに…言われない?」
「…はい?レプリカ…?」
 思いがけない名前に、首を傾げるゼノン。
「そう。レプリカだって、一方的にあんたを慕って押しかけて来た訳じゃない?似てるじゃん、アリスと。やっぱりさ、性格は似て非なるものかも知れないけど…仮面師としてさ、心の拠り所って言うか…自分を受け留めてくれた相手、って貴重なのかな、って。だから…真っ直ぐに、見つめて来るのかな、って…思ったりもしてさ」
 そう言われ…思いを巡らせる。
 確かに…レプリカは、ゼノンがモヤモヤと燻っている時にははっきり苦言を呈してくれる。そして、言えなかった本音を、察してくれる。ルークの言う通り…同じなのかも知れない。
「…何となく…わかる気はする…」
「でしょ?似てるんだよ、やっぱり」
 くすっと笑うルーク。だが、その笑いはすっと消える。
「…まぁ…似てるから、ってあんたにわかって欲しいって言うんじゃないよ。俺は、自分の無力さが…情けないだけ。未練がある、ってことはさ、自分が出来なかったことに対する未練なんだよ。アリスがどうの、って言うんじゃない。俺の…俺自身の、問題」
 何処か、思い詰めたような眼差し。その眼差しをゼノンから伏せ、溜め息と共に貯め込んだ言葉を…ココロを吐き出す。
「ダミ様のことを、諦めるつもりはない。アリスはそれをわかっていたけど…それでも、俺の心に踏み込んで来た。でも俺は…自分が心地良いからって…全力で拒まなかった。癒される為に、利用したのかも知れない。不誠実この上ないじゃない。あの時…マラフィア殿が、誰かが俺たちを裏切る、って言ったけど…若しかしたら、それって…誰か一名を名指しすることじゃなかったのかも知れないって…今更ながらに思うよ。俺だって…アリスを裏切った。助けられたかも知れなかったのに…助けなかった。俺が一番嫌いなことを…俺自身が、無意識にやってた。それを…シリウス様に、見抜かれた気がしたんだな、きっと。ダミ様とのことは…シリウス様にとっては裏切りだよね。幾ら、奥方様と結婚する前から一緒にいた、って言ったって…所詮俺は妾だもの。最大の裏切りだよね…それでも俺は、俺がシリウス様を育てたんだ、なんて自分を正当化してさ、奥方様に八つ当たりして…ダミ様に面倒かけて…デーさんやエースやあんたにも心配かけて…何やってんだろうね。そんな時にアリスの夢見たもんだから…アリスに癒されたくなっただけ。都合良く思い出して縋ったって…もう、来てなんかくれないのにね…あー、情けない」
 両手で顔を覆い、項垂れる。
 ゼノンが最近感じていた、心の重さ。ルークからシリウスが自分とダミアンのことを知っているだろうと告白され…何らかの手段を取れば子供が産めるかと問われ…子育てが終わったと安堵の吐息を吐き出していたルーク。心の奥底まで覗くことは失礼だろうか、と踏み込まなかったその領域は、やはり闇。だがルークは、自分で心のドアを開けない限り、その闇を見せることはない。だからこそ、通り過ぎてしまった。
 心の闇から浮上する助けを必要としないルーク。だが、唯一その手を差し伸べていたのがアリスだった。だからこそ、今でも忘れられない。
 恋愛感情、と言うことではなくて…心の支えとして。
 つまりは…そう言うことだったのだろう。
「……呑む?」
 どう声を掛けたら良いのか迷った末に、ゼノンがそう口を開く。だがその途端、ルークがぷっと吹き出し、けらけらと笑う。
「やだなぁ、もぉ。あんたもライデンも、発想が一緒!呑んで憂さ晴らしって、それもどうかと思うけど、流石伴侶だよね~」
「…あぁ…二日酔い、ってそう言うこと…」
 雷神界へ行って二日酔い。実に珍しいとは思っていたのだが…憂さ晴らし、と…そう言うことだったとは。
 仲魔たちみんなに、同じ想いを吐き出す訳じゃない。このヒトにはこの愚痴を、と、打ち明ける内容がみんな違う。それがルーク。そして誰もがその愚痴を口にしなければ、悩んでいることは広まらない。それはある意味、ルークが自分を護る手段だったのだろう。
 だからこそ…誠心誠意、向かい合わなければ。
「別に呑まなくても良いんだけど…その方が、言い訳出来るでしょ?酔った上での戯言だから、って。御前が吐き出した胸の内をさ、引っ掻き回すつもりはないけど…ほんの少し御前が楽になるのなら、好きなだけ吐き出せるように、と思って…解決策とか、打開策とか欲しいなら、一緒に考えるし…」
 そう口にしたゼノンに、ルークは笑いを零す。
「解決策とか打開策って…今更、でしょうよ。今更どうにもならないんだから、それは良いの。別にね、重~く悩んでる訳じゃないから。ただちょっと…言いたかっただけ。もう大丈夫」
「…そう…?」
「そう。そんなに心配しないの。だから疲れるんだよ?あんたが疲れてない訳ないんだから」
「…まぁ…」
 ルークの言う通り、疲れていない訳はない。だが…
「抱え込んじゃダメだよ。デーさんの体調のことは、確かにある程度の管理が必要だろうけど…ある程度はエースに任せりゃ良いし、俺のこともそんなに心配しなくても良いし。ライデンも寂しいみたいだからさ…?」
 色々考え始めたゼノンの表情を眺め、苦笑する。
「それはわかってるよ。まぁ…デーモンが安定していれば、休暇は取るつもりだけど…」
 今がその時かどうか。それはまぁ、ゼノンにしかわからないので、押し付ける訳にはいかない。
「ま、俺は大丈夫だから。もう帰るしね。あんたは?」
 再びソファーから立ち上がり、窓を閉める。その姿を目で追いながら、ゼノンは一つ、息を吐く。
 踏み込むことを、拒まれた。だが…ルークは、愚痴を零す以上のことを求めている訳じゃない。だから…自分の役目は、これで良いのかも知れない。
「俺も帰るよ。自分の仕事も今日は切り上げて来たしね。ちょっと様子を見に寄っただけだから」
「そう。じゃあ、今日はこれで解散。また今度…一緒に呑もうよ。二日酔いにならない程度に」
 くすっと笑うルーク。すっかり気持ちを切り替えたかのようなその顔に、ゼノンも小さく笑いを零す。
 そして。
「俺は…御前のことを、不誠実だなんて思ったことはないから。真っ直ぐ向かって来る御前は、十分、誠実だと思うよ」
 そう言って、踵を返す。
「じゃあ、またね」
「…うん、有難うね」
 笑いながら、ゼノンを見送る。
「…俺って、倖せ者じゃん」
 改めて、仲魔の温かさに触れ…少し照れたような笑いが零れる。
 だがしかし。ダミアンから話し合いの結果を聞くまでは…その心は、モヤモヤしたまま、だった。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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