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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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トキメキ
こちらは、以前のHPで2013年03月09日にUPしたものです

拍手[2回]


◇◆◇

 夜明けは、まだ来ない。

 壁に凭れながら、煙草に火をつけてゆっくりと燻らせる。
 薄闇の空を見上げながら、大きく紫煙を吐き出す。ひんやりとした風が寝起きで火照りの残った身体に心地良く、頭をすっきりとさせてくれる。
 最愛の悪魔は、未だ夢の中を漂っているのだろう。どんな夢を見ているのかは…彼の知るところではないが。
 ただ…その夢の中でも、自分を想ってくれていたら嬉しいと思う。
 そんな想いを抱くなど…昔の自分なら、到底想像もしなかっただろうが。
 彼は、ふと小さく笑いを零す。
「…我ながら…エロいな…」
 くすくすと笑いながら、小さく言葉を零す。
 その言葉の指す先は…先程、自分自身が見ていた"夢"。

 愛しの悪魔に、甘い吐息と共に背後から耳元で囁かれる。
----愛してる。御前は?
 問いかけられ、夢の中の自分は平然と返す。
----勿論、愛してるさ。

 彼にしてみれば、取り立てて珍しい言葉ではない。
 ただ、そのシチュエーションが…ミサ中だった、と言うことを除けば。
 何故、そんな夢を見たのかはわからない。そして、実際にそんなやりとりは…恐らくしていない。あの頃はまだ…そこまで、素直に口に出すことが出来なかったはずだから。そして何より、第三者的な視線で自分を見ていることは実際にはあり得ない。
 ただ、懐かしさを感じたことは確かだった。
 記憶に実感が無かった分、それは酷く照れくさくもあった。
 耳元で囁かれた声も吐息も、とても甘い。胸の奥を焦がすような…自然と顔がにやけてしまうような…まるで、初恋のような感覚。
 今更、そんな夢を見ている自分が不思議でならない。
 そして、先程の言葉に繋がる。
「…エロいな~…」
 再び、笑いを零す。
 だが、満更ではない。
 他悪魔に見られれば明らかに怪しい姿であるが、彼は暫しの間、自分の"夢"の甘さに浸るのだった。

◇◆◇

 その執務室の主は、椅子に逆向きに跨がって背凭れに腕を乗せて凭れかかり、外へと身体を向けている。
 背中を向けているが…どうやら、相手は大きな欠伸をしているようだ。
 いつもの姿よりも随分気の抜けた、珍しく緩い姿。
「…寝不足か?」
 その背中に向け、思わずそう声をかける。
 瞬間、声の主に気が付いて、その背中がビクッと揺れた。
「…んだよ…いつからいたんだよ…」
 僅かに振り返った頬が、ほんのりと赤く見えたのは…気まずかったからか。
「いや、今来たんだが。ドアが少し開いていたぞ?」
「…迂闊だった…」
 椅子に座り直しながら零した言葉。そんな答えに思わず小さく笑いを零す。
 いつになく、そんな姿がいとおしい。そう想うのは…目の前の相手が、照れているから。
「夕べ遅くまで呑んでいたのか?」
 笑いながら問いかけると、相手は溜め息を吐き出す。
「あのなぁ…いつでも夜遅くまで呑んでる訳じゃないからな。今日は、朝早く目が覚めたんだ。だから今頃眠くなって来ただけだ」
「へぇ。朝早くなんて、珍しいな。もうそんな御年か?」
「…煩いっ」
 ほんの少しだけ年上の相手は、年が絡むと大概そう拗ねて見せる。それが可愛いと想うのは…どうしてだろうか。
「…まぁ、機嫌直して」
 くすくすと笑いながら背後に回ってそっと身体を寄せると、背凭れごとその背中を自身の身体で包み込むかのように腕を回す。
 相手が椅子に座っているおかげで、視線の位置は殆ど変わらない。
「…何だよ、急に…」
 いつにないそんな積極的な姿に、相手は面食らっている。
「…たまには良いだろう?今日はそんな気分なんだ」
 耳元で囁くような言葉に、相手は僅かに首を竦める。
「…感じたのか?」
「…ば~か。くすぐったいんだよ」
 からかうように発した言葉に、それを制するように言葉が返って来る。
 けれど、その横顔が赤い。
「…どうした?今日は妙に…」
----艶っぽいじゃないか。
 その言葉を口にすれば、その先は相手に突き飛ばされそうだったので、それ以上は口にはしない。けれど、その横顔が妙にそそられる。
「……ちょっと、夢を思い出してな…」
「…は?夢……?」
 思いがけない言葉が返って来て、思わず問い返す。
「そ。ミサ中に御前から迫られる夢」
 溜め息と共に吐き出された言葉に、つい笑いを零して一歩身体を離すと、主がさっきまで凭れていた窓辺に背中を預ける。
「なぁんだ。御前もか」
「…ん?」
 意味深な言葉に、相手は頭を巡らせて視線を向ける。
「吾輩もな、夢を見たんだ。ミサ中に…御前を口説く夢」
 数時間前に見た夢を思い出し、胸の奥がくすぐったくてくすくすと笑う。
「吾輩は時々見るぞ?」
「……むっつりだな」
「御前が言うか」
「俺は結構そのまんまだと思うが…?」
「それもそうだな」
 くすくすと笑う姿に、相手は苦虫を噛み潰したかのように眉を寄せる。
 けれど、そんな表情さえも愛しいと思う。
「…でもホントにな、時々…思い出すんだ。あの頃は、信者たちを煽って面白がっていたところもあるんだが…本当は、吾輩なりに本気で御前を口説いていたんだぞ?ギターに集中している御前の、半開きの唇が色っぽかったしな。でも御前はそれどころじゃなかったろうし、ギター邪魔すると本気で怒るしな…」
「…当たり前だろうが…ギタリストはギター弾くのが仕事だぞ?邪魔されたら怒るに決まってるだろうが。ミサ中に不謹慎なヤツだな…」
 今更ながらにそんなことを言われても、正直、どうすることも出来ない。
「だから、今それを再現しようかと思ってな」
 改めてそう宣言し、再び相手へと身体を寄せる。
 耳元を掠める吐息に、相手が一瞬身を竦める。
「…愛してる」
「…ばぁ~か…いい加減にしろよ…」
 毒舌で返しながらも、真っ赤に染まった耳。それが妙に色っぽくて、そっと口付ける。
「…御前の返事は…?」
 問い返され、一瞬口を噤む。けれど、それに返す言葉など、最初から決まっていた。
「……勿論…」
----愛してるさ。
 その言葉は、押し当てられた唇に飲み込まれる。
「……誰か来たら…どうするんだよ…」
 甘い吐息を吐き出すように、僅かに唇を離した相手。けれど最早、そんな言葉などで止められる想いではなかった。
「…見せ付けてやれよ」
 くすっと笑い、再び唇を深く重ねると、椅子から引き摺り降ろされるように、主の方がその場に押し倒される。
 相手の方から積極的に誘って来ることは滅多にない訳で…いつにない興奮と、執務室であると言う緊張感の中…馬乗りになった相手は自分の上着の首元を弛め、再び唇を重ねた。
 執務室の主は…甘い官能に浸りながらも、その頭の片隅で、誰も来ないことを祈るしかなかった。

◇◆◇

「鍵はちゃんとかけていたんだから、心配しなくても良かったのに」
 笑いながらそう言われて、思わずムッとする。
「…だったら、最初からそう言えよ…見せ付けてやれ、だなんて、挑発的なこと言いやがって…俺の立場も考えろよ」
 パタパタと軍服の埃を叩きながらそう返す声に、二つのカップにコーヒーを注ぎながらにんまりと笑う。
「たまには良いだろう?エロっぽくて。でも床の上では流石にきっついから、今度はちゃんとベッドで、な」
「…ばぁ~か…」
 いつになく頬を朱に染める主は…何を想像しているのやら。
 その、初心な反応が面白くて、ついつい調子に乗ったのは確かだった。だが、たまにはこんな強引な誘い方も、自分自身も興奮して良いシチュエーションかも知れない、なんて思ったことは…主には秘密、であるが。
「…で?別に、こんなことをする為に来た訳じゃないだろう…?本題は何だよ」
 一つのカップを受け取りながらそう問い返すと、再び笑いが返って来る。
「こんなこと、って失礼だな~後半はノリノリだったクセに」
「…うるさいっ。強引に迫って来たのはそっちだろうが…っ!仕事中だってのに……っ」
 こちらは再び耳まで真っ赤に染まる。それこそ、滅多に見られない姿だった。
「で、本題はっ?!」
「…あぁ、そのことな…」
 くすくすと笑いながら、やっとでやって来た本題へと戻る。
 職務に戻れば、いつも通りの日常。
 だからこそ、夢をきっかけに仕掛けた、非日常のスパイス。
 甘いひと時は、"あの頃"では経験出来なかったトキメキ。

 一夜の夢は、懐かしさと情熱を運んで来た。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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