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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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夜陰
こちらは本日UPの新作です。
クリスマスイブと言うことで…ちょっとだけ。(苦笑)

拍手[2回]


◇◆◇

 夜空が、藍い。昼間の青とは違い、黒に近い藍。若しくは濃紺。群青色。
 そんな夜空をぼんやりと見上げていると、背後に誰かの気配を感じた。
「…何か用?」
 近付いて来る気配は、恐らく自分に用があるのだろう。そう思いながら、その言葉を口にして振り返る。
「いや、別に?ただ、ぼんやりと空見てるから、何かあったのかと思ってな」
 そう言って小さく笑った姿は、仲魔の一名。
 ぼんやりと空を見上げていた姿が、心配をかけていたとは。
 過保護にも程がある。
 そう思いながら苦笑し、再び視線を空へと向けた。
「別に何もないよ?ただ、空が藍いと思ってね」
「…青い?」
「そう。藍色の藍、ね。昼間の青空も好きだけど、俺は夜の空も好きかな。深い藍色の空に雲が浮かんでるの見るとさ、何か神秘的じゃない?今日は月も見えないし、尚更かな」
「…まぁ、昼間と違うのは確かだけどな」
 そう言いながら、仲魔は彼の隣で同じように夜の空を見上げた。
「でも知らなかったな。御前が、夜の空が好きだったなんて」
「今まで言ったことないしね。って言うか、俺もここ何年かだもん。そう思うようになったのって」
 彼は再び、その視線を仲魔へと向けた。
「いつだったか忘れちゃったけどさ、仕事帰りにふと夜空を見上げてみたらさ、月が綺麗だった訳よ。そしたらふと、空の色も綺麗だな~って思ってね。昼間の空よりも、何か落ち着いた、オトナっぽいイメージ?空があって、雲があって、昼間と同じはずなのにさ…何かイメージが違うな~って。それがスゲーって感じで」
「…まぁ、言いたいことはわかるよ」
 くすっと笑った仲魔もまた、視線を彼へと向けた。
 決して、一色ではない。様々な色が混ざり合い、一つの空を造り上げる。神秘的なその雄大な雰囲気に心惹かれるのは、わからなくはない。
「暗闇は別に好きじゃないけどさ、夜空はまた別じゃん?」
「そうだな。どっちかって言ったら、俺も暗闇よりは夜空の方が良いしな」
「でもホントは、あんたが好きなのは夜空よりもネオンじゃない?」
「…ばぁ~か。いつまでも昔の俺だと思うな?」
 くすくすと笑いを零し、再び空へと視線を向けた仲魔。
「神秘的、って言葉が似合うって良いよな」
「…あんたからそんな言葉を聞くのも何だか神秘的」
「あのなぁ…」
 果たして、からかわれているのか。馬鹿にされているのか。ふと、そんな思いが過ぎったものの…相手の表情から察するに、ただ単に面白かっただけのようだ。
「俺にしてみれば、御前の腹ん中も神秘的」
「…何だそれ。だったら俺も、あんたとゼノンの酒豪っぷりが神秘的だわ」
 くすくすと笑いが返って来る。
 ただ、それだけの穏やかな時間。それもまた、心が安らぐ。
「さ、そろそろ戻らないと、また新たに誰か捜しに来るぞ?」
 先に踵を返す仲魔の背中を眺めつつ、彼もまた踵を返す。
「そうね。そろそろおなかも空いたし」
 大きく伸びをして、その拍子にふと空を見上げる。
「あ…サンタ…」
「……は?」
 思わず振り返ると、未だ空を見上げたまま固まっている彼。
「サンタがどうした?」
 その視線を追って、思わず同じように空を見上げる。
 そして。
「……え?」
 夜空に、何かがキラッと光って動いている。まさか、本当にサンタクロースではないだろうが…そう見えなくもない。
「…聖なる夜、だもんな。まぁ、ホントにサンタクロースってことはないだろうが、そんな風に見えても不思議じゃないか…」
 その光を目で追いながら、ふとそう零す。
 恐らく、飛行機か何かの光なのだろうが、時期的にそう思う方がロマンティックだろう。
 視線を彼へと戻した仲魔だが、彼の方は未だ、その光をじっと見つめている。
「…ライデン?」
「…あれ、本物のサンタだよ?」
「…は?」
 そう言われ、思わずもう一度空へと視線を向ける。だが、もうそこに光は見えなかった。
「…消えた…」
 思わず零した言葉に、くすっと笑いが返って来る。
「ほら、疑うと消えちゃうんだから。信じてないと、プレゼントも貰えないよ?」
 にっこりと笑うその顔は、実に無垢な笑顔を浮かべている。
「…御前は信じてる訳?」
 問いかけた言葉に、その視線が戻る。
「勿論。だって、俺友達だし」
「…はい?誰と誰が…?」
「え?俺とサンタクロースだけど?前に、偶然空の上で会ったことあるし。その時、意外と話が合ってね。意気投合した、って言うの?んで、友達になったんだけど」
「……おい…」
 果たして、何処まで信じたら良いのやら…そう思いながら、小さく溜め息を吐き出す。
 多分…彼の恋悪魔であれば、そんな話を聞いても『そう。良かったね』とにっこり笑えるのだろう。だがこの仲魔にはまだそこまで自由な受け入れ態勢が出来ていなかった。
「良い子にしてたら、エースも今からでもプレゼントが貰えるからね」
 そう言って笑いながら、彼は手を伸ばして仲魔の頭を撫でた。
「…馬鹿にされてる気分…」
「え~?何でよぉ~」
 今の仲魔内では、最年長者と最年少者。その年下の彼から頭を撫でられるのは何だか屈辱的ではあるものの…他意のないその顔に、自分が卑屈過ぎるのだと苦笑する。
「さ、そろそろ戻ろう?おなか空いたってさっき言ってたの忘れてたし」
 にっこりと微笑む彼に、仲魔もまた笑って再び足を進めた。
 揃って屋内へと戻るその頭上、藍い空は変わらずにそこにあった。

◇◆◇

「え?サンタを見たって?」
 屋敷の中に戻って、先ほどの話をした彼に、同い年の仲魔は目を丸くしていた。
「良いなぁ~俺も見たかった~」
 彼もまた、サンタクロースを信仰しているのだろうか。そんな姿に、先ほど諭されたばかりの仲魔は再び苦笑する。
「今頃大忙しだろうからね」
 笑ってそう言う恋悪魔の姿に、総帥はそっと仲魔の傍で耳打ちする。
「…ホントにいるのか?サンタクロース」
「…さぁな。俺は信じてなかったが…ライデンの友達だって言うし、どうやらルークもゼノンも信じてるみたいだしな。良い子にしていれば、今からでもプレゼント貰える、ってさ」
「…そう、か…」
 その言葉に、思わず苦笑する。
「じゃあ、プレゼントが貰えるように吾輩も良い子にしてようか」
 それもまた一興、と言わんばかりに、面白がっている総帥。
 その姿に、彼はにっこりと笑うと、窓の外へと視線を向ける。
 明るい部屋の中からは、もう藍色の空は見えない。ただの、闇夜。けれど、その深い色の空は、決して消えることはない。
「さ、じゃあ始めるよ~」
 その声に促されるように、視線を戻してグラスを持った手を上に掲げる。
 そして、カチンとグラスを合わせた。
 それぞれの願いを胸に。

「Bastard Xmas!!」
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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