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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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炎夏 後編
こちらは本日UPの新作です。

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◇◆◇

 食事と酒で御腹も満たされ、大きな伸びをしつつソファーへと背を凭れる。一応、気崩さないように気を付けてはいるものの、流石に着たままではちょっと暑い…と、扇子で軽く扇ぐ湯沢の姿に、簡単にテーブルの上を片付けた石川は、冷蔵庫から追加の缶ビールと御茶を持って来る。
「冷房は入れてるけど、夜になってもまだまだ蒸し暑いね。浴衣着て出掛けたからいつも以上に暑かったでしょ?御飯も終わったし…シャワー…浴びる…?」
 湯沢に御茶を渡し、隣に座りながら、石川がそう問いかけてみる。
 問いかけられた湯沢は…軽く酒気も帯びている所為もあり…ほんのりと、上気した顔。御茶を飲むその横顔も、また色っぽくもある。
「…良いの?シャワーで流しても…」
 その意図は…と、問いかける必要もない。浅く座り直し…浴衣の合わせを直しつつ、居住まいを正してみたりもする。
 そんな姿を横目に眺めつつ…缶ビールに口を付けながら、ふと思い出す。
「そう言えば…着物の合わせ、ってさ…男が後ろから抱き締めて、女性の懐に右手を入れやすいように右前、って聞いたことがあるんだけど…」
「…はい?」
 急に何を言い出すのか…と首を傾げる湯沢に、くすっと笑った石川が手を差し伸べる。
「おいで」
「…石川くん…」
 その手を取ると、膝の上へと促される。流石に浴衣なので、跨ぐと裾が開くのだが…と思いながら、何となく横座りで座ってみる。
「何か可愛いね。その座り方」
「…だってしょうがないじゃん…足開いたらパンツ見えるし」
 口を尖らせる湯沢に、石川はくすっと笑う。
「それはそれで色っぽいけどね。どうせパンツは脱がすんだけど」
 そう言いながらそのまま抱き寄せる。
「エロ親父だ」
「いつも言うよね。自分だって同じクセに」
 くすくすと笑う石川に、湯沢も笑いを零す。
「そりゃそうさ。でも俺がエロいのはあんたの所為でしょ?あんたが、気持ち良いこと一杯教え込んだんじゃん。俺はあんたしか経験ないし?」
 そう言いながら、石川の手を取る。
 雪駄を拾いに行った時にひっかけた手の甲は、まだうっすらと赤い。
「ここ…御免ね」
 そう言いながら、そっと口付ける。そしてその手を握ったまま、石川の肩へと顎を乗せる。
「…改めてさ…情けないな、って…実感した。俺がぼんやりしてたから、雪駄脱げて落とすとか余計な世話かけて…ベーシストの手怪我させちゃったし。それに…昔と違って、いつでも会える訳じゃないから、尚更なんだけど…浴衣見て、あんたが喜んでくれたら嬉しいな、ってさ…年甲斐もなく、独りで盛り上がっちゃったんだけど…あんたは面倒臭いって思ったんじゃないかな、って…」
 ホロ酔いに任せてぽつりと零した言葉に、石川はその頭に頬を寄せる。
「別に、こんなのは怪我に入らないよ。指先じゃなくて、手の甲だもの。仕事にだって影響しないよ。それより、御前が足の裏を怪我でもしたら、その方が差し支えるでしょう?それに、今日だって俺は嬉しかったけど?本当は…御前が浴衣姿見せてくれた時に、押し倒したいと思ったくらいだもの。まぁ…今日の目的は花火大会だったから、まだだって…理性を押さえるのが大変だったんだけど…?」
「…受け入れるって…その状況を、ってことだったの?」
「当たり前じゃない」
 腰を引き寄せ、湯沢の耳へと口付ける。そして首筋へと頬を寄せる。
「良いオトナだしね。若い頃みたいにガツガツしなくても良いかな、って。一緒に…いてくれるんでしょ?」
「うん。いるよ。約束、したからね。でもさ、俺としては…今、満たされたいんだけど…?」
 石川の首に腕を回し、その顔を、期待を込めて見つめる。
「それは勿論。これから…ね」
 そう言いながら、頬を寄せて深く唇を重ねる。そうしながら、その手は早速浴衣の裾を手繰り寄せる。
「…合わせの話しときながら、上じゃなくて下から来るんだ…」
 てっきり、胸元から手を入れられるのかと思いきや、裾から忍び込んで来たその手に笑いを零しつつ、両腕を石川の首に回したまま、その足を跨いで座る湯沢。そして極めつけに、にっこりと笑う。
「良いね、浴衣。色っぽい通り越して、艶っぽい」
「俺にそんなこと言うのは石川くんぐらいだけどね」
 昔から、ある意味…玩具やペットのように、可愛がられてはいた。そんな中、何食わぬ顔をして実は興奮しているのは石川ぐらいだろう。そう思いながら言葉を零すと、石川は湯沢の太腿を撫でながら苦笑する。
「知らない、って平和だね」
「…はい?」
 首を傾げる湯沢に、石川はにっこりと笑う。そして湯沢の腰を引き寄せると、珍しくベッドへ行かず…剥き出しの太腿を撫でながら更にその先へと手を入れる。そして先ほどの宣言通り…湯沢の下着へと、手をかける。
「いきなり脱がすんかいっ」
「パンツは脱がすって言ったじゃない?それとも、脱がなくても良いの?」
「…いや…そりゃ……って、え?"パンツは"、って…」
 まぁ、浴衣なので。襦袢やステテコの肌着類は暑さに耐えられず省略して着てしまったので、着ているのは浴衣と下着(パンツ)。それしか着ていないのだが…そこで"パンツは"、と限定されるとは。
「ベッドに行ったら、全部脱げちゃうでしょ?折角着てくれたんだから、脱げないように…ね?」
「ね?、って…」
 そう言いながら、顔を寄せ、軽く口付ける。そしてそのまま首筋へと顔を寄せて耳の下へと口付ける。
「…汗臭くない…?」
 くすぐったさと、快感とが混ざり合う感覚。
 多分、石川なら大丈夫と言うだろうと思いつつ…それでも、結構汗もかいたと自覚している湯沢。まぁ、仕事でドラムを叩けばそれ以上は汗もかいていて、それでも問題なく興奮していたはずだが…このところ、仕事終わりで石川と会うことがなかったので、流石に気が引ける。
 だが、やはり湯沢の予想通り…石川はぶれない。
「大丈夫。寧ろ、久し振りで興奮する」
 そう言いながら、その首筋へと顔を埋める。そして反対側の首筋も、その匂いを存分に堪能すると、唇で軽く食む。
「ちょっ……んんっ」
 食まれた感触に一瞬驚いたものの、湯沢も顎を上げ、首筋を食まれるその感触にうっとりとした表情を浮かべる。
 首筋から鎖骨へ、そして浴衣を少し開いて、その胸元へ。唇が触れる度に、身体が甘く疼く。促されるまま腰を軽く上げると、あっと言う間に下着を脱がされる。
「…ここで…?」
 いつもなら、必ずベッドへ運んでくれる石川。だが、今日は浴衣を脱がさないような話をしていたのだから、どうやらいつも通りベッドで…と言う雰囲気ではない。
「…そう。前に…ベッドじゃなくても良いって、言ったよね?」
 湯沢の腰を撫で回しながら、その顔を見上げて首を傾げる石川。やっていることは別として、その仕草がちょっと可愛い…と思いつつ、一番最初の時に何気なく言った言葉をいつまでも律義に守ってくれていた石川に、反論などするはずもない。
「…良いよ。あんまり変な場所は流石にアレだけど…家の中なら」
 くすっと笑いながら、その首に腕を回して誘うように深く口付ける。
 何年経っても、涸れることのないことのない欲望。けれど、今日はシチュエーションがいつもと少しだけ違う。だからこそ、尚更…御互いに興奮を呼び起こす。
「…ぁん…っ」
 思わず零した甘い声。胸元から首筋、そして顎まで唇で辿り、零れる吐息を拾うように口付ける。
 浴衣の下のその身体を弄りながら、腰を引き寄せる。そして、ソファーの軋む音と共に聞こえる湿った音と、隠すことのない嬌声。耳に届く全てが、蕩けているようで。
 いつもより、より興奮した結果は…翌日、実感するのであった。

◇◆◇

 翌朝。先に目が覚めたのは、石川。
 枕元の時計を見れば、もう朝、とは言い難い。
「…えっと……」
 起き上がると、まず状況を確認する。隣には肌掛けを抱えて未だ丸くなって眠る湯沢。そしてその恰好は…辛うじてパンツ一丁。着ていたはずの浴衣は……ぐしゃぐしゃに丸まってベッドの下。
 昨夜、ソファーでの行為の後…結局何処か落ち着かず、そのままベッドに移動したことは覚えている。幾度…など覚えていないくらい…その後も興奮は収まっていなかったはず。
 久し振りに湯沢の汗の匂いを嗅ぎ、いつもと違う浴衣姿に興奮したとはいえ…流石に年甲斐もなく…と言う言葉が頭を過ぎる。若い頃みたいにガツガツしなくても良いかな、と自分で言ったにも関わらず…だ。
 おまけに…湯沢は言及しなかったが…正直、石川は湯沢がモテないとは思っていない。運良く湯沢が気づいていないだけで…時々噂ぐらいは耳に入る。噂止まりなのは幸いだが…自分自身が噂に翻弄されないように、精一杯甘やかして、愛情を注いでいる訳で。そうすると歯止めが利かなくなるのも現実。
 毎度毎度の反省に溜め息を吐き出しつつ、ベッドを降りて浴衣を拾い上げる。帯は何処へ…と見回しながら…ふと浴衣を広げてみれば、襟元に汗染み。おまけに…気づかないうちに、色々汚したようだ…これは確実に、洗濯必須。
「…これは拙いな…」
 湯沢からは、私物なのか借り物なのかは聞いていなかったが…取り敢えず、眠っている湯沢を起こさないように…と、スマートフォンを手に寝室からそっと出て、リビングへと向かう。
 そして暫く考えた末に…覚悟を決めたように電話を掛けた。
 呼び出すこと暫し。やがて、聞き慣れた声が届いた。
『石川?どうした?』
 当然、相手のスマートフォンには自分の名前が出ているはず。だからこそ、こんな時間の電話にはまず何かあったのか、の確認から始まる。
「…あ、清水さん?朝から御免ね。ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
 電話の相手は、嘗ての同胞。そして今尚、時々共に仕事をする仲間。
『…聞きたいこと?』
 限りなく午前中だが…既に朝ではなくほぼ昼。そして電話も向こうには微かに騒音が聞こえる。と言うことは、もしかしたら出先だったか。そう思いながら、用件を簡潔に伝える。
「浴衣って、洗える?」
『……は?御前、浴衣なんか持ってたのか…?』
 取り敢えず…着ている姿は見たことがない。恐らく、その記憶からの問いかけなのだろうが…小さく咳ばらいを一つ。
「…俺のじゃないんだけど…かなり皺に……あと、ちょっと…色々汚れた、って言うか…」
 思わず口籠った石川に、状況を察したらしい。
『…湯沢のか?浴衣で興奮して、そのままやったな?』
 親しい間柄の証拠だが…相変わらずど直球な言葉と苦笑する声に、溜め息を一つ吐き出す。
「出先でしょ?そんなこと外で言わないで」
『何だよ、聞いて来たのは御前じゃないか。出先って言ったって、傍に誰もいないし』
 相変わらずくすくすと笑う声に、石川は再び溜め息を吐き出す。
「…かけ直すよ…」
『移動中でこの先繋がらないかも知れないから、このまま話した方が早い。汚れたなら、早いうちに手入れしろ?』
 そう言われ、有難いと思いながら言葉を続けた。
「御免ね、なるべく早く切るから。で…やっぱり手洗い?どうやって干したら良い?」
 深入りはやめよう。そう思いながら改めて用件だけを伝えると、暫しの間。そして。
『市販の浴衣なら、タグが付いてるだろう?それ見ろよ。洗濯不可なら諦めて専用のクリーニングに出せ。洗濯可能で手洗いだったら、色落ちしないか確認して、速攻手洗いな。おしゃれ着用の洗剤で風呂場で洗えば良い。素材にも依るが、その後綺麗に畳んで洗濯ネットに入れて洗濯機の手洗いモードでもいける。真っ直ぐ陰干しして、アイロンかければ問題ない。出来なかったら…誰かに託せ』
 実に簡潔。毎年自分で着て、手入れをしていれば流石に出来るだろう。
 だがしかし。石川が自分で出来るか…と言われれば…。おしゃれ着用の洗剤って何だ?と言うところからなのだ。普段からTシャツジーンズの生活。そんなもの使ったこともなければ、当然家にもない。
「…今日は仕事?」
 思わず問いかけると、再び苦笑する声。
『俺かよ』
「…駄目かな…?」
 少なくとも、自分よりは浴衣の手入れに慣れている。なので、思わず縋ってしまったが…相手は苦笑は返すものの、そこは流石にうんとは言わなかった。
『俺が東京に戻るのは早くても明日の午後だし。それから会えるのはいつになるんだよ。落ちなくなるぞ?』
 どうやら相手は既に東京を離れている。相手もまた、週末は仕事が立て込んでいる。ならば、諦めるしかない。
「…そう。わかった。何とかするよ。忙しいのに御免ね」
 溜め息交じりの声に、ふと…何かが過ぎったのだろうか。
『大丈夫だから。頑張れよ』
 それだけ言い残し、電話を終える。
「…流石清水さん…」
 顔を合わせる回数が多いだけに、流石に察しが良い。ちょっとした言葉でも、何処か安心する。そんな思いで吐息を吐き出したものの…よくよく考えてみれば、相手から聞いたのは基本的な浴衣の手入れ。手洗いしろとは言われたが…その後畳んで洗濯機とか、真っ直ぐ陰干しとか…初心者には到底無理だろう…と、大きな溜め息を吐き出す。すると、いつから見ていたのか…くすっと笑う声が聞こえた。
「何、清水さんに助け求めてんの?大きな溜め息吐いて…振られちゃったの?」
「…湯沢くん…起きてたの?って言うか…出先だからってね。通常の手入れの仕方だけ伝授された…手洗い必須、だって」
 ぐっすり眠っているから…とリビングで電話をしていたのだが、どうやらその間に目が覚めて話を聞いていたらしい。
 相変わらずパンツ一丁の姿で、笑いながら石川が座るソファーの隣に腰を下ろす。
「別に、あんたが手入れしなくても良いのに。俺がやるって」
「…いや…脱がせなかったのは俺だし……早く脱がせば良かったかな…」
「脱いだらいつもと一緒じゃん。折角、浴衣で興奮したのに?」
「…それはね…まぁ…」
 昨夜、この場所で。しかも湯沢は浴衣で。結局、最終的には脱がしてしまったのだが…いつもとは違う状況に興奮したのは確か。だからこそ…折角の浴衣が皺くちゃで、汗も含め汚してしまったのだ。だから何とか手入れを…と思ったのだが、やはり自分の手には負えないことは明確。
「まぁ、大丈夫だよ。手入れの仕方はネットで検索すれば出て来るし。持って帰ってウチでやるから心配しないで。持って来たのは俺なんだし。それに私物だから、染みとか落ちなければ…専用にすれば良いし」
 そう言いながら、その腕を後ろから石川の腰へと回す。
「手入れの仕方、ちゃんと覚えるからさ。そしたら…また、浴衣で……ね?」
「…別に、浴衣じゃなくても良いんだけど…」
「でも、興奮したでしょ?」
「…それは…ねぇ」
 明るいところで、こんな素面な状態で、そんな話は気恥ずかしいのだが…湯沢は上機嫌だった。
「まだ、シャワー浴びてないけど…何だったら…もう一回…する?」
 身体を摺り寄せ、耳元でそう囁いてみる。すると、ちょっとその視線が向く。
「…ホント、翌日はいつも楽しそうだよね…」
「俺のカラダは正直なのよ。満たされると気分良いでしょ?流石に見慣れてるけど…あんたは朝になるといつも目一杯ネガティブだよね?」
 別に、今日に限ったことではない。昔から、ずっとそう。まぁ要は、前日に興奮し過ぎて無理させたのではないか、との後悔と反省。
 核心を突かれ、思わず溜め息を一つ吐き出した石川に、湯沢はその肩をポンと叩く。
「いっつも言うけど、大丈夫だって。昨夜は久々に凄かったけど、身体は別に何ともないし、満足したし。まだまだ絶倫だね。若いよ、石川くん❤」
「…もぉ…若くもないし、絶倫でもないから…そう言うのやめて…」
 赤くなった顔を両手で覆った石川をくすっと笑った湯沢は、そのままソファーから立ち上がる。
「えー?俺が大満足で寝落ちするぐらいだよ?十分若いじゃん。おかげで昨夜はシャワー入りそびれたから、流石に汗臭いかな~。シャワー浴びて来るから」
「…え?あ……ちょっと…」
 背を向けた姿に、思わず手を伸ばして、その腕を掴む。
「…ん?どした?」
「…いや…」
 引き止めたものの…流石に夏の最中に目一杯汗をかいているのに、シャワーを浴びさせないと言うのもどうかと思う。だが、その性癖故に迷いどころ…と言わんばかりの表情を浮かべた石川。
 それをわかっていて、湯沢もわざと言ったところもあるのだが。
 くすっと笑いを零した湯沢は、自分の腕を掴んでいるその手を反対の手で掴むと、ぐいっと引っ張ってソファーから立ち上がらせた。
 そして。
「じゃあ、一緒にシャワー入ろう?」
「……もぉ…」
 ニヤニヤ笑う湯沢のその顔で、その意図は十分に伝わる。
「どうする?」
 もう一度問いかけると、石川は小さく溜め息を吐き出した。
「…入るよ。長風呂はしないよ?」
「勿論」
 笑いながら、その手を取って浴室へと向かう。
 当然…ただシャワーを浴びるだけでは終わらないのだが…まぁ、どちらにとっても、想定内。
 シャワーを浴びに行ったにしては長い時間だが…昨夜かなり興奮した所為もあり、流石にここは御互いに年齢も加味しながら、幾度も…とは言わず、長居せず上がって来る。
「いやぁ、満足満足❤」
 冷たい水で喉を潤しながら、実に満足そうな湯沢。そして、こちらも水を飲みながら、流石に反省気味の石川。
「まさか、この後仕事ないよね…?」
 御互いのスケジュールを最初に確認しなかったが…過去何度も同じような状況で仕事に行った経歴を持つ湯沢に、心配そうに問いかける石川だったが、湯沢はにっこりと笑う。
「大丈夫、今日はオフですよ!何なら俺はもう一回ぐらいイケるけど…?寝たし、風呂入ったし、後は腹ごしらえさえすればね」
「…俺が限界…」
 底なしとはまさにこの状況だろう…と思いつつ、ドラムを叩いて発散する以外は他所で何やらする訳でもないのだから、ここは石川が体力を維持すれば良いだけの話、と言うことになる。
「石川くんもドラムやれば良いのに。体力つくよ?」
 くすくすと笑う湯沢に、石川は溜め息を一つ。
「俺がドラムに転向したら、悪魔が戻って来た時に誰がベース弾くの?」
「…ん~…清水さんでも呼んで来る?ベースも弾けるでしょ?」
「…そう来るか。でも御前がメインドラムだからね、俺は出番なくなっちゃうし?って言うか、体力云々の以前に御前の足元にも及ばないから無理」
 流石にそれはない。でも、発想としてはちょっと面白かった訳で、くすっと笑いが零れた。
「まぁ…これ以上体力落とさないように、不摂生しないように気を付けるよ」
「頑張れ~」
 上機嫌で笑う湯沢。その顔に、石川も笑いを零す。
「さ、御飯食べに行くよ~」
 笑いながら着替える湯沢。
「はいはい」
 すっかり湯沢に振り回されたが…それでも、滅多にない経験をした気がする。
 後は…興奮し過ぎないように、自重すれば良いだけ。
「来年も…花火、行こうね」
 ぽつりと零したそんな言葉。だが、満面の笑みが返って来る。そして頬を傾け、深く口付ける。
「浴衣の手入れ、マスターしとくから」
「…御願いします…」
 もう既に、自重に自信がない。自信はないが…それだけ、共にいる時間が愛おしいと言うこと。そう言うことにしておこう。
 もう一度深く口付け、甘い吐息を分け合う。そうして、零れる笑顔は、愛されている証。
 それは、御互いに。
 目一杯の愛情は、心を強くする。それを、実感したのだった。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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