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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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発生日の約束
こちらは、以前のHPで2000年01月04日にUPしたものです
エースの発生日記念に。

拍手[3回]


◇◆◇

 それは丁度、3月の初めの頃だったはず。
 掃除当番でリビングの掃除をしていたルークは、ソファーの端っこに、小さな光を見つけた。
「…何、これ…」
 指を伸ばし、それを拾い上げる。
 それは、小さな赤い石の付いたピアス。
「…エースのかな?」
 その色で察したものの…ゼノンのかも知れないし。
「とにかく、聞いてみるか」
 掃除の手を休め、ルークはゼノンの部屋へと向かった。

「ううん、俺のじゃないよ」
 キッチンで料理中だったゼノンは、その小さなピアスを掌に乗せ、首を横に振った。
「じゃあ、やっぱりエースのかなぁ…」
「でも、見たことないね。新しいヤツかな?」
「じゃ、早々に落としたのかな…?」
 ルークはそう言ったものの…だったら探してるはず。けれど、さっき出かけた買い物係のエースは何も言ってはいなかった。
「気付いてないのかな…?」
 ルークがそうつぶやいた時。
「はぁ~っ…疲れた、疲れたっ」
「あ、お帰り」
 買い物係の宿命ではあるが、気の毒なくらい大きな買い物袋を両手に抱えて帰って来たエースは、いつものように髪をまとめ、その左耳には相変わらず派手すぎないピアスが光っていた。
「ねぇ、これあんたの?」
 ルークはゼノンの掌に乗っているピアスを指差し、エースに尋ねる。
「いや…俺のじゃない。ゼノンのじゃないのか?」
「俺のじゃないよ。それにこの色、エースの色じゃない?」
「そんなこと言われてもなぁ…知らねぇぞ」
「じゃあ、誰のだろう…?」
 この屋敷で、ピアスをしているのはエースとゼノンだけ。ついでに言えば、来客もなかったから、他に誰が落とす理由もない訳だ。
 …と三名がピアス一つで悩んでいると、つまみ食いにでもやって来たのか…ライデンがキッチンを覗いた。
「…何やってんの?」
「あぁ…ねぇ、ライデンはこれ、誰のか知らない?」
 駄目もとで…と問いかけたルークの声に、ライデンはふとその視線をピアスへと向けた。
「あんたたちのじゃないの?」
「違うんだって。全くの、身元不明」
 ルークの声に、ライデンは更にじっくりとそれを見つめた。そして上げた眼差しは、ちょっと申し訳なさそうだった。
「ん~…そう言えば…これかどうかはわかんないけど、デーさんが何か探してたみたいだけど……」
「…デーさん?」
「そう。何か落としたって言ってたけど…何かはわかんないよ?だって、デーさんピアスなんかしてないし…っ」
「………」
 慌ててそう繕うライデンだが…その言葉は既に遅かったようだ。
「デーモンに、ピアスは必要ないよな?」
 非常に冷静な、エースの声。
「まぁ…ねぇ…」
 そう。エースとゼノンのピアスは、魔力制御と感情制御の為。赤の種族は特に、必要以上に魔力が放出されるのを嫌うらしい。因にライデンは、勝手に放電してるから必要はないようだが。
「デーモンに直接聞いてみるしかないんじゃないか?」
 エースはきっぱりとそう提案すると、置き去りにしてあった買い物袋の中身を冷蔵庫へと移し始めた。
「…そうだよね。それが一番早いか」
 エースの言うことは尤もだった。
 見つけてしまった責任…と言うか何と言うか…関わってしまった以上、ルークが行くしかない訳で。そして、やっぱりライデンの言葉が気になってたのだろう。エースまでも一緒に、デーモンの部屋へと足を向けた。

「あぁ、そうだ。吾輩が探してたんだ」
 エースが一緒、と言うことがちょっと気まずかったのか…デーモンは視線を背けたまま、二名の顔を見ない。
「御前、ピアスなんかどうするつもりだったんだ?今更付けるつもりか?」
 エースの声に、デーモンは更に視線を背ける。
「吾輩のじゃない」
 デーモンから、そう返って来た答え。だが、それだけでエースが満足するはずもなく。
「じゃあ、どうするんだよ」
「……預かり物をな…ちょっと落としただけだ」
「預かり物?」
「…うるさいっ!もう良いだろう?そんなことまでいちいち説明する必要はないだろうがっ」
 遂にはデーモンの方が投げ出してしまったようだった。
 ルークの掌に乗っていた赤い石のピアスを奪い取ると、引き出しの中から小さな箱を取り出して、その中にピアスをしまいこんだ。
 当然、エースの表情が変わったのは言うまでもない…。
「まぁ、俺には関係ないけどなっ!」
 完全に、エースの逆鱗に触れた訳で…。
 さっさと自分の部屋に戻っていったエースを溜め息と共に見送り、デーモンは小さくつぶやいた。
「…ったく…カルシウムが足りないんじゃないのか?彼奴は…」
「…カルシウムの問題じゃないと思うけどね…」
 デーモンの姿を眺めていたルークは、溜め息を一つ。
「エースは、根本的なところで拗ねてるんだってば。はっきり言えば良いのに、変な言い訳するから…」
「……そんなこと言われたってだな……」
「はっきり言わないデーさんが悪いよ?エースの誕生日目前にさぁ…エースと同じ色の預かり物だなんて言って、怒るの当たり前じゃないよぉ。カルシウムがどうのとか言ってる前に、仲直りしてよ?」
「…ルーク…」
 ルークがデーモンにそう提案してみたものの…後は、デーモン次第なのだが、どうなることか…。

◇◆◇

「…ったく…いちいち説明せんでもわかりそうなモノを…」
 翌日、エースの機嫌を損ねたまま、デーモンは魔界へと戻って来ていた。
 そしてここは、文化局のとある部署。
「お待たせ致しました、閣下。こちらで宜しいですか?」
 そう言って小さな箱を持って来たのは、文化局の局員でもあり、ゼノンの魔界での屋敷の執事でもあるレプリカ。
 どっかりとソファーに腰を降ろしたデーモンの前のテーブルに、レプリカはその箱を丁寧に置いた。
「無理を言って悪かったな。忙しかっただろう?」
「いえ。御心配なさらずに」
 にっこりと微笑むレプリカは、サイドテーブルでお茶の用意をしている。
 その間にデーモンは、箱を手にしてその中身を確認し、小さな笑いを零した。
「先日、御屋敷で落とされたとおっしゃっていたピアスは見つかりましたか?」
 入れたばかりの紅茶をテーブルに置き、レプリカはそう尋ねる。
「あぁ、あれな。リビングのソファーの隅にあったそうだ。ルークが見つけてくれたんだが…おかげで構成員全員に見つかってしまったがな。思わず、預かり物だなんて言って、エースの機嫌を損ねたが…」
 ポケットからピアスの入った小箱を取り出し、それをレプリカに渡しながらそう口を開く。
「…大丈夫ですか?」
「…まぁ…何とかはなるだろう。これで、機嫌を直して貰えれば良いんだがな…」
 再び溜め息を吐き出したデーモンである。

◇◆◇

 3月9日と言う日。
 この日ばかりは、喧嘩もやめて欲しいと思いつつ…未だ冷戦状態を保っているデーモンとエースの間で、残された三名は溜め息しか出なかった。
 しかも、その日の朝からデーモンは書類に追われて職務から離れられず、自室に籠もって出て来る気配もない。
 それが気に入らないのか、エースの苛々も募る一方……
「放って置けよ。書類を溜め込んでいるのも、出て来ないのも、彼奴の勝手だからな」
「だってさぁ…そうもいかないでしょうが…」
 怖いくらいに冷静なエースの言葉に、誰もが溜め息しか出ない訳で…。
 発生日だと言うのに、全く穏やかにはならず…寧ろ、悪化しているであろうぴりぴりと緊張した空気が、エースの周りで淀んでいた。
 そして、一向に回復しない空気の中、そろそろライデンが空腹を訴えそうな時間になり、エースの発生日のパーティーの準備も整った頃。
 玄関のチャイムが鳴った。
「誰だろう…?」
 今日は身内だけのパーティーのはず。招待した客はいなかったはずなのに、そのチャイム。首を傾げながら玄関へと向かい、ドアを開けたのはゼノン。
「…あれ?レプリカじゃない…」
「御久し振りです、ゼノン様」
 にっこりと微笑み、時期的にはまだ少し早いはずのチューリップの花束を両手一杯に抱えたレプリカが、そこには立っていた。
「おや。珍しいお客じゃん」
 声の主を確認に来た他の三名。その中のエースに向け、レプリカは花束と共にお祝いの言葉を送る。
「御発生日、おめでとうございます」
「あぁ…有難う…」
 呆然とした表情のエース。突然の派手な登場に驚いたのは、エースだけではないのだが…やはり、当事者のエースが一番驚いているのだろう。
 エースはと言うと、レプリカの持ってきた埋もれそうなくらいの花束を手に、驚きに押されてその怒りは多少緩んだようだった。
 だが、レプリカが持ってきた贈り物は、それだけではなかった。
 濃紺の箱を取り出し、エースに手渡す。
 その一言を付け加えて。
「閣下から、エース様にと」
「…デーモンから…?」
「はい。御忙しいのと、直接御渡しになられるのが御恥ずかしかったようで、わたくしが代わりに御預かりしておりました」
「……」
 絶句しているエースを横目に、他の三名はくすくすと笑いを零していた。
 デーモンらしい演出と言えばそうなのだが…。
「開けてみたら?」
 にっこりと微笑み、ゼノンはエースに声をかける。
「あぁ…」
 何処かぎこちない返事と共に、エースはその箱を開けた。
「…あ…」
「ん?何、何?」
 覗き込んだみんなの目に入ったのは、この前ルークが拾ったピアスと…そしてもう一つ。
「…指輪、だよね、これ…」
「だいね」
 それは、金の縁に彩られた、赤い流れを作る指輪。それも、飾りが極力少なくて、リングの太さも差して気にならない程、エースの為に気を遣った繊細な作りだった。
「…でもこれさ…どっかで見たことない…?」
 誰もがその繊細な美しさに見惚れていた所に届いたゼノンの声。
「…そう言えば…これ、何処かで…」
 記憶の糸を辿りつつ、辿り着いた末の答え。ルークとライデンの声が見事にハモった。
「デーさんの指輪!」
 去年のデーモンの発生日にエースがプレゼントした指輪と色違いでそっくりな物。
「閣下からの御注文です。エース様に御似合いのを作って欲しいとのことで。このピアスも、特別にと」
 にっこりと微笑むレプリカ。
「へぇ…なんて言うの?この石」
 真紅の輝きは、とても綺麗だった。
「『まいかい』と言う石です。中国に産する、美玉の一種で、赤色がとても美しいので、閣下の非常に御気に召したようです」
 そんな大事なモノを落とすなんて、デーモンのうっかりにも程がある。多分、誰もがそう思ったことだろう。
 だがしかし……これを放って置くなんて言う勿体無いことを、するはずもない訳で。
「エース、これ填めてみたら?」
「…え?」
「ほら、いつまでもぼーっとしてないでさ。デーさんに御礼言わなきゃ」
 すっかり放心状態のエースの背中を叩いてとりあえず目を覚まさせると、ルークはその『まいかい』のピアスと、赤い指輪を填めさせた。
 そして。
「ほら、行っといで」
 半ば無理矢理にエースの背中を押して、二階のデーモンの部屋へと押し込んだ。
「さて、それじゃ俺たちは俺たちで楽しもうか」
 呑気にそう言ったゼノンの声に、ライデンは潤んだ眼差しでゼノンを見つめた。
「腹減ったよぉ~~」
「わかった、わかった。さ、レプリカも一緒においで」
「…はい」
 くすくすと笑いながら、レプリカもパーティーに引きずり込まれる。
 それでも…みんな、倖せならばそれで良い。

◇◆◇

 突然入って来た…と言うよりも、押し込まれたと言った感じの来客に、書類の整理をしていたデーモンは、驚いて動きを止めた。
「あっと…その……」
 言葉に詰まったエースに、デーモンは軽く微笑む。
「やっぱり、その色を選んで良かった。御前と同じ色で、良く似合うぞ」
 その言葉に、エースは一瞬にして顔を赤らめる。
 良く考えてみれば、察しは付いたものを…とんだ勘違いだったと、エースは申し訳なさで一杯だった。
「…御免。でも、御前もいけないんだぞ?預かり物だとか、変なこと言うから…」
「あぁ、そうだな。悪かった。だが…サプライズにしたかったんだ。折角の発生日だから…な」
 くすくすと笑いながらエースに歩み寄り、デーモンはエースの額にかかる髪をそっと後ろへと流した。
 そして。
「発生日、おめでとう。エース」
 エースの頭を引き寄せ、背伸びをして、その額にそっと口付ける。瞬間、エースの頬の赤みが増した。
「あ…の……」
「似合うぞ、エース」
 笑いながら耳元で囁いた声。そして、申し訳なさそうに自分の机の上の山の書類を指さす。
「悪いが、これを明日までに仕上げなきゃならないんだ。また後でゆっくり…な」
 そう言ってデーモンが踵を返したその途端、エースは腕を伸ばして背後からデーモンを抱き締めた。
「エース…っ」
「…有難う」
「…あぁ」
 小さく答えたデーモンであったが、ふとエースの手に目が行った途端に、デーモンはエースの手を掴みあげた。
「こらっ。填める指が違うだろうがっ」
「…は?」
 一瞬、何のことを言われているのか理解らず、指輪の填まっている自分の右手を見た。
 その薬指に填められている指輪を、デーモンは眉を顰て引き抜く。
「これは、こっちの手だっ」
 そして左手を取ると、その薬指にすっと指輪を填め込んだ。
「だから…っ」
 そう言うことだ。
 僅かに赤くなったデーモン。その意味を察したエースは、更に赤くなる。
「機嫌、直ったか?」
 思わず問いかけたデーモンの声に、エースは小さな吐息を吐き出す。
「…あんたのは?」
「…は?」
「あんたの指輪は?」
「え?あぁ、ここに…」
 エースに言われ、デーモンは引き出しから濃紺の箱を取り出して、それを開けた。
 そこには、エースが填めているのと色違いの、銀の縁に青い波の指輪がきらめいていた。
「あんたが俺に、これを填めてくれたから…お返しだ」
 長い指でそれを掴み、デーモンの左手に填める。
「…そう言う意味で、な」
「…あぁ、それなら有り難く」
 お互いの間に、穏やかな笑いが零れた。
「じゃあ、また後でな」
「あぁ、悪かったな。時間がなくて…」
「いや。良いんだ、別に」
 その口調には、少しも拗ねた様子はなくて。エースはすっかり、デーモンのプレゼント作戦に骨抜きにされたようだった。
 部屋を出て行こうとそのドアに手をかけたエースは、ふとその歩みを止めた。
 そして、問いかけた声。
「いつか…俺を、貰ってくれるんだろう…?」
「エース…?」
 デーモンとは背中合わせになっている為、表情まではわからない。ただ、その雰囲気で、エースがどんな顔をしているかの想像は付いた。
「そう言う約束だろう?人間界の法則に則って言うならば。そのつもりで…良いんだよな…?」
 その言葉に、デーモンはくすっと笑いを零した。
「…あぁ。まだ、その準備は何もしていないが……いつか、な」
「…約束、だからな。俺は一生、あんたに…」
----付いて行くからな。
 それだけつぶやき、エースはパタンとドアを閉めて出て行った。
「…あぁ、約束だ」
 自分一名になった部屋で、デーモンはぽつりとつぶやいていた。


「おやまぁ、随分早かったじゃない?もっと遅くなると思ってたのに」
 リビングに帰ってきたエースに、ルークは声を上げた。
「…礼を言ってきただけだからな」
 僅かに赤みの残っている顔を隠すように、エースはテーブルの上のグラスを手に取った。
 そして。
「よし!今夜は呑み明かす!」
「御相伴に預かりましょう」
 エースの声に、みんなは笑っていた。
 すっかり機嫌の直っていたエースの左手薬指に光った指輪は、誰もが暗黙の了解。
 みんな倖せならば、それで良いのだから。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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