忍者ブログ

聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

雨の後は上天気 前編
こちらは本日UPの新作です。

拍手[2回]


◇◆◇

「…よぉ。久し振り」
「…あぁ…」
 イマイチ…気乗りのしない表情。けれど…その現実は、彼らよりも寧ろ、周囲をハラハラさせていた…。

◇◆◇

《A》
 同じステージの上に立つことはない。
 それは、ある種彼の決意とも言える言葉だったはず。
 だがしかし。緊急的なその状況に、その決意は済し崩しに覆されることとなった。

 新たな年が明けて間もないその日。急遽決まった面子の中に、あの悪魔がいる。その現実に…先に出演が決まっていた彼は、当然大きな溜め息を吐き出していた。
「…大丈夫?」
 声をかけてきたのは、馴染みの顔。彼と同じ、悪魔の媒体だった石川。
「…大丈夫じゃない」
 思わず零した言葉に、小さな笑いが返って来た。
「今日は頼みの綱の本田さんいないしね」
「…別に、いつでも本田を頼りにしてる訳じゃないけど…?」
 そうは言うものの…この状況では、現相棒には寧ろいて欲しかった。そんな思いが過ぎったものの…そこまで巻き込むのもどうかと思う。一線を引いているからこそ、安心するのだから。
「…で?もう来たのか?」
 決して広くはない会場。勿論、控え室もそれに準じている。幾度もこの場に来ているのだから、それは勿論わかっている。その会場の片隅で周りを見回すが、まだその姿は視界に入っていない。
「さっきいたよ。俺も顔合わせて来たし。今は多分、控え室の方で大橋と話でもしてるんじゃない?」
「…そう、か」
 まだ顔を合わせていない彼は、溜め息しか出て来ない。
 打ち合わせはして来ている。だが御互いに忙しく、彼自身と顔を合わせるのは当日となった。
 そんなこともあってか…正直まだ、心の準備が出来ていない。尤も、彼も媒体とは言え長年やって来たのだから、仕事となれば何とかはなるだろうが…
「何をそんなに緊張してるの?」
 くすくすと笑う声に、彼は天井を振り仰ぐ。
「緊張…って言うかさ…何と言うか……まぁ、一言で言えば、帰りたい、かな」
「帰りたい、って…子供じゃあるまいし」
 笑われると流石に恥ずかしいのだが…一番近い心境はそれ、だったのだから仕方がない。
「そんなに毛嫌いしなくても良いのに」
 笑いを収め、漸くそう言葉を零す石川に、彼は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「…別に、毛嫌いして一緒に仕事しなかった訳じゃないぞ?ただ…彼奴の隣に立つべきなのは、俺じゃない、だろう?」
「それを言ったら、俺も大橋もそうなっちゃうじゃない。そんなことに拘る必要はないんじゃないの…?」
 その言葉に、溜め息が一つ。
「…だけどな、彼奴の中で…"エース"は一名だけなんだ。俺だって同じ名前を使ってはいるが、自分の立場ってものは良くわかってるさ。だからこそ、本来なら…同じステージには立つべきじゃない」
「…清水さん…」
 それは、彼なりの決意。けれど、今この状況でそれだけを主張することは出来なかった。
「…まぁ…今回は妥協、だ。こんなことでもなきゃ、絶対拒否したんだけどな…」
 こんなこと、と言ってしまうのは流石に申し訳ないと思ったが、結局のところ彼に拒否出来ない状況を目の当たりにしたからなのだ。
 助けたい仲間がいる。だからこそ、その強い決意を崩してでも足を運ばざるを得なかった。
 急遽、集められた面子。だからこそ、彼に選択の余地はない。救いは…まぁ、クッションともなる石川と大橋がいる、と言うことだろうか。尤も、彼らが率先して和解させようと画策している可能性も無きにしも非ず…なのだが。
 別に…毛嫌いしていた訳じゃない。それは、本心。ただ、同じステージの上にはもう立たないと決めていたはずなのに。自分の予期しないところで、予想外のところで引き合わされた。それが…些か、納得がいかなかっただけで。
 彼も良い大人なのだから。自分の我儘だけで、周囲を困らせようと言うつもりは、毛頭ない。
「…ま、しょうがない。始まるまでにまだ時間はあるしな。それまでに気分転換でもするさ」
 大きく息を吐き出し、そう言って一服する為に席を立つ。
 その背中を見送った石川は、小さな溜め息を一つ、吐き出していた。
「…素直になれば良いのに」
 その溜め息を聞いているのは、誰もいない。


《D》
「ここにいたんだ」
 背後からそう声をかけられ、頭を巡らせる。そこには、馴染みの顔があった。
「あぁ、大橋。探してたんだぞ?」
「それはこっちの台詞」
 くすくすと笑いながらそう言葉を返すのは、本日のメイン演者。悪魔の媒体であった大橋。そしてその相手は、嘗ての総帥。
「有難うね。急遽なのに、来てくれて」
「まぁ、御前の立っての頼みだしな。スケジュールも空いていたし、ラッキーだな」
 くすくすと笑うその姿に、にっこりと笑いを返す。
「清水さんもいるしね?」
「…あのなぁ…御前、清水が出るってことはっきり言わなかったじゃないか。それをだな、そうやって茶化すのはどうかと思うぞ?」
「まぁまぁ」
 彼らの経緯は聞いていた。勿論、秘密にしているつもりはなかった。だが、総帥に関しては駄目元で聞いた状況でのOKだったものだから、その時はつい言いそびれてしまったのだ。
 偶然が重なった。だからこそ、同じステージに立つことになったこの日が、何よりも奇跡なのだと。
「清水さんとは話した?」
 そう問いかけてみると、少し、総帥のその顔が強張った気がした。
「…いや…まだ、な。多分…避けられているんだと思う」
「避けられる?何で?閣下とエースはもう連絡取り合うくらいまで落ち着いたんでしょう?何でそれで清水さんに避けられるのさ?」
「いや…」
「あ、もしかして清水さんのヤキモチ?閣下にエース取られたから?」
「おい…別に、そんなんじゃ…」
 思わず苦笑した総帥に、大橋もにっこりと笑う。
「清水さんも、本田さんがいるんだから、ヤキモチなんか焼かなくても良いのにね?」
「…?…あぁ…」
 大橋の放った言葉に、ほんの少し引っかかるものの…それでも、この日が来るまで、本当に実現することだとは思っていなかった。
 総帥、清水、石川、そして大橋。ここまで揃うことは、多分もうないはず。
 だからこそ…今でも、夢ではないのかと思う。
「本田氏は…何か言ってたか…?この前も一緒にやったんだろう?」
 ふと、そう問いかけてみる。すると、大橋は小さく首を傾げる。
「本田さん?何にも?何で?」
「いや…もう、十年…いや、もうもっと前になるのか…二十周年の時に、吾輩に直談判して来たんだ。再結成が終わったら…必ず清水を、自分たちのところへ返してくれ、とな。勿論、そのつもりでいたし…吾輩だって、清水の居場所は護ってやるつもりだったからな。彼奴が二十五周年も、三十周年も顔を出さなかったのは…自分たちの活動に集中したいと言う気持ちもそうだが、彼奴自身も…我々にこれ以上深入りするつもりはなかったんじゃないか…とな。まぁ、御前や石川とは、それなりに楽しくやっているみたいだからそれで良いんだ。だが、吾輩も…となると、話は違うんじゃないか…とな…」
 昔の事を思い出しながらそうつぶやくその神妙な顔に、大橋は小さく吐息を吐き出す。
「成程ね。だから、閣下もそれを気にしてる、ってことか。でも、三十周年の打ち上げの時に、清水さんと電話してたよね?湯沢くんがラブラブだって叫んでたじゃん?」
「あぁ…。別に、ラブラブな訳じゃない。電話なら顔を合わせないだろう?だから、多少…な。だが、三十周年の後に一度だけ会いに行ったんだが…同じステージに立つことはない、と念を押されたんだ。だから、尚更…な」
 そう。電話でなら話が出来る。だが、そんなに深い話はしない。御互いに、ほんの少し心を癒す為に声を聞くだけ。深入りをするつもりは、総帥自身にもない。約束通り、清水の居場所はきちんと護らねば。その思いだけなのだから。
「でもさ、今回は別に悪魔になる訳じゃないんだし。音だって、清水さんの音だよ?ステージに上がるのは、悪魔のエースじゃない。清水さんじゃん。だから、本田さんもそんなに心配してないんじゃないの?一晩だけで終わり。それも、数時間だもの。ま、後腐れなく…で良いんじゃない?」
「…御前らしいな」
 思わず苦笑する総帥に、大橋も笑いを零す。
 思えば…若い頃は御互いに随分粋っていて、ぶつかることも多かった。けれど、今はこうして笑って話せる。寧ろ、大橋がいなければ…二十周年の再結成も実現しなかった。そして、その後も…今回も。
「…あの時…もっと、御前を信じてやれば良かったな…」
 ふと、そんな後悔にも似た想いが過ぎり、思わず口を吐く。その神妙な表情を前に…大橋は、苦笑する。
「嫌だね~、年取ると。昔の後悔なんか引っ張り出して来ちゃってさ。別に俺は、そんな風に思ってないからね?」
「大橋…」
 その晴れやかな表情に、総帥の方がちょっと息を飲んだ。
「あの時は確かに…色々と揉めたし、苛々もしたけど…結局首切りじゃなく、俺のやりたいことを見守ってくれたんだし。その後だって、ジェイル諸共ちゃんと受け入れてくれたでしょ?若い頃は、時が解決してくれるだなんて思ってなかったけど…それを実感した、ってことかな。今は楽しくやれているし、あれで間違ってなかったんだと思うよ。第一、あの場にいたのがずっとジェイルだったら、最後まで走り切れなかったかも知れないしね。そう思えば、閣下がルークを選んだのは間違いじゃないし、ジェイルが離れたのも無意味じゃない。だから…俺だって、今はこうやって真面目な話が出来る」
 大橋はそう言うと、すっと表情を引き締める。
 そして。
「ねぇ、閣下…笑ってね?俺たちの前だけじゃなくて、清水さんの前でもさ。そんな表情じゃ、駄目だよ?どうせ最初で最後のつもりなら、目一杯笑って、楽しくやろうよ」
「……ったく…御前って奴は…」
 にっこりと笑う大橋。その表情に…つい、感慨深くなる。
 何処までも手がかかって…何処までも、無邪気にヒトの心を捕まえる。そして…何処までも、頼りになる。
 まさに、鎹としか言い様がない。まぁそれが、幾つになっても何処か甘え気質の最年少者の強みなのだろう。
「…さて、昔話はおしまいだ。準備しないとな」
 くすっと笑いを零し、総帥は手を伸ばして大橋の肩をぽんぽんと叩く。
「…有難うな。御前がいてくれて良かった」
 その笑顔に、大橋もにっこりと笑う。
「やっと、恩返しが出来るかな」
 その言葉に、笑い声が零れた。


「…よぉ。久し振り」
 そう声をかけられ、思わず振り返る。
 そこに立っていたのは…一番、会いたくなかった悪魔。
「…あぁ…」
 イマイチ…気乗りのしない表情。見守っている周囲の空気も何処か張り詰めているようで。
「今日は宜しくな」
 相手の方から、手を差し出す。にっこりと笑っているその表情に、彼は一瞬息を飲んだが…やがて、心を落ち着けるかのように大きく息を吐き出した。
 そして。
「…宜しくな」
 その言葉と共に、握られたその手。
 それは、昔と何も変わらない感触。確かな実感が、そこにあった。
「ま、今更どうにもならないから、頑張ろうか」
 ポツリと零したその言葉に、悪魔はにっこりと笑った。
 本番は、もう目前だった。

◇◆◇

《A》
 その日の本番。誰もが心配していたものの、始まってしまえばそれなりに気分は良く、当然その奇跡的とも言えるステージに、客席も大盛り上がりだった。
 そして、十年以上を経た奇跡の時間もあっと言う間に終わりを迎えた。今はもう片付けも終わり、打ち上げも始まっている。
 その宴の席。彼の隣にすっとやって来たのは、今回の功労者、大橋だった。
「呑んでる?」
 笑いながらそう問いかけられ、彼も笑いを零す。
「まぁまぁ、な」
 そう返したその顔は、非常に機嫌が良さそうだった。
「有難うね、来てくれて」
 そう切り出した大橋に、彼はちょっと苦笑いを零した。
「敵前逃亡するとでも思ってたのかよ」
「…まぁ、清水さんのことだから、そんなことはないと思ってたけどね。でも、ここまで機嫌良く参加してくれるとは思ってなかったから」
「…御前に俺はどう見えてるんだよ」
 更に苦笑すると、大橋も笑いを零した。
「仲間思いで押しに弱い気の良い兄ちゃん?」
「あのなぁ」
 思わず笑いを零す。
「本心よ?ホント、助かったもん。本田さんにも、忙しいところ来てくれて有難うって言っておいてね」
 にっこりと笑う大橋に、彼は小さく笑って目を細める。
 そんな姿を眺めながら…思わず零れた吐息。
「これを期に…さぁ。どう?」
「…何が?」
 グラスに口を付けながら、彼はその言葉の真意を察してすっと表情を変える。
「わかってるでしょ?三十五周年のこと。考えてみてよ」
「…何年先の話してるんだよ」
 溜め息にも似た吐息に、大橋はぐいっと身体を寄せる。
「あっと言う間よ?予定組むなら、早くしないと」
「…それはまた別の話」
 大橋の頭をぐいっと押し退けると、大きな溜め息を一つ。
「そう言われるんじゃないかと思ったよ。でも、俺にその気はないからな?」
 そう言った彼の視線が、ふっと大橋から離れる。
 その視線の先にいるのは…総帥。尤も、今は世仮だが。
 総帥もまた、楽しそうに石川と話し込んでいる。その姿を眺めながら…少しだけ、胸の奥が軋んだ。
 自分は…何を求めるのか。そして、相手が求めているのは誰なのか。
「俺は、今のままで十分。これ以上は…踏み込まない方が良いんじゃないかと思う」
「…清水さん…」
 目を伏せ、グラスの中身で口を潤す。
「深入りしたって、良い事は何もない。そうだろう?俺は、"エース"じゃないんだ。彼奴の隣に立つには…荷が重過ぎる」
「…そう思う気持ちはわかるよ。だけど、それじゃ……」
 言いかけた時、電話の呼び出し音が聞こえた。
「…悪い、俺、だ」
 ポケットに手を入れてその着信を確認する。そして席を立った彼の背中を、溜め息交じりで見送っていた。

 店の外に出ると、彼は直ぐに通話ボタンを押した。
「悪い、待たせた」
『…あぁ、御免ね。打ち上げ中だったでしょ?大丈夫?』
 電話の相手は、彼の相棒。
「あぁ、大丈夫。どうした?」
 問い返すと、一瞬の間。
『…えっと…大丈夫かな、と思って…』
 躊躇いがちにそう言われ、思わず笑いを零した。
「何の心配だよ。別に、心配することなんかないのに」
『そうなんだけどさ…』
 何を心配しているんだろう、と思いつつ、彼は片手でポケットを探り、煙草を取り出す。
「大丈夫。無事に終わったから。デーモンとも、別に何もないし。だからって、喧嘩もしてないから」
 煙草に火を着け、紫煙を燻らせながらそう答えながら、推察する。
 相棒が…何を、心配しているのか、と。
 そう思っていると…相棒の方が、その口を開いた。
『ねぇ…デーモンさん、近くにいる?』
「…デーモン?」
『そう。ちょっと…話したいんだけど…』
 躊躇いがちにそう言われ…小さな溜め息を吐き出した彼。
「…ちょっと…待ってろ」
 そう言うと、彼は店の入り口のドアを開けた。


《D》
 予想外に、穏やかな時間だった。
 その安堵感からか、打ち上げの席でも上機嫌だった総帥。尤も今は世仮だが。
 その姿に近寄って来たのは、石川。
「御機嫌だね」
 そう言って差し出されたグラスを軽く合わせ、笑いを零す。
「まぁ…な」
 少し視線を巡らせると、そこには大橋と一緒に談笑する彼の姿が見えた。
「清水さんも楽しそうで良かった」
 ぽつりとつぶやいた石川に、総帥はくすっと笑いを零す。
「正直…ホッとした、と言うところだな」
「きっと、みんなそう思ってるよ」
 石川もまた、小さな笑いを零した。
「他の演者はともかく…少なくとも俺と大橋は…ね。まぁ、当日ドタキャンするとは思ってないけど…デーモンの出演が決まった時に、断る可能性も無きにしも非ず、だったからね」
「どんな心境の変化だったのかはわからないけれどな。まぁ少なくとも…彼奴には今でも歓迎はされてないな。幾ら笑っていた、って…彼奴のビジネススマイルぐらい見抜けるさ」
「ビジネススマイル、ね…」
 昔も良くそんな話を聞いた。それを思い出して思わず苦笑する石川に、総帥は小さな溜め息を零す。だが直ぐに、笑いが零れた。
「それでも…吾輩は、楽しかったんだ。だから別に良いさ」
「…デーモン…」
 ほんの少し…困ったような表情を浮かべた石川に、総帥は笑った。
「そんな顔しなくても良い。吾輩は別に、そんなもんだと思ってるから」
「…でも…」
 すっきりしない。そんな表情の石川に、総帥は大きく息を吐き出した。
「案ずるな。吾輩は、大丈夫だから」
 そう零した時、ふらっと傍へ寄って来たのは大橋だった。
「どしたの?浮かない顔して」
「…御前こそどうした?良いのか?ふらふらしてて」
「あぁ…大丈夫」
 くすっと笑いを零し、ぐるっと視線を巡らせる。彼の相棒も他の演者と盛り上がっている姿を確認すると、にっこりと笑った。
「で?何で俊ちゃん困らせてるの?」
「…別に、吾輩が困らせてる訳じゃないぞ?」
 こちらもにっこりと笑う総帥に、石川は溜め息を一つ。
「はいはい。別に俺は困ってないから。それよりも、清水さんは?」
 先ほどまで、大橋は清水と話をしていたはず。
「あぁ、電話かかって来たから出て行ったよ。荷物はあるから、終わったら戻って来ると思うよ。この時間だから……多分、"本妻"、かな?」
「"本妻"…?」
 怪訝そうに眉を寄せた総帥に、石川はくすっと笑いを零した。
「あぁ、本田さん?」
「…そう言う関係なのか…?」
 確か、清水にその気はなかったはず。"エース"のことは好きだったが、あくまでも恋愛対象は女性。石川も大橋もそれは良くわかっていたはずだから、その思いがけない言葉にそれが彼らの間で黙認されているのか…と思いつつ、目を丸くして問いかけると、石川と大橋は顔を見合わせ、笑いを零した。
「まさか。清水さんは…まぁ、彼女に関してはここ暫く聞かないけど、今でも"エース"一筋だよ?ただ、相棒としてそんな感じかな、ってね。良い感じに夫婦感が漂ってるってだけ。まぁ、今までで、一番長く一緒にいる相手だからね。無理もないよ」
「…だから…ヤキモチ、か…」
 大橋が昼間言った言葉をふと思い出し、思わず零した言葉。そこにそんな意味があるとは、思ってもいなかった。
「まぁ、変な関係ではないはずだから。何度も会ってるけど、少なくとも彼らからはそんな感じはしないからね。まぁ…かなり御互いの音には惚れ込んでいるから、吝かではないかも知れないけどね」
 笑いを零す石川に、総帥が溜め息を零す。
「そうそう。良い感じなんだよね。本田さんも清水さんにはなかなかツンデレだけど、それも可愛いのよ。清水さんも満更じゃないしね。心配なら、自分でちゃんと確かめれば?」
 そう言われ、大橋が指差す先へと視線を向けた。
 店の入り口で、目が合った相手は、自分を手招きする。
「用事があるみたいだよ?行って来れば?」
 果たして、何の用事だろうか。そう思いながら、総帥は小さな溜め息と共に席を立った。
PR
COMMENT
NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 
  
プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
バーコード
ブログ内検索
Copyright ©  -- A's ROOM --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by petit sozai emi / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]