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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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flower flower
本日UPの新作です
ライデン殿下の御発生日記念で。

拍手[4回]


◇◆◇

 とても、空が高い。それだけで、とても気分が良い。
「ん~~、良い天気~」
 大きく伸びをして、澄んだ空気を目一杯吸い込む。
 自身の発生日まで、あと一ヶ月ちょっと。その間は毎年比較的良い天気が続く。そして発生日が過ぎると、途端に冬へと季節が変わっていく。雪の多い雷神界の冬はなかなか厳しいので、早々に出歩けなくなる。
「やっぱり、この時期だね」
 にんまりと笑い、空を見上げる。
 準備は既に整っていた。後は、出発を待つのみ。

◇◆◇

 ゼノンが休暇を取って雷神界へとやって来たその日。思いがけない話を聞いた。
「…視察?」
「そう」
「え?いつから?何処回るの?って言うか…今まで、視察なんて行ったことあったっけ…?」
 困惑気味に問い質すゼノンに、ライデンは笑いを零す。
「まぁ…今までも近場は行ったことあったよ。日帰りから一週間ぐらいのはね。あんたがいない時に。でも、折角良い季節だしさぁ、たまには遠くまで足を延ばしてみようかな~って。明日から、一ヶ月ぐらいの予定で。雷神界をぐるっとね」
「ぐるっと、って…」
 突然そんなことを言われても…と、ゼノンが唖然とする理由はわからなくもない。ただ、突然それを告げられても文句を言えないのは…やはり、雷神界のことに口を挟めないから、と言うことが大きいだろう。
 魔界に籍を置くゼノンは、単なる通い婿に過ぎない訳で…雷帝たる彼の仕事に口を挟むことは出来ない。それは、結婚した時に決めたことでもあるから。
「…誰が同行するの?」
 それくらいは聞いても良いだろうか…と言わんばかりに、様子を窺いながら問いかけてみると、答えはあっさり帰って来る。
「同行?今回は長いからさ、結構いるよ。ロシュが中心だけど、上層部の奴ら?」
 そう言いながら、指折り数を数えながら名前を上げる。側近のロシュを始め、上層部の面々。そして医師の名前も。
「あ、あと今回はここ(王宮)の官吏も何人か連れて行くし、フィードも行くよ。だから、ここも空っぽになっちゃうからさ…折角休暇で来てくれたんだけど…」
 それは暗に、魔界へ戻れ、と言うことだろう、とゼノンも察した。
 ライデンの周りに仕える官吏はともかく、そこから少し離れてしまえば、未だに距離を感じる。そしてもう少し離れると、歓迎されていないことが雰囲気でも感じる訳で…ライデンもそれをわかっているが故に、自分がいない間は雷神界にいない方が良いだろう、との配慮でもある訳で。
「…そう。まぁ、大丈夫。魔界でゆっくりするから。明日は…見送れる?」
 場合によっては、多分それも難しい。けれどそれに関しては、ライデンはにっこり笑った。
「大丈夫。ラングレーが残るから、言っておくよ。それに、暫く会えないから…良い?」
 そう言いながら、身体を寄せて来る。
「…明日出発なんでしょう?大丈夫なの…?」
 普段のライデンなら、きっと何の問題もない。だが、視察に出かける前日だと言うのに…と、ちょっと眉を寄せたものの、相変わらずにんまり笑う。
「大丈夫、大丈夫。ムラムラしたままより、満足して出発出来る方が精神衛生上良いじゃん?」
「…ムラムラ、って…」
 忙しければ、一ヶ月以上会えないこともザラにあるのだが…まぁ、今回もそれくらい空いてしまっている。しかもそのまま、また一ヶ月ほどは会えない訳で。そうなれば、単純計算でも二ヶ月以上…となる。全く会わないのならまだしも、一旦会ってしまっているので…そこは仕方がない、と思うべきなのだろうか。
「…手加減するよ」
 小さな溜め息と共に吐き出した言葉に、くすくすと笑いが返る。
「そう言いつつ、あんまり変わらないけどね~」
 その言葉に、ゼノンも少し赤くなる。本魔は手加減しているつもりだったのだろうが…結局、愛しいと思う気持ちが先立ってしまう。その結果なのだから別に文句はない。寧ろ、ライデンの方が手加減は求めていないので、それはそれで満足だったりする。
 そして、手加減しているのかしていないのか、微妙なところではあるが…束の間の満たされた時間となった。

 出発を目前に控え…留守番の一行と一緒に見送りに出ていたゼノンを見つけ、駆け寄って来たライデン。
「気を付けてね。帰って来たら、必ず連絡してよ」
 そう声をかけたゼノンに、ライデンはにっこりと笑いを零す。
「わかってるって」
 答えを返しながら…昨夜言えなかったことを、その耳元で小さく零す。
「あのさ…御願いが、あるんだけど……」
 その言葉の後、続けて囁く声に、少しきょとんとした表情を浮かべたゼノン。けれど、目の前で笑うライデンの表情に、笑いを零した。
「わかった。準備しておくから」
「有難う。じゃあ…行って来ます」
 満面の笑みを残し、視察へと出発した伴侶の姿を、ゼノンは目を細めて見送っていた。

 そして、ライデンの発生日の前日の昼過ぎ。無事に視察から帰還したとの連絡が、ゼノンの元へと入ったのだった。

◇◆◇

 ライデンの発生日当日。パーティーの会場に…皆が連絡を受けたのは、ゼノンの屋敷だった。
「…ここで、良いんだよな…?」
 職務終了後、連れ立ってやって来たのはデーモンとエース、ルークの三名。今回、ダミアンとジェイルは都合がつかず、欠席の連絡が入っていた。そしてエースの手には、ジェイルから預かった"恒例の"プレゼントの箱がある。
 ゼノンの屋敷で…と連絡を受けていたが、わざわざライデンが出向いて来る必要性が何処にあるのか…と思わざるを得ない三名は、怪訝そうに眉を顰めたまま、そのドアの前に立っていた。
「ライデン、昨日まで視察旅行に行ってたんでしょ?雷神界でゆっくりしていれば良いのにね。俺たちだって、出向くのは苦じゃないのに…」
 そう零しながら、チャイムを鳴らす。すると直ぐに主本魔がドアを開けた。
「いらっしゃい。有難うね、来てくれて。どうぞ」
 中へ促されると、使用魔たるレプリカも出迎える。
「いらっしゃいませ」
「あぁ、レプリカ。久し振りだな。と言うことは、ここにも暫く来ていなかった、と言うことか…」
 改めてそう感じたデーモン。
「そうかもね。俺の発生日の時は、ダミアン様とルークとジェイルは来てくれていたけど、俺もここいなかったからね。会う時も最近はここじゃなかったしね」
「そうそう。あの時は、レプリカに持て成して貰ったんだもんね」
 くすくすと笑うルーク。確かに、そんなこともあった。あの時はデーモンもエースも参加出来なかったが、雷神界との通信画面越しのパーティーだったと話は聞いていた。
「今回は色んなことがあるな」
「まぁ、長く生きてるからね」
 エースの言葉に、くすくすと笑いを零すゼノン。そしてリビングへと案内されると、そこには主賓たるライデンの姿があった。
「いらっしゃ~い!」
 上機嫌のその姿は、相変わらず。
「ライデン、発生日おめでとう。これ、ジェイルから預かって来た」
「有難う」
 エースからプレゼントの箱を受け取ると、早速開けて中を確認する。
「わぁ、すげぇ綺麗」
 箱の中から取り出したフラワーリース。全体的に淡い黄色。だが、そこにオレンジがかった黄金色の花が散りばめられている。
 明るくて、愛嬌があって。その上、何処か気高い。ライデンのイメージと良く合っていた。
「これってコスモス?こんな色あるんだ」
 感心するように、じっくりと眺める。その綻んだ笑顔は、実に嬉しそうで。
「ジェイルもダミアン様も今日はいないが…懐かしい五名で、ゆっくり楽しんでくれと、二名からの伝言だ」
「…そっか。五名だけ、ってのは久し振りだもんね…」
 確かに…この年の発生日のパーティーは、この五名が揃ったのはエースとダミアンの発生日。だが、本当に五名きりなのは今回だけ。以前は良くあったことだが、このところはライデンが雷神界にいるので全員で揃うことはこんな機会でもなければ、なかなか難しいことだった。
 二名が来られなかったことは偶然だが…その偶然も、楽しんで貰えるように。そんな配慮の窺える伝言に、誰もが素直に笑っていられた。
「さて、それじゃあ始めようか」
 ゼノンがそう声をかけると、皆飲み物のグラスを手に取る。
 本来なら、副大魔王たるデーモンが乾杯の音頭を取るところだが…デーモンが促したのは、伴侶たるゼノン、だった。
「…じゃあ、僭越ながら……ライデン、発生日おめでとう」
「おめでとう!」
「有難う」
 にっこり笑い、言葉を返す。
 乾杯を終えると、当然視線はテーブルの上に広げられた食事へと注がれる。
 だがしかし。
「…これは…?いつもの、御前のところの食事と違う気がするが…??」
 ゼノンの屋敷で良く出される食事と、何か違う気がする。パーティー用と思えば、違うメニューもわかるのだが…それでも、何かが違う。
 すると、ゼノンが笑いながら口を開いた。
「今日のはね、ライデンの御土産」
「御土産?」
 首を傾げる来客三名。そんな姿に、ライデンも笑いを零す。
「昨日、視察から帰って来たんだけどさ…折角だから、雷神界の料理で持て成したかった訳よ。俺も遠出は滅多にないし、先々でも歓迎して貰って、珍しいもの沢山出して貰ったからさ、あんたたちにも食べて貰いたかったんだ。だから、持って帰って来て、作って貰ったの」
 確かに、雷神界に行ったと言っても、所詮彼らが行くところは王宮に過ぎず、行ったことのない場所も沢山ある。そこでしか食べられないものも、然り。
「…ホントはさ、みんなに見て貰いたい景色も沢山あるし、もっと雷神界のことを知って貰いたい、って想いもある訳よ。だから、その手始めに…と思ってさ」
 一国の王として。そんなライデンの想いは、その言葉と…そしてその表情で良くわかった。
「でもだったら、雷神界でも良かったんじゃないのか?御前だって、向こうにいた方が身体も休まるだろうし…」
 何気なく問いかけたデーモンに、ライデンは少し考えて…そして、自分を見つめる四名の顔をぐるっと見回す。そして、再び笑いを零した。
「だってほら…俺も"休暇"だしね。視察はあくまでも仕事だし、同行者がいる限り、毎日見る顔が変わらないから、ちょっと離れてみようかと思って。今日は休み~ってなったら、こっちでもゆっくりしたいな~って。発生日があるとちょいちょい遊びにも来れたけど、昔みたいにだらだらいられる訳じゃなかったから。今回は暫く骨休めだから、休暇も長いし。あんたたちの顔もゆっくり見られるし。何よりこの間、折角来てくれたのに翌日から視察だったから、ゼノンの休暇、台無しにしちゃったし。だから今度は魔界で、完全プライベートで旅行でも行こうと思って。ね、ゼノン?」
「うん、休暇は取ったから」
 にっこりと笑うゼノン。
 ライデンが視察に出発した時、休暇を取っていたゼノンは魔界へ戻って、休暇を返上していた。その代り、ライデンが帰って来てから改めて休暇を取り直し、二名でゆっくりする。その約束をしていたのだった。
「じゃあ、今日はゆっくり楽しもうよ。デーさんの発生日の御祝もエース以外はちゃんと出来なかったみたいだし?全部纏めて。ね?」
 ニヤッと笑うルークに、デーモンはちょっと赤くなる。事情を知らなかったライデンとゼノンだが…小さな笑いを零すエースと、赤くなるデーモン。ニヤニヤ笑いを零すルークに、何となく状況を察した。
「ま、楽しければそれでよし!じゃ、もっかいかんぱーい!」
「かんぱーい!」
 ライデンの声に、笑いながら皆でグラスを合わせる。
 懐かしい時間。そしてこれからも大好きな仲魔たちと、そんな楽しい時間が続くように。
 その日のパーティーは、夜遅くまで盛り上がったのだった。

 ライデンの発生日から数日後。
 約束通り、休暇を取ったゼノンと共に、ライデンは旅行へと出発していた。
 きっと、帰って来た時にはたくさんの土産話を持って来ることだろう。
 満面の笑顔と共に。

◇◆◇

 誰と相談した訳でもなく、ほぼ思い付きのように始まった、この年の発生日のフラワーリース。
 趣向を凝らしたその華やかで美しいリースは、貰った相手を笑顔にしてくれた。
 いつも近くにいなくても、誰かを想う気持ちはしっかりと届く。
 七つのフラワーリースは、仲魔たちの想いをしっかりと繋いでいた。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
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