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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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flower rainbow
本日UPの新作です
ゼノンさんの御誕生日&御発生日記念で。

拍手[3回]


◇◆◇

 雨が降る。
 魔界には梅雨はないが…ここ数日、雨が続いていた。
「雨もまた良いね」
 基本的に仕事もインドア。まぁ、局長や研究者としての業務ではなく、医師として呼び出されることは多々あるが、今日は今のところ何の音沙汰もない。この分なら、業務終了まで執務室で過ごせそうだ。
 翌日は、自身の発生日。残念ながら、伴侶たるライデンは忙しくてパーティーには参加出来ないと連絡が来ていた。まぁ、それはそれで仕方がない。雷神界に行けばいつでも会えるのだから、特に問題もなかった。
 そう思いながら、のんびりと仕事を進める。
 だがしかし。終了時間間際に飛び込んで来たのは、緊急の呼び出し、だった。

◇◆◇

 ゼノンの発生日当日。一番にその屋敷を訪れたのはダミアンとルーク。
「あれ?ゼノンはまだ…?」
 出迎えてくれた使用魔たるレプリカに問いかけると、レプリカは小さな溜め息を一つ。そして深々と頭を下げた。
「折角いらしていただいたのですが…本日のパーティーは中止にしていただきたいと…」
「中止?何かあったのかい?」
 首を傾げるダミアンとルーク。
 ここに来るまで、ゼノン当魔から何の連絡もなかった。なので急にここで中止、と言われても疑問に思うのは当然。だが、レプリカは申し訳なさそうに頭を下げたまま。
「実は昨日の夕方、雷神界から呼び出しが入ったようで…本日は戻る予定とのことでしたが、先ほどやはり戻れない、と…」
「雷神界ってことは、ライデンがどうかしたのかな…?」
「詳しい話は何も…ですが、恐らく…」
 ルークの問いかけに、レプリカがそう答えた時。
「こんばんは~……って、どうしたの?こんなところで」
 彼らの背後から、更に一名。ジェイルがいつもの箱を手にやって来た。
「あぁ、ジェイル。どうやら、今日のパーティーは中止らしいよ」
 ダミアンがそう答えると、ジェイルも首を傾げる。
「ゼノン、いないんですか?」
「そう。昨日雷神界から呼び出されてそれっきり戻って来られないらしいよ。俺たちも今聞いたばっかりで…」
「誠に申し訳ありません…」
 ルークの説明に、レプリカが再度頭を下げる。そんな姿に、ダミアンが微笑む。
「御前の所為ではないから、そんなに頭を下げなくても良いから」
「ですが…理由もはっきりわかりませんので…」
 こちらも困惑気味のレプリカ。恐らく、パーティーの準備はしていただろうから、レプリカの方が気の毒である。それを察して口を開いたのは、来たばかりのジェイル。
「じゃあ、聞いてみれば?通信は届くんでしょ?」
「…ゼノン様が出られる状況かどうかはわかりませんが…どなたかには繋がるはずですが…」
 そう。誰も出ないはずはない。それは誰もがわかっていた。なので、そこは雷神界にも一番通っているであろうルークがその役割を買って出ることとなった。

◇◆◇

 こちらは雷神界。
 ベッドで眠る姿を傍で見つめながら、ゼノンは溜め息を一つ。
 元々、忙しくて魔界には来られないと前以て言われていたこともあり、ライデンが忙しいことはわかっていた。その忙しい最中に体調を崩した、と呼び出されては、当然心配にもなる。慌ててやって来てみれば、高熱でベッドから起き上がれない状態だった訳で…昨日から看病をしていたのだ。
 だが、それまでかなり忙しく働いていて体力も落ちていたのか、今回はなかなか回復しない。未だに熱が下がらず、ひたすら眠っていた。
 先ほど、今日も帰れないと魔界の自分の屋敷に連絡を入れたものの、土壇場での連絡。恐らく、レプリカが連絡する間もなく、誰かしら屋敷を訪れているだろう…と。
 そんなことを考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「…はい」
 ライデンが眠っているので、不用意に部屋に入られるよりは…と、ゼノンの方からドアを開ける。そこにはライデン付きの官吏、フィードの姿。
「あぁ、フィード…ライデンなら、まだ起きないから…」
 心配して様子を見に来たのだろう。そう思って言葉を零す。だがフィードの用事はそこではなかった。
「いえ、若様のことでは…ゼノン様に、御屋敷から連絡が入っております」
「屋敷?レプリカにはさっき連絡を入れたんだけど…」
「…いえ、レプリカ様ではなく、ルーク様からですが…」
「ルーク?…そう。じゃあ、ちょっと…ライデン頼むね」
「はい。畏まりました」
 レプリカにその場を任せ、ゼノンは書斎へと向かう。そして通信画面越しのルークと対面した。
「御待たせ。レプリカから話聞いた?」
『発生日のパーティーの中止は聞いたよ。理由はレプリカも聞いてない、って言ってたけど…ライデン具合悪いの?』
 問いかけられ…小さな吐息を一つ吐き出したゼノン。
「うん…まぁ、ね。心配かけるから、言わなかったんだけど…調子が良くなれば、今日は一旦帰るつもりだったんだけどね、まだちょっと…」
 正直、フィードに任せて帰ることも出来た。けれど、医師としてはこの状況はきちんと傍にいて、容体を見ていたいところ。自分の発生日のパーティーぐらいなら、優先されるのは伴侶の体調だった。
「御免ね、わざわざ来て貰ったのに」
 自分の屋敷から入った通信なのだから、当然ルークはそこにいる。だからこそ、無駄足になったことは申し訳なかった。だがルークは、くすっと笑う。
『別に、謝らなくても。俺はダミ様と来たけど、遠出してる訳じゃないから。あぁ、ジェイルはちょっとだけ遠出?でも怒ってないよ』
「ダミアン様もジェイルも来てくれてたんだ」
『うん、直ぐ近くにいるよ。話も聞こえてるし。デーさんとエースはちょっと来られないって言ってたけど、また日を改めてって。その時にまたみんなで集まれれば良いんじゃない?』
「そう。有難うね。急だったから、準備はしてあったと思うけど…何だったら、ゆっくりして行って」
 主が不在だからと言って、追い返す使用魔たちではない。申し訳ないと、寧ろ持て成すであろうことは察している。
『有難うね。あ、そうだ。ちょっと待って……あ、ダミ様に代わる』
 そう言って画面から消えたルークの代わりに、画面に顔を覗かせたのはダミアン。
『御疲れ様。ライデンは最近忙しそうだったからね。ゆっくり休ませてやってくれ。こちらの心配は何もしなくて良いから、御前もちゃんと看病してから戻っておいで』
「有難うございます。そうさせていただきます」
 にっこりと微笑むダミアンに、ゼノンも苦笑しながら返事を返す。
 すると今度はジェイルが顔を覗かせる。
『御疲れ。ライデン、災難だったね』
「有難う。こればっかりは仕方ないから」
 どんなに気を付けていても、体調を崩す時は崩すのだから。それに関しては別にゼノンもどうこう言うつもりはない。ただ、忙しい伴侶がゆっくり休める機会だと思えば良い。そう、思っていた。
 そんな話をしている間に、ルークが画面に戻って来た。
『ねぇゼノン。そっちにグラスある?』
 不意に、そう問いかけられる。
「グラス?えっと…ここは書斎だからないんだけど…部屋に行けばあるけど…?」
『じゃあ、ちょっと持って来て。中身は何でも良いから』
「…良くわからないけど…じゃあ、ちょっと待ってて」
 理由は良くわからないが…ルークに言われるがまま、グラスを取りに戻る。
 ライデンの自室へと戻ると、ベッドに起き上がっているライデンの姿があった。
「目、覚めたの?」
「えぇ、ゼノン様が部屋を出られて直ぐに」
 フィードの言葉に、ゼノンはライデンへと歩み寄り、額に手を当てた。
「まだ熱はあるけど…目が覚めたなら、少しは落ち着いて来たかな?食事取って、薬飲んで、ゆっくり眠ったら良くなるよ」
 そう言ってにっこり笑うゼノン。
 だが、ライデンは眉を寄せてその口を開く。
「御免ね。あんたの発生日だったのに…屋敷でパーティーの予定だったでしょ?」
「うん、まぁね。でも、パーティーは中止にして貰ったから。連絡遅くて、ダミアン様とルークとジェイルは屋敷まで来ちゃったけど……あぁ、そうだ。今通信中でね、グラス持って来いって言われたんだ…」
 思い出したように、ワゴンの上に伏せられたグラスの中に、水差しの水を注ぐ。
「誰と通信中なの?」
 ゼノンの姿を眺めつつ問いかけたライデンに、水を注ぎ終えたゼノンが振り返る。
「ルークだよ。理由を言わなかったから、わざわざ連絡入れて来たんだ。そしたら、グラス持って来い、って…」
「じゃあ、俺も行く。ゼノン引き止めちゃったから、謝って来ないと」
 ゼノンの言葉に、ライデンも徐ろにベッドを降りる。その唐突な様子に、当然慌てるゼノン。
「駄目だよ…まだ熱も下がってないのに…」
「大丈夫。書斎でしょ?直ぐそこだもん。目一杯寝たから、ちょっと動きたいんだ。ダミ様の発生日以来会ってないし」
 そう言いながら、大きく背伸びをしているライデン。どうやら、熱はあるが体調はだいぶ回復して来たらしい。かなり強引だが…まぁ、ゼノンが一緒にいるのだから、ライデンが大丈夫なら…と、ゼノンも溜め息を一つ。
「無理だと思ったら直ぐ戻るんだよ?」
「わかってるって」
 くすくす笑いながら、ライデンもグラスに水を入れて準備万端、と言う感じだった。
「じゃあ…フィード、ちょっと出るから」
「わかりました。では、その間にシーツを取り換えておきますね」
「頼むね」
 にっこりと笑って見送るフィード。ゼノンが一緒なのだから、と殆ど心配はしていないようだった。
 溜め息を吐き出しつつ、ライデンと共に書斎へと戻る。
「このグラス、何に使うの?」
 使用目的が良くわからず、首を傾げるライデン。
「さぁ…俺も聞いてないんだ。ただ持って来いって言われただけで」
 そう言っているうちに、直ぐに書斎へと到着する。そして中に入ると、通信中の画面はそのまま。そこにはルークだけではなく、ダミアンとジェイルの姿も映っていた。
「御待たせ。グラス持って来たよ」
 ゼノンが画面に向け、そう声をかける。すると、その背後からライデンも画面を覗き込んだ。
『あれ?ライデンも来たの?大丈夫?』
 その姿に気が付いたルークが問いかけると、ライデンは小さく頭を下げる。
「うん、まだ熱はあるけど大丈夫。御免ね、パーティー中止になっちゃって…」
 申し訳なさそうなその声に、ルークが小さく笑う。
『こっちは大丈夫。レプリカが食事して行ってくれ、って言うから、御相伴に預かって行くし』
 主は不在でも、良い機会なので有難く持て成されていくことにしたらしい。
「グラス持って来たけど…どうするの?」
 問いかけたゼノンに、ルークはにんまりと笑う。そしてダミアンとジェイルを少し振り返る。
 そして。ダミアンが音頭を取った。
『では。離れているが、顔を見れたからね。ゼノン、発生日おめでとう』
『おめでとう!』
 グラスを掲げ、満面の笑みで画面越しの乾杯。思わぬ状況に驚きつつも…背後のライデンもそっと声をかける。
「おめでとう、ゼノン。ほら、返さないと?」
 そう促され、ゼノンもくすっと笑ってグラスを掲げた。
「有難う」
 まさか、こんな状況下で祝って貰えるとは。そう思いながらも、通信画面で顔は見えているのだから、これを利用しない手はない。咄嗟にそう判断したルークは流石、と言わざるを得ない。
『そうそう。これ、プレゼントね。俺が開けちゃうよ?』
 そう言いながら、一旦箱を見せたジェイル。今期の恒例のプレゼント。
 自分は、どんなイメージを持たれているのか。ダミアンの発生日の御祝の時から気になっていたその想いは、ジェイルが箱を開けて見せてくれると、すっと納得出来た。
 小振りだが、それぞれ色の違う紫陽花の花。その回りを埋める小さな花々。すべてが綺麗にグラデーションになっていて…そのフラワーリースは、まるで虹の様で。
『まるで皆を繋ぐ虹の橋、だね。良いね、御前に合うじゃないか』
 笑みを零すダミアン。
 魔界と雷神界を。そして、仲魔たちを。その絆を繋ぐ最初のきっかけは、皆ゼノンと出逢ったから。
 誰よりも残虐な"鬼"は、誰からも愛される"鬼"。それが、ゼノンのイメージだった。
「…ホント、あんたのイメージにピッタリ」
 くすっと笑い、未だ何処か茫然としつつも、高揚したように薄っすらと赤くなったゼノンに、ライデンが笑いながら声をかける。
「…有難う。嬉しいよ」
 ふわりと零した笑みに、持って来たジェイルも笑いを零す。
『良い顔するね。彼女もきっと喜ぶよ』
「宜しく伝えてね。ちゃんと飾らせて貰うから」
 ちょっと照れつつも、嬉しそうなその声に、画面越しの仲魔も、寄り添う伴侶も、皆満面の笑みを浮かべていた。

 流石に体調の良くないライデンが長居を出来る訳もなく。後日に改めて祝うことを約束して早々に通信を切り、ゼノンはライデンを連れて自室へと戻って来た。
 グラスをワゴンに戻そうと視線を向けると…そこには、先程はなかった小さなホールケーキが一つ。
「…あれ?」
 いつの間に。そんな想いで首を傾げると、控えていたフィードが口を開く。
「ささやかですが…これは、我々官吏からゼノン様の御発生日の御祝です」
「…フィード…」
 こちらもまさか祝って貰えるとは思っていなかったので、当然唖然とするゼノン。
「若様が平穏で倖せに過ごして行けるのは、ゼノン様のおかげです。今後も、若様を宜しく御願い致します」
 にっこりと笑ってそう言われてしまっては…笑うしかない。
「有難う。こちらこそ…これからも宜しくね」
 笑いながらそう返すと、フィードは機嫌良さそうに頭を下げ、部屋を出て行った。
 その一部始終を、ベッドに腰かけてくすくすと笑いながら見ていたライデン。
「俺の発生日に託けて…御前の御守りを念押しされたね」
 苦笑しながら、ケーキの乗った皿を片手にライデンの隣に座ったゼノンに、ライデンは相変わらず笑っている。
「ホントにね。でも…あんたがいてくれて良かった、って想いは同じよ。ほら、あんたが魔界に属している以上、官吏としては自分たちだけで勝手に準備する訳に行かないから。俺が都合良く使われたってことよ」
 未だに風当たりの強いところがあることは否めないが…雷神界の複雑な組織と厳しい対魔関係の中、それでも、ライデンの周りにいる官吏たちは、ゼノンが伴侶であることに感謝しているのだ。
 主が、倖せである為に。その想いが全て。
「じゃあ…大事にしないとね」
 笑いながら、ケーキを一口。
「あ、俺も食べたい」
「…病魔だから、少しだけだよ」
 そう言いながら、ライデンにも一口。
「ん、うんまい」
「うん、美味しいね」
 にっこりと笑う二名。
「有難うね」
 小さくそう零し、そっと口付ける。体調不良なので、今日はそれだけ。だが、それでも十分満足そうな笑みが零れる。
 想いの沢山詰まった発生日。盛大に…とはいかなかったが、ささやかでもその想いを堪能出来た、良い発生日だった。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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