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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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flower ring
本日UPの新作です
デーモン閣下の御発生日記念で。

拍手[6回]


◇◆◇

 時々…ふと、確認したくなる。
 特に、心地好く酔っている時。
 目で見て、確認して…自分は誰よりも愛されているのだと…そう、認識を深める為に。
 いつもそうやって、一名で倖せな時間を過ごしていた。
 そして……

◇◆◇

 自身の発生日を数日後に控えたその日。職務終了後にエースとの約束があったので、エースから貰った指輪を填めていた。
 銀の縁に青い波の指輪。エースから初めて貰った指輪で、デーモンからもエースの発生日に色違いの指輪を誂えたほど、思い入れのある大事な指輪だった。
 その日はエースの屋敷で一緒に酒を飲んで程良く酔い、そのままベッドを共にする。そして一旦自分の屋敷に戻って着替えてから枢密院へと向かう。まぁ、ほぼほぼ、良くあること。
 だがしかし…職務を終えて帰って来たその夜。
 自分の屋敷で晩酌の御供に…と、いつも指輪をしまっている箱を開ける。だが…
「…あれ……?」
 いつもなら、きちんと収まっているはずの指輪が…一つ足りない。しかも、一番大事な、エースから貰ったあの指輪。
 朝帰って来てシャワーを浴びた時に外してそのままだったか…とバスルームを見に行ったが、何処にもない。
 慌てて使用魔たるアイラに聞いてみるが、掃除をした際に何処にも指輪はなかった、と言われてしまった。
「執務室か、エース様の御屋敷に御忘れでは…?」
 探している指輪が主の大事なものであることは、アイラもわかっていた。心配になるのは当然。
「あぁ…執務室は明日探してみるが…エースの屋敷で外した記憶もないんだが…吾輩から聞くのは流石にちょっとな…」
 大事な指輪を無くしたなどと…どの口で言えば良いのか。
「では…わたしくから、ティム様にそれとなく伺ってみましょうか?もし何処かで外したままでしたら、きっと御掃除の時に気がつくはずですから」
「…あぁ…」
 この時点で、エースが気がついている…と言う可能性もなくはない。だが、丸一日何も言って来ないところをみると…まだ気がついていないのか。
 どちらに転んでも、指輪が手元に戻って来るまでは何をしても落ち着かないだろう。そんな不安で一杯だった。

 そして翌日。朝早く執務室へとやって来たデーモンだったが、既に執務室には清掃が入っており、すっかり綺麗になっていた。
 勿論、落し物があればきちんとわかるところに置いてあるはずなのだが…何も残ってはいなかった。
 一応、執務机の引き出しの中や、書類棚の中も探したものの…やはり、何処にもない。
「…ここではない、と言うことか…」
 椅子に腰を下ろしつつ、落胆したように大きな溜め息を吐き出す。
 自ら外さない限り、簡単に落ちるはずはない。とすれば、やはりエースの屋敷にある確率が一番高いのだが…果たしてあるかどうか。
 酔っていたとはいえ…大事な指輪を外した記憶がないと言うのは、何とも言えず気拙い。
 果たして、いつ外したのか……その日のことを思い出そうと、目を閉じて記憶を辿る。だがしかし…思い出すのは、あの夜の甘い記憶だけ。
「…参ったな…」
 幾度目かの大きな溜め息を零すデーモン。
 最悪な気分のまま…ただ、何処かで見つけた、と言う報告を待つしかなかった。

◇◆◇

 発生日の当日。その日になっても、未だ指輪は見つからなかった。
 アイラからティムにそれとなく聞いて貰ったものの、エースの自室を始め、屋敷の中にデーモンの落し物はなかった。そんな無情な報告を聞いたのみ。エースからも何も言って来なかった。
「…最悪だ…」
 朝から憂鬱。そんな日に発生日のパーティーだなんて…そんな気には全くならないのだが…既に予定されているが故に、今更断るのも忍びない。
 憂鬱な気分で職務を終え、屋敷へと戻る。準備の済んだリビングを前に…更に気持ちが沈む。
 今日やって来るのは、ダミアンとジェイル、そしてエース。ルーク、ゼノン、ライデンは都合がつかず、後日改めて…と言うことになっていた。
 だがしかし。エースがいる以上、顔を見るのが気拙い。よりによって、一番大事な指輪をなくしたと切り出せないまま、時間だけが過ぎてしまったのだから…尚の事、言い出し辛い。
 そんなことを考えている間に…パーティーの時間が訪れる。そろそろ集まって来るだろう…と思っていると、定刻通りに来客が訪れる。
 ダミアンとジェイルが連れ立ってやって来たが、そこにはエースの姿はない。
「はい、閣下。これ、プレゼントね」
 やって来て早々に、プレゼントの箱を手渡すジェイル。それは、いつものフラワーリースだろう。
「あぁ、有難うな…」
 にっこり笑ったつもりだが…その表情を前に、ダミアンが首を傾げた。
「発生日に悩み事かい?」
「…ダミアン様…」
 流石に目敏いダミアン。その言葉に思わず小さく息を飲む。
「何、エースと喧嘩でもしたの?」
 恐らくエースが絡んでいるのでは…と口を挟んだジェイル。何処までも見抜かれるくらい、全部表情に現れていた。
「…いや、喧嘩ではないんだが…」
 無意識に、プレゼントの箱を抱えたその手の指先が、左手の薬指を擦る。
 この二名に関しては…填めているところは見ているかも知れないが、特に、指輪の説明はしていない。だからそれがエースからのプレゼントだと伝えてもいない。まぁ、左手の薬指に填めている時点で、人間界にいた二名にはその意味はとっくにわかっているのだが。
「若しかして…指輪なくしちゃった?」
「……っ!」
 今日のデーモンはとことん顔に出る。一気に不安の色を浮かべたデーモンに、ダミアンもジェイルも苦笑する。
「あるよね、そう言うこと。填めたり外したりしてると、ふっと忘れることあるんだよね。だから俺は外さないもん」
「外す外さないは事情があるのだろうからしょうがないね。指輪ではないが、ルークもわたしの屋敷に外したが為に忘れ物をしたことがあったね。本魔はわたしが気づいていないと思っていたようだが…まぁ、目に着くところにあれば気がつくんだけれどね」
 ダミアンもジェイルも、苦笑しながらそう言葉を零す。所詮は他悪魔事。デーモンの憂鬱は到底理解して貰えないだろう…と、溜め息を吐き出すしかない。
 流石にそんな姿を前に、いつまでも笑っていられるはずもなく。結局、心配そうにジェイルが口を開いた。
「例え見つからなくてもさ、胡麻化すのだけは、やめた方が良いよ。ダミアン様の話じゃないけど、相手は結構見てるから。エースなら尚更じゃない?」
「…そうだよな…」
 エースを前に、いつまでも胡麻化せるものでもない。寧ろ、胡麻化していることがばれた時の険悪さを考えたら…告白してしまった方が気が楽だろう。
「心配いらないよ。エースならきっと、そこまで怒りはしないだろうから」
「…どうですかね…微妙ですが…」
 物が物だけに、幾らダミアンが慰めてくれてもすんなり納得は出来ないが…だが、ここまで来たらデーモンも覚悟を決めるしかなかった。
「エースが来たら、吾輩が話すので…ダミアン様もジェイルも、黙っていてくださいよ…?」
「あぁ、わかっているよ。そこまで無粋ではないから。ねぇ、ジェイル?」
「勿論。頑張ってね、閣下」
 何処までも御気楽極楽の二名に、デーモンはやはり溜め息が零れるのだった。

 それから三十分経つか経たないか…の頃、漸くエースがデーモンの屋敷へとやって来た。
「悪い、遅くなった。一旦屋敷に戻ってから来たから…」
 流石に急いで来たようで、その額にはうっすらと汗が浮かんでいた。
「さ、じゃあエースも来たことだし…始めます?」
 緊張した面持ちのデーモンを横目に、そう声をかけたジェイル。
「そうだね。では…」
 ダミアンが率先してグラスを持つと、それに倣って皆がグラスを持つ。
「デーモン、発生日おめでとう」
「おめでとう!」
「……有難う」
 嬉しいのだが…何処か心許ない。そんな色を浮かべるデーモンだったが、ここへ来る前の話の流れを知らないエースは、上機嫌で笑っている。
「今回もあるんだろう?フラワーリース。どんなのだった?」
 エースにそう問いかけられ、まだ開封していなかったことを思い出してテーブルの端に置いた箱へと手を伸ばすデーモン。
「あぁ、吾輩もまだ見ていないんだ…」
 そう言いながら箱の中から取り出したのは、淡い小さな花の中に真っ赤な花が印象的な、華やかなリースだった。
「閣下のリクエストの、赤い花のリースね。久し振りだから、彼女も気合入れて作ってたよ」
「…そうだったな…リクエストしたんだったな…」
 目を細め、両手で持ったリースを暫し眺める。その眩しいばかりの赤は…愛しい恋悪魔の色。そう思った途端…胸の奥がチクリと痛む。
「今回も見事だな。って言うか、赤い花リクエストしたのか?御前、ホントに原色好きだよな」
 自分の色、と言う自覚がないのか…くすっと笑うエース。そんな上機嫌なエースを前に…大事な指輪を無くした、と告げたら…その表情はどう変わるだろうか。
 リースを壁にかけながら…デーモンは大きく息を吐き出す。そして意を決したように、背後のエースを振り返った。
「あのな、エース…」
 話を切り出そうと口を開いたのも束の間。エースは軍服のポケットから取り出した小箱を、デーモンへと差し出した。
「そうだ、これ。うっかり持って出るのを忘れて、屋敷まで取りに戻ったんだ」
「…は?」
 エースが持っている小箱は…見知っているものよりも、少し大きい。
「…指輪の箱、だよね?それ…」
 思わず口を挟んだジェイルに頷き、エースはその小箱をデーモンの手の中へと押し込んだ。
「悪いな。思ったより時間がかかってギリギリになって。でも、御前の発生日に間に合って良かった」
 にっこりと笑うエースに…デーモンは何事かと困惑の表情で蓋を開けた。そして…息を飲んだ。
 そこに入っていたのは…デーモンがなくした、あの大事な指輪。しかも…エースのモノと、二つ揃いで。だから少し大きかったのだと、漸く察した。
「…どうして御前がこれを…?」
 驚きの色を隠せず、問いかけるその言葉に…エースはきょとんとした表情で首を傾げた。
「どうして、って…預かっただろう?折角だから、俺のも一緒にメンテナンスして綺麗にして貰おう、って話したじゃないか。覚えてないのか…?」
「……メンテ……」
 思いがけない話の流れに、ダミアンもジェイルも興味津々の眼差しで見守っている。そしてデーモンは…と言うと、目を瞑って首を傾げ、記憶を辿るが……どうしても、思い出せなかった。
「…悪い…覚えていないんだが……いつそんな話を…」
「いつ、って…この前ウチに泊まった時話しただろう?」
----ベッドの中で。
 デーモンも耳元でこそっと囁くと、少しだけ考え…状況を思い出したのか、かぁっと赤くなる。
 そんな状況を思い出せなかったとは…流石にどうかと思う。だが、無事に見つかったので正直ホッとした。
 その安堵の表情を見逃さなかったダミアン。
「まぁ、今日は我々だけだしね。また、ルークやゼノン、ライデンが揃った時に、ゆっくり祝うことにしようか。ねぇ、ジェイル?」
 ある意味、強制的に…と言わんばかりににっこりと微笑まれ、ジェイルもその意図を察する。
「あ~、そうですね~。どうせだったら、盛り上げ役のルークがいる時に御祝いした方が楽しいですね~」
 そう言いながら、帰り支度を始める二名に、来たばかりのエースは状況が良くわからず、きょとんとした顔をしている。
「…は?まだ乾杯しただけですが…?」
「あぁ、だから御前はゆっくりしていけば良いだろう?デーモンだってそのつもりだろうしね」
「…いや、吾輩は別に…っ」
 慌てて言葉を発したが、二名は既に身支度を整えていた。
 そして。
「じゃあごゆっくり❤」
 にっこりと笑ったダミアンとジェイルは、そのままリビングを後にした。
「…何だ、あれ…」
 訳のわからないエースは、眉根を寄せたまま首を傾げている。そんなエースを前に、デーモンは溜め息を吐き出すしかなかった。

 二名きりになってしまったので、場所を自室へと移す。そしてデーモンの後について来ていたエースは、デーモンが部屋へ入ってもまだ廊下でアイラと何か話しているようだった。
 そんな姿を横目に…デーモンはソファーへと腰を下ろし、溜め息を一つ。そして、手に持ったままの小箱を開け、再び中身をじっくりと眺めていた。
 流石にメンテナンス明けの指輪は、貰った時を思い出させるような輝きを放っている。そこで改めて、使用感満載だったことを感じた。
「…そうだよな…これを貰ってから、随分経っていたからな…」
 デーモンがそう零した時、廊下からエースの笑い声が聞こえた。どうやら、アイラと廊下で盛り上がっているらしい。そんな、いつもと同じ姿に…つい、デーモンも笑みを浮かべる。
 使用魔たちの最優先は主であることに変わりない。けれど、どの屋敷の使用魔たちも、来客を持て成すことには長けている。だから時折、主そっちのけになることもあったりするが…それはそれで、ほほえましくも思う。
 それだけ、信頼されているのだと、実感出来るから。
 デーモンがそんな感慨に浸っていると、漸くエースが部屋へと入って来る。その手には、毎年恒例のモノを持って。
「デーモン、ほら、アイラのアップルパイ。一緒に食べよう」
「…別に、もうアップルパイじゃなくても良いんだが…」
 くすくすと笑いながら答えたデーモンに、エースの後ろから食事と飲み物を乗せたワゴンを押して来たアイラが苦笑する。
「年に一度ぐらい、わたくしの好きなものを作らせてくださいな。毎年作るのを楽しみにしているのですから」
「あぁ、そうだな」
 そう。デーモンの好物ではあるが、何よりアイラが作るのを楽しみにしているのだ。その楽しみを奪わない為に、結局毎年アップルパイが出て来ることを受け入れているのだ。その事実は、エースも初めて知ったことだったが。
「ごゆっくりどうぞ」
 パイを切り分けて取り皿に乗せ、食事と共にテーブルの上にセッティングを終えたアイラが出て行くと、デーモンの隣に腰を下ろしたエースが笑いを零す。
「そうか、アイラが作りたがっていたのか…」
「まぁ、そう言うことだ。吾輩も好きだから良いんだが…流石に、量は昔から変わらないから、もう一日では食べきれないんだがな」
 そう言って食べながら笑うデーモン。毎年のことだが…やはり、このアップルパイを目の前にすると、倖せな気分にはなる。そんなデーモンの姿は、エースも見ていて自然と笑みが零れる。
 そうして暫し、御腹を満たす。一頻り満足すると、エースがグラスを置いた。
「そうだ。折角だから…」
 思い出したように、そう言葉を零す。そして、デーモンが持っていた小箱から、デーモンの指輪を抜き取った。そして、徐ろにデーモンの左手を取る。
「発生日、おめでとう」
 改めてそう口にしながら、その左手の薬指にそっと指輪を填める。
 初めて指輪を貰った時と同じように、自分の薬指に納まった指輪。あの時の感動を思い出し…はにかんだような照れ笑いを零す。
「…有難う。じゃあ、吾輩も…」
 そう言いながら、デーモンもエースの指輪を手に取ると、その左手の薬指へとそっと填め込む。
 揃いの指輪を填め、改めて顔を見合わせる。
 にっこりと笑い合い、倖せを噛み締めていた…その直後。
「指輪無くした、って大騒ぎだったんだって?アイラが言ってたぞ」
「……っ!!」
 先程の笑いは、若しかしてそれだったのか…と、一気に顔面蒼白のデーモンだったが…そんなデーモンを、エースは笑いながら抱き締める。
「大事にしてくれていて、有難うな」
「…エース…」
 くすくすと笑うエースに、デーモンの方が少し唖然としている。
「…怒って…ないか?」
 思わず問いかけると、エースはデーモンの顔を覗き込む。
「別に怒る理由はないだろう?指輪持ってたのは俺だし。それだけ、大事にしてくれていた、って言う証じゃないか」
「それは、そうなんだが…」
「じゃあ、問題ない」
 にっこりと微笑んだエースは、そのままデーモンへと頬を寄せる。
「…これからも、大事にしてくれよ。俺も、大事にするから」
「エー……」
 名を呼びかけた声は、そのまま重ねられた唇に遮られる。
 一騒動あったものの…自分の指にこうして戻って来たのだから。それだけで安堵の溜め息が零れた。そしてその溜め息を拾うように、再び重ねられた唇。
 漸く訪れた倖せな時間。それを満喫するように、甘い時間が訪れる。

 翌朝。未だ、夢の中を漂っている二名。しっかりと握り締めたその手には、揃いの指輪が光っていた。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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