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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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Happy Smile ~sideY~
こちらは本日UPの新作です。

拍手[3回]


◇◆◇

「…じゃあ…お前の分は、次の誕生日で良いかな…?」
「…まぁ…それは、あんたに任せるから…」
「…わかった。じゃあ、楽しみにしててね」
 そんな約束を、楽しみにしていた。
 でも日々の忙しさで、そんな約束が記憶から零れたその年の誕生日には…謝罪の言葉しかなかった。
 勿論、忙しいのは重々承知。理由もちゃんと聞いていたから、別に怒っている訳でもない。一緒にいられればそれで満足だった。
 だから、その後はサプライズとして、その"いつか"を待とうと思って…そして、既に数回の誕生日が過ぎた。
 それでも構わない。その想いは相変わらず。
 ただ……"その時"を期待しなさ過ぎて…"その時"なんて、もう来ないと…勝手に、そう思っていた。
 偏にそれは…俺が反省すべき点、だった。

◇◆◇

 年も明け、町中にバレンタインデーのポスターが目立つようになった頃。
 急に…奇妙な違和感を感じた。
「…石川くん…どうした?」
 久し振りのデート中。何処か落ち着かない感じで挙動不審…なように見える、石川くん。
「…あ、別に何でも…」
 そう言いながらも、何かが可笑しい。
「…何処か気になるの?」
 思わずそう問いかけると、石川くんは足を止め、一瞬俺の顔を見た。が、直ぐにその視線を伏せる。
「…えっと…大丈夫。早く帰ろうか…」
「…ご飯、食べに行くんじゃないの?」
「あぁ…そうだった…そうだよね…ご飯、食べに行こう」
 明らかに変。でも、それを問い質したところで、はぐらかされるだけだろう。まぁ…ちょっと様子でも見ようか。
 敢えて、それ以上問わない。石川くんに従ってみよう。そう思いながら、促されるままにとある飲食店へと入る。そして食事が一段落つくまでの間…当たり障りのない会話をしながら、暫し観察してみる。
 明らかに落ち着かない様子。食事も余り進まない。何か言い辛いことでもあったかな…と色々思い出してみるものの…そこまでのことは思い当たらない。喧嘩した訳でもないし。まぁ差し詰め…バレンタインに仕事の予定が入っているだとか、チョコを買いに行く時間がないとか、そんなことかな…なんて思っていると。目の前の石川くんは、食事を諦めたように大きく息を吐き出した。
 そして。バックの中から、小さな紙袋を取り出して俺の前へと置いた。
「これ…遅くなったけど」
「…?バレンタインのチョコ?だったら別に遅くないと思うけど…」
 そう。バレンタインなら、まだ先。後は…思い当たる節がない。
「いや…チョコじゃないんだけど…」
「あぁ、クリスマスプレゼント?いや、あの時は前以て貰ったよな…誕生日……?お祝いして貰ったよね…?」
 時系列で遡りながら、考えてみたものの…特に思い当たらない。誕生日もクリスマスも、当日は会えなかったけど、誕生日にはお祝いして貰った。クリスマスだって、それなりに。まぁ、俺がそこまでプレゼントに拘っていないことは、石川くんもわかっていると思うんだけど……と思いながら、紙袋を覗いてみる。
 そこに入っていたのは、リボンのかかった小さな箱。
「えっと……」
 暫し…記憶を辿る。確実に"プレゼント"の形態。
----大きさからして…アクセサリー…かな……
 そう思った途端…ドキッとして、一つ息を飲んだ。
----……忘れてた……
 不意に蘇った記憶。慌てて顔を上げると…石川くんは、じっと俺を、見ていた。
「…御免…色々忙しくて……何か、すっかり忘れてた…」
 言い訳がましくそう零すと、石川くんは更に俺の顔を覗き込んだ。
「…疲れてる?」
「…まぁ…」
 何で急にそんな問いかけを…?と思っていると、石川くんは徐ろに席を立つと、俺の腕を掴んだ。
「帰ろう」
「…は?ちょっ……!?」
 引き摺られるように店を出て、そのまま引き摺られるように歩く。
 こうなったら石川くんは止まらない。まぁ…仕方がない…。

 何処へ連れて行かれるのかと思っていたら、着いたのは石川くんの家だった。
 ご飯を食べた…とはいえ、あれは昼ご飯な訳で…流石にまだ明るい。今から家に戻ってどうするんだ…と思いながら、鍵を開ける背中をぼんやりと眺める。
 その背中は…暫く見ていなかった。触ったら、あったかいんだよな…何度、あの背中に縋りついたかな…と思いながら、思わず手を伸ばしかける。でも、グッと、その手を握り締めた。
 考えることが沢山で…許容量のギリギリのライン。でも、まだ…触れるべきじゃないと欲望を抑える。そこでふと…あぁ、俺は疲れてるんだな…と改めて感じたりもする。
 鍵を開け、ドアを開ける。玄関に入ると…石川くんはハッとしたように、足を止めた。
「…御免、片づけてない…」
「良いよ、いつものことだし。立ち入ることを躊躇うレベルじゃないから」
 来る度にそんなセリフを聞いているんだから、別に気にしていないんだけど…と思いつつ、石川くんの後についてリビングへ行くと…あぁ、いつも以上に散らかっていた。そりゃ、気にするか。
「…今、片づけるから…」
 慌ててあちこちに点在している楽譜のファイルを掻き集める。色々な曲を演奏するから、それなりに準備がいる。散らかっているのは、仕事が立て込んでいる証拠。忙しいのは…お互い様、じゃん。
「…ね、ベッドは空いてる?」
 問いかけると、その手が止まる。
「一応、空いてるけど…」
「じゃあ、そこで良い。ベッドの上で…話、しよう?」
 小さく笑って、先に寝室へと足を向ける。ベッドの上は…まぁ、許容範囲だ。
 上掛けを畳んで端に寄せ、ベッドの上に胡坐をかいて座る。そして後からやって来てドアのところに立っている石川くんに、にっこりと笑った。
「これ、開けて良い?」
「…うん…」
 紙袋から箱を取り出して、そこにかかっていたリボンを外して開ける。その一連の作業を、石川くんは俺の隣に来て眺めていた。
 箱を開けると…想像通り。思わず、ふふっと笑いが零れた。
「…お揃い?」
 箱に入っていたのは、リングホルダーネックレス。俺が、石川くんにあげたものと、多分同じ。
「うん、多分。篁に手伝って貰って、探したんだ。すっかり遅くなっちゃったけど…指輪もまだ、買えてないし…一緒に買いに行こう、って言ったじゃない?」
「そうだった。そう言えば、何か月か前に篁が石川くんと会った、って言ってたけど…その時?」
「…まぁ…」
 篁は理由までははっきり言わなかったけど、そんな理由じゃ言えないか。
 そんなことを考えながら…思わず、溜め息を一つ。
「…大丈夫?疲れてる、って言ってたけど…調子悪い…?」
 心配そうな眼差しに…思わず、笑いが零れる。けれど…それと同時に、ふっと…気が抜けた。
 思わず…大きな溜め息。
「調子は…ね、大丈夫。体調も、別に悪くはないんだ。でも…」
「…でも…?」
 相変わらず、心配そうな眼差しのまま。
 多分…今言わなくても、近いうちに必ず石川くんの耳には入るはず。だったら…今、吐き出してしまおうか。
 そんな思いで、身体を石川くんへと預けるように凭れかかる。そしてゆっくりと…口を開いた。
「…篁…何も、言ってなかった…?」
「…何を?湯沢くんのことは何も言ってなかったけど…」
「辞めたい、って」
「…はい?」
「疲れた、って…言われたらさ…何も、言えないじゃん?」
「…湯沢くん…」
 篁から…そんな話を聞いたのは、どれくらい前だったか。
 バンドとしての活動を辞めたい。簡単に言えば、解散。その事実だけを聞くなら、何で?って思うけど…理由を聞けば、納得せざるを得ない。考えに考えて出した篁の気持ちを考えたら、反対は出来ない。
「まぁ…今年は聖飢魔Ⅱの活動が入って来るしさ、それまでの充電だと思えば何てことはないんだけど…何だか、俺も気が抜けた、っていうか…」
「この前は、何にも言ってなかったけど…でも、急に清水さんや大橋の話とか出して来て、俺が羨ましいとか言い出したから、何か変だとは思っていたんだけど…俺が会った時には、もう篁の中では辞めることは決まっていた、って言うことかな…」
 石川くんの言葉に、俺は小さく頷いた。
「多分、ね。これからの仕事の調整もあるし、思い付きだけでは動けないからね。辞めた後のことは、まだ何も決まってないけど…聖飢魔Ⅱの活動への準備が入り始めて来たし、新しい活動っていうか…これからのことは、悪魔が終わってから、ってところかな…」
 そう言いながら、石川くんの胸元へと頭を寄せる。その胸へと額を摺り寄せ…その匂いを、吸い込む。
「…やっぱ、石川くんの匂い、落ち着く…」
 思わず零した言葉。小さな溜め息と共に、頭を撫でるように置かれた手の温かさが…とても、癒される。
「聖飢魔Ⅱが解散したのは、最初からの予定通りだった訳だし…諍いがなかった訳じゃないけど、喧嘩別れだった訳でもない。ゴールが決まっていての活動だったから、先の未来に関しての不安はあったとしても、解散に関しては大きな負担はなかったと思う。だからこそ…今回はちょっと、俺も疲れたかな…」
「まぁ…そう、だよね。俺は基本フリーでやっているから、解散も何もないけど…まぁ、幾つかのバンドに名前は置いているから、有り得ない話でもないかな。グループを組んでいる時点で、いつかはそう言うことが起こる可能性はある訳だからね。今、このタイミングだった、って言うだけで。篁だって、色々考えた結果なら…お前たちが、それを受け入れたのなら、後はそのゴールに向かって、後悔のないように進むしかないよね」
「まぁ…ね。俺たちがみんなで納得した訳だし、強引に覆そうとしている訳でもない。悪魔の活動もあるし、媒体として篁とはこれからも顔を合わせるし、変わらず付き合っていけると思うよ。ただ…俺たちに話すまで、色々考えたんだろうな…ってさ、思ったんだ。辞めたい、疲れた、っていうくらいだから…そこに辿り着くまでに、一人で抱え込んだことも一杯あったんだろうな、って…相談された時点で、篁の中では決定事項だった訳だし。それに気付いてやれなかったのは、申し訳ないと思う。もっと、大変な想いを分かち合えていたら、何か変わったかな…とか考えちゃった訳よ。まぁ、多分答えは変わらないんだと思うけど…もう少しぐらいは、気持ちを楽にしてやれたんじゃないかな、って…俺の勝手な気持ちだけどね」
 そう言いながら…改めて想いを巡らせる。
 解散を切り出した篁の顔は…多分、忘れられない。彼奴の為に、何か出来たんじゃないか…なんていうのは、俺の勝手な言い分なのは重々承知。そう思うことで…少しでも、自分の気持ちを軽くしたい。多分、そんな身勝手な理由。でも…どうにもならないモヤモヤは、きっと暫く胸の中に残るはず。
 再び、溜め息が零れる。
 すると。
「眉間に皺寄ってるよ」
 そう言いながら、俺の眉間をぐりぐりと指先で押す。
「年も年だし、皺も寄るわ」
 思わず突っ込みを入れると、くすくすと笑う顔がそこにあった。
「大丈夫だよ、お前たちなら」
「石川くん…」
 笑いながら、俺の頭を撫でるその手。穏やかな笑顔と声。それが…いつもと、変わらない。
「お前に元気がないと、みんな心配するでしょう?だから…ね」
 そっと、頬を寄せて来る。そして、軽く触れられた唇。
「…エロ親父だ…」
「何とでも」
 このタイミングでキスして来るとか…まさにエロ親父。でも、確かに…くすっと、笑いが零れた。
 その笑う顔に、少し気持ちが楽になる。
「…ね、これ付けて?」
 箱に入ったままのネックレスを取り出し、石川くんの前に翳す。
「指輪、ついてないけど…良いの?」
 ネックレスを受け取りながらそう言った石川くんに、俺は笑いを零す。
「取り敢えず…ネックレスから、お揃いにしたいかな。指輪はまた、そのうちに」
「…近々用意するから…」
 苦笑しながら、首の後ろへと腕を回す。そして覗き込むように、その留め具を填める。
「やった、お揃い~」
 自分の首から下がったネックレス。顔を上げれば、石川くんの首元にも同じ鎖が覗いている。
 たかがアクセサリー。でも…そこにある想いは、きっとナニモノにも勝る。
「…有難う、ね。倖せだな、俺…いや、ずっと……倖せだったんだな…」
 大好きなヒトが傍にいて、大好きな仲間と音楽がそこにあって。それが、ずっと当たり前だった。
 一区切り、と思えば何てことはない。そうわかってはいるものの…色々な想いが入り混じって…思わず零れた涙。慌てて手の甲で拭うと、そっと、頭を抱き締められた。
「…俺の前なら、幾ら泣いても構わないけど…篁の前では、泣かないでね」
 大事な仲間の前で泣いたりしたら、相手を追いつめるだけ。それは良くわかっていた。
「…解散ぐらいで…泣く訳、ないじゃん…」
「なら、良いけど」
 耳元で聞こえた声。その柔らかな声に…大きく、息を吐き出した。
 その想いを、覆すつもりはない。その想いをしっかり受け止め、受け入れたつもりだった。寂しいけれど、哀しい訳じゃない。これから幾らだって会えるし、一緒に仕事も出来るはず。だから…多分俺は、篁の前では泣かない。
 ただ…今は、別。
 そのぬくもりに、心が緩む。
「…石川くん…大好き」
 抱き締められたその首筋に額を摺り寄せる。
「…うん。俺も大好きだよ。っていうか…愛してるよ。ずっと…俺は、お前の傍にいるから。何かあれば、直ぐに寄り添えるところにいるから。だから…最後まで、思いっきり楽しんでおいで」
「…すっごい気障……清水さん思い出す」
 思わず、笑いが込み上げた。笑いながら顔を上げると、石川くんも笑っていた。
「だって直伝だから」
「成程ね」
 笑いながら、お互いの額を摺り合わせる。
 本当に…俺は、倖せだと思う。
 だから…精一杯、笑おう。
 そこに、倖せがあるように。

◇◆◇

 時間はあっという間に進んでいく。
 約束通り、バレンタインデーに指輪を買って貰った俺は、それをネックレスのホルダーに着けて貰って、漸くフル装備で石川くんとお揃いになった。
 けれど、連日ライブであちこち行き来している石川くんの負担は大きかっただろう…と更に不安になった俺を、数日振りに会った篁は笑った。
 忙しい中、きちんと準備してくれたことが、石川くんの誠意なのだと。だから、その想いを素直に受け取ればいいのだと。
 御尤もなその言葉は、ズシンと胸の奥に響いた。
 確かに、石川くんの誠意なのだろう。だったら、素直に受け取ろう、と。
「また、忙しくなるからね。頑張りましょ?」
 笑った俺に向け、篁がそう声をかける。
「おうっ!」
 俺たちに残された時間は、あともう少し。その時間を、十分に堪能する為に、精一杯頑張ろう。
 そう、思っていた。多分、それはみんな同じ。
 …まさか、解散が伸びるなんてことは、全く想像していなかったけれど。
 残された時間が思いがけず伸びた訳で…それを、どう消化するべきか…悩まなかった訳ではないけれど…今、目の前にあることを、とにかく精一杯やろう。俺は、そう思うことにした。
 これから待ち構えている、聖飢魔Ⅱの活動も然り。そして…先に延びた、解散も然り。
 笑っていれば、きっと良いことがある。だから…俺は、笑おうと決めた。

「今日も、機嫌良いね」
 そう言われる度に、にっこりと笑いを零す。
「笑い門には福来る、って言うでしょ?笑っていれば、きっと良いことあるしね。免疫を上げるのにも丁度良いでしょ?」
 物は言いよう。悪いことばかり考えていると、倖せもきっと逃げていく。だから、笑う。
「そう言えば、清水さんとのラジオ、どう?傍から聞いてると、すっげー楽しそうだけど」
 くすくすと笑う相手に向け、そう問いかけてみる。すると、相手からもにっこりと笑顔が帰って来る。
「すっげー楽しい。相変わらずだよね、清水さん。石川さんだって、この前清水さんとやったライブのアーカイブとか見せて来るしさ…」
 その楽し気な報告は、聞いていてもとても嬉しくなる。
 みんな、迷いに迷っても…結局、頼りになる仲間に支えられているんだと。
 そんな話をしていると、後ろから声をかけられる。
「さ、ライデン。行くよ」
「おうっ!」
 振り返ったその視線の先には、大事な仲魔たちの姿。
 今、この時間は…不自由だけれど、決して不憫ではない。
 新たなる道へ進む為の、準備の期間であり、試行期間。そう思えば苦ではない。
 きっと…先の未来が、楽しくなることを信じて。
 俺たちは、また歩き始めた。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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