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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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OCEAN VIEW
こちらは、以前のHPで1999年08月24日にUPしたものです

拍手[2回]


◇◆◇

「良い天気だな…」
 リビングの窓を開け放ち、庭に出て、空を見上げる。
 そこには、眩しい青空が広がっている。
 俺は、思わず大きな溜め息を一つ。
 なんだってこんなに天気の良い日に、俺は家にいるんだろうか…
 今日の予定はゼロ。しかも、他の構成員はみんな出かけてしまった。要は、俺一名しかこの屋敷にはいないと言うこと。
「…コーヒーでも淹れるか…」
 やることも特にないのだから、この際のんびりするしかない。
 俺はキッチンへと向かい、コーヒーを淹れ始めた。

 コーヒーを淹れた俺は、煙草の紫煙を燻らせながら、のんびりと新聞を読んでいた。
 すると、不意に電話が鳴る。
「もしもし?」
 受話器を取ると、聞こえて来た仲魔の声。
『あ、エースか?吾輩だ』
「あぁ、デーモン。どうした?」
『ちょっと、出て来られるか?』
「…は?」
 突然の呼び出しに、俺が奇妙な声を上げたのは言うまでもない…
『お前に、見せたいものがあるんだ』
 そう言うデーモンの声は、いつもよりもトーンがやや高い。と言うことは、興奮気味なのかも知れない。
「何処にいるんだ?」
『お台場。ほら、観覧車があっただろう?あそこだ』
「観覧車って…パレットタウンの?」
『そうそう。ZEPPの前のな。じゃ、あの観覧車の下で待ってるから』
「おい、ちょっと…」
 俺が問い掛ける前に、電話は切れてしまった…。
「…観覧車の下…?」
 あんな所で待ち合わせだなんて…年を考えろ、年をっ!
 だが、こんなところで文句を言っていてもしょうがない。
 もしかしたら、要があるのは観覧車ではなく、ZEPP TOKYOの方かも知れないし…。
「…ったく…」
 呼ばれてしまったのだから、行くしかない。俺は服を着替え、パレットタウンへと向かった。

◇◆◇

 大観覧車の下までやって来ると、そこには待ちかねたようにデーモンが佇んでいる。
「ZEPPで何かあるのか?」
 思わずそう問い掛けると、デーモンはにっこりと微笑んだ。
「いや。観覧車に乗ろうと思って」
「…をい」
 大きな溜め息を一つ。
 ホントに観覧車に乗る為だけに、俺を呼び出したって言うのか…?
「…なんで観覧車なんだよ…」
 呆れ顔に大きな溜め息で、俺の心境を察したのだろう。デーモンの眉根もわずかに潜められる。
「そんな…顔、しなくたって良いだろう?乗りたかっただけなのに…」
「別に、俺じゃなくても良かっただろう?ルークの方が、ぴったりじゃないか」
「御前、今日はオフだって言ってたじゃないか。だったら、一番捕まえやすいだろう?」
「だからってなぁ…」
 男二名で観覧車に乗れと?絶対、怪しまれるじゃないか…。
「御前一名で行けよ…」
 思わずそう零れた言葉に、デーモンの顔はわずかに朱に染まった。
「だって…恥ずかしいじゃないか」
「御前なぁ…俺を巻き込むなよ…」
 俺だって恥ずかしいっ。二名だから恥ずかしくない、ってのは理屈じゃない。
 だがしかし。そんなことをやっていれば、まぁ必然的に人目には付く訳だ。
 俺たちの横を通り過ぎるカップルが、くすくすと笑いを零していたり、奇妙な眼差しを投げかけては去って行く。
「…しょうがない。乗るは一瞬の恥。公然での痴話喧嘩よりはマシか…」
 溜め息を一つ吐き出し、俺は渋々、デーモンの誘いを受けることにした。
 俺の目の前で、デーモンが満面の笑みを浮かべていたのは言うまでもない…。

 観覧車に乗り込むと、デーモンは早速その眼差しを外へと向けた。
 横を向くと、睫の長さを改めて感じ…こう言う時のデーモンを色っぽいと思う。
「ほら、エース。綺麗だろう?」
 そう声を掛けられ、俺も視線を外へと向ける。
 そこから、海が見えた。
 日は傾き、そろそろ姿を消そうとしている時間だ。
「…この前のミサの前に、乗りはぐっただろう?だから、一度御前と一緒に乗りたかったんだ」
 ポツリとつぶやいたその声に、俺は小さく息を吐き出した。
「夕日はルークの方が似合うだろう?」
「夕日が似合うとか、そう言う問題じゃないだろう?今言っただろう?吾輩は、御前と、乗りたかったんだ」
「…ったく…」
 面と向かってこうあっさり口説かれると…まぁ、悪い気はしないが…それにしても、照れるじゃないか…。
 だが、デーモンはそんな事は気にせず、相変わらず視線は海を見つめたままだった。
「…時々、思うんだ。吾輩たちの決断が、間違ったのかと」
「どう言うことだ?」
 また、解散の話か?と思ったのも束の間、デーモンの口は俺の思考とは別の事を語り出した。
「地球を、助ければ良かったのか、とな」
「デーモン…」
「このまま…見守るしかない訳だろう?もう、吾輩たちが手を出して良い範囲ではないんだ。地球に来て早々に人類を滅亡させていたら、もっと綺麗な地球が残ったのかも知れない…なんてな」
 誰よりも、この惑星を愛していたデーモン。だからこそ、そんなことを考えたのかも知れない。
「俺たちは、人類滅亡の…世界征服の布石を撒きに来たんだ。後悔するかも知れないとわかっていたのなら、予め覚悟ぐらいしてたんだろう?」
「まぁ…な。だが、改めてこうやって綺麗な景色を見ると、切なくなるんだ」
「…活動は、まだ出来るんだ。尤も、解散後は全員揃っては無理かも知れないけどな」
 そう。俺たちが揃って活動するのは、後数ヶ月しかない。だがその後だって、それぞれに道を選び、この地球上に留まる事は出来るのだから。
「見届けて、やるんだろう?だったら、弱音なんか吐くな。ちゃんと俺たちが御前の背中を守ってやるし、躊躇うことがあるなら…押してやるから」
 その声に、デーモンの眼差しが一瞬、俺の方を向いた。
 そして、零れた笑い。
「…どうして…御前と乗りたかったかわかるか?」
「……いや?」
 唐突な質問だ。
「御前なら…そう言ってくれると思ったからだ。他の構成員じゃ、きっと同情されるか、宥められて終わってしまうような気がする。勿論、みんなこの惑星を愛してくれた事には変わりないし、今までの活動を後悔して来た訳じゃないだろう。でも…きっと、御前みたいに押してくれるヤツはいない」
 それって…誉められているのか、貶されているのか…。
「見事な誉め言葉だな」
 溜め息と共に吐き出した言葉に、デーモンはくすっと笑う。
「だろう?」
 その笑う顔は、今まで見て来た中で…一番、すっきりした顔に見えた。
「俺は、御前の片腕だからな。御前の背中を守るのは当然だしな」
 そう。ずっと、そうして来たんだから。今更、その考えを変える方が難しいんだ。
「吾輩がずっと信頼して来た先輩だモンな。流石、清水大先輩」
「…そういや、この前、ばらしたな…」
 ふと、先日のミサの事が頭を過ぎり…睨み付けてみたものの、デーモンの笑いは止まらない。この時ばかりは、俺の眼力も役立たずだったようだ。
 溜め息を吐き出すと、デーモンはやっとで笑いを収め、再び窓の外に目を向けた。
「ほら、エース。頂上だ」
 高くから見下ろす景色も、また良い。
 夕日は、海の向こうに消えかけている。
「…有難うな…」
 それは…誰に向けた言葉だったのか。
 意味深なその言葉を、俺は敢えて問い返そうとは思わなかった。
 ただ…俺でさえも、その景色を残しておきたいと、切に思った。

 せめて、これ以上汚れないように…
 せめて、これ以上、侵されないように…。
 俺たちが留まるのは、その為だと思いたい。
 デーモンが愛した色を、失わないように。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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