聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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PRESENTS ~Ace's Day~
暖かな日差しが広がり始め、色とりどりの花が綻ぶ準備を始める季節。
それは、地球という、青く輝ける惑星にのみ、許された季節ではなかった。
この魔界という地であっても、それは同じこと。
そしてその麗かな季節に、また一つ、歳を重ねることになる者がいた。
「…はぁ…」
大きな溜め息が一つ。それは、情報局長官の執務室。
「何、その溜め息…?」
意味深なその溜め息を聞きつけたのは、用事があってその執務室を訪れていたルーク。
「いや、別に」
そう、言葉を紡いだ主…エースであったが、ルークはその意味に何となく気が付いたようだ。
「あぁ、そう言えば…もう直ぐあんたの発生日だね」
「……」
「それで溜め息、か」
くすっと、小さな笑いが零れた。
同じ任務に参加していた構成員の中で最年長者であったエース。魔界に戻って来たところで、その年齢差が変わるはずもなく…やはり今も、仲魔の中では最年長者である。
その上、また一つ、歳を取ろうかと言う季節になってしまったのだ。溜め息を吐き出すのも、それはそれで当然。
しかしながら、エースにはもう一つの理由があった。
それは、遠く離れている恋悪魔のこと。
地球任務が終了しても、彼の恋悪魔だけは、未だその惑星に留まり続けている。
今までは殆ど連絡もして来なかった。言い訳ではあるが…御互いに仕事も忙しく、定期的に連絡を…と言うことは、頭ではわかっていてもどうしても難しかった。
地球と魔界。その距離は、近いようで果てしなく遠い。そしてそこには、目に見えない深い深い溝がある。
溜め息が、また一つ零れる。
去年の同じ頃。地球任務から戻ったばかりの構成員たちは、それぞれに仕事が山のようにあり、年が変わって最初に来るエースの発生日をみんなで祝うことが出来なかった。勿論それはエースの発生日だけではなく、結果的にはどの構成員の発生日にも言えることだったが。
そして、丸一年が過ぎ、やっとまた集まって発生日のパーティーの相談も持ち上がったのがつい先日。
だが、当然地球にいるエースの恋悪魔には、それはまだ伝わっていない。
それを思うと、また一つ溜め息が零れそうになる。
「…デーさん、あんたの発生日ぐらい、帰って来るかな…」
「…さぁな。まぁ…無理じゃないか?」
努めて、平生を装う。だか、その心中は、彼らの仲を知ってさえいれば、当然察することなど容易なことだったが。
「まぁとにかく、今年のパーティーの幹事は俺だからさ、久し振りに楽しくやろうよ」
「…期待はしてないけどな」
「もぉっ」
呆れ顔のエースに小さな笑いを零し、ルークは職務を終えて軍事局へと帰って行った。
その背中を、エースが大きな溜め息で見送ったのは言うまでもない…。
今回、エースの発生日の幹事を役回りを引いたのはルークだった。
「この歳になって、祝って貰う必要はない」と言い張ったエースを説き伏せ、やっとパーティーの準備に取りかかったのだが…ルークでさえ、未だ一番のプレゼントは用意出来ずにいた。
そのプレゼントは、魔界にはない。あるのは…地球と言う惑星。俗に言う、人間界。
そのプレゼントを手にするべく、ルークは雷神界のライデンを訪ねていた。
「…うーん、難しいなぁ…」
ルークからの相談を持ちかけられたライデンは、眉を潜めて唸っている。
「相変わらず、色々と結構忙しいみたいだよ?」
「そこを何とかさぁ…折角のエースの発生日なんだし…」
ルークにそうせがまれ、ライデンは小さく溜め息を吐き出す。
「まぁ…話はしてみるけどね。あんまり期待しないでよ?」
「大丈夫。エースからも期待してないって言われてるから。俺の思惑なんて気付いてないだろうしね」
くすっと、小さな笑いが零れる。
「じゃあ、頼んだよ」
「了解」
ルークの思惑に押し切られたライデンは、渋々溜め息を吐き出していた。
彼が訪れたのは、人間界。
この地に降り立つことが久し振りならば、人間である媒体に接触したのも久し振りである。
久し振りとは言え、この地へ来たら、彼は媒体に頼まざるを得ない。この地では、媒体こそが彼が行動する拠点となるのだから、それはそれで仕方がないことであるが。
さて、媒体と同化した彼が足を運んだのは、かつてから知っている某所のマンション。
そのドアチャイムを鳴らすと、暫しの後にそのドアが開かれた。
その隙間から顔を覗かせたのは、かつての仲魔。
「…おぉ、湯沢じゃないか」
「ども」
「どうしたんだ?」
「ん、ちょっと用があってね。御邪魔じゃなかった?」
「あぁ、大丈夫だ。まぁ、入ったらどうだ?」
促されて室内へと入る。
ソファーに腰を落ち着けると、部屋の主はキッチンに立って、コーヒーを淹れ始めた。
「御前は…ライデンの方、だな?」
徐ろにそう問いかけられる。
「やっぱしわかった?」
「ど素人じゃあるまいし、何を今更」
くすくすと笑う主。その姿にちょっと安心し、彼は悪魔の姿へと戻った。
「どうしたんだ?一体」
「言ったでしょ?用がある、って」
そう言っている間に、コーヒーが目の前のテーブルに置かれる。
「御前の用事、ってのが引っかかるんだがな」
主は自分のカップもテーブルに置き、彼の…ライデンの前に腰を降ろした。
「仕事、忙しい?」
当たり障りのないところから責め始めたライデン。
「あぁ、それなりに…な。如何せん、細かい仕事が多くてな。御前…いや、湯沢の方だって忙しいはずだぞ?」
コーヒーを啜りながら、こちらも当たり障りのない答えを返す。
「まぁね。でも今日はオフだって言ってたから、ちょっと間借りしたんだ」
「…で、本題は?」
カップを置いた主は、徐ろにライデンにそう問いかけた。
「実はさ…」
何処まで率直に話して良いものかどうか躊躇いながら、ライデンはゆっくりと口を開いた。
「もう直ぐ、エースの発生日でしょ?だから、ルークが久し振りにパーティーの予定を立てたんだよね。でさ、相談なんだけど…デーさんも、ちょっとで良いから魔界に戻って来ない?」
「…は?」
突然そう言われた主…デーモンは、当然眉を潜めた。
あからさまにそんな姿を見せられ、ライデンは慌てて言葉を繕う。
「いや、だからね、エースの発生日の御祝いをするから…」
「それはわかったが、吾輩はまだ魔界に帰るつもりはないぞ。エースだって、それはわかってるだろう?」
「エースは知らないんだよ。ルークが考えたことだもん。で、俺が頼まれて…」
「吾輩をプレゼントにでもしようと言う訳か?」
「…ルークのことだから、多分…ね」
「…ったく…吾輩は、モノじゃないぞ?」
大きな溜め息を吐き出したデーモンに、ライデンも困り顔である。
「でもさぁ、ルークの話だと、エースも寂しそうだってよ?暫く会ってないじゃん。この際だからさぁ…」
「却下」
「デーさ~~んっ」
「忙しいんだ」
結局、その一言で押し切られてしまう。
御互いの仕事は干渉しない。それが解散後の暗黙の了解であったのだから、それ以上何を申し立てることも出来ない。
小さな溜め息を吐き出したライデン。その姿を見つめていたデーモンは、突然ソファーから立ち上がると、書斎へと消えていく。そしてその姿が戻って来た時には、その手に小振りの紙袋を一つ、持っていた。
そして徐ろに、その紙袋をライデンの手の中に押し込んだ。
「…何これ?」
「エースに…渡してくれ。発生日の、プレゼントだ」
「…早々と準備してるんだから、自分で渡せば良いのに」
僅かに頬を染めたデーモンに、ライデンはくすっと笑いを零した。
いつになっても変わらない、シャイな姿。こんな副大魔王が、何処にいようか。
「…ちょっとでも良いからさ…時間、出来たら来てよ。エースも待ってるから。勿論、俺たちもね」
そう言い残し、ライデンは託された紙袋を手に、帰路に付いた。
残されたデーモンは…小さな溜め息を吐き出し、スケジュールの書き込まれたカレンダーへと視線を向けた。
他意があった訳ではないが…書き込みのない、空白のその一日。
迷っていたのは事実。けれど、それを行動に移すべきかどうか…正直なところ、未だ答えは出ていない。
その真意は…如何に。
エースの発生日当日。
日中は誰もが任務の為、パーティーは夜になってからとなった。
かつての仲魔に加え、皇太子であるダミアンまでもが加わったが、唯一、彼の恋悪魔だけは現れない。
そのまま時間だけが過ぎ去り、佳境も過ぎた頃、思い出したようにライデンが一つの紙袋を持ち出して来た。
「そぉだ~、あすれてたぁ。これ、あんたにプレゼント~。でぇさんからね~~」
「…デーモンから?」
「そう。あずかってて、あすれてたぁの。めんね~。あ、でもなかはみてないよぉ?」
けらけらと笑いながら、エースの手の中にその紙袋を押し込んだライデン。
酒気を帯びている為、言い方がぞんざいだが…まぁ、この際仕方がない。
エースの方は、思いがけず手の中に押し込まれた恋悪魔からのプレゼントに、そんなことにはまるで気が付いていないようでもあるし…。
唖然とするエースの姿に、ダミアンが笑いながら言葉を零す。
「エースの心はすっかりデーモンの元へ行ってしまったようだな。我々は邪魔にならないうちに退散するか」
「ちょっ…」
あっさりと帰り支度を始めた姿に、エースは慌てて口を挟もうとする。けれど、それを遮ったのは幹事たるルークだった。
「駄目駄目、あんたはじっくり感動を噛み締めてなさいっ。じゃあ、俺たちはダミ様の屋敷で続きを決行~!」
「おいおい…」
そのプレゼントの意を察したルークは、ダミアンの返事もロクに聞かずそう声を上げる。そして、そのままバタバタと帰り支度を整え、あっと言う間に彼らはエースの屋敷から姿を消した。
その素早さに唖然としたまま、プレゼントを手に立ち尽くすエースに、片付けを始めたティムが、くすっと笑って声をかける。
「エース様、自室の方へ戻られてはいかがですか?皆様、早々に解放してくださったのですから」
「…あぁ…」
ポーカーフェイスの主でも、恋焦がれている恋悪魔からのプレゼントにメロメロである事は、使用魔たちもわかっていることだった。だからこそ、自室へと戻るエースの背中をくすくすと笑いながら見送っている訳である。
自室へと戻って来たエースは、早速恋悪魔から受け取ったプレゼントを開封してみる。
紙袋の中には、包装紙に包まれた"何か"が入っている。
その包装を解くと、中から出て来たのは小さな箱、であった。
そして、その箱を開けてみると…そこには、親指の先程の大きさの水晶が一つ、収まっていた。
「……?」
その水晶を取り出したエースは、怪訝そうに眉を寄せながら、暫く眺めていた。
と、その時。エースはその"何か"に気が付いた。
「…デーモンの波動…?」
そこから感じるのは、紛れもなくデーモンの波動。と、言うことは…。
エースは、その水晶に、自分の波動を加えてみる。すると、そこから目映い光が溢れ出し、光が薄らいだ後には、デーモンのホログラムが現れた。
『エース、発生日おめでとう』
ホログラムのデーモンは、にっこりと微笑んでそう言葉を零した。
『まだ…魔界へは戻れないが、必ず御前の傍に帰るから。それまで…待っていてくれるよな…?』
「…ばーか。当たり前、だろう…?」
思わず零した言葉。
今は、傍にはいられない恋悪魔。だが、その想いだけはいつまでも変わらない。
せめてもの想いをプレゼントに託した恋悪魔の想いはとても嬉しくて…そして、何だか切なくて。胸が、熱くなる。
『吾輩は、ずっと御前を愛しているから』
ホログラムの言葉が、酷く現実的に聞こえる。
「…俺も…愛してるよ、デーモン」
ふと、そうつぶやいた瞬間。
「悲観、するなよ」
「…っ!?」
懐かしい声に、思わず背後を振り返ったエースは、ドアに凭れて佇む姿に目を見張った。
「…デーモン…」
「久し振り、だな」
くすっと、笑いを零すのは、紛れもなく実体。
今は人間界にいるはずの、愛しい恋悪魔、デーモン。
「御前…何で…」
突然の登場で、上手く言葉を紡ぐことが出来ないエースに、デーモンは相変わらずくすくすと笑いを零していた。
「わざわざ会いに来たんじゃないか。御前に、な。丁度オフだったしな」
「…だから、どうして?御前は、まだ人間界にいるはずだろう?俺の発生日如きで…」
「だから、これだ、これ」
「……?」
デーモンが笑いながら指を指すのは、自分の後頭部。よくよく見れば、束ねた黄金の髪の毛に、赤いリボンが付いている。
「そう言う趣味になったのか…?」
「…じゃなくて…」
きょとんとするエースに苦笑しつつ、デーモンは僅かに頬を赤く染めた。
「…その…つまりだな…」
「…何だよ…」
他悪魔のことに関しては鋭いクセに、自分のこう言う状況に関して非常に鈍いエースであることを思い出したデーモンは、小さな溜め息を吐き出した。
「ライデンが吾輩のところに来てな。御前の発生日だから一度戻って来てくれと、ルークにそう言伝を頼まれた、って言うからな…」
「…で、素直にそれに従って来た、って訳なのか?」
「まぁ…たまには良いだろう?元々オフだったのは本当だしな」
「でも、あのホログラムは…」
「アレは、前から用意してあったんだ。本当は戻って来るつもりはなかったからな。だが…まぁ、吾輩からも、直接御前に発生日のプレゼントを渡してやろうか、と思ってな…」
----だから、これだ。
と、デーモンは、再び自分の髪に付いているリボンを指さす。
「…リボン…?」
「いい加減、わかれよっ」
「……?」
暫く考えた後、エースは眉を潜める。
「まさか…御前が、プレゼント…?」
「…ルークが考えそうなこと、だろう?」
「…阿呆らし…」
くすっと、エースから小さな笑いが零れた。
「やっと、笑ったな」
やっと意図が通じたと、デーモンも小さな笑いを零す。
「だが…良く戻る気になったな?」
改めてそう問いかけたエースに、デーモンは僅かに瞳を伏せる。
頑なに、帰獄を拒んで来たデーモン。その急な心変わりは、エースにも信じられないことだったから。
「まぁ…ライデンが来るまでは、帰るつもりがなかったのは確かなんだ。だが、その後ちょっと考えてな。正直、あと何年、向こうにいるかはわからない。我々が生きて来た年月に比べれば、ほんの僅かな時間かも知れないが…それでも、御前に会えないストレスは、吾輩にだってあるんだぞ?御前らにあぁ言ってしまった手前、なかなか自分からは戻っては来れないしな。折角の良い機会だし、何より大事な発生日だしな。今回は、特別ってことで。ただ、彼奴らには内緒だぞ?吾輩は意地でも戻って来ないモノと思っているからな」
「それで、誰にも内緒でって自らプレゼントになった訳か。彼奴等の前じゃ、絶対にやらないだろうな」
「当たり前、だろう?いつまでもからかわれるからな」
「全くだ」
くすっと、エースが笑う。そしてデーモンへと歩み寄り、腕を伸ばすと、その髪のリボンを解いた。
「折角のプレゼントだしな。有り難くいただこうか」
そっと抱き寄せ、その髪に口付ける。
そして。
「…会いたかった」
デーモンの耳元で囁かれた、エースの甘い声。
「吾輩も、だ」
くすっと笑ったデーモンは、その腕を愛しい恋悪魔の首へと絡める。そして、その耳に唇を寄せた。
「発生日、おめでとう」
甘く囁かれたその言葉に、満面の笑み。
「あぁ、有難う」
そう言葉が零れると、その唇が重なる。
久方振りに、後を引く甘い余韻。
何よりも、欲しかったプレゼントを貰ったエースの表情は、とても柔らかく見えた。
暫くは、エースの溜め息も聞かずに済みそうな予感を感じつつ、ゆっくりと記念日は過ぎて行ったのである。
当然それは、他の構成員には秘密の時間。それが何よりも幸せな一時となった。
何よりも素敵なプレゼントを、アナタに。
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COMMENT
プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
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