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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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PRESENTS ~Demonmass~
こちらは、以前のHPで2001年11月10日にUPしたものです
閣下の発生日記念に。

拍手[1回]


◇◆◇

 空がどんどん高くなり、秋が深まりつつある季節。
 丁度その頃、発生日を迎える者が二名。その最初の一名の発生日が、数日後に迫っていた。

◇◆◇

 大きな溜め息が一つ。
「…どうしたんですか?」
 その溜め息を聞きつけてか、スタッフの一名が声をかける。
「御疲れ、ですか?」
 くすっと、小さな笑いと共に問いかけられた声に、彼は大きく身体を伸ばす。
「いや、大丈夫だ。仕事のことじゃないんだ」
「プライベート、ですか?」
「まぁ…な」
 再び、大きな溜め息を吐き出す。
「珍しいですね。雪でも降るんじゃないですか?」
 何を想像しているのか、くすくすと笑いを零しながら去っていくスタッフを見送りながら、彼は無造作に上着のポケットに突っ込んだ手に触れた封筒を引っ張り出した。
 彼に宛てた招待状。それは、彼の昔の仲魔から、発生日を祝うパーティーの招待状であった。
 その招待状を見つめながら、再び溜め息が零れた時、その声が頭上から降って来た。
『…パーティー、来られる?』
「…は?」
 声に反応するように顔を上げてみれば、微かに歪んだ空間に浮かぶヴィジョン。
「…ゼノン?」
 思わず上げた微かな声に、実体を持たないヴィジョンは微笑みを浮かべた。
『久し振り。俺の発生日以来だもんね。元気?』
「あぁ。それにしても、どうしたんだ?そんなところから…珍しいな?」
 辺りを気にしながらも、どうせそのヴィジョンは他人には見えていないことを悟っている彼は、いつになく無茶をする仲魔の姿に首を傾げる。
『うん。発生日のパーティー、来られるかな?と思ってね。忙しいって聞いてたから、様子見に。無理矢理空間繋げちゃった』
 くすっと笑う姿は、良く見知っている。変わらない仲魔の姿に、つい自分を重ねてしまう。
「…悪いな、出られそうにない。仕事が立て込んでいるから…」
『…そう。でも、一応準備はしておくから、時間が出来たらで良いよ。待ってるから』
----じゃあ、ね。
 そう言い残し、ヴィジョンは薄れて空間の歪みは元に戻る。
 最後に見せた、寂しそうな表情。その表情を思い出しながら、彼は再び溜め息を吐き出していた。

◇◆◇

 今回のパーティーの幹事であるゼノンが、招待状を送った主…デーモンの様子を見に行ったと聞きつけたルークが、すかさずゼノンの執務室を訪れていた。
「…で、どうだった?デーさん、元気だった?」
 唯一、人間界に残った仲魔。それが憧れの悪魔であったのなら、心配でないはずがない。けれどその答えは、ゼノンの表情が語っているようだった。
「…出られない、って?」
「…まぁ、ね。忙しい、って言うのが理由みたい。でも、それだけじゃないみたいだね。何か、もっとこう…心理的なモノか何かかな、って…」
 まさに、ヒトの心の中をも見抜く医師としての見解に、ルークも苦渋の表情である。
「…ストレス、なのかなぁ…今年の発生日のパーティー、あんまり乗り気じゃないって言うか…ずっとそんな感じじゃない?俺たちと、会いたくないのかなぁ…」
「うーん…何とも言えないけど…もしかしたら…ホームシックかな、って」
「ホームシック?」
 ゼノンの言葉に、ルークは首を傾げる。
「ホームシック、って…魔界に?今までだって、ずっと向こうで生活してたのに…?」
「うん、でも、前は俺たちもいたけど、今はデーモン一名でしょう?エースと離れてる、って言うのが一番大きいのかな、とも思うし…」
 眉間に皺を寄せるゼノン。
 誰よりも愛おしい恋悪魔と離れている現実。それが、一番の要因であるかと思う。
 だが、それに向かい合うルークの方には、何か思うところがあるようだ。その表情が、幾らか明るくなっていた。
「だったらぁ………」
 他に誰が聞いている訳でもないのだが、そっとゼノンに耳打ちするルーク。
「…了解すると思う?」
 ルークの発案を聞いた後、そう口を開いたゼノン。
「させるの。それが、幹事でしょう?」
「…もぉ…」
 くすくすと笑うルークに、ゼノンは幹事としての役割に大きな溜め息を吐き出していた。

◇◆◇

 彼の発生日の前日。
 その日、彼が仕事を終えてマンションに戻って来たのは、日付が変わる一時間ほど前だった。
 あともう少しで、自身の発生日。かつて住み慣れた人間界の屋敷で、パーティーが始まる時間。以前と同じように、日付が変わったばかりの夜中ではあるが、忙しい彼らに合わせての時間だった。
 だがしかし。この日は仕事に束縛されている訳ではなかったが、彼はどうしても屋敷に向かえずにいた。そして、主役でありながらパーティーに出ることを拒否した彼は、シャワーを浴びると、ベッドに寝転がったまま、ぼんやりと時間だけが過ぎる感覚を感じていた。
 こんな感覚を覚え始めたのは、いつからだっただろう?
 去年は、忙しさに感(かま)けて、ただ時間の中を走り抜けただけのように思う。しかし今年になって、一悪魔でいる慣れも出て来たのか、時折心の中を、何かが吹き抜けるような感覚がある。その理由さえわからずに、自然と仲魔から遠のくことで、自分の中の弱さに面と向かうことから逃れていたのかも知れない。
 大きな溜め息を吐き出した時、時計が十二時を告げた。
 その瞬間。
 ピンポーン。
 ドアチャイムの音に、ドキッとして起き上がる。
「…まさか…なぁ…」
 こんな時間の来訪者に、彼の心当たりは一名しかいない。けれど…今頃は、パーティー会場である屋敷にいるはずなのに…。
 そんな思いで、怪訝に思いながらも、ドアスコープから外を覗いた。
「…っ!」
 そこにいたのは、彼の予想通り…愛しい恋悪魔。
 息を飲んだ彼の気配を感じたのか、ドアの向こうから微かな声が届く。
『そこにいるんだろう?開けてくれよ。流石に外は冷えるんだから』
「……」
 見抜かれていては仕方がない。冷え込んでいるのに、無情に外に置いておく訳にも行かない。諦めの溜め息を吐き出した彼は、チェーンロックとキーロックを外してドアを開けた。
「よぉ」
 相手から届いた第一声は、それだった。
「よぉ、って…御前、何でここに…?って言うか…そのまま来たのか…?」
 目の前には、完全に悪魔の姿の恋悪魔。その格好でここまで来たのだとしたら、流石に目立ち過ぎる。
 怪訝そうに眉を寄せる彼に向け、両手に一杯の荷物を持った来訪者はにっこりと微笑みを浮かべた。
「しょうがないだろう?急だったから、清水の身体は間借り出来ないし。気を張ってないと、実体を保てないしな。まぁ、ここの前まで転移して来たから問題ない。それに何より、一番に御前の発生日を祝いたかったから。去年は無理だったけれど、毎年そう言っていただろう?」
「…エース…」
 確かに、毎年そう言われていた。だからこそ、今になってそう言われると…胸が痛い。
「ホントは…パーティーに出られないほど忙しくはなかっただろう?」
「……」
 見抜かれていた。そう言わんばかりに思わず口を噤んだデーモンに、苦笑する姿。
「やっぱりな。こんなことじゃないかと思ったよ」
 そう言葉を吐きながら、恋悪魔…エースは、勝手にリビングへと上がっていた。
「ちょっ…エース!」
 彼は慌てて後を追いかける。だが、彼が追いついた時には、エースはリビングのテーブルの上に、持参して来た荷物を広げているところだった。
「ほら、アップルパイ。アイラ(魔界のデーモンの屋敷の使用魔)が焼いてくれたんだ。御前、好きだろう?それから、御前が気に入っていた酒と……」
 次々とテーブルの上にセッティングしながら、楽しそうに話すエースの姿に、彼は何も返す言葉がない。ただ、茫然と見つめているだけだった。
 心の奥底から込み上げて来る"何か"。その不確かな感情を探っている間に、名前を呼ばれたような気がした。
「…デーモン」
「…ん?」
「これ、やるよ」
 その言葉と共に、掌に押し込まれた小さな箱。
「俺たちみんなからのプレゼント、預かって来た。開けてみろよ」
 その声に促されるように、かかっているリボンを解き、箱を開く。
 箱の中にあったのは、大きさも形も丁度卵のような水晶の置物。その中に、赤・蒼・黄色・碧・金色と、少し大きい白金の6つの石が入っていた。
「これは…」
「ゼノンがさ、御前が寂しがってるみたいだ、って言うから…まぁ、御守り代わりっていうのか?」
「……」
 赤はエース。蒼はルーク。黄色はライデン。碧はゼノン。金色はデーモン。そして、少し大きい白金は皇太子。それぞれをイメージした石は、まさに彼の思うところの"懐かしい場所"であった。
「それから俺からはこれ、な」
 無造作にズボンのポケットから何かを取り出したエースは、徐ろに彼の左手を取ると、その薬指に"それ"を填め込んだ。
「…エース…」
 填め込まれたのは、意味ありげな小さな水晶が填まった金色のリング。
「…何回目、だろうな?御前の左手に指輪を填めるの。その度に、"あの約束"を繰り返したよな?」
 真っ直に、彼を見つめる眼差し。その眼差しに魅入られたように、彼も視線を逸らせることが出来ない。
 彼の手を握り締めたエースは、彼に填めた指輪の上に、まるで自分の思いを込めるかのようにもう片方の手を置いた。
「俺たちに会えない理由が御前自身の問題だ、って言うのなら、言及はしない。ただ、俺たちはずっと、仲魔だからな。何があったって、俺はずっと…待ってるから。御前が魔界に…俺のところへ、戻って来るのを。信じて、いるんだから…負けるなよ。俺は、いつでも御前の傍にいるから」
「……ぁ…」
 引き寄せられるように、彼の頭がエースの肩口へと凭れかかる。その肩口が濡れていくのを感じながら、エースはくすっと小さく笑って、その背中をぎゅっと抱き締めた。
「…馬鹿だなぁ…らしくないぞ?そこまで思い詰めるんだったら、ちゃんと言えば良いのに。俺はちゃんといるだろう?」
「…あぁ…」
 そうは答えたものの、涙が止まらない。
 愛しい恋悪魔。ただ、傍にいてくれるだけで、何よりも満たされる。決して、好き好んで離れている訳ではないのだから、それはある意味当然。
 けれど…離れていることを決めたことを、間違いだとは思いたくはないと言う思いもそこにあり、素直に"会いたい"の一言が出なかっただけで。
 彼が落ち着くまで、エースは背中を抱き締め、優しく擦っていた。そして、その呼吸が穏やかになってくると、ポンポンと軽く背中を叩いた。
「さ、アップルパイ、喰おうぜ。折角、料理もあるんだから」
「…そうだな」
 やっと落ち着いた彼は、エースから一歩離れると、改めてテーブルの上の"御馳走"を見つめた。そして、小さく溜め息を一つ。
「彼奴ら…どうした?」
 ふと過ったのは、ゼノンの寂しそうな表情。
 その声を聞いて、エースはくすっと小さく笑った。
「今更気になるのか?」
「……」
 すっぽかしたのは自分。でも…気にならないはずはない。
 大きく息を吐き出した彼は、意を決したように顔を上げた。
「どうせ、あの屋敷で…待っているんだろう?折角の料理があるんだ。向こうに行くか。ライデンも"これ"を楽しみにしていたんだろうし…」
 その言葉を待っていたかのように、エースもにっこりと微笑む。
「ライデンだけじゃないさ。ダミアン様も、ルークも、ゼノンも待ってるぞ。御前のことを、な」
「…そうだな」
 ちょっぴり照れくさそうな表情を浮かべながらも、彼もそう言われて満更でもないのだろう。やっと、昔と同じ笑顔を浮かべた。
「じゃあ、早速行こうか」
 全て、予測の範疇だと言わんばかりのその言葉と共に、エースはそそくさとテーブルの上を片付け始め、彼は転移の魔法陣を敷く呪文を唱え始めた。
 程なくして、彼の部屋から、二名の姿は消えていた。

◇◆◇

 目の前の空間が歪み始めた瞬間、彼らは待ち兼ねたようにクラッカーを構えていた。
 そして、彼と、彼の恋悪魔の二名の姿が現れた時、一斉にクラッカーの大音量が響く。
「発生日、おめでとう~!」
 恋悪魔の方は予めわかっていた為に驚くことはなかったが、彼は突然の出来事にきょとんとしていた。
「遅かったね。随分待たされたよ」
 くすくすと笑いながら、そう零すのは皇太子。
「腹減った~!早く食べようよぉ~~っ!」
 当然、そうごねるのはライデン。
 そして、幹事であるゼノンは、にっこりと微笑みを浮かべて待っていた。
「御帰り」
 その一言に、彼は思わず微笑む。
「…悪かったな。遅くなって」
 それが、全ての答えであるかのように、彼らの全ての心の中に安堵感を感じていた。
 自分たちの知っている彼が、戻って来たのだと。
「さぁ、それじゃあ改めてパーティーを始めようか」
 ゼノンの声で、やっと彼の発生日のパーティーが始まった。

 明け方近くになり、やっとパーティーが御開きになると、仕事が押し迫っている彼はマンションへと戻ることにした。
「また仕事、だな」
 彼を見送る為に、彼の部屋へとやって来たエースは、そうつぶやきながら彼の姿を見つめていた。
「あぁ。だが、十日もすれば、またライデンの発生日だ。その時に、また…だな」
 くすくすと笑う彼に、エースも小さな笑いを零した。
「そうだな。まぁ、十日の我慢は良いんだが…その後は、また暫く会えなくなるな」
 エースがつぶやいた最後の言葉は、最早笑顔ではない。けれど、彼は微笑んだまま、だった。
「大丈夫。そのうちにまた会えるさ。それに…」
 彼はそう言って、未だ左の薬指に填っている水晶の指輪を胸に抱き締めた。
 水晶に込められたエースの想いが、とても暖かく感じられる。その想いが、何よりの支えとなってくれる。
 多分、エースもそのつもりで水晶を選んだのだろう。
「吾輩には、これがある。御前がいつも、傍にいてくれる。だから…吾輩は頑張れる」
「…デーモン…」
「有り難うな、エース」
 くすりと小さな笑いを零した彼は、腕を伸ばしてエースの首に絡める。そして自ら、深く唇を合わせた。
 吐息の一筋も、漏らさぬように。その想いの一欠片も、零さぬように。
 その彼の想いを受け留めたエースは、精一杯の想いと共に、彼を抱き締める。
 幾ら離れていても、御互いの想いは変わるはずなどない。
 ただ、ほんの少し、寂しかっただけで。会いたいと言う想いを、言い出せなかっただけで。その想いを掬い上げてくれた幹事に…そして恋悪魔に、感謝しなければなるまい。
「発生日、おめでとう」
 遅らばせながら、エースはその言葉を告げる。そこに、にっこりと微笑む彼がいた。
「ありがとう」
 再びそう口にする彼に、やっといつもの笑顔が戻っていた。


 何よりも素敵なプレゼントを、アナタに。
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