聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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Santa Claus is comin' to "house"!
街を歩けば陽気な恒例ソングが流れ、イルミネーションが眩しい。
買い出しを終えて屋敷に戻って来たルークとライデンは、出迎えたゼノンと共にキッチンで買って来たモノをしまいつつ、夕飯の準備をしていた。
「そう言えばさ、今年はどうすんの?クリスマス」
そう問いかけたライデンに、ルークが苦笑する。
「あんたもクリスマスに便乗するの、隠さなくなったよね」
ゼノンもその言葉には笑いを零す。
「まぁ、単なる便乗で済んでる分には良いんじゃない?で、今年はもうサンタクロースと会った?」
聖夜にはまだ少し早い。毎年恒例のサンタクロースの来日のニュースもまだ見てはいないが、サンタクロースと友達だと言うライデンなら、既に会っているかも知れない。そう思って問いかけたのだが…ライデンは、と言うと、ダイニングテーブルの上に突っ伏している。
「…会えないんだよね、ここ2~3年?全然会えないの」
非常に不服そうにそう零すライデン。
「オトナになっちゃったんじゃない?」
その残念そうな顔を見てルークがそう返してみると、更に口を尖らせて文句が零れる。
「とっくにオトナですけど~?って言うかさ…ほら、今、日常生活も色々制限されてるじゃない?去年なんかはソーシャルディスタンスだっつって、プレゼントもネットで注文してポスト投函とか玄関先に置き配するって噂も聞いたしさ…」
「…それは既にサンタの役割いらないよな…」
「でしょ?前にエースにも言ったんだけど、サンタは信じてないと見えなくなっちゃうからさ…需要がなくなって来ると、各国にいる公式サンタクロースはともかく、本物はどんどん見えなくなっちゃうんだよね…」
そう言いながら、溜め息を吐き出す。
もしかしたら、ライデンがクリスマスに便乗したがるのは…大事な"友達"の存在を、心配しての事なのかも知れない。ふと、そんな想いを感じる。
ならば…と、ルークはライデンの正面に座ると、にんまりと笑った。
「じゃあさ、せめて…俺たちが、プレゼント頼んでみない?」
「俺たちが?でもそんなことしたら、デーさん怒らない…?」
ちょっと心配そうに眉を寄せると、ゼノンもライデンの隣に座りながら口を開く。
「プレゼント頼むくらいなら、大丈夫じゃない?聖夜に便乗…って言うよりは、"友達"の為、でしょう?ちゃんと理由はあるし、前以て話をしておけば大丈夫だよ。そう言うところは寛大だもの」
「…そっか…じゃあ、頼んでみようかな。デーさんにも話して、みんなでやろう」
にっこりと笑ったライデン。その笑顔に、ルークもゼノンも、笑いを零していた。
その日の遅くにデーモンが屋敷に戻って来ると、待ち構えていたようにライデンが出迎えた。
「お帰り~」
「…あぁ、ただいま…?」
いつになくハイテンション。その出迎えに圧倒されるデーモン。
「…何か、どうした?妙に元気だが…」
リビングに向かいながらそう問いかけると、ライデンはデーモンの後ろを歩きながら、ちょっとだけ首を傾げる。
「そう?あぁ、楽しいこと考えてると、テンション上がるよね」
「楽しいこと…?」
そんな話をしている間に、リビングへと到着する。そこには、ルークとゼノンの姿もあった。
「お帰り。待ってたよ~」
「何だ、お前たちまで…」
呆気に取られているデーモン。
「いやね、ちょっとさ…相談があるんだけど…」
ソファーに座り、そう話を切り出したライデン。
「クリスマスプレゼント…頼まない?」
「……は?クリスマスプレゼント、って…お前、何言ってるんだ??」
唐突な話に、デーモンが困惑の表情を浮かべるのは…まぁ、ある意味当然。
そんな表情を前に、ルークが苦笑する。
「ライデンったら唐突。いきなりそこから話したって、意味わかんないって」
「そうそう」
ゼノンもまた、苦笑する。
そんな二名を前に、咳払いを一つ。そして改めて、ライデンは言葉を続けた。
「えっとね…俺の"友達"にサンタクロースがいるんだけど…ここ何年か会えなくてさ…」
「…サンタクロース…」
確か、前にもそんな話は聞いたことがあるような気がする。だが、それが何処まで本当の話なのか、結局わからなかったのだが…首を傾げるデーモンを前に、ライデンは更に言葉を続ける。
「サンタクロースってね、信じないと見えなくなっちゃうんだ。大人ってさ、サンタクロースなんて信じないって人多いじゃん?それって、プレゼントの出所が何処かって知ってしまったからだと思うんだけど…サンタは、ホントにいるんだ。みんな、子供が出来たらサンタクロースにプレゼントを、って言うじゃない?それって、無意識にサンタの手伝いをしてるってことなんだ。それだけでも、ちゃんとサンタには想いが届くの。でも、このご時世、プレゼントさえソーシャルディスタンスだって、ネットで注文してポスト投函とか玄関先に置き配とかって言われて…それが悪い訳じゃないけど、有難味がないって言うか…サンタクロースである意味がないって言うか…だから、見えなくなっちゃったのかな、って…このままじゃ…ホントに、いなくなってしまうかも知れない。だから、せめて…俺たちが、プレゼント頼んでみようって、ゼノンとルークと話したの。だから、デーさんに許可を貰おうと…」
「…成程、な」
ライデンの話を聞き、デーモンは腕を組んでソファーへと凭れる。
「別に、吾輩の許可を得る必要はないが…まぁ、お前がそう言うのなら、みんなで頼んでみるか」
そう言って、くすっと、笑いが零れた。
「信じて良い子にしていれば、プレゼント貰えるんだよな?」
そう言って笑う顔は、とても楽しそうで。
「そう。貰えるよ」
ライデンもまた、満面の笑み。それを眺めていたルークもゼノンも、同じように楽しそうに笑っていた。
「じゃあ、後でカード渡すから、それに書いて靴下に入れておこう。誰が何を頼むかは内緒ね。プレゼント貰ってからのお楽しみ」
「了解」
たまには、そんな楽しみがあっても良い。それは、誰もが抱いた同じ思いだった。
それから数日後。屋敷のリビングの窓辺に飾られた四足の靴下。その中には、各々が書き記したカードが入っていた。
その日はミサの為、屋敷には誰もいないはず。けれど、その靴下を眺める影が一つあった。
赤い服を着た"彼"は、中身を確認して小さな笑みを零す。
クリスマスは、もう直ぐ、だった。
クリスマスイブの夜。
その日はミサもなく、屋敷に集まってのパーティー。尤も、世仮としては諸々予定があるので、悪魔たちのみ。そして普段はここに住んでいないジェイルも、招かれて来ていた。
「それにしても、悪魔がクリスマスパーティーやってるだなんてね。想像しないでしょ?」
くすくすと笑うジェイル。毎年恒例ではないが、再集結しているからこその行事。
普段から顔を合わせているとは言え、楽しい場面なら問題ない。
「そう言えば、あんたは何でプレゼントお願いしなかったの?」
そう問いかけたライデンの声。
並べた靴下は四足。屋敷にいるデーモン、ルーク、ゼノン、ライデンのもの。エースはヴィデオミサにはほんの少しだけ参加したものの、早々に魔界に戻ってしまっているので、今回は不参加だった。
そしてジェイルは…と言うと、普段は魔界に伴侶がいる為ここには住んでいない。パーティーには参加したものの、住魔ではないから…と、プレゼントを頼むこともやんわりと断られていた。まぁ、ジェイルは一緒に過ごしたい相手もいるので、今回もちょっと顔を出した程度。この後魔界へ戻るので、長居はしないと最初からの約束だった。
「俺はここにいないしね。それに、プレゼントは大橋がちゃんと頼んでるから問題ないでしょ?」
にっこりとそう返され、思わず苦笑する。
「まぁな。強制ではないし、大橋がやってるならそれで良いだろうよ」
デーモンの尤もな答えに、納得する。最初から強制ではないのだから、何の問題もない。
「…それより、みんな何のプレゼント頼んだの?」
興味本位で問いかけたジェイルに、四名が顔を見合わせる。そして。
「秘密」
にんまりと笑いながら、誰もが口を揃えてそう言った姿に、思わず笑いが零れる。
「仲良しで何より。後で教えてね」
後日の報告を楽しみにしよう。
そう思いながら、ジェイルはパーティーの後、魔界へと戻って行った。
その夜は大いに呑んで食べてはしゃいで、満足した。そして皆大人しく自分の部屋で眠りについた。
プレゼントを…楽しみにして。
翌朝。
「やったぁ~!」
一早くリビングへとやって来たライデンの声。その声に、下の階の部屋にいたルークとゼノンが目を覚まし、リビングへとやって来た。
「何、大きな声出して…」
欠伸を零しながら問いかけるルーク。その背後からリビングを覗いているゼノン。その二名に向け、ライデンが満面の笑みを見せる。
「プレゼント!届いた!!」
「あぁ…」
苦笑しながらリビングへと入って来る。そして、窓辺に並ぶ四つの袋に歩み寄る。
「俺のはこれ~」
そう言いながら、ライデンが大きな袋を手に取る。確かに、袋の口に留められたタグにはライデンの名前があった。
「俺のは…これだ」
「俺のもちゃんとあるじゃん」
ゼノンもルークも、自分の名前の付いた袋を手にする。
ルークの袋は小さいが、ゼノンの袋も大きい。
「…ってか、あんたらのやたらデカいけど…何頼んだのさ?」
そう言われてお互いの袋に視線を向けたライデンとゼノン。一抱えもある大きな袋は、ほぼ同じ大きさ。
「…いや、これは…ちょっと……」
袋の中を覗いてあたふたとするゼノンに対し、ライデンは喜々として中身を取り出した。
「俺のはこれ!」
「ちょっ…これ頼んだの~っ!?」
途端に、爆笑のルーク。
袋から出て来たのは…二つ折りで圧縮されて袋に入った、今回の物販の抱き枕。しかも、ゼノンが印刷されている。
「何で俺…」
唖然とするゼノンに、ライデンはにっこりと笑う。
「欲しかったんだよね、これ~。雷神界に帰る時、寂しいじゃん?だから持って行きたくて。でもさ、流石にミサ会場でみんなの前でこれ欲しいだなんて言えないじゃん?絶対、何に使うんだ~って言われるだろうからさ。通販で頼もうかと思ったんだけど、どうせなら~って頼んでみたの。お迎え出来て良かった~」
そう言いながら袋を破り、圧縮を解かれた抱き枕に頬擦りする。その嬉しそうな表情に…ゼノンが困惑しているが。
「…で、あんたのは?」
ほぼ同じ大きさのライデンのプレゼントが抱き枕だとすると、ゼノンの貰ったものは…と、当然興味が沸く。
ゼノンは…と言うと、真っ赤になって慌てている。
「…お…俺のも同じだから…っ!ライデンの抱き枕っ!」
「俺かよ~」
ゼノンの抱き枕を抱え、爆笑するライデン。
「そ…そうっ!同じだから、わざわざ見なくても良いよね…っ」
慌ててそう口にして、しっかりと袋の口を握り締めたまま、自分の背後に袋を隠すゼノン。
それを怪しいと思いつつも…まぁ、抱き枕には変わりないだろう、と笑うルーク。
「わざわざサンタに頼む物でもないでしょうよ。まぁ、あんたたちがそれで良いなら良いけど?」
「…ルークは何お願いしたのさ…」
話を変えるように問いかけたゼノンに、ルークは自分の袋に視線を向ける。
「俺~?俺はね……あ、やったちゃんと頼んだヤツ」
そう言って袋に添えられていたカードに目を通し、袋から取り出したのは、小さなフォトフレーム。その中には見覚えのないピックが一枚、綺麗に収まっていた。
「ピック?」
「そ。記念品」
笑いながら、覗き込んだライデンにフォトフレームを手渡す。
「誰の?何の記念品?」
ゼノンもライデンの手元を覗き込み、そう問いかける。
すると、にんまりと笑うルーク。
「この前の、初ライブの時のピック。ダミ様の」
「…あぁ…」
ルークならではのチョイス。そう思いながらも、その出所が気になる。
「ダミ様のピックって、ダミ様が持ってるんじゃないの?出回ってないでしょうに」
ピックの入っているフォトフレームをルークに返しながら、首を傾げるライデン。だが、ルークは先ほどのカードを二名に見せる。
「勿論、ダミ様が持ってたピックよ。本魔からのメッセージ付き。サンタに託す、って」
「………」
カードを確認すると、確かにその旨が書かれている。だが、ライデンとゼノンは不思議そうに顔を見合わせた。
「…サンタクロースって、ダミアン様と知り合いなの?」
「…さぁ…聞いたことないけど…」
ご機嫌なルークに聞こえないように、こっそりと問いかけたゼノンの声に、ライデンも首を傾げる。
だが…そこを追求するのは、実にナンセンス。サンタクロースを信じる、と言うことは、そう言うことも容認することだろう。
何より…ルークが嬉しそうにしているのだから、それで良いのだと思う。
「…ところでさぁ、デーさん起きて来ないね…?」
そう。先ほどからはしゃいでいるのは、三名のみ。二階の部屋だとは言え、普段なら降りて来るくらいのはしゃぎっぷりなのだが…それでもデーモンは降りて来ていない。時計を見ると、まだそこまで遅い時間ではないが…普段なら起きていても良い時間だった。
「因みに、デーさんのプレゼントって何だろうね…?」
窓辺に一つ残された小さな袋。何が入っているのか…と気になるところだが…どうにも、物が入っている厚みではない。尤も、薄いものなら考えられるが…と言う程度。
「俺は、デーさんも抱き枕頼むかと思ったんだけどな~。ほら、エースの抱き枕あるじゃん?絶対アレ入手してるよね~」
ゼノンの抱き枕を抱え、くすくすと笑うライデン。その言葉に、ルークもゼノンも苦笑する。
「エースの抱き枕なんて頼もうものなら、本物が文句言いそうだよね」
「そうそう。抱き枕よりも、生身が来るよ、生身が」
ゼノンの言葉に賛同するルーク。だが、自分の言った言葉にハッとして息を飲んだ。
「……ねぇ、まさか…エース生身?」
「生身、って…言い方っ」
「いや…有り得なくはないよね…?もしかして……いるのかな?デーモンの部屋に…」
思わず、天井を見上げる三名…気配は感じないが、結界でも張っていれば漏れない訳で…確かに、有り得なくはない。
「…様子、見て来る…?」
ちょっとニヤつきながら、ライデンがそう零す。まぁ、覗いて拙い状況ではないだろうとは思うが、寝室を勝手に覗くのも如何かとは思う。
「…流石に失礼じゃないかと…」
「でも気になるよね?生身のエース」
「…そりゃあ…ねぇ?」
顔を見合わせながら、何となくひそひそ声で話をする。
だがそんな話をしている間に、階段を降りて来る足音が聞こえた。
「ちょっ…降りて来たけど!?デーさん?エース??」
あたふたしながら、思わず身を寄せ合う。そしてリビングのドアが開く。
「おっ…おはよ、デーさん…」
「あぁ、おはよう…?」
入って来たのは、デーモン一名。
「…何でゼノンの抱き枕…?」
身を寄せ合った結果、一番前にいたのはライデン。そしてゼノンの抱き枕を抱えていたので、当然の如く目に入った。
「え…?あぁ、これ?俺の貰ったプレゼント、だけど…雷神界に帰る時持って行こうと思って…」
「そうか。何も、サンタから貰わなくても。一言侍従に言えば貰えたろうに」
くすくすと笑いを零すデーモン。そのタイミングで、ルークが口を開いた。
「ゼ…ゼノンもさ、ライデンの抱き枕頼んだんだって。俺は、ダミ様の初ライブのピックなんだけど……デーさんは、何お願いしたの…?」
ルークグッジョブ!と言わんばかりのアイコンタクトを交わすゼノンとライデン。
問いかけられたデーモンは…と言うと。窓辺に残されていた自分の名前のタグのついた袋を目にする。
「吾輩か?吾輩は……」
デーモンがそう言いかけた時。
「デーモンのプレゼントは、俺」
不意に、そう声が届く。
「……エース!!」
予想的中、と言わんばかりの三名に、デーモンの背後から覗いたエースがくすっと笑う。その服装は、久々に見た赤い戦闘服。
「お前ら、変な想像してただろう?」
「変な、って何よ?」
思わず笑いを零す。
変な、と言われれば変な想像だろうが、それでも倖せな部類の想像なのだから文句はないだろう。
「行っておくけれど、エースは今来たばかりだぞ?お前たちの妄想がどんなのかは…まぁ、想像はつくがな」
デーモンもくすくすと笑っている。頗る上機嫌なのは、言うまでもない。
「今、ってことは…やっぱりデーさんに呼ばれたの?」
全員揃ったので、ソファーに腰を落ち着ける。そしてライデンが問いかけた声に、エースは小さく笑いを零す。
「まぁ…ちょっと様子見にな」
「様子見?」
問いかけられた声に、エースは頷く。
「ライデンがサンタクロースの心配をして、プレゼントを頼もうとしているのをデーモンに聞いてな。時間が出来た時に…様子を見に行ったんだ」
「サンタのところまで?」
「そう。魔力使えば一瞬だからな。そうしたら、やっぱり色々大変そうで…行ったついでに、頼まれたんだ。サンタクロースの代理。勿論、悪魔だから…ここだけに、だけどな」
「だからその戦闘服?」
「まぁな。サンタの赤い服は大き過ぎてサイズが合わなかったからどうしようかと考えたんだ。そしたら良いのがあるの思い出したから」
そう。エースが着ていたのは、本解散前の最終教典の赤い戦闘服。それがサンタ衣装の代わりだったとは。
公式のサンタクロースの条件として、基準は服装込みで120kg以上。流石に倍近い体重差なら、サンタ服は合わないことは確かだった。
「まぁ、ヒトに見せるもんじゃないが…気分的にな。折角サンタ代理だから。でもそのプレゼント。重さはともかく、嵩張って運ぶの大変だったぞ」
そう言いながら、ライデンがずっと抱えている抱き枕に視線を向ける。
「じゃあ…もしかして、プレゼントの内容も知ってたってこと?」
思わず身を乗り出すゼノン。その表情は…何処か慌てている。
その姿に…エースはニヤリと笑った。
「あぁ、一度確認に来たから。割と手近に揃うもんばっかりで、楽っちゃ楽だったけど…一応、反応を確かめにな。あ、お前のはちゃんと特注だから」
「ちょっ…っ!!」
「俺が言わなくたって、どうせ直ぐバレるだろう?今更隠してどうするんだよ」
笑うエースに、真っ赤になるゼノン。だが、エースに知られていると言うことは、確かに遅かれ早かれ皆に知られるだろう。そう考えると、諦めの溜め息が零れる。
「まぁ…それはそうなんだけど…」
「じゃあ、見ても良い?」
「…えっ!?ちょっ…ライっ!?」
いつの間にか、ライデンの傍に移動していたプレゼントの袋。徐ろに袋を開けたライデンが、ゼノンが止める前に取り出したのは…確かに抱き枕。
「あ~、俺だ~」
半分に畳まれて圧縮されたライデンの抱き枕。だがしかし。
「…ってか、何で裸……え、もしかして全裸!?」
苦笑するライデンの横で、真っ赤になったゼノンが両手で顔を覆い、更にその隣のルークが爆笑している、と言う光景。
確かに、片手を振り上げた姿をプリントされたその抱き枕のライデンは、裸だが…
「安心しろ、下は履いてるから」
ソファーの向かいに座っているデーモン、エースからは下半身しか見えないので、エースが笑いながら声をかける。その声にライデンがくるっと抱き枕をひっくり返すと、確かに戦闘服のスパッツを履いている。
「ホントだ、履いてた~」
ライデンとルークは更に爆笑。だが、一頻り笑うと、改めてそのプリントを眺めるライデン。
「…これって、ミサの時の…?」
裸の写真を撮られることはそうそうない。そう思って良く見れば、どうやらミサの一コマ。ドラムソロで盛り上がって雄叫びをあげているのだろう。だが、その一コマがプリントされている理由が謎だった。
「…ゼノンの希望、だよな?"楽しそうなライデンの抱き枕"。まぁ、写真は俺チョイスだけど。抱き枕だし、ちょっと色っぽく?」
そう言われてみれば…物販の澄ました表情の写真とは違い、確かにとても楽しそうで。見ていても一緒に微笑みたくなるくらい。
「写真のチョイスはどうかと思うけど…でも良い顔だから許す」
未だ赤い顔のゼノン。でも、改めてライデンの抱き枕を眺め、笑みを零す。
その横顔を眺めていたライデンは、ほんの少し、考える。
離れている時でも、その笑顔で癒されるように。そう願った想いは同じ。そんな"お願い"が、嬉しくもあった。
「もしかして、ダミ様のピックもあんたが貰って来てくれたの?」
出回っていないはずのピックの出所が気になっていたのは確か。そう思って問いかけたルークにも、エースは笑いを零す。
「まぁ、な。ダミアン様も嬉しそうだったぞ。記念のピックをお願いされたことが。ノリノリでサインしてたからな」
「そうなんだ」
その様子が目に浮かぶ。だから、ルークも笑顔が零れる。
「…そうなると、俺のプレゼントって普通じゃん…」
思わずそう零したライデンに、エースはポケットから封筒を取り出しながら言葉を零す。
「物販で買えるモノをわざわざ頼んだんだ。ある意味記念品だぞ?それに、これ。サンタクロースから、お前にって」
「俺に…?」
封筒を受け取り、封を開けて中の手紙を取り出して目を通す。
そこには、"大事な友"へ、心配をかけて申し訳ないと言う謝罪と、忘れずにいてくれて有難うと感謝の言葉。
「サンタクロース直筆の手紙だ。それも、一般に頼める手紙とは違って、ちゃんと"お前"に対しての手紙だ。一番価値があるんじゃないか?」
「……そう、ね」
くすっと、笑いが零れた。
そんな笑顔を眺めつつ、デーモンが口を開く。
「今まで、サンタクロースにプレゼントを…とは余り考えなかったが…喜ぶその気持ちが、エネルギーになるのかも知れないな。例え遠く離れた場所にいたとしても、伝わるだろう?」
そう言うデーモンの表情も、とても柔らかい。それもある意味、プレゼント効果だろうか。
「…そう言えばさ、デーさんのプレゼントがエースだったら、あの袋は空っぽなの?」
「あぁ、あれか」
ふと思い出したように問いかけたルークに、デーモンはソファーから立ち上がると、窓辺に袋を取りに行く。そしてその場で袋を開けた。
「吾輩が頼んだのはこれ、だ」
笑いながら袋から取り出したのは、一枚のカード。
「サンタクロースの直筆サイン。レアカードだぞ?」
その言葉に、一同大爆笑。まさか、そんなものを頼んでいたとは。だが、満面の笑顔で見せつけるその姿は、実に嬉しそうで。
「エースがプレゼントじゃなかったのかよ~」
「そのつもりだったんだけどな。リクエストがなかったから押しかけて来た」
そう言いながら、エースも笑っている。
「元々、パーティーは断っていたしな。ここにプレゼント届けに来た後は、サンタに任務完了の報告に行っていたから、戻って来たらすっかり朝だった」
「最初に言っただろう?エースは来たばかりだと。プレゼントだったら、もっと早く来てるだろうに」
本当にエースがプレゼントなら、確かに朝まで待たずに夜のうちに来ていただろう。ただ、面白そうだからとわざと黙っていたデーモン。勿論、その目論見は当たっていた。
束の間とは言え、楽しい時間。沢山の笑顔。それこそが、サンタクロースが望む姿。
「良いクリスマスだな」
思わず零したエースの言葉。
悪魔としては不本意だが、こんな時間もあっても良いのかも知れない。
数年振りのクリスマスは、皆の心を温かくしてくれた。
「折角だから、何か飲み物持って来るよ。明日もミサだし、パーティーしてる時間はないけど…エースも来てくれたんだから、もう一回乾杯しようよ」
そう言ってゼノンが席を立つと、ルークも一緒に着いて行く。そしてグラスと飲み物を持って来ると、各々グラスに飲み物を注ぐ。
「…じゃあ、改めて」
グラスを掲げ、皆が満面の笑み。
今日のこの日を、良い思い出に。
「Bastard Xmas!!」
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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