忍者ブログ

聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

SPECIAL TIME
こちらは本日UPの新作です。

拍手[2回]


◇◆◇

 大掃除…と言うほどではないが、クローゼットの整理をしていてふと気が付いた。
 見覚えのない、衣類。
「…こんなの、持ってたか…?」
 自分で仕立てた記憶はない。と言うと…誰から貰ったのか…はたまた、自分の物ではないのか。
 記憶を辿っては見たものの…全く覚えがない。
 思わず取り出して自分の身体に合わせてみたのだが…些か大きい感じはする。
「…何だかなぁ…??」
 首を傾げ、零れるのは謎だらけの溜め息だった。

 数日後。用事があって訪れて来た仲魔に、一頻り仕事の話が済んだ後、ふと思い出してその話を切り出した。
「…そう言えば、この間見慣れないスーツがクローゼットにあってな…」
「…スーツ?」
 その言葉に、仲魔も首を傾げる。
「そう。俺には少し大きいみたいだったんだが…俺ンとこのクローゼットに入ってるんだ。謎だろう…?」
「…ホントに覚えないの?デーさんが持って来たとか…?」
 首を傾げたままそう問い返されたのだが、その記憶も全くない。
「知らないぞ?」
「…そう。ちょっと見せてよ」
 そう言われ、彼は自室のクローゼットの中から、謎の衣類…綺麗な黒っぽい色のスーツを持って戻って来た。
「これなんだが…」
「…これ?」
 受け取って良く見れば、ジャケットにズボン、白のワイシャツにシルバーっぽいネクタイまで確かに一揃えのスーツである。日頃は軍服でうろうろしていることが多いが、私服でも未だ嘗て、ネクタイまで締めたスーツ姿は見たことがない。
 勿論、人間界にいた頃ならあったかも知れないが…少なくとも、綺麗な状態で取ってあるスーツに見覚えはなかった。
「…確かに、あんたにしては少し大きいのかな…身長と足の長さに合わせて買ったら、他がぶかぶか、みたいな?」
 そう言いつつ、思わず苦笑する。
 彼の足が長いのは知っている。普段着のカジュアルなものならいざ知らず、スーツのように上下揃っているモノを足の長さだけを合わせて用意しただけでは、細身のその身体にはどうにも服に着られている感が拭えないものもある訳で。
「着てみれば?あんたのクローゼットに入ってたんでしょ?」
 完全に面白がっている。それは、声と表情でわかるのだが…まぁ、彼も興味本位だったのだろうか。その声に唆されるままに、試着することとなった。

 着替える為に彼が部屋を出て行ってから数分後。戻って来た彼は、きちんとスーツを着込んでいた。だが、ネクタイだけはどう言う訳か、その手に持ったまま。
「少し大きいかと思ったけど、結構良く似合うじゃん。やっぱり、あんたの服なんじゃない?」
 そう。思っていた通り、細身の彼には全体的に少しゆったりしている、と言う感じは否めないが、それでもその程度なら然したる違和感はない。彼に良く似合っていた。
「…で、何でネクタイしてないの?」
 笑いながら、問いかけてみる。すると、彼は奇妙な顔をした。
「いや…どうも上手く結べなくてな…」
「…は?」
 手先が器用な彼にしては、その答えは意外そのもの。思わず、問いかけた仲魔も目を丸くする。
「何、一名で結べないの?」
「…よくよく考えると、マトモに結んだ記憶がないんでな…って言うか、じゃあ御前は結べるのかよっ」
「え?結べるけど?男として、常識じゃない?」
 くすくすと笑いながら、彼の手からネクタイを受け取ると、自分の首に結んでみせる。
 その言葉の通り、何の迷いもなく上手に結び付けたネクタイに、彼は再び、奇妙な顔をする。
「…悪かったな…っ!だが、結べないんじゃないぞ?苦手なだけだっ」
 軽く頬を膨らませる姿に、仲魔はくすくすと笑いを零す。
「どっちにしたって、たいして変わらないから。だったらデーさんに結んで貰ったら?意外と、それを見越してデーさんが持って来たのかもよ?結んであげる方か、解くところが見たかったか」
「…まさか」
 なかなか考えにくいことではあるが…まぁ、皆無だ、とは言い切れない。
「ま、直接聞いてみなよ。あんたが着替えてる間に連絡しといたから」
「…おい…」
 くすくすと笑う仲魔に、呆れた溜め息が一つ。
 結局、一頻り笑った仲魔はそのまま帰って行った。
「…ったく…」
 弄ばれた感満載の彼は、溜め息を吐き出すしかなかった。

◇◆◇

 仲魔が帰ってから一時間ほどだろうか。その頃にやって来たのは、彼が呼んだ仲魔…デーモンだった。
「ルークから、急用だと聞いたんだが…」
 彼の顔を見るなり、そう切り出したデーモンに、彼は溜め息を一つ。
「別に、急用じゃない。ルークが勝手にそう言っていただけで…」
「そう…なのか?」
 首を傾げるデーモンに、再び溜め息を吐き出す。
「いや…その……急用、ではないんだ。ルークが勝手に呼び出しただけで…まぁ、見て貰いたい物はあるんだが…」
 そう言いながら、先ほど着替えたスーツ一揃えを再び持って来る。
「これに…見覚えは…?」
 そう問いかけると、デーモンは何かを思い出したようにポンと手を叩いた。
「あぁ、思い出した。吾輩が持って来たスーツだ」
「…は?持って来た記憶はないが…?」
 まさかのまさか。思いがけない答えに、彼は眉を潜める。
「覚えてないのか?まぁ、御前も結構呑んでた時だったからなぁ、無理もないが。吾輩の礼服を仕立てたついでに作って貰ったんだ。ちょっと見てみたくてな。吾輩の感覚でサイズを測ったから、少しサイズが合わないかも知れないんだが」
「…そう、か…」
 わかってしまえば、謎でも何でもない。だが、途端に気が抜けてしまったような気がしなくもない…。
「…エース?」
 気が抜けたようなその彼の表情に、不思議そうな表情を浮かべるデーモン。だが、直ぐにくすっと笑いを零した。
「…そう言えば、あの時は着て貰ってないんだ。丁度良い、着て見せてくれないか?」
「…はい?」
「いや、御前ならきっと似合うと思うんだ。だから持って来たんだが…ルークには見せたんだろう?吾輩には、見せてくれないのか…?」
 そう言われてしまうと…もう、着るしかない訳で。
「…俺、ネクタイ上手く結べないんだが…?」
「吾輩がやってやるから」
 くすくすと笑う姿に、溜め息が一つ。だが、期待の眼差しを裏切ることも出来ず…結局彼は、再び着替えに向かったのだった。

 数分後。先ほどと同じように、スーツを着て戻って来たもののその手にはネクタイが握られている。
「…気持~ちサイズが大きかったか?御前、細いしな~。だが、吾輩の感覚はほぼほぼ合ってたな。背が高いからやっぱりスーツも良く似合うしな。ほら、吾輩が結んでやるから。貸してみろ」
 笑いながら、彼の手からネクタイを受け取る。そして、その首にネクタイを回し、ネクタイを結ぶ。
「…まぁ、吾輩もだが…魔界では、こんなスーツを着ることなんてないからな。だから御前に着て貰いたかったんだが…まさか、御前がネクタイ結ぶのが苦手とは知らなかったな」
 くすくすと笑いながらそう言われる。だが、その穏やかな顔が自分の視界の直ぐ傍にある、と言うことと、恋悪魔にネクタイを結んで貰う、と言う初めての状況に…流石の彼も、思わず視線を逸らす。
「…さ、出来たぞ」
 結び終わり、顔を上げてみれば…わざわざ斜め上に視線を向け、明後日の方向を向いている彼。その頬が、うっすら赤くなっているところを見ると…どうやら、照れているのだろうと察する。
 そんな姿に、思わずニヤリと笑いを零すと、今結んだばかりのネクタイをぐっと引っ張った。
「ちょっ…っ!?」
 不意に引き寄せられ、驚いて顔を向けると…直ぐ目の前に、ニヤリと笑っているデーモンの顔がある。
「良いな、これ。何だか…ムラッとする」
 そう零すと、まだほんの少し高い彼に合わせるように顔を上げ、踵を上げて唇を寄せる。
「……っ」
 伏せた睫が長い。ぼんやりとそんなことが頭を過ぎる中…唇を離したデーモンは、くすくすと笑いを零した。
「なんだ、その顔は。鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔してるぞ?」
 未だネクタイを握り締められているので、身体を引き離すことは出来ない。必然的に寄り添う彼に、デーモンは笑ったままだった。
「…何処の少女マンガだよ…」
「良いだろう?こんなシチュエーションも」
 彼の零した言葉に笑いながら、再び踵を上げる。今度は彼もそのつもりで軽く屈み、頬を傾ける。
 甘い甘いそんなシチュエーションも、たまには楽しい。
 深く唇を重ね、甘い吐息を零す。何ともいえないその雰囲気に必然的に期待が高まる。
 身体を離した彼は、首元の結び目に手をかけると、ぐいっと引っ張ってネクタイを緩める。
「…流石にこのままじゃちょっと息苦しいな」
「…折角結んでやったのに、早々に外して脱ぎだすとか…何処の野獣だよ」
「誘ったのは御前だろう?」
 笑いながらネクタイを外すと、上着を脱いで目の前の身体を抱き寄せる。
 甘い夜は、始まったばかりだった。

◇◆◇

「…で?御前はこう言うことがしたくて、あのスーツを持って来た訳?」
 すっかり脱ぎ捨ててしまったスーツを拾ってハンガーにかけながら、彼はベッドに腰掛けてニヤニヤ笑いながら見ているデーモンに問いかける。
「いや?そこまで思ってはいなかったけれどな。まぁ、御前のスーツ姿もカッコイイしな、良いものが見られたから、吾輩は満足だが?」
「…ったく…」
 ちょっと苦虫を噛んだような顔をした彼であったが…まぁ、それはそれで彼も乗ったのだから文句は言えないのだが。
「またたまには着てくれよな?吾輩の目の保養で」
 くすくすと笑うその無邪気な姿には溜め息しか出て来ない。
 だがしかし。
「…まぁ、御前が喜んでくれるなら良いけどな」
 最早、惚れた弱み。
 自分で言って置きながら、流石に少し照れた。僅かに赤くなった顔に、笑いを零したデーモン。
「それもまた一興…か」
 思わず笑いが零れる。
 実に、穏やかな時間。それが、とても倖せだった。
PR
COMMENT
NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 
  
プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
バーコード
ブログ内検索
Copyright ©  -- A's ROOM --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by petit sozai emi / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]