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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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『永遠』
こちらは、以前のHPでNo20000get記念でS様よりリクエストいただき、
2003年04月20日にUPしたものです。リクエスト内容は、本文最終で。
(コメントは当時のままですが、リクエストいただいた方の名前は念の為伏せてあります)

拍手[3回]


◇◆◇

 それは、ある晴れた日のこと。
 大きな欠伸をしながら、二階から降りて来たのはデーモン。だが、階下に行き着くと、妙に静かなことに気がついた。
「…ん?みんないないのか…?」
 デーモンにとって、久し振りのオフだったこともあり、つい寝過ごしてしまったらしい。時計は昼を回り、自分以外の構成員はみんな出かけてしまったようであった。
「まぁ、一名でも困りはしないしな。たまには良いか」
 広い屋敷にたった一名、と言う現実は、確かに滅多にないことであった。それ故に、ちょっと嬉しかったりなどする…。そして、そんな心を反映してか、ついつい、廊下をスキップしてみたりして…。
 と、その時。
「…何やってるんだ?」
「……いたのか…」
「いちゃ悪いか?」
「…いや…」
 それは、背中越しの会話。振りかえらずとも、その声の主はわかっていた。勿論、廊下をスキップするなどと言う姿を見られたのだから、"気まずい"のナニモノでもなかったのだが…相手は、何の反応も示さなかった。そして。
「コーヒー、飲むか?」
「…あぁ…」
 何事もなかったかのようにデーモンの横をすり抜けてキッチンへ向かう後姿。だが、背中を流れる腰までの髪が揺れているのは……。
「…あのなぁ、エース…笑うなら、もっと盛大に笑ってくれないか?余計に恥ずかしいじゃないか…っ」
「そりゃぁ、一名で浮かれてスキップしているのを見られたら恥ずかしいよなぁ~」
「………」
 流石に言い返せない。耳まで朱に染め、そう言いたげなデーモンの表情を見て、エースはくすくすと笑った。
「ま、見られたのが俺で良かったんじゃないか?他の奴らには内緒にしててやるから」
「…誰に見られたって、誰かしらの耳に入るんだけれどな…」
 ポツリと零した言葉を、果たしてエースは聞いていただろうか…。だがしかし、悲しいかな、それが現実。どんなに内緒にしていても、いつの間にか構成員全員が知っていることもあるのだ。摩訶不思議とはこう言うことなんだろうと、密かに思っているデーモンである。
「…それはそうと…」
 コーヒーをカップに入れて持って来たエースは、リビングのソファーに腰を降ろしたデーモンに声をかける。
「お前、今日は一日オフだよな?」
「あぁ。もう昼だが…一応は」
「なら、ちょっと付き合ってくれないか?」
「何処に?」
「まぁ、それは行ってからのお楽しみ」
 にんまりと笑うエース。
「…まさか、"観覧車"じゃないだろうな…」
「はぁ?」
「いや…違うなら良いんだ…」
 自分で言った台詞に、思わず自分で赤面してしまったデーモン。そんなデーモンを、エースは小さく笑った。
「もぉ乗らねぇぞ~」
「…だよな…目立ち過ぎるしな…」
 それは、以前のことを思い出しての発想だったのだろう。勿論、エースもそれはわかっていた。それに、観覧車に誘ったのはデーモンの方だったのだが…。まぁ、それはさて置き。
「さて、それじゃ出かけるか。のんびりしていたらあっと言う間に一日終わっちまうしな」
「…あぁ…」
 エースに急かされるまま、デーモンは休日をエースと…否、エースの世仮(中身は一緒だが)と過ごすこととなった。

◇◆◇

 デーモンとエースの世仮同士で出かけた訳であるが、エースの行くところと言えば、本屋だったり、ウインドーショッピングだったり…と、一名で出かけても差し障りのないところばかりを巡っていた。
「…なぁ、清水…お前、普段と変わらない事をする為に吾輩を連れ出したのか?」
 こんなことならば、屋敷でのんびりしていた方が良かった。と言わんばかりのデーモンの表情に、エースはくすっと笑いを零す。
「前にな、篁に付き合わされて秋○原のちょっと奇妙な電気屋に行った時にな、何故か張り紙がしてあったんだよ。そこに、『男二人で歩いていると、何故かみんなホ○だと思う。しかも、アキ○はそんな奴らが多い』とか書いてあんの」
「…吾輩たちも、確実にそう見られているだろうか…」
「思いたい奴には、思わせて置けよ。みんな、想像力豊かなんだから」
 くすくすと笑う相手を前に、デーモンは溜め息を一つ。別に、そんな話の流れではなかったはずなのだが…。
「…で、次は?」
 最早諦めモードのデーモン。デーモンがエースを連れ回すことはあっても、エースに連れ回される事など滅多にないのだ。それ故に、流石のデーモンも多少疲れて来たようだ。
「ちょっと、休憩するか」
 そう言ってエースがデーモンを連れて行ったのは…何と高層ビルの屋上(勿論、通常は立ち入り禁止)であった。
「…良いのか?無断で…」
「何を固いことを。悪魔だろう?」
「まぁ、なぁ…」
「とにかく、ちょっと来てみろよ」
 エースに促され、フェンス越しに眼下を見下ろす。
 日は傾き、少しずつ闇を纏い始めた世界。それを見下ろすのは、確かに絶景である。
 けれど、エースがデーモンをここへ連れて来た意図は、それだけではなかったようだ。
「ほら」
 エースが指差すのは、空の方。
「微かに見えるんだ」
 そう言われて良く見れば、微かに星が瞬くのが見えた。
「トーキョーでは星は良く見えないとか言うけど…本当は、みんな見ようとしていないだけかも知れないよな」
 ポツリと呟いた、エースの言葉。その言葉に、デーモンは思わずその横顔を見つめていた。
 今は、世仮の姿をしているエース。けれどその内側の悪魔は、人間たちが生まれる前から、空を見つめ続けて来たのだ。だからこそ、徐々に星も見えなくなって行く空を見つめるのは、良い気分ではなかったはず。
 けれど…今日のエースは違った。ただ黙って、うっすらと瞬く星空を見つめていたのだ。
「…なぁ、エース…お前…吾輩に、何か言いたかったんじゃないのか?」
 それは、デーモンの直感。
 星が見たかったのなら、夜になってから出かければ良かったのだ。それを、日中から差し障りのない買い物にまで付き合せるくらいなのだから、もっと何か意味があったのではないかとの推察。
 けれど、エースはデーモンのその問いかけを一笑した。
「勘繰り過ぎだ。今日は、世仮のお前と出かけたかっただけだ。こんなにのんびり出来たのは久し振りだろう?」
「まぁ…そうだが…」
「なら、素直に受け取れば良いじゃないか」
 そう言うエースは、空を見上げたまま。その横顔は未だ世仮のまま。勿論、デーモンもそれは同じであった。
 世仮として、一緒に日常を楽しみたい。たったそれだけの…ごく普通の日常を共に過ごす為だけの外出。そんなエースの真意を感じ、デーモンはやっと、柔らかな笑いを浮かべた。
「ま、良いか」
 くすっと笑って、デーモンも空を見上げた。
 極上の満天…とまでは行かないものの、隣で同じように空を見上げるエースは、極上の微笑をその横顔に称えていた。

◇◆◇

 ぼんやりと屋上で空を見上げたまま、どれくらいの時間が過ぎたのだろう。
「…食事した後…もう一ヵ所、付き合ってくれるか?」
 エースが零した言葉に、デーモンは素直に頷いた。
 そして、軽く食事をした後で彼らが訪れた所は、一軒の小さな…とは言うものの、明らかにエースの好みであろう落ち着きのある、洒落たバーだった。
「…お前の、取っておきの場所、じゃないのか?」
 小さなバーのカウンター席を促され、エースの隣に腰を降ろしたデーモンは、小さく耳打ちする。
「まぁな。でも、今日は特別」
 デーモンに小さくそう返したエースは、顔馴染みと思われるマスターに向け、言葉を放つ。
「マスター。"アレ"、作ってくれる?」
「畏まりました」
 マスターはデーモンを一瞥すると、やんわりと微笑んだ。そして、エースの言葉に促されるまま、何かを作り始めた。
「…"アレ"って…?」
 問いかけたデーモンの声に、エースはにんまりと笑う。
「まぁ、出て来てからのお楽しみ」
 そんなことをやっている間に、エースが注文した"アレ"が、デーモンの前にすっと差し出された。
「お待たせ致しました」
「…あぁ、どうも…」
 小さな笑みを称えるマスターに軽くお礼を言い、デーモンが目を向けた先にあったのは、カクテルグラスに注がれた、透き通ったブルーのカクテル。
「まぁ、呑んでみろよ。新作だから」
「…吾輩は実験台か?」
「良いから、良いから」
 機嫌良く勧めるエースには勝てず…デーモンは目の前のカクテルに口を付けた。
 それはほんのりと甘くて、それでいて少しもしつこくない。見かけよりもずっと柔らかくて、優しい口当たりだった。
「…美味いだろう?」
「…あぁ…予想外」
 想像とは全く違った味わいに、デーモンもそう返すしかなかった。けれど、エースはその反応に満足したようだった。にっこりと微笑み、自分の前に置かれた"いつもの"酒を口にする。
 そんな二名の姿を眺めていたマスターは、くすっと小さな笑いを零した。
「…何だよ…」
 その笑いの意図するところを察したのか、エースは僅かに頬を朱に染めて、マスターを軽く睨む。
「清水さんらしい、と思いましてね」
 マスターは、笑いを押さえてそう言葉を発した。
「清水さんらしい?」
 思わず問い返すデーモン。その問いかけに、マスターは更に言葉を続けた。
「こちらのカクテルは、清水さんからのリクエストを戴いてお作りしたモノなんですよ。是非呑ませたい方がいらっしゃると言っておりましたが…貴方様だったようですね」
「ちょっ…マスター!余計なこと言わなくても…っ」
「あぁ、それは内緒、でしたっけ?」
 この二名の事情を知ってか知らずか、くすくすと笑うマスターの前、エースは耳まで真っ赤になっている。そんな姿に、デーモンも思わず苦笑いを零す。
「…別に、変な関係ではないんだが…」
「えぇ、存じております。大学の"後輩"でらっしゃるんでしょう?今は一緒にお仕事をされていらっしゃるとか」
「まぁ…な」
 確かに、その通りと言えばその通りなのだが…素直に頷けないのは、中身が悪魔だから、だろうか。
 けれど、マスターは上機嫌で言葉を続けていた。
「他のお客様からも、『こんなイメージで作って欲しい』と、カクテルのリクエストを受けるんですけれどね、清水さんのようなリクエストは余りないモノで」
「…どんなリクエストをしたんだ?」
「ちょっ…お前まで…っ!良いんだよ、そんなことはっ!」
 更に赤くなるエース。けれど、そんなエースを無理やり制して、デーモンはマスターの答えを待った。
「『永遠』と言うイメージで、とのリクエストでしたよ」
「…『永遠』…?」
 小さく呟きながら、再びカクテルを覗き込むデーモン。
「もぉ、良いから!ほら、あっちの客が呼んでるだろうっ」
「はいはい」
 常連ならではの対応をしながら、マスターはくすくすと笑いながら他の客の方へと向かう。そして、彼らの前から姿を消すと、やっと息を吐くエース。
「…ったく…」
「まぁまぁ」
 その慌てふためいていた姿に笑いを零しながら、デーモンは改めてカクテルとエースを見比べた。
「『永遠』、か。確かに、珍しいリクエストかもな。イメージが掴み辛い」
「…煩いっ」
「でも、確かにお前らしいな」
 くすっと笑うデーモン。
 トーキョーの星空と言い、リクエストのカクテルと言い…ロマンチスト路線を突っ走りながらも、そこは流石に"エース"なのである。彼らしいと言えば、誰よりも彼らしいのだ。
「吾輩が一番に呑んだんだよな?」
「…あぁ…俺以外ではな」
「なら、吾輩が抱いたイメージは、多分合ってるな」
 にっこりと微笑み、『永遠』と言う名のカクテルを見つめるデーモン。
 そこに込められているのは、世仮として生きる"彼"への想いであったり、エースがずっと見つめて来た"景色"であったり…そして何より、エースが大切にしたいと思っている"全て"に対しての想いだったり。
 生きて行くことは、決して甘くはない。けれど、そこにはちゃんと優しさも溢れている。それを、伝えているかのようで。
 エースにとって、『永遠』に変わりのないモノ。それを、共有出来る自分。それだけで、デーモンは満足だったのかも知れない。
 漠然と生きてしまっては見えなかったもの。それを、この日デーモンは、改めて感じたのかも知れなかった。
「サンキュー」
 その言葉が含んだ"想い"に、エースもにっこりと微笑んだ。
「じゃあ、改めて乾杯しようか」
「あぁ」
 エースもグラスを掲げ、そしてデーモンに向け、微笑む。
 そして。
「『永遠』に」
「乾杯!」
 チンっと、グラスが奏でる音。
 世仮の姿だったからこそ、見ることの出来たエースの"日常"。それが、デーモンにはとても嬉しくて。
 自分が見ていた"日常"を、素直に受け取ってくれたデーモンの気持ちが、エースにも嬉しくて。
 彼らにとっても、『永遠』に変わらない時間。その時間を、共に歩んでいけること。それが何よりの倖せの時。
 にっこりと微笑み合う"彼ら"は、実に倖せそうに見えていた。

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※リクエスト内容は「長官&閣下メインで世を忍ぶ仮の日常」
と言うことでしたので、ばっちり藍砂WORLDで行かせてもらいました。(苦笑)
イメージ的にはエースよりもルークちゃんの方が似合うかな?とは思いつつも、"デーさんの為なら(うちの)エースはきっとやるだろう…(苦笑)"と言う、勝手なイメージで…(笑)
多少の加筆、修正はしてあります。(^^;
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
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