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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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秘密
こちらは、以前のHPでNo8888get記念でT様よりリクエストいただき、
2001年06月11日にUPしたものです。リクエスト内容は、本文最終で。
(コメントは当時のままですが、リクエストいただいた方の名前は念の為伏せてあります)

拍手[2回]


◇◆◇

「性格改善薬…?」
 そう、怪訝そうに眉を顰たのはエース。
「そう。実験段階だけどね。試してみる?」
 にっこりと微笑むのは、ゼノン。勿論、そのいわくありげな微笑みの真意を見抜けないエースではない。
「遠慮しとくよ。御前の実験につきあうと、ロクなことがない」
「酷いなぁ~。別に俺は、危害を加えようって訳じゃないのに」
「信用ならねぇな。幾度危険な目にあいかけたか…」
 小さな溜め息を吐き出すエースに、ゼノンは再びにっこりと笑った。
「まぁ、良いよ。それに関しては、誰か別の相手を捜すから。それよりも…コーヒー飲む?淹れて来るけど」
「ん…?あぁ」
 第一の難関を突破して安心したのか…はたまた、そこまで警戒心を張り巡らせていなかったのか、エースはその申し出を快く受けてしまった。
 ゼノンが部屋を出て行って暫く待つと、暖かな芳香を漂わせたコーヒーカップを二つ持って、ゼノンが帰って来た。そしてその一つを、エースへと差し出す。
「はい」
「サンキュー」
 受け取ったコーヒーを、何の疑いもなく啜るエース。そのエースを、満足そうに見つめるゼノン。
----…明日が楽しみ。
 くすっと小さく笑ったゼノン。その意味を、エースは果たしてわかったであろうか…。

◇◆◇

 翌日は、朝から雨が降っていた。
 昼近くになって目覚めたエースが階下へ行くと、いつものようにキッチンにはゼノンの姿。
「おはよう」
「あぁ、おはよう」
 大きな欠伸を噛み殺しながらゼノンに応えるエース。そんなエースを、興味深げに眺めるのはゼノン。
「…なんだ?」
「ん?いや、別に」
 奇妙な視線に、エースは僅かに眉を顰る。けれど、ゼノンから的確な答えが返って来る訳でもなく。あっさりとその興味を捨てたらしい。
「コーヒー、淹れてくれるか?」
「良いよ。ちょっと待っててね」
 コーヒーを淹れる間、エースはリビングへと場所を移し、ソファーに座ると、テーブルの上にあった新聞へと手を伸ばす。
 と、その時。
 廊下から、電話の呼び出し音が聞こえた。
「あぁ、良いよ。俺が出る」
 キッチンから顔を覗かせたゼノンに声をかけ、エースがその受話器を取る。
「もしもし」
『あ、エース?俺、ルーク』
「あぁ、どうした?」
 留守にしてたのか、と思いつつ、エースは電話を続けていた。
『スーパーの前にいるんだけど、荷物が多くてさぁ。傘が持てないんだよね。誰か迎えに来てくれない?』
「誰かって…」
『デーさんは仕事、ライデンも出かけたけど、あんたとゼノンがいるでしょ?どっちでも良いからさぁ』
「…あぁ、わかった」
『じゃ、待ってるね~』
 電話が切れると、エースは大きな溜め息を吐き出す。
「どしたの?」
 その溜め息を聞きつけてか、ゼノンがキッチンから顔を覗かせた。
「ルークがスーパーの前で立ち往生、だってさ。荷物が多くて傘が持てないから、誰か迎えに来い、って。ちょっくら行って来るわ」
 ぽりぽりと頭を掻きながら玄関へと向かうエースに、ゼノンはくすっと小さな笑いを零した。
「エースが行ってくれるの?」
「どうせ暇だしな。御前は昼飯の支度もあるだろう?留守番してろ」
 常ならば、最終的に行ってくれるとしても、かなりの愚痴を零すエースが、こうもすんなりと…しかも、自ら進んで迎えに行ってくれるとは。
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
「あぁ」
 ったく…と、小さな愚痴を零しながらも、それはいつものとは比較にならないほど小さい。
 傘を持ったエースが玄関のドアの向こうに消えると、ゼノンはにんまりと笑いを零す。
「…実験成功」
 ぽつりと零した言葉を聞いている者はいなかった。

◇◆◇

 その日のエースは、奇妙なほど甲斐甲斐しく動き回っているように見えた。
「…ね、エースどしたの?なんか変なモンでも喰ったんじゃないの…?」
 夕方近くになって帰って来たライデンであるが、変貌したエースの姿に、思わずルークに問いかける。
「あ~。俺もそう思ったんだよね。午前中に買い物行ってさぁ、荷物が多かったから迎えを頼んだら、エース自ら来てさぁ…その後も、妙に甲斐甲斐しく動き回ってるんだよね。寛大って言えば聞こえは良いけど、いつものエースじゃないみたい」
 キッチンで夕食の支度をしているエースに聞こえないように、ひそひそと会話を交わす両名。だがその直後、ピンと来たように、両名声を合わせた。
「まさか、ゼノンの奴…」
 その瞬間。
「俺がどうしたの?」
 彼らの背後に現れたのは、当のゼノン。涼しい顔をして、何も関わっていないと物語っているようであるが…そんなはずもない。
「エースに何したの…?」
 恐る恐る問いかけるライデンの声に、ゼノンはにっこりと微笑んだ。
「ん?新薬の実験」
「…やっぱりぃ…」
 思った通りの答えに、ルークもライデンも、大きな溜め息を零す。
「…エース、知ってんの?」
「まさか。昨夜、コーヒーに混ぜてね。まぁ、明日には薬の効き目は切れるから、今日一日あのまんまってことかな」
「…相変わらず、無茶なことを…」
 再び溜め息を吐き出す両名。だが、その直後にエースの上機嫌な声が届く。
「飯出来たぞ~。デーモンは遅くなるらしいから、先に喰ってようぜ」
 余りにも甲斐甲斐しい姿に、改めて二名の溜め息。
「…不幸な奴…」

 直に日付も変わろうかと言う時間になって帰って来たデーモン。静かな屋敷のリビングで、彼を迎えたのはエースただ一名だった。
「あぁ、お帰り」
「…只今。どうしたんだ?こんなところで」
 いつもはとっくに部屋に戻っているはずの姿がリビングにある、と言うだけで、奇妙な表情を浮かべたデーモン。
「待ってたんだ。帰って来た時に誰もいないよりは、待ってて貰えた方が良いだろう?」
「…あぁ、まぁ…なぁ」
 どうも、今一しっくりと来ない。
「コーヒーでも淹れようか?それとも、ホットミルク?」
「…ホットミルク…」
 思わず答えてしまったデーモンに、エースはにっこりと微笑みを残し、キッチンへと消えていく。
「…なんなんだ?一体…」
 訳もわからずに眉を顰るデーモン。だが、デーモンが帰って来た物音に気付き、こっそりとリビングにやって来たルークが、その疑問を解いてくれることとなった。
「お帰り」
「あぁ、ルーク。只今。それより…どうしたんだ?彼奴…」
「…それなんだけどね…」
 エースに聞こえないように、小さい声でデーモンの耳の傍で囁く。
「…ゼノンの新薬の実験台…?」
 ルークに説明され、改めてそう眉を顰るデーモン。
「そ。性格改善薬、だってさ。まぁ、明日になれば薬の効き目が消えるってことだから、大丈夫だとは思うけどね。それに、迂闊にエースに喋っちゃったら、その後が恐いしね。けど、妙~に寛容になっちゃって、一日あぁやって健気に動き回ってさぁ。いつものエースと違うから、こっちの方がどぎまぎしちゃうよ、全く…」
 小さな溜め息を吐き出すルーク。だが、その直後、ホットミルクを手に戻って来たエースには、にっこりと微笑んでみせた。
「あぁ、ルークも起きてたのか?コーヒーでも淹れようか?」
「ううん。もう寝るから良いよ。一日お疲れ様」
「……?」
 訳のわからないと言った表情を見せたエースに構わず、ルークは自室へと戻って行く。
「どうしたんだ?彼奴…」
 眉根を寄せたエースに、デーモンも溜め息を一つ。
「まぁ…明日話そう」
「……?」
 敢えてここでエースを怒らせる必要もないだろうと踏んだデーモンは、溜め息を吐き出して口を噤むことに決めたらしい。
 エースは相変わらず、怪訝そうに首を傾げたまま、だった。

◇◆◇

 翌日は、雨も上がっていた。
 仕事はオフだったが早くに目が覚めたデーモンは、そのまま階下へと降りて来ると、コーヒーを淹れにキッチンへと向かった。
 するとそこには、既にエースが立っていた。
「あぁ、おはよう」
「…おはよう。早いな」
「あぁ。目が覚めたから」
----御前も飲むか?
 デーモンのカップも用意しながら、エースは自分の分と、デーモンの分のコーヒーを淹れにかかっていた。
「あのなぁ、エース…」
「ん?」
 話して良いものやら…と考えたものの、ちらっと様子を伺ってみることにした。
「昨日は、随分忙しくしてたみたいだな。ルークがそう言ってたぞ。どう言う風の吹きまわしだ?」
 さりげなく尋ねたデーモンに、エースは小さく笑いを零す。
「別に?特に変わったことなんかないぞ?」
「…なら、良いんだが…」
「ほら、コーヒー」
「…サンキュー」
 コーヒーのカップを受け取ると、デーモンはリビングへと場所を移す。エースもデーモンに着いて、リビングへと場所を変えた。
「その…気分はどうだ?」
「…は?何だよ、急に」
「いや、その…」
 思わず口を吐いて出た言葉に、エースが怪訝そうに眉を顰るのも仕方のないこと。何せ、エースは自分の身に何が起こっていたのか知らないはず…だったのだから。
 ゼノンがエースに盛った"薬"は、まだ実験段階だったはず。使ってしまったのは仕方がないが、副作用やら何やら、心配なのは当然なのだ。ただ、本魔の知らぬところで行なわれたことなので、それを素直に問いかけられないだけで。
 気まずそうにコーヒーを啜るデーモンを暫く眺めていたエースであったが、やがてその口元が緩み、くすっと小さな笑いを零した。
「心配、してくれたんだ」
「…エース?……まさか、御前…」
 にんまりと笑うエースに、デーモンは大きな溜め息を吐き出した。
「…気付いてたのか?」
 問いかけた声に、エースはくすっと笑う。
「当然。幾ら無味無臭の"薬"だって、ゼノンの行動考えりゃ、コーヒーに盛ったな、ぐらいわかるさ。わかってりゃ、最初から"薬"の影響を受けないように対処出来るからな」
「なら、どうして黙ってたんだ?彼奴等は、御前が何も知らずに、"薬"の影響であぁなったと思い込んでるぞ?」
 怪訝そうに首を傾げるデーモンに、エースは手に持っていたコーヒーを一口飲んだ。
「たまには良いだろう?俺を騙したつもりで、実は騙されてるなんて、想像もしてないだろうしな。ま、俺を欺こうだなんて、百万年早いけどな」
「……御前らしい、か」
 まさに、エースに一杯喰わされた。
 呆れた溜め息が、デーモンから零れる。そしてその直後、苦渋の笑いも。
「しかし彼奴等、俺の性格の何が気に入らない、ってんだろうな。ゼノンの"薬"の影響だと思わせて寛大に動いてやれば気持ち悪いとか言うクセに、面白がってヒトの性格変えようだなんてな」
 苦虫を噛み潰したようなエースの表情に、デーモンはくすくすと笑いを零した。
「まぁまぁ」
 大きな溜め息を吐き出すエースを眺めながら、デーモンは相も変わらずにくすくすと笑っている。
 本当はとても寛大なクセに、ただ"捻くれているだけ"の、愛しい恋悪魔。敢えて性格を変える必要がないことは、このデーモンが一番良くわかっているのだが…
「誰に対しても寛大でいられたら、吾輩がつまらない」
「…んだよ、それは」
「吾輩の前でだけ、ホントの姿を見せてくれれば良いんだ。他の奴らに見せたら、勿体無い」
「……ばぁか」
 思わず耳まで朱に染まる恋悪魔が、たまらなく愛しくて。
「今回のことは、御前と吾輩の秘密、な」
「…当たり前だろ。"薬"にやられなかった、なんて言ったら、また実験台にされかねないからな」
 もうこれ以上は御免だ、と言う表情を浮かべるエースを、デーモンは満面の笑みで見つめていた。
----たまには、エースに一杯喰わされるのも悪くないな。
 それは、エースにも秘密。デーモンの細やかな秘め事、だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※リクエスト内容は「ずばり「寛容なエース氏」!(^-^;
いや、藍砂さん書かれるところの、寛容なでーさん大好きなんですが、これ逆だと、どう書かれるんだろうな・・、なんて。ついでに言えば、「一本取られるでーさん」ってところでしょうか?(笑)」
と言うことでしたので…その結果、寛容なエース=異質(⁉)と言う結論に…。(苦笑)
ま、たまには「あり」でしょう…か?(笑)
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筋金入りのオジコンです…(^^;
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