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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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かがやきのつぼみ found you 7

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
完結未定 act.7

拍手[2回]


◇◆◇

 遠くで…雨の音が聞こえている…ような気がする。
 酷く頭が重い。瞼を、持ち上げることも出来ない。
 身体が…動かない……

◇◆◇

 その知らせは、夜が深くなる頃に届いた。
「…どうしたの?こんな時間に…」
 既に夜着に着替えてはいるが、まだベッドには入っていない。だが、相手は明らかに執務中。そして…とても神妙な顔をしていた。
『…俺もさっき報告を受けたばっかりなんだけど…実は……ゼゼが、拉致されたらしい』
「…はい…?拉致…?」
 何の冗談か…と思ったものの、とても冗談では済まされない雰囲気を放っていた。
「…どう言うこと…?」
 表情を引き締めて改めて問いかけると、通信画面の向こう…ルークは、大きく息を吐き出した。
『…色々あるから、順を追って説明する。ゼゼは入局して間もなくして…とある奴と再会した。ゼゼは何とも思ってなかったようだけど、相手はそうは思っていなくて…そのまま付き纏われたらしい。だがそこから三ヶ月、実地研修に入り会っていない。そして研修が終わった直後、ソルジュが拉致された』
「拉致?」
『そう。しかもあの部署は半人前ばかりだから、攫われたことに気付かなかった。だが、遠征から帰って来たばかりだったラルが一早く気が付いた御陰で、事なきを得た。だが…三日かかった。そしてソルジュが復帰するまで犯魔はその間野放しで…注意喚起したその日にゼゼが攫われた。そして俺は、遠征から戻る前に、この件を伝えられた』
 そう言って溜め息を吐いたルーク。多分困惑しているのだろう。話を聞いていたゼノンもまた、困惑していた。
「…御免ね、忙しい時に…」
『いや…俺のことは良いんだ。問題は、相手の目的はずっとゼゼだったってことだ。いつからそう思っていたのかはわからないけれどね』
 その話を聞いた彼…ゼノンは眉を潜め、首を傾げる。
「待って。話は戻るけど…再会したってことは、前から顔見知りだったってこと?ずっと…狙われていたの…?」
『…ずっとかどうかは、俺はわからないけど…聞いた話では、帰りに毎日寄っていたらしい。ラルの下にいたようだけど、ゼゼが入局してから仕事にはロクに行ってなかったって。仕事よりもゼゼの方に一生懸命になってたらしいよ』
「ゼゼを誘うことに?ラルの下だったら忙しかったでしょう?誘っている暇なんてなかっただろうに…」
『だから、クビになったんだよ。ウチだってそこまで甘くないから』
 それは何処の局でも同じこと。特別な理由がない限り、許されることではない。
「…そう。確かにそれはそうだね。ウチの局だってそうだもの。ウチよりも厳しいんだから、当然だよ。まぁ、状況は何となく把握した。取り敢えず、これから様子を見に行った方が良さそう?まぁ…成体じゃないとは言っても、一応鬼の血筋だから簡単には死ぬことはないと思うんだけど…それに、ラルだって俺とゼゼのことは知らない訳だし…闇雲に押しかけるのも…」
『まぁね。ラルはゼゼの素性を知らないし、これからも言うつもりはないから。でもホントに大丈夫?俺ももう少し帰れないし、心配かけて置いて何なんだけど…』
 連絡を入れたのは、"保護者への連絡の義務"があるから。本来なら、それは士官学校の入学時に期限が決められている。ただゼフィーの場合は、相手がゼノンだから…と言うところもあって、マメに連絡を入れることもある。
 そんなことを踏まえた心配そうなルークの表情に、ゼノンは頷いて見せる。
「大丈夫。連絡、有難うね。後はこっちで何とかするから」
『…うん…』
「……ルーク…?」
『…何でもない。御免ね、心配かけて。じゃあ、また連絡するから』
 そう言って通信は切れた。
 勿論、すんなりと納得は出来なかったが、今はそんなことを言っている場合ではない。
 取り敢えず、今出来ることを。それがゼノンに出来る全てだった。

◇◆◇

 雨の音はまだ聞こえていた。
 そして、辛うじて意識はあるが…身体は動かない。声も出せない。
 自分の他に…誰か傍にいる。誰かが……
「……ゼフィー…」
 声をかけられ…一気に心拍数が上がる。勿論、嬉しくて…ではない。寧ろ、その逆。
 抵抗出来ないのを良いことに、触れられた指先が身体を弄る。
 これは…一体、何の時間だろう…?
 微かな意識の中、そんな想いがぼんやり浮かぶ。
 そうしている間に、再び意識が落ちた。

 ゼフィーが再び意識を取り戻すと、傍には誰の気配もなかった。
 あの日から…一体、何日が経ったのか…それすらもわからなかった。
 薄暗い部屋の中…一筋の明かりもない。雨の音も、今は聞こえない。
 ゆっくり身体に力を入れてみると、ややぎこちないが、自力で動かすことが言葉出来た。
「…やっと…薬の効果が、切れた…」
 大きく息を吐き出すと、そっと身体を起こす。そこでふと、自分が何も身に纏っていないことに気が付いた。
「…やられた…」
 不思議と、ショックは少なかった。状況からして、恐らく強姦紛いの行為(合意ではない時点で本意ではない)だが…元々関心が薄いだけに、ショックと言う言葉で表す必要はなかった。それよりもゼフィーが気になったのは…外に出る時に酷く目立つ、と言うこと。流石に何も身に纏っていないのはどうかと思う。
 何か着るものはないか…と、改めて部屋の中をぐるりと見回す。そこで初めて、何処にいたのかを知った。
 何もない部屋。家具と言えるものは、ゼフィーが寝ていたベッド一つのみ。後はカーテンの引かれた窓があるだけ。
「何だ、ここ…」
 這うようにベッドから降りると、そのまま壁伝いに部屋の中を進む。暗闇の中、指先に神経を集中して進んでいると…部屋の隅で、何かが指先に触れた。
「……?」
 慎重に指先で探ると、それが短剣であることに気が付いた。
「…短剣…?こんなところに…?」
 部屋の中に剣が刺さっている。そんな状況はそうそうない。あるとすれば……
「…結界…か…?」
 昔…まだ雷神界にいた頃に、見かけた事がある。あれがそうだったのなら、多分これも同じだろう。
 だとすれば、誰の気配も感じないことも頷けた。
「……よし」
 相手がいつ帰って来るかわからない。このまま帰って来ない可能性もあるだろうが…相手に執着心がある以上、このままで良いはずはない。
 今は、やるしかない。
 ゼフィーは大きく息を吐き出すと、嘗て士官学校の授業で習ったこと手順を思い出しながら、呪を唱え始める。そして呪の能力が満ちると、ゆっくりと剣を引き抜く。それを四隅を回って全て撤去した。このまま上手く行けば…だが。
「…さて…僕も逃げないと……と、その前に…」
 改めて自分の姿を思い出して、小さな溜め息を一つ。流石に…このままでは、逃げられない。かと言って、周りを見回したところで自分の衣類は何処にもない。
「…仕方がない…」
 ゼフィーはベッドに残っていたシーツに手を伸ばすと、徐ろに身体に巻き付ける。そして部屋を後にした。

◇◆◇

 ゼフィーが拉致されてから、五日が経っていた。そしてその間、彼に関わっている誰もが、眠れぬ日々を過ごしていた。
 そしてその日。その日も朝からの雨が止まずにいた。そしてその雨の中…帰り道を待ち伏せるかのように、待ち悪魔がいた。
「こんばんは、ソルジュ主任」
「…リディ…」
 にっこりと笑う相手…リディに、ソルジュの表情が凍り付いた。
「…どう言うつもりですかっ!ゼフィーは…っ!?」
「良い子にしていますよ。大事にするに決まってるじゃないですか?折角、手に入れることが出来たんですから」
 その言葉に、持っていた傘を投げ捨てると、ソルジュの襟元に掴みかかる。
「ゼフィーはモノじゃありません!貴方だってわかっているでしょう!?」
「わかっていますよ?当たり前でしょう?だから…邪魔者は消す。貴方だってわかってますよね…?」
 そう言うなり、脇腹に痛みが走る。
「……っ!」
「甘いですよ、ソルジュ主任?」
 くすっと笑うリディ。ソルジュは目を見開いたまま、息を飲む。そこに見えたのは、自身の身体から溢れた血液。
 そして…そのまま足元に崩れ落ちる身体。
「いい加減…わかりましょうよ。こんなに物分かりが悪いだなんて、貴方には絶望です。だから…もう一度だけ教えてあげます。ゼフィーは…"わたしだけのもの"、だ」
 そう言って、足元に崩れ落ちた身体を、笑いながら蹴り飛ばした。そしてそのまま、踵を返した。
 雨の中…無情にも置き去りにされた身体。それは、誰の為の生命だったのか…今は、誰もわからない。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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