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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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かがやきのつぼみ found you 9

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
完結未定 act.9

拍手[1回]


◇◆◇

 その病室にいるのは、上司たるルークと、ゼフィーの父親たるゼノン。そして、ベッドの中には、眠ったままゼフィー。
「…何だか御免ね…迷惑かけて…」
「いや、それに関してはこっちは仕事だしね。問題なのは…ゼゼの心の傷の方。大丈夫なの…?」
 そう言ってベッドを振り返ったルークは、そこに眠るゼフィーに視線を向けた。
 ベッドに横たわるゼフィーは…身体中擦り傷と打ち身だらけ。服も何一つ身に着けていなかった。そんな状態で発見されたら、誰でも心配になる。そして何より…
「…ねぇ…聞いても良い…?」
「何…?」
 声だけの返答。ルークの顔を見ないゼノンだったが…ルークも敢えてそれに関しては深追いしなかった。ただ、真実を知りたいと。
「ゼゼ…"儀式"、終えたんでしょう?なのに何にも変わらないのは何で…?俺は生まれ育った環境も種族も違うし、詳しいことはわからないけど…これは普通のことじゃない。ゼゼは今…どう言う状況なの?」
 ゼノンならば、医師なのだからわかるはず。そんな思いを込めたルークの言葉。だが…肝心のゼノンは大きな溜め息を一つ。そして、首を横に振った。
「…俺にも…詳しいことはわからないんだ」
「わからない…?だって…あんたは医師なのに?」
「医師だからって、そんなこと関係ないでしょ?だってそうでしょう?いくら親子とは言え…所詮は別体だもの」
「それはそうだけど…」
 流石に困惑気味のルークの表情。それはゼノンも同じだった。
 但し…ゼノンには別の想いもあったが。
「…俺が子供の頃…似たようなことで悩んだんだ。"儀式"の真意をね」
「…真意?」
「そう。何とか"儀式"を素通り出来ないか、ってね。今じゃ想像出来ないだろうけど」
 苦笑するゼノンに、ルークは首を横に振る。そんなルークを前に、ゼノンは言葉を続けた。
「結局、成体にはなったけど…納得は出来なかった。その点ではゼゼと同じだと思う。でも、そんな俺を掬い上げてくれたのがライデンだったんだよ。今…ゼゼが、同じ位置にいるような気がする。勿論、わかっているなら何とかしてやれって思うんだろうけど…ゼゼはまた少し違うような気がするんだよね。何かがストッパーをかけている気がするんだけど、それが何かはわからない。それが唯々気になるって言うか、何と言うか…違和感でしかないんだよ」
 何かが引っかかっている。それが正直な感想だった。
「…でもさ…その、あんたの言う違和感?それって、何処から来るモノな訳?ゼゼのことをわかっているのなら尚更、その根源をさ…探ってみた方が良くない…?」
 眉間に皺を刻むルーク。その表情から察するに…納得は、していない。当然と言えば当然のこと。
 けれどゼノンは大きく首を横に振って息を吐き出すと、漸くルークの顔を見た。
「じゃあ俺も聞くけど、御前はどれだけ自分の親のことを理解出来ていた?」
「…それは…」
 その質問をされたら、ルークは何も答えられない。それをわかっていて、わざと意地悪な質問を投げかけたのだ。
「…御免ね、意地悪なこと聞いて。御前が何も返せないことをわかっていて、わざと聞いた」
「ゼノン…」
 ちょっとだけ困惑した表情を浮かべたルーク。だがゼノンの気持ちは察した。
「…御免。御前の言いたいことはわかっているから。でも、医者だからって…親だからって、全部わかっていなきゃいけないって言うのは、違うと思う。特に親はね。子供が成長して行くにつれ、親の管轄から離れてしまう。でもそれが普通でしょ?子離れって、こんなタイミングで自覚するんだね」
 何処か寂しげにそう零すゼノンに、ルークも小さく溜め息を吐き出した。
「いや…俺も言い過ぎた。そうだよね。俺が魔界に降りた時とそんなに変わらないんだし。俺だってそんな時期もあったから、気持ちもわからなくもないよ。ただ俺は、"儀式"の葛藤だとか正直わからない。だけど、そもそも"儀式"って全員参加な訳だし、避けて通れないのはゼゼだってわかっていたでしょう?落としどころはどうするつもりだったんだろう…?」
「落としどころね…」
 それは、ゼノンも心当たりはあった。ただ自分はゼフィーとは違って、妥協点を知っていただけで。
 小さな溜め息を吐き出したゼノン。と、その時。病室のドアがノックされる。
「…はい?」
『ルーク総参謀長、そろそろ御時間ですが…』
 そう声をかけられ、小さな吐息が零れる。
「あぁ、今行くよ」
 ドアに向け、そう言葉を返すルークに、ゼノンはちょっと首を傾げる。
「…忙しかったの?だったら俺もいたんだから、無理してついてなくても良かったのに…」
「良いの、良いの。一応上司だし、俺も気になっていたんだから」
 小さく笑うルークは、軽く手を挙げてゼノンに挨拶した。そしてそのまま病室を出て行った。
 その背中を見送ったゼノン。そしてそのまま、視線をゼフィーへと向ける。
 確かに…実年齢を考えたら、かなり不釣り合いさを感じさせる。だが、恐らく"儀式"を終えたであろう今でも、何一つ変わらない。それは見た目だけの問題だけではないだろう。
 取り敢えず、ゼフィーの目が覚めるのを待つしかない。全てがわかるのは、それからだった。

◇◆◇

 静まり返った真夜中。ふと、意識が戻った。
「…あれ…?暖かい…」
 確か…意識が落ちる直前まで、雨に打たれていたはず。そうして…
「…気が付いた?」
「…父様…」
 枕元から声をかけたのは、父親たるゼノン。と言うことは…全部わかっているのだろう。
「…御免なさい、心配かけて…」
 心配をかけた、と言う自覚はある。だからこそまず謝ったのだが…ゼノンはそれに関しては心配してはいなかった。
「まぁ…心配はしたけれどね。でも、御前もいつまでも子供ではないしね。"儀式"が終わったら、後は自己責任だから。困った時は今迄通り相談に乗るし、触れられたくないのならある程度は目を瞑る。言ってしまえばオトナの付き合い方と言うことだよ」
 そうは言うものの…そう簡単に切り替えられるのなら、苦労などしないのだが。それは扠置き。
「…話…聞こうか…?」
 ベッドの端に腰を下ろしたゼノンは、軽くその顔を覗き込む。するとゼフィーは少し間をおいて…それからゆっくりと口を開いた。
「僕は…成体になれたの…?」
「自分自身ではどう思ってるの?」
「僕は…」
 困ったように言葉を放つ。
 何を、どう伝えたら良いのか。まずそこから悩む。そして何より…成体になったと言う自覚すらないのだ。
 そんなゼフィーの姿に、ゼノンは小さく笑いを零した。
「焦ることはないんだよ。ゆっくり自分自身に向き合って御覧。不安だったら相談に乗るし、誰かに相談したって良いんだ。だから一名で抱え込まないで」
「父様…」
 にっこりと微笑むゼノンに…思わず、涙が零れた。
「…取り敢えず、今日はゆっくり休んで。話はまたゆっくり聞くから」
「…うん…」
 そっと頭に乗せられた手の温かさ。それが胸に染み入る。そしてその夜は、安心して眠ったのだった。
 そしてゼノンもまた、暫く振りの親子水入らずの時間を過ごしたのだった。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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