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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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かがやきのつぼみ found you 8

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
完結未定 act.8

拍手[3回]


◇◆◇

 その肩の上に降り注ぐのは、冷たい雨。
 薄暗い中…路地の隙間に身を隠すように座り込み、目立たないように小さく蹲っている。
 自分が何処にいるのか。それすらもわからない。
「……リン先生……」
 抱えた膝に額を摺り寄せ、小さく名を呼ぶ。
 せめて…想いだけでも、届くように。
 そう思って…ふと我に返る。
 これではまるで、今生の別れのようではないか。そんなことは…絶対に望まない。
 大きな溜め息を吐き出すゼフィー。
 このままでは、駄目だ。
 ゼフィーは顔を上げ、立ち上がる。そして雨の中、再び進み始めたのだった。

◇◆◇

 ゼフィーが部屋から逃げ出したことは、岐路に着く前に気が付いていた。
「…侮ったな…」
 小さく舌打ちをし、然程広くもない部屋の中を見渡した。
 荷物のない部屋。唯一あったベッドの上にシーツはなく、恐らく持ち去られたのだろう。そして序でに言うなら…張っていた結界も綺麗に解かれていた。その時点で彼を侮っていたことは明確だった。
 ゼフィーがそのつもりなら…受けて立つ。
「…必ず見つけてやる」
 吐き出すように言い放つと、踵を返したのだった。

◇◆◇

 夜遅くの窓の外は、相変わらず雨が降っていた。
 ゼフィーが拉致されて六日。彼はまだ見つからない。
 ここ四日ほど、どうしても仕事を離れることが出来なかった。そしてその間に再びソルジュが狙われたと、先程瀞瀾から聞いたばかりだった。
 幸い、生命は何とか助かった。だが、予断を許さないことには変わりない。当然リンもその状態は良くわかっていた。
 現状はとても厳しい。何より…まだ犯魔は捕まっていない。
 窓に映る自分の表情に、大きな溜め息を一つ。その顔は、酷く不安気な表情に見えた。
 助けられる生命を見逃したのではなかろうか…?そこに、本当に穴はなかったのか…?本当に…成す術は何もなかったのだろうか…?
 医師として、情けないの一言に尽きる。
 再び溜め息を吐き出すと、残っていた仕事に区切りをつけて漸く岐路に着く。
 だがしかし。途中まで帰って来た時…道の角から姿を覗かせた。
「……貴方…」
 突如現れたその姿に、思わず息を飲む。
 傘もささずに頭からずぶ濡れ。だがそれを気にも留めず、つかつかと歩み寄って来て、徐ろにその襟元に掴みかかった。その反動で、彼の手に持っていた傘がその手から零れ落ちる。
「……彼奴を何処へやった…」
「…彼奴…?」
「彼奴って言ったら彼奴だろう!?何処へやった!?」
 カッとなったように、襟元を掴んだ手に力を籠める。その力強さに身の危険を感じ、思わずその手を振り解いた。
「……何だって言うんですか…っ!?」
 一旦距離を取って離れ、声を上げる。だがその背中を執拗に追いかけて来る。
「煩い!」
 悲鳴のような声を上げると、再び掴みかかって来る。
 御互い雨に濡れながらも、どちらも引くことはない。引いたらそこで御終いなのだと、本能で察していた。
 暫く、掴み合いの攻防が続く。だが、雨が降り続く所為で足元がぬかるんでいたこともあり、一瞬の迷いで足を取られた。
「…っ!」
「御前なんかいなければ良いんだ…っ!」
 そう言って、その首を掴んだ両手に力が籠る。背中を地面に押し付けられ、動ぎを封じられる。
「くたばれ…!」
 更に力が込められ…意識が遠退く。
----…これ以上は…
 意識は落ちる寸前…その声が、届いた。

「リン先生!!」
 その声と共に、雨の中をずぶ濡れで走って来たのは、ゼフィー。
「リディさん止めて!リン先生が死んじゃう!!」
 その腕を振り解くように、縋りつく。だが、リディは見向きもしない。寧ろ、縋りついたその腕を強引に振り解いた。弾みで濡れた地面に投げ出される。
 それが幾度も繰り返される。例え身体に巻き付けていたシーツが解けようが、ずぶ濡れの髪の毛が絡まろうが、そんなことはどうでも良かった。ただ、少しでもリンからリディを引き離せればそれで良かったのだ。
 だから、怖いとか、痛いだとか、一切感じなかった。
「…リン先生から離れろ…っ!」
「煩いんだよ…!!」
 その腕を掴んで、纏わり着くゼフィーを投げ飛ばす。飛ばされたゼフィーは、地面に背中を激しく打ち付け、大きく咳き込んだ。
「…ゼ……」
 必死に身体を起こすリンの前…立ちふさがったリディ。
「…どう、して…」
「…どうして?そんなこと聞かないとわからないのか?だったら…最後に教えてやる」
 そう言うと、再びリンの首を掴んだ。
「…気に入らないんだよ、御前の態度が!ゼフィーの御前に対する絶対的な信頼が…っ!何で御前なんだよ!」
「…そんなこと言われても…」
 それではただの逆恨みではないか。当然困惑の表情を浮かべるリン。だが、納得出来ないのは、多分どちらも同じこと。リディもまた、納得など出来なかった。
「…御前さえ現れなければ…ゼフィーは俺のモノになったのに…!」
「違う!」
 悲鳴のように叫ぶ声。身体が動かない今、それはゼフィーの精一杯の抵抗だった。
「僕は貴方のモノにはならない!」
「ふざけんな!」
 声を上げるリディ。それはゼフィーも初めて見る姿。
「俺が御前を振り向かせる為に、どれだけ時間を費やしたと思ってるんだよ!」
「知らないよ、そんなこと!だったら、リディさんは、少しでも僕の気持ちをわかってくれた!?そりゃ、最初こそ引いてくれたけど…でも、眠らせて犯すなんて、真面じゃない!僕の気持ちなんか、何一つ受け入れてくれてないじゃないか!そんなヒト…僕は絶対に好きにはならない」
 睨みつけるようなゼフィーの眼差し。こちらも初めての姿だった。
 そしてこの時、雨は一段と雨足を強め、雷鳴が轟き始めていた。
「俺は御前の儀式に協力してやったじゃないか!」
「何の相談もなしに協力だなんて、誰が喜ぶの?!協力して欲しいだなんて一言も言ってない!リン先生を巻き込まないで!!」
「煩い!!」
 喧々囂々とやり合う二名。その間にも雷鳴は近づいていた。
「兎に角!こいつがいることがそもそもの元凶だったんだ!こいつさえいなければ…っ!!」
 そう言って再びその手に一気に力を籠める。当然その先にいるリンは逃れようと悶えるが、今更どうにもならない。
「今度こそくたばれ!!」
 その勢いに、ゼフィーは慌てて声を上げた。
「止めて…!!」
 ゼフィーの悲鳴のような声が響いたその時、耳を劈くような一際大きな雷鳴が轟く。それと同時に大きな悲鳴が届いた。
「…っ!!!」
 衝撃波で弾き飛ばされながらも、雷が落ちた先が気になる。けれど、飛ばされた衝撃は大きくて…そのまま、意識が落ちた。

 その場所に誰かが駆け付けたのは、十分を過ぎてから、だった。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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