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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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それぞれの想い 1
こちらは、以前のHPで2001年7月21日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。(基本DxAです…/笑)
5話完結 act.1

拍手[1回]


◇◆◇

「デーモン、どうしたの?最近、イライラしてるみたいだけど…」
 そんな声に顔を上げれば、正面にはゼノンの姿。
「別に、そんなことはないが?」
「…そう?眉間に皺寄ってるけど…?」
 デーモンの答えに、ゼノンは怪訝そうな表情を浮かべた。
 デーモンにしてみれば、別にイラついていると言う訳ではないのだが…最近、良くそう言われると思ったら、眉間の皺を見てそう言っていたのか…と、ちょっと納得していたりする。
「喧嘩でも、したの?」
「誰と?」
「だから、エースと」
「……」
 その言葉に、溜め息を一つ。
 喧嘩するも何も…
「最近は、忙しいらしくてな。ここ数ケ月、ゆっくりと顔を合わせてない。だから、喧嘩にも成り得ない」
 書類に目を落としながらそう言ったデーモンの言葉に、ゼノンは小さな笑いを零した。
「あぁ、そう。それでか」
「何が?」
「それ、貧乏揺すり」
「……あぁ…」
 ゼノンに言われて初めて、デーモンは自分が貧乏ゆすりをしていることに気が付いたらしい。
「何、気付かなかったの?」
「…悪かったな…」
「別に、悪かないけど」
 くすくすと笑うゼノン。
 思わず赤くなった顔を伏せ、デーモンは再び書類に目を落とす。
「…ルークは、休暇中か?」
 書類の間に挟まれていたメモを見つけ、ゼノンに尋ねてみる。
「さぁ…俺に聞かれても知らないよ。休暇の管理している訳じゃないからね。でも、珍しいね。ルークがデーモンにも言わないで、休暇取るなんて」
「一々、理由を説明して休暇を取る歳じゃないだろうが。休暇届は出ているんだし。別段、珍しいことでもないだろう」
「デートかもよ?」
「良いんじゃないか?別に」
「でも…ねぇ」
「何だ」
 顔を上げ、ゼノンに視線を向ける。
 その瞬間に、ゼノンはふいと視線を背け、白々しく窓の外に目を向けたりしているが…
「言いたいことがあるなら、はっきり言ってみろ」
「別にないけど?」
「ゼノン…っ」
「何でもないってば」
 くすくすと笑いを零し、ゼノンはつぶやく。
 そんなゼノンの姿に、デーモンはちょっとムッとした表情を浮かべた。
 自分だけ除け者にされた気分で、気に入らない。
 ゼノンにも、ルークにも…エースにも。
「じゃ、俺は任務があるから。またね」
 そう言葉を残し、ゼノンはマントを翻して出て行ったのだが…まるで、奥歯に物が挾まったみたいに、気になって仕方がない。
 ルークもルークで、最近確かに、妙にそわそわしている時があったのだが…これはホントにデートかも知れないと思いつつ、その時は彼奴等に起こっている現状を、デーモンはまるで知らずにいた。
 夢にも思わなかったとは、まさにこのことを言うのだろう。

◇◆◇

 汚れた楽園。
 彼には、そう思えていた。
 真白き翼の影に潜む、薄黒い欲望。
 色褪せた正義と、慈愛の情。
 その存在の全てが消え失せたとしても、何も変わらないだろうと。

 その記憶に残る天界は、とても汚れていた。最もそれは、子供心には気付かないくらい、巧妙に隠されてはいたけれど。
 でも、彼は気付いていた。いつから…なんてことは、わからないけれど。
 彼の中の記憶で、唯一綺麗だったモノは…彼女だけ。
 彼女だけ、俺の中では今も特別。
 天界を離れてからもう気が遠くなるくらいの時間が経ったけれど、彼女だけは、まだ色褪せずに心の中に、鮮明に残っている。
 だから…
 そう、だから…

 微睡みの中、声を聞いた。
《…ルカ…わたしの可愛いルカ…》
 懐かしい声だ。
 忘れもしない。そう、それは…彼女の声。
「…母…様…」
 思わず、口にした言葉。
 それが罠である可能性もあると言うことは、彼にもわかってはいた。
 でも…呼ばずには、いられない。
 それが…血の繋がり、と言うものだから。

◇◆◇

「…ルークは?」
 軍事局の参謀部へ顔を出したエースは、そこにいた局員に尋ねた。
「ルーク様ですか?先程、皇太子殿下から呼び出しがありまして、枢密院に向かいましたが…」
「あぁ…そう」
 じゃあ、入れ違いか。
 小さく零し、エースは舌打ちをした。
 仕方ない、出直して来る。
 そんな言葉を残して、エースは踵を返した。

 同じ頃。皇太子の執務室。
 そこには、主たるダミアンと、ルークの姿があった。
「まぁ、御前がデーモンの参謀として優秀なのはわかるが…」
 しかしなぁ…。
 溜め息を吐き、ダミアンはルークを見た。
「もう少し、参謀長らしくしたらどうだい?」
「…やっているつもりですけれど?何が不満なんです?」
 ダミアンの愚痴はもう聞き飽きたと言わんばかりに、ルークは涼しい顔で横を向いている。
「御前ねぇ…執務室の窓から訪ねて来るなんて子供地味たことをやっていながら、参謀長らしくしていますって言う方が、説得力がないと思わないかい?苦情とまではいかないけれどね、直ぐに何処かへ行ってしまうから、御前がなかなか捕まらないと随分言われているんだよ」
「それとこれとは別でしょう?必要な時間はちゃんと執務室にいますし、執務はきちんと熟しています」
「ルーク…」
 確かに、ダミアンの気持ちも、ルークにはとても良くわかってはいるのだ。
 彼が、ルークをとても気に入ってくれていること。その実力を、高く評価してくれていること。
 それ故に、ルークの参謀長としての立場や礼儀を整えてやりたいと言う、言わばダミアンの親心なのだろうが…
「執務が残っているので、御話がそれだけなら下がらせて貰います」
 失礼しましたっ。
 ルークはダミアンに頭を下げ、さっさと踵を返して出て行った。
「…全く…どう思う?デーモン」
 奥の間に続くドアに向かって、ダミアンはもう何度も口にして来た台詞を口にする。
「知りませんよ。彼奴のことは」
 ドアが開き、そう声がする。
「ん?どうしたんだ、御前。いつもと返事が違うじゃないか。いつもはフォローするのに」
 不機嫌さを露にしたデーモンの表情に、ダミアンは興味深げに問いかける。
 声をかけられた当のデーモンは、確かにいつもならにこやかにフォローを入れるところなのだが…今日は確かに機嫌が悪かった。それを露骨に表したものだから、ダミアンの方が面喰らってしまったのだろう。
「何か、あったのか?」
「いいえ、別にっ」
「…エース、だろう」
「……」
 図星なのか、デーモンは顔を真っ赤に染めて口を噤んだ。
 ダミアンはそんなデーモンの姿を、冷静に見つめ、その口元に僅かな笑みを称えた。
「喧嘩でも、したのかい?」
「…いえ」
「じゃあ、何だい?浮気か?」
「そっ…そんな筈はありませんっ!」
「…直ぐにムキにならない。冗談に決まっているだろう?」
「すっ…済みません…」
 デーモンは頭を下げ、そのままうつむいていた。
 相変わらず、である。
「…で、理由は?」
 やんわりと問いかけたダミアンの声に、僅かに口を開く。
「…最近…ずっと留守なんです。夜になっても、屋敷に帰ってないらしくて…局の方に連絡を取っても、任務で出かけているとばかりで、全然捕まらなくて…」
「ほう。それで、苛立ってる訳か。意外と、浮気してるのかも知れんぞ?案外、近くの奴と…な」
「ダミアン様っ」
「冗談だって。そんなに恐い顔で睨むな」
 しかし、ダミアンにとっては、所詮、他悪魔事である。
 これ程面白いことはないと言った表情を、デーモンの目からは隠していたのだった。

◇◆◇

 ルークが軍事局に戻って来ると、先程エースと話していた局員がやって来た。
「ルーク様、先程エース様がいらっしゃいましたが…」
「…あぁ、そう。わかった。じゃあ…ちょっと行って来るから、もしも何かあったら、情報局の方に回しといて」
「御意に」
 ルークはすぐに踵を返し、情報局の方に向かった。

 情報局の最上階。
「エース、いる?」
 そのドアを叩き、ルークは一声かける。
「あぁ、開いてる」
 中から帰って来た声にルークはドアを開け、エースの執務室の中に足を踏み入れた。
「入れ違いだったみたいだね。御免よ」
「いや、構わない」
「で、何?」
 ルークの声にエースはソファーを促し、そして自分もソファーへと移動した。
「例の、話。やっと、連絡が取れたんだけど…どうする?」
「あぁ…そう。ん~どぉしよっかなぁ…」
 土壇場になって悩むのは、ルークらしくないと言えばらしくないのだが…
 思案に暮れるルークに、エースは数枚の紙を差し出す。
「これ、ラファエルから。もし、行くなら…ダミアン様には何と?」
「…里帰りってのは…やっぱ、ヤバイよね…ただでさえ、堕天使ってことで、年寄りなんかはまだ警戒してるもんな…さてさて、どうしようかねぇ…」
 エースから受け取った紙面に目を走らせながら、ルークは心底困ったようにつぶやく。
「…行くかやめるかは、俺が決めることじゃないから口を挟むつもりはないが…」
 エースにしては、歯切れが悪い。
 それはある意味当然と言えば当然。
 エースが渡した書類は…天界軍のラファエルからの、私伝。
 ルークの最愛の人に、天界軍には内緒で会わせてくれると言う。その為に、エースも連日走り回っていたのだ。
 ルークは口を噤んだまま、じっと思いを巡らせる。
 彼女が夢に出て来たあの日から…求める想いとは裏腹に、結論は出せないでいる。
 再三再四に渡って彼女のことをエースに調べて貰い、その結果、やっとでラファエルが管理する地に捕らわれていると言う、確かな情報を手に入れた。
 ラファエルならば、ルークも面識がある。ミカエルと共に、子供の頃から世話になっていた。
 しかも相手は、ルークを喜んで歓迎すると言っている。良く見知っている相手だからこそ、それを疑う理由はないのだが…
 しかし……自分を受け入れてくれた魔界を…仲魔たちを、裏切ることは出来ない。もしものことがあったら…信頼してくれている皇太子と副大魔王…そして目の前にいるエースの顔にも、泥を塗ることになる。
「ねぇ、エース…もしも…もしも、だよ。俺が、天界に行って、彼女に逢いに行ったまま帰って来なかったら…エースならどうする?」
 そう、尋ねたルークの声は、確かな答えを待っていた。
 確信が欲しいのだ。今のルークには。
 それに気が付いたエースは、小さく笑って、ルークの頭をテーブル越しにそっと抱き寄せた。
「勿論…取り返しに行くさ。御前は、大事な仲魔だ」
 耳許で囁かれた、甘い声。
 ルークは、大きく息を吐き出した。
 無事に帰って来られる確証はない。けれど、何かが起こる、と言う確証もない。
 ならば……。
「…きっと、だよ」
 小さく、つぶやいた声。
 その絆は、まさに命綱だった。目には見えないけれど…きっと、強く繋がっていると、信じたい。
「…俺、行って来る」
 ルークは、覚悟を決めた。
 全ては…彼女に、会う為に。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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