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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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それぞれの想い 3
こちらは、以前のHPで2001年8月04日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。(基本DxAです…/笑)
5話完結 act.3

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◇◆◇

 岩の間を抜ける冷ややかな風は、ルークと、そしてラファエルの身体を冷やし続けていた。
 応急処置として、ルークは自分の服の袖を片方破り、ラファエルの肩を結わえていた。
「大丈夫?顔色が良くないけど…」
 気遣うように、ルークは声をかける。
 勿論、ルークとて元気な訳ではない。時間が経つにつれ、ルークの身体から、微量ずつではあるが、魔力が奪われているのが、明らかにわかるようになって来る。
 身体が、怠い。それが、総ての証拠だろう。しかし本来、捕らわれの身であれば、もっと酷い仕打ちを受けたとしても不思議はない。それがないのは、恐らくミカエルの配慮なのだろうが。
「心配はいりません。急所は、外れています。それに…ミカエルは、わたしを殺したりはしませんから。仮にもわたしは…まだ、彼の片腕ですから。でも…レイのことは…また別の話ですから…」
 顔色が悪いのは、その所為もあるのかも知れない。
 レイはラファエルの側近であり、常にラファエルの傍にいたことを、ルークも覚えていた。恐らく…他人には言えない何かがそこにはある。そう思ってはいたものの、今までは聞くことは流石に憚られて。
「…レイは…あんたの恋人なの…?」
 思わず問いかけた言葉に、ラファエルは一瞬、口を噤む。けれど、大きく息を吐き出すと、小さく笑った。
「恋人と言うのは…語弊があり過ぎですね。彼は…わたしの恩人です。わたしは、彼に助けられた。そして今でも…彼に、支えられていると言っても過言ではないかも知れません。でもそれは、ミカエルには余り歓迎されていないものでね。わたしの生命はともかく、レイは…切り捨ててしまうことも、苦ではないかも知れない…」
 それは、ラファエルがずっと抱えて来た不安だったのかも知れない。
 いつか、ミカエルに切り捨てられてしまうかも知れない。そんな想いを抱えながらも、ラファエルはミカエルの片腕として生きているのだから。
 そんなラファエルの姿を前に、ルークは不満気につぶやいた。
「…酷いよね。よりによって、片腕のあんたを傷付けて…あんたが大事にしているレイも、どうなっているかわからないなんて…それに最初に俺を天界に向かわせようとしたのは、ミカエルのはずなのに…あんたを利用してさ…」
 口を尖らせたルークを、ラファエルは目を細めて見つめた。
「夢の話なら…ミカエルがやった、と言う確証はないでしょう?それだけのことで、ミカエルを責めることは出来ません。それに…レイのことは、今回、貴方には関係のないことです」
「…ラファエル…」
 確かに、ミカエルがやった、と言う確証はどこにもない。けれど…ルークは、他の存在は考えられなかった。だからこそ…ミカエルの仕業だと、信じていたのだ。
「…貴方だけでも、逃れられればと思ったのですが…何故…逃げなかったのです?貴方なら、武器がなくとも逃げることが出来たはずなのに」
「あんたを置いて逃げることなんて…俺には、出来なかったよ」
 そう告げた声に、ラファエルは小さな溜め息を一つ。
「…貴方のその優しさを我々に向けることは、いつか貴方自身を滅ぼすことになります。貴方が魔界の軍事局を背負って立つ存在ならば、尚更。わたしのことなど気にも留めず、貴方自身の身を守ることが先決です。それが、魔界へ降りた貴方の、成すべき行動ではないのですか?」
「…それは、そうだけど…」
 確信を突いたラファエルの言葉に、ルークは口を噤んだ。
 確かに。自分の立場を考えても、ラファエルの言う通りだとは思う。そして、元を正せば…天界になど、来るべきではなかったのだ。例え、彼女のことがあったとしても。
 だが…天界に来てしまった以上はもう仕方がない。例え自力で帰れなくても、エースが来てくれる。
 確信はなくても、今のルークにはそれが大きな支えだった。
 ルークが応急処置として簡易の包帯として巻いた布は既に真っ赤に染まり、未だに傷は癒える事がないことは明確だった。
 岩壁にぐったりと身を委ね、大きく息を吐きながらも、ラファエルは気丈にも僅かな笑みを覗かせる。ラファエルのそんな姿がルークには辛くて。
 元はと言えばラファエルは、ルークを庇って傷付いたようなものなのだから。
「…御免ね、ラファエル…俺、こんなことしか出来ないけど…」
 出来るだけ無駄な力は使いたくはないと思いつつも、これ以上ラファエルの衰弱を押さえるには方法は一つしか思いつかなかった。
 ルークはラファエルの肩に巻かれている袖の布を解き、傷の辺りの服を引き裂いた。
「…ルーク…?」
 怪訝そうな表情を浮かべたラファエルに、ルークは小さく微笑んだ。
「あんたに、どれくらい効くかわからないけど…俺の中に、まだ僅かでも天界人にも通用する能力があればいいけどね…」
 そうつぶやきながら、ルークは血の溢れる傷口に唇を寄せた。
 僅かな能力の抵抗が、ルークに返って来る。しかしそれを敢えて無視し、ルークはラファエルの傷を癒すことに専念した。
 魔族程の回復は見せないものの、それでも何とか止血には成功し、傷口にもやっと薄い膜が出来上がった。
「…有り難う、おかげで助かりました」
 口元を拭うルークに、ラファエルはそう微笑む。まだその顔色は冴えないものの、それでも先程よりはだいぶ落ち着いたようだった。
「御礼なんて…俺は、あんたを見捨てることが出来なかっただけだよ」
 あんたには、色々と迷惑かけたし。
 御礼などと言うモノに、ルークは照れたような表情を浮かべていた。
 その姿にくすくすと笑いを零し、ラファエルは、まだルークの頬に付いているその血を、腕を伸ばして指先で拭った。
「天界人の血は…貴方の身体には、どちらかと言えば害を及ぼします。もう、無理はしないで下さいね」
「…ラファエル…」
 ラファエルは笑いを止め、目を細めてルークを見つめた。
「ここに留まってはいけません。貴方の魔力が、完全に奪われないうちに、魔界へ帰りなさい。わたしのことは、心配無用です。ミカエルが、ここを離れているうちに」
 その眼差しは真剣で。
「…そんなこと、出来ないって言っただろ?俺は、あんたを置いては逃げられないよ」
 そう言い返したルークの眼差しもまた、真剣だった。
 決して逸らせることのない瞳は、とても澄んだ黒曜石。まるで吸い込まれそうなくらい、その色は深い。
「あんたに…聞かなきゃいけないことが、まだあるんだ。あの時…母様が殺されたあの時、あんたはその場にいなかった。それなのに…どうして、あんたが母様の魂を封じることが出来たのか」
「………」
 ルークの問いかけに、ラファエルは考えるかのように僅かに口を噤んだ。
 そして…ゆっくりと、その口を開く。
「…あの頃は…色々ありましてね。わたしが気付いた時には…もう、貴方はミカエルと一緒にいなくなっていた。そして、彼女の肉体と魂だけが、残されていました。だから、わたしは…ミカエルには弔うと言って、彼女の魂を保護したんです。ミカエルが関わらなかったのは、その所為ですよ。この件に関しては、わたしの独断です。ミカエルは…本当に、何も知らなかったはずです」
「…どうしてさ?あんたは、ミカエルの片腕でしょう?どうして、内緒にしてたのさ…」
 昔から…どうも、ラファエルに関して、その思考と行動が読めずにいた。それは、今に至っても同じこと。
「誰にだって、一つや二つ…ヒトに言えないことぐらいあるでしょう?」
「…だからって…」
 小さな溜め息を吐き出したルーク。
 やっぱり…このヒトの思考は読めない。
 そんな表情のルークを見て、ラファエルは小さく笑いを零す。
「貴方が、魔界へ降りてから…もう一度ぐらい…彼女に会いたいと、思ったでしょう?」
「…そりゃ…そうでなかったら、俺は今ここにはいないし」
「貴方を沢山傷つけましたから…一度くらい…貴方に償いがしたかったんですよ。ミカエルにそんなことを言ったら、貴方を取り戻そうと必死になりそうでしたからね」
「………」
 それは…ラファエルの、本心だったのだろうか。細められたヴァイオレッドの眼差しは…とても、綺麗だった。
「もう一度…貴方と、一緒に過ごせたら良かったのですけれどね。貴方はもう、魔界のモノですから。貴方を失ったことは…天界にとっては…大きな損失だったのかも、知れませんね…」
----…魔界は、全く良い拾いものをした。
 ラファエルの小さな声。
「…俺は…」
 何と…答えたら良いだろう?
 返す答えを見つけられないまま、ルークが口篭っていると…突如として大きな気が二つと、小さな気が一つ、現れた。
 その刹那。薄闇の中に現れた姿。
「面会魔だ、ルーク」
「……」
 それは、ミカエルの声。
 ガチャリと言う低い音が響き、彼等を捕らえていた鉄格子は、ミカエルの声に従ったかのように開いた。
「ラファエルも来るんだ」
 低い声に追いかけられ、ルークと共にラファエルも岩牢から外へと出た。
 そこに待っていたのは、赤き紋様をその顔に戴いた、黒い軍服の悪魔。
 そして、金髪の総帥と…消え入りそうなほど小さな気を纏った、ぐったりとした側近。
「…レイ…」
「…申し訳ありません…ラファエル様…」
 小さな声。けれど、そこにしっかり生命はある。
 生きている。その姿に、ラファエルは小さく頷くと、安堵の吐息を吐き出す。
 そして、ルークを見つめる琥珀の眼差しも、その無事を確認し、小さな溜め息を吐き出した。
「ルーク、迎えに来たぞ。随分、やつれたじゃないか」
「…エース…」
 明らかにルークを心配しているエースのその一言が、ルークの胸の中に染み込んで来る。
「遅かったじゃない?待ち草臥れたっ」
「そこまで言えるのなら、大丈夫だな」
 小さく笑みを零したエースはルークから視線を外すと、冷たい眼差しで自分を見据える相手に向き直った。
 それは、とても険しい眼差しで。
「こんなやり方でルークを捕らえようとするなど、貴殿らしくない。どう言う風の吹き回しです?」
「…どう言う意味だ」
「貴殿がルークを捕らえたところで、彼奴には帰る意思はないと言ってるんです」
 エースの声に、ミカエルはその口元に、小さな笑みを称えた。
「それは、貴殿の思い違いだ。ルークは己の意思でやって来たのでは?わたしが無理矢理に魔界から連れて来た訳ではない」
 その声に反応したのは、ルークが最初だった。
「あんたはっ…母様を利用したじゃないか!!俺に母様の夢を送り込んで、俺を天界に呼び出したんじゃないかっ!いつだって、そうやって責任逃れをするんじゃないかっ」
「ルーク…」
 一瞬見せたミカエルの眼差しに、ルークはドキッとして口を噤んだ。
 先程までの笑いは、もう何処にもない。あるのは…深い、哀しみ。
「何で…?どうして、そんな顔、すんのさ…」
 当然の、反発であるはずなのに。ミカエルも、それをわかっているはずなのに。
「…何で…?どうして…そんなに、俺を天界に呼ぼうとするの?あんたはあの時…母様が殺されたあの時、俺を見捨てたんだよ?!俺の気持ちを、裏切ったんだよ?!あんたは、すっと…俺を見てもくれなかったじゃないか!!それなのに、どうして今更…」
 言葉にする度に…胸の奥が痛い。
 あの時の、あの想いは…決して、癒されることがないのだと…。
 ミカエルは小さな吐息を吐き出すと、ルークへと言葉を放つ。
「…わたしは…御前を、見捨てたつもりはない。あの時…御前の声を聞かず、魔界へと追放したのは…そうしなければ、御前は生き延びられなかったからだ。しかし…御前は、それを裏切りだと言う。彼女を助けなかった事が、彼女の望みであり、御前の為であったとしても…それが裏切りだと言うのなら…それを否定は出来ない…」
「…今更、狡いよ…そんなこと言って…後から何とでも言い訳出来るじゃないのさ…っ!」
 吐き捨てるように言ったルークの言葉。
 ミカエルの言葉が…わからない訳ではない。むしろ…その言葉の方が、辻褄は合っているのだろう。けれど…それを簡単に納得出来る程、ルークの気持ちの整理はついていない。
 視線を伏せたルーク。
「……天界に…戻っては来ないか…?」
 ふと、ミカエルが問いかけた。
 その言葉に、ルークは大きな溜め息を一つ。そして、今まで伏せていた眼差しをあげ、真っ直ぐにミカエルを見つめた。
「…冗談。俺は、天界には戻らない。それだけは、はっきりしてるから」
「…ルーク…」
「俺は、もう天使じゃない。翼は白くても…俺は、"ルーク"だから。俺は、あんたの望みを叶える為の傀儡じゃないし、天界の戦力にもならない。あんたが捨てた"ルカ"は、もういない。俺は、母様を殺した奴を許せなかったから…っ!俺は…母様を見捨てた、あんたも…憎んでる…」
 震える声で、ルークはそう答える。
 けれど、その黒曜石の眼差しは…真っ直ぐに、ミカエルを見つめていた。
 そんなルークの姿に、ラファエルは小さく溜め息を吐き出す。
「…ミカエル…貴方に、勝ち目はありませんよ。ルークは…我々の手を離れたんです。わたしたちが、その手を離したんです。だから…もう、無理ですよ…」
「……」
 きつく、唇を噛み締めたミカエル。
 ラファエルはそんなミカエルの背中にそっと手を触れると、複雑な表情を浮かべたままのエースへと、その眼差しを向けた。
「申し訳、ありませんでした。ルークに、こんなに苦しい思いをさせてしまったのはわたしです。折角、貴殿がルークの為を思って下さったのに…」
「…いや…」
 戸惑い気味に答えたエース。
「さ、行きなさい。ルーク」
 ラファエルは茫然としているルークの背を押し、エースの方へと方向を定めさせた。
 そのまま歩み始めたルークは、幾度も背を振り返る。
 心残りをそのままにしておいた方が、良いのだろうか。
 エースの前で立ち止まったルークに、エースは小さくつぶやいた。
「…良いのか?言いたいことがあるなら、全部吐き出した方が、すっきりするぞ?」
 ルークはエースを見つめた。
 その琥珀色の瞳は、真っ直ぐにルークを見つめている。それだけで…どれだけ、心強いと思えたか。
「…ミカエル…」
 つぶやきかけて、ルークは背後を振り返った。
「…もしも…あんたを嫌いになれるなら…どれだけ良かったかって思うよ…」
「…ルーク…」
 ルークはその黒曜石で、じっとミカエルを見つめていた。
 ミカエルもまた、ルークをじっと見つめ返す。
「あんたを嫌いになっていたら、きっと俺は、迷わずに剣を向けることも出来たし、殺すことだって躊躇わなかった。でも…俺にはやっぱり、そんなことは出来ない。でも、時々考える。もしも、ホントにあんたを嫌いになれたなら…こんなにも、あんたを憎むこともなかっただろうって。あんたを嫌いになれなかったからこそ…憎しみだけが、倍増するんだ。これ以上、俺にあんたを憎ませないでよ。俺を…そっとしておいて。御願いだから…」
 それが、正直な気持ちだった。そして彼の黒曜石もまた、それを反映しているかのように僅かに潤んでいて。
 ミカエルはルークを真っ直に見つめていたが、やがて小さな溜め息と共に、その眼差しは伏せられた。
「…憎まれているとわかっていても尚、その黒曜石に魅入られていた。御前は…誰の代わりでもない。ただ純粋に…御前を、取り戻したかった。だが…もう良い。エース殿と一緒に、魔界へ…御前の帰るべき場所へ、帰るが良い」
「ミカエル…」
 小さく呼びかけたルークの声に答えず、ミカエルは踵を返す。
 そして…僅かに振り返ると、ルークに向け、言葉を放つ。
「御前は、わたしが彼女を利用して御前を呼び出したと思っているが…それは見当違いだ。わたしはただ、御前の気を捕らえて、ここへ来ただけのこと。御前が見たと言う夢は…純粋に、彼女が残した御前への想いが、流れて行っただけだろう。誰も、御前を惑わそうとは思っていない。それだけは、わかってくれ」
 ミカエルはそれだけ言い残すと、そのまま姿を消した。
 その言葉に…ルークは、その唇を噛み締めた。
 ラファエルに言われた通り、何の確証もなかったはずなのに…どうして、それを咎めてしまったのだろう?
 それは、後悔の念。謝るべき相手がいない以上…今更、どうにも出来ない。
 少しだけ気力を取り戻し、自力で身体を起こせるようになったレイの傍に寄り添い、そんな表情を見つめていたラファエルは、ルークに向け、小さく微笑んだ。
「ミカエルのことは…気にする必要はありません。その為に、わたしがいるのですから」
「…だって、あんたは…ミカエルに、そんな傷を負わされたのに…レイだって…そんな状態にされたのに…それでも、ミカエルを…?」
 問い変えたルークの言葉に、ラファエルは僅かにレイと視線を合わせる。だが直ぐに、にっこりと微笑んだ。
「ミカエルは、天界の総帥です。守らなければならない所には容赦はありませんから、こうなりましたが…元々、わたしたちが彼に内緒にしていたのがいけないんです。ミカエルの本心は、ちゃんとわかっています。だから…わたしが不安に思っていると感じて、レイを連れて来てくれたでしょう?これでも…貴方たちが生まれるよりもずっと前からの付き合いですから」
 その絆の強さは…彼らにも及ばない。信じているから…受け入れられる。
 そんな姿には、脱帽するしかなかった。
「さぁ、もう行きなさい。貴方は魔界へ帰るべきです。魔界には貴方を心から待っている方たちが大勢いるのですから」
 ラファエルはにっこりと微笑む。
 僅かに顔を赤らめたルークは、それでも小さく微笑んだ。
「ラファエル…俺は、憎むことしか出来ないけど、忘れないからって…ミカエルに……」
 小さくつぶやいた声に、ラファエルは手を伸ばしてルークの頭をそっと撫でた。
 彼は、悪魔でいるには、優し過ぎたのかも知れない。
 けれど…それを補える仲魔が、彼にはついているのだから。
「ルーク」
 エースの声に促され、ルークはラファエルに軽く頭を下げ、空へと飛び立った。

「…良く、我慢したな」
 ルークと共に翼を動かしながら、エースは小さくつぶやいた。
「そりゃ…俺だって、そんなに弱かないよ。少しはミカエルにも強気で出ないとね」
「いや…それだけじゃなくて…」
「ん?…」
 エースは不意に、ルークの腕を取った。
「無理、するな。もう魔力も限界のはずだろうが」
「…知ってた?」
「知らない訳、ないだろ?」
 真っ直に見つめられ、ルークは口答えをする気力さえも失せていることを、改めて思い知らされた。
エースは、ルークを両の腕で抱くように、その背中に腕を回した。
「…ごめ…ん…」
 小さく笑い、ルークはゆっくりと目を閉じた。
 刹那、その背中に構えた翼は姿を消し、エースの腕によって、ルークの重みは全て、受け止められていた。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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