聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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嫉妬 6
もう一眠りするとデーモンが寝室に戻って暫しの後、その部屋にエースが戻って来た。
「御帰り。早かったじゃない」
「…デーモンは?」
徐にそう口を開いたエース。
「一度起きて、今また寝たところ。もう少し寝かせてあげなよ。まだ声も嗄れてるし、完全じゃないから」
「…あぁ」
エースのその表情はすっきりしていない。しかしルークは、そのエースの表情にも明らかな感情を見ていた。
「仲直り、しなよ」
「…わかってる」
「じゃ、俺は帰るから。後宜しく」
「あぁ。悪かったな」
「どう致しまして。この貸しは大きいからね」
そう笑いを残し、ルークはその部屋を後にする。
残されたエースは…大きな溜め息を吐き出していた。
デーモンが起きるまでに、少し心を宥めなければ…そう思いつつ、ソファーに身を預ける。
思いを巡らせているはずだったのに…その意識は、いつの間にか闇にと落ちていた。
いつの間にか寝入ってしまっていた俺は、感じ慣れた気配に目を開けた。その目の前にあったのは、じっとこちらを見ているデーモンの眼差し。
「な…」
ドキッとして口から漏れた声に、デーモンはくすっと笑いを零した。
「御早う」
「あ…ぁ、御早う…」
面喰らっちまったじゃないか……不覚。だが、デーモンはそんな俺の表情を、くすくすと笑いながら見ていた。
ソファーから身体を起こした俺は、髪を手櫛で整える。
「…元気そうじゃないか」
ルークが言っていたより、ずっと元気そうだ。まぁ、相変わらず声は戻っていないが。
思わず口にした言葉に、再び笑いが零れた。
「御陰様で」
「機嫌も良くなりやがって…」
「…まぁ、な。一晩寝たら、すっきりした」
…単純な奴。
「ガイアも、機嫌が良いだろう?」
そう続けられ、言葉に詰まった。
先程までとは打って変わり、確かに、天気は良い。とても。それが、ガイアの機嫌の良い所為なのだとしたら…どうしてなんだろう。
「…何で、だ?」
思わず、問いかけた声。
「どうして、ガイアの機嫌が良くなるんだ?」
嫉妬されて、当然の行為をしたはずなのに。それとは裏腹に、どうしてこうも機嫌が良いのだろう。
するとデーモンも身体を起こし、俺と視線を合わせた。
「ガイアは、吾輩の気持ちを心得てるからだろうな。吾輩がこんなに良い気分だからだろう」
「…まさか」
「そのまさかも、有り得るんだ。御前も…ガイアに、愛されてるんだから」
「……」
ガイアに愛されているだなんて…考えたこともなかったな。今まで対デーモンの恋敵としか、思ったことがなかったから。
茫然自失の俺を笑いながら、デーモンはそっと顔を寄せる。
「…来てくれて…有り難う」
ホントは、嬉しかったんだ。
そうつぶやきながら、唇を重ねる。
「…風邪、うつすなよ」
思わず零した俺の声に、一瞬デーモンが目を丸くする。そして、くすくすと笑い出した。
「相変わらず、だな。御前は」
それが、照れから出ている言葉だと言うことが、デーモンにはわかったのだろう…不覚だが。
デーモンは、その澄んだ眼差しで真っ直に俺を見つめていた。俺が逃れられないと感じる、その眼差しで。
「エース」
そう呼ばれ、ドキッとする。
傾けられた頬が、軽く重なる。
「…もう少し…」
重ねた唇の隙間から零れた、デーモンの声。
「……御前の傍に、いたいんだ…」
離された唇は、俺の首筋へと落ちる。そして、そこに軽く口付けると、やっと視線を合わせることが出来た。
「吾輩を…覚えておいてくれ…」
「…デーモン…?」
その言葉の示す意味が、良くわからない。
「一体、何を…」
問いかけようとした俺の言葉を遮り、デーモンはその眼差しを真っ直に俺に向けた。
「吾輩を、抱いてくれ」
「……」
「吾輩が…御前を、忘れないように」
その言葉に、ドキッとする。
デーモンは何を考えているのだろう。ただ、その言葉が俺を酷く不安にさせたのは言うまでもない。
「…俺が御前を抱いたら…御前は、俺の前からいなくなるのか…?」
思わずそう問いかけた声に、デーモンはすっとその眼差しを落とした。
「おい、デーモン」
そんなこと、許さない。俺の前からいなくなるなんてこと……
「…許さない」
ぽつりと零れた俺の声に、デーモンは小さな溜め息を一つ吐き出した。
「…そう言うつもりじゃ…」
「じゃあ、どう言うつもりで言ったんだ?御前がガイアに付き添っていたい気持ちはわかる。だが、それが俺を忘れることになりそうだと思う、御前の思考がわからない。傍からいなくならなければ、完全に忘れ去ることはないだろう…?それとも御前は…」
俺を忘れてしまうと思うくらい、ガイアと共にいるつもりなのか…?
そう思っても、口にすることが出来ない。
確かに、今はガイアのことを一番に考えてやれと、俺はデーモンにそう言ったはず。だから、そう思われても仕方のないことかも知れない。
だが…デーモンの記憶から自分が消えてしまうと言うことは、考えもしなかった。
俺は、デーモンの記憶の中に留まっていたい。
しかしそれは…俺の、ただの我儘か…?
口を噤んだ俺の表情で、少しは俺の胸のうちを察したのかも知れない。デーモンは、酷く哀しそうな表情を浮かべていた。
「…残された時間は、もう僅かしかない。その全てを、ガイアと共に過ごしたいと思った訳じゃない。ただ…もしかしたら、御前たちと一緒には帰れないかも知れない。御前たちが任務を終え、魔界に帰る時が来ても…まだガイアが生きているのなら…吾輩に、その少しの時間を許して欲しい。吾輩の我儘だと言うことはわかっている。だが……」
「もう良い」
「エース…」
「…悪かった…」
大きく、息を吐き出す。
デーモンの想いは、誰よりもわかっていたはずだったのに。
誰よりも愛され、愛していたのだから、この惑星の最期に付き合うつもりでいたことも、当然だったはずなのに。
それを蔑ろにしようとしたのは…この俺じゃないか。
「…必ず…帰って来いよ。そう約束出来るのなら…俺は、これ以上言わないから」
本当は言わないんじゃない。言えないんだ。
誰よりも愛している…デーモンの為に。
「約束…してくれ。必ず帰って来ると。魔界へ…俺の元へ帰って来ると……御前を抱くのは、それからだ」
そうつぶやいて、デーモンの身体へと腕を伸ばす。
その身体を強く抱き締め、深く唇を合わせる。
ただそれだけで、全てが満たされるようで。
デーモンは、ここにいる。俺の傍に…俺の元に。だから必ず、帰って来ると。
「…約束、する。必ず…御前の所に帰るから…」
有り難う。
そう聞こえたのは、幻聴だろうか…?
それ以上、言葉はなかった。
どうしても捨て切れなかった想いが、そこにある。
俺もまた、同じ想いに捕われた時…そこにいた仲魔に、救われた。
だから俺もまた…同じことをするのだろう。
愛しく思う気持ちを、知っているから。
1999年。俺たちの任務は、予定通り終了する。
それからの残された僅かな時間、俺の傍にデーモンがいるかどうかは…俺にはわからなかった。
ただ。必ず、帰って来ると信じているから。
だから今は……僅かな夢を、見させてやろう。
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HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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