聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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嫉妬 5
明け方に目を覚ますと、隣にいるデーモンは良く眠っているようだった。額に触ってみると、まだ多少熱はあるようだが、粗方は引いたようだ。
酷くならずに済んだかと溜め息を一つ吐き出す。
途端、どう言う訳か居たたまれない気持ちになる。
俺は、この状況を利用して、デーモンの傍に居座った。それを、ガイアはどう思うだろう。
再び吐き出した溜め息が酷く重く感じられ、俺は、ベッドを抜け出していた。そして、リビングの電話を手に取ると、屋敷の番号を押していた。
時同じくして、明け方に突然かかって来た電話に、当然不機嫌な声で出たのはルーク。
「もしもしぃっ!?」
貴重な睡眠時間を妨げられたのだから、その怒りは只事ではないのだが…
『…俺だ、エース』
「…何、どうしたの、こんな時間に」
声の主を確認すると、多少はその怒りも納まったようだが、こんな時間に何事だと言う思いは納まった訳ではないようだ。
『悪いんだけど…今から、こっちに来てくれないか?』
「…は?」
『昨日からデーモンが、熱出してるんだ』
「…ちょっと待って?デーさんが熱出したのと、俺がそっちに行くのと、どう関係があるのさ。あんたが看病すりゃ済む話じゃんよぉ」
確かに、理屈はそうなのだ。エースがデーモンの所にいるのだから、デーモンが熱を出したと言えども、エースが看病すれば済む話なのだ。
だがそれは、あくまでも理屈上でしかなかった。
『ちょっと……厳しいな』
「…エース?」
『情緒不安定』
「…誰が?」
『…俺がっ』
「あんたが?」
奇妙な言葉に、当然ルークは眉を寄せる。
その時、廊下の騒々しさが気になったのか、ゼノンが自室のドアから顔を覗かせる。
「…どうしたの?」
「あ、ちょっと待って」
エースにそう言い、ルークは顔を覗かせたゼノンを振り返った。
「デーさんが、昨日から熱出してるんだって」
「あぁ…やっぱりね。あんまり、体調も良くなさそうだったから…で?まさか、それだけで電話して来た訳じゃないでしょ?こんな時間だし…」
「エースがさ、来てくれって。自分には厳しいからって」
「…何で?」
「情緒不安定、だってさ。あのエースが」
「へぇ…」
怪訝そうな表情を見せたゼノンが、ルークの代わりに受話器を持つ。
「もしもし、電話代わったよ。看病、出来ないって?」
『…ったく…今度は御前かよ…』
溜め息を吐き出しているエースの声に、ゼノンは小さく笑いを零した。
「何度も説明しなくてもいいよ。取り敢えず、誰か代わりが行くから。その代わり…ちょっと、時間取れる?話がしたいんだけど」
『時間?』
怪訝そうな声に、ゼノンは一つ呼吸を置く。
「そう。それとも、そのまんま、情緒不安定で煮え切らないで苦しんでる方が良い?」
『…わかったよ』
溜め息と共に吐き出されたエースの声。それに、ゼノンは再び小さな笑いを零し、ルークを振り返った。
「支度、した方が良いんじゃない?」
「…んだよ。結局、俺かいっ」
「当たり前じゃない。今からライデン起こしても、いつ行けるかわかったモンじゃないんだから」
「わかったよぉ」
溜め息を吐き出しつつ、ルークは部屋へと戻る。
「じゃあ、いつもの公園で。雨も止んでるしね。まだ朝早いから、魔力使って来ても大丈夫だよ」
『…わかった。じゃあ、これから行く』
「ん。俺は着替えてから行くから、ちょっと遅くなるかも知れないけど、待っててね」
『了解』
電話を切ると、ゼノンは早速部屋に戻って服を着替え始めた。
雨上がりの空は、とても気持ちが良かった。
空の色が闇から明け方の色へと変わり始め、そこに朝が来ていることを感じさせた。
公園のベンチに座り、大きく息を吐き出す。
ここ何日か、自分でも可笑しいと言うことはわかっていたんだ。それが、ガイアを意識してのことであると言うことも。
小さな溜め息を吐き出した時、感じ慣れた気が現れた。
「御待たせ」
「早かったじゃないか」
「頑張ったもん」
小さな笑いを零し、ゼノンは俺の隣へと腰を降ろす。そして、徐に開いた口。
「気が、相当乱れてるね」
鋭い…
「デーモン、どう?」
不意にそう尋ねられ、どう答えを返そうかと、頭の中で言葉を用意する。
「…熱もだいぶ下がったし、もう心配ないだろうな」
「そう。良かった」
必要以上に、問いかけないのがゼノンだ。そうしながらも、深層心理を探ってるんだから、とてもじゃないけど真似出来ない。
溜め息を一つ、吐き出そうとした時、小さな笑いが零れる。それは、ゼノンの口から。
「そんなに、不機嫌にならなくったって良いじゃない」
「別に、不機嫌になってる訳じゃない」
「じゃあ、その眉間の皺、なんとかしたら?」
「……」
好きで作った皺じゃないぞ、言って置くけど。
そんな俺を放って置いて、ゼノンは言葉を続けた。
「ガイア…御前のこと、嫌いって訳じゃないんだよ」
そう言われ、ドキッとする。
不意に過ったのは、一昨日の晩、デーモンにも言われた言葉。
『…ガイアにとって、御前は敵、だったのかも知れない。だが、憎み切れないところもあったはずだ。御前だって、大切に思ってくれていただろう?この、惑星のことを』
わかっては、いたはずなのに…いざそれが目の前に来ると、どうしても意地を張ってしまう。そして、また墓穴を掘るんだ。
必要もない程の、嫉妬と共に。
そしてまた、デーモンをも傷つける。
俺はどうしてこう、進歩がないんだろうか…
溜め息を吐き出すと、ゼノンはそれを小さく笑った。
「わかって…いるんでしょ?御前だって」
「…ったり前だろ…」
「じゃ、問題ないじゃない。御前がちょっと、素直になれば良いだけだもの」
簡単に言いやがって…それが出来ればこんなに悩むかってんだっ!
「御前は…嫉妬なんて、低レベルなことだと思ってるんだろ…」
思わず口を突いて出た言葉に、暫しの沈黙。
「別に…嫉妬が低レベルだなんて、思ったことはないよ。誰だって、嫉妬ぐらいするし…」
「…御前も?」
「…するでしょ?普通」
くすっと、小さな笑いが零れる。
「嫉妬の一つもなく、平々凡々と過ごして来た訳じゃないよ。そりゃ、喧嘩だってするしね。ただ、喧嘩したって、誰かに嫉妬したって、最後は俺たち二悪魔の問題だと思ったから。だったら、素直にならなくちゃ。失いたくないものなら、尚更ね」
「素直…ねぇ」
それが出来れば、苦労しない。
溜め息を一つ吐き出すと、空からぽつりと、一雫の雨が落ちて来た。
「…ほら、ガイアも心配してるよ」
雨粒は幾つも幾つも落ちて来て、再び空が暗くなった。
「さ、俺はずぶ濡れになる前に帰ろうっと。御前はどうする?」
そう問いかけられ、暫しの沈黙。
「…もう一回、行って来るか」
仕方がない。いつまでもうだうだしてたって、どう仕様もないんだからな。
「じゃあ、ね。朗報を待ってるよ」
くすくすと笑いを零しながら、ゼノンは屋敷へと帰って行く。俺は……溜め息を一つ吐き出し、再びデーモンのマンションへとテレポートした。
その少し前、エースの代わりにデーモンのマンションにやって来たのはルーク。
ベッドの中で眠っているデーモンを確認し、小さく吐息を吐き出す。
「…ま、大丈夫でしょ」
熱もたいしたことない。良く眠っているし、心配はないと判断したルークは、キッチンへ行き、コーヒーを淹れ始めた。
コーヒーが淹れ終わる頃、香りを嗅ぎつけたのか、寝室からデーモンが顔を覗かせた。
「…ルークか…?」
「あぁ、デーさん。御早う。起こしちゃった?」
その声に振り返ったルークは、にっこりと言葉を返す。当然、デーモンは茫然としている。
「…エースは?」
「ん…ちょっとね。直ぐ帰って来るよ」
言葉を選びながら、ルークはそう答える。そして、デーモンの為にホットミルクを作り始めた。
「飲むでしょ?今、温かいの淹れてあげるからね」
「…あぁ…」
軽く咳き込みながら、ダイニングの椅子に腰を降ろす。
「調子、どう?」
ルークに尋ねられ、その後ろ姿に声を返す。
「だいぶ楽になった。熱も殆ど下がったしな」
「でも、まだ安心出来ないよ。しっかり直るまで、エースに看病して貰いな」
くすくすと笑いながら、ルークはそう答える。
その声に、デーモンは溜め息を一つ。
「…どうしたの?」
ホットミルクを淹れ終え、カップをデーモンの前に置きながら、尋ねたルーク。
「…エースの想いが、わからないんだ」
溜め息と共に吐き出された言葉に、ルークはデーモンの前に座りながら言葉を返す。
「想いって…デーさんのこと、大切に思ってるってことは確かじゃない」
「…それはわかってるんだが…」
イマイチ、はっきり言い切れない何かが、そこにある。
エースに愛されていることは、とても良くわかっているのだが…問題は自分に対してではなく、ガイアに対して。
「やっぱり…憎んでるんだろうか…」
思わず零した声に、ルークがくすっと小さな笑いを返した。
「ガイアに対して、ってこと?」
「まぁ…な」
「じゃ、簡単じゃない。嫉妬するってことは、ある種、愛情の裏返しだもん。嫌いじゃないはずだよ。もし、エースが本気でガイアを嫌っているんだとしたら、今頃、こんなにのんびりとしてられないと思うけどな」
自分の敵は、消し去るのがルール。エースは、確かにそう言うヤツだ。
もし、エースが本気でガイアを敵として見ているのならば、確かにこんなにもたもたしていないだろう。
そう考えたデーモンは、小さな笑いを零した。
「成程な」
「ま、そう言うこと。ちっちゃな嫉妬ぐらい、どうだって良いじゃない。嫉妬してるってことは、それだけデーさんが愛されてるってことなんだから」
愛してる。愛されている。その言葉が、こんなにも心許ない言葉に聞こえたことなどなかったはずなのに。この時ばかりは、それが酷く脆い言葉に聞こえていた。
「デーさんの気持ちも良くわかるけど、エースの気持ちもわかってやってね。彼奴、プライド高くて、頑固で、融通利かないけどさ、ホントは凄く繊細で、脆いんだから」
くすくすと笑う、ルークの声。
「実際、エースはあんたが心配で、仕方がないんだよ。だから、嫉妬するんじゃない。いつもあんたを見てるから。そうでしょ?」
にっこりと微笑むルークに、デーモンは小さな笑いを零していた。
「大袈裟な」
「大袈裟なくらいで丁度良いの」
ルークの微笑みの前、デーモンはやっとその心が癒されていく感覚に浸っていた。
御互いに意地を張り続けていても仕様がないのだ。
「…有り難う」
小さく零した声に、ルークは笑っていた。
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HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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