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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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嫉妬 4
こちらは、以前のHPで2001年2月04日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。(基本DxAです…/笑)
6話完結 act.4

拍手[1回]


◇◆◇

「…只今」
 まだ完全に気晴らしが出来た訳じゃないが、そろそろ晩飯の時間だし、手持ちの金が小銭程度だったものだから、仕方なく屋敷へと戻って来た。
「御帰り。早かったじゃない」
 出迎えたゼノンに、俺は溜め息を一つ。
「…デーモンは?」
「あれからずっと、部屋に閉じ込もってるよ。今、ライデンが特製ジュース、持って様子を見に行ってるけど……」
 俺の問いかけに答えている間に、階段を降りて来る足音が聞こえた。
「ライデンかな?」
 俺も何気なく階段を見上げてみれば、そこには俺の姿を見つけ、階段の途中で足を止めたデーモンがいた。
「…只今…」
 気まずい。そう思いながらも発した声に、デーモンは固い表情のまま、何も答えない。それどころか、玄関にあった上着を手に取ると、黙って玄関へのドアを開ける。
「ちょっ…デーモン、もう夕飯だけど…」
「いらない。今日は、マンションに行くから、待たなくて良い」
 相変わらず掠れた声でそう言い残し、ドアは閉まった。
「…相当、怒ってるみたいだよ?どうする?」
「…どうする?って言われてもな…」
 どうしようもないじゃないか。俺の方を見向きもしないんじゃ…
 溜め息を吐き出した時、マグカップを持ったライデンが二階から降りて来た。
「あぁ。エース御帰り」
「只今。迷惑、かけたみたいだな」
「ん…俺は良いんだけどさぁ……あぁ、ゼノン。これデーさん飲まなかったから、俺が飲んじゃった」
 そう言いつつ、手の中のマグカップをゼノンに渡す。
「それは構わないけど…」
----デーモンのこと、どうするの?
 真顔でそう尋ねられ、再び溜め息を吐き出す。
「だから、どうしようもないじゃないか。デーモンがあの調子じゃ…」
「それは、あんたの責任」
 俺の言葉を遮ったのは、リビングにいたルーク。
 俺たちが屯ってる廊下へとやって来て、眉を寄せた俺の眉間に人差指を当てる。
「…何だよ…」
「…わかってるでしょ?責任、取ってきな」
「……」
「デーさんがあそこまで機嫌悪くなったの、あんたの責任でしょ?あんたの不用意な言葉が、デーさん傷付けたの。あんたが行かないで、誰が行くのさっ」
 何だよ。黙って聞いてりゃ、全部俺の責任にしやがって…俺だって被害者だっ。
「発端は、俺の責任じゃない」
「でも、結果はあんたの責任」
「あのなぁっ」
 何でもかんでも、俺の責任にするなっ。
 そう言い返そうと思ったが、それを遮ったのはライデンだった。
「あのさぁ…俺が口出しするのも何だけど…誰の責任とか、そう言うことじゃなくてさ…もっとこう…なんて言ったら良いかな……とにかく、御互い、歩み寄らなきゃいけないんじゃない?」
「俺もそう思うよ」
 同意を示すのはゼノン。
「発端は、ガイアのことだったんでしょ?だったら、答えはとっくに見えてるじゃない。今、何をするべきかって言うのは、わかりきってることだもの」
「…まぁ…な」
 確かに、そうだ。発端がガイアの存在だ、って言うことは俺にだってわかってるんだ。元々、そこから始まったんだから。
「だから、あんたに行って来いって言ってるんじゃない」
 ほら、ぐずぐずしない!
 くるっと後ろを向かされ、ルークに背中を押される。
「今夜は鍵、閉めちゃうからね。ゆっくりしておいで」
 追い討ちをかけるようなゼノンの声…ったく。ここまでされたら仕方ない。
 御見送り連中を睨み付けたが、その甲斐も空しく、俺は玄関から追い出されていた。
「…ったく…」
 溜め息を吐き出しつつ、デーモンのマンションへ向かう羽目になった…

 デーモンのマンションへ着いた頃には、辺りはもうすっかり暗くなっていた。
 そのドアの前に立ち、チャイムを二度、鳴らす。
『…はい』
 暫しの間。やがて開かれたドアの隙間から覗いた眼差しは、俺を見付けて、一瞬見開かれる。
「…エース…」
「…邪魔、するぞ」
 返事をする前に、ドアの隙間を広げて滑り込む。
「チェーンロックもしておけよな。物騒だってのに…」
 いつもキーロックしかしてないのは知ってたんだ。だから入ることが出来たって言うのに、つい口を出た言葉。それに、当然デーモンは、反応するよな。
「…余計な御世話だ」
 あぁ、また怒らせたか…
「何の用だ?」
 相当、機嫌は悪いらしい。でも、俺だって屋敷に帰る訳にいかないんだから、仕方ないじゃないか。
「…彼奴等に追い出されたからな、泊まるところがない」
 そう答えると、表情を見せない顔は、あからさまにムッとした表情に変わる。
「…別に、ここに来る必要はないだろう?御前のマンションに行けばいいじゃないか」
「…鍵は屋敷だ。それに、金が、足りなかったから屋敷に戻ったのに、そのまま追い出されて…持ち金全部叩いても、ここまでの電車代にもならなかったんだぞ。一駅分、歩いて来たんだからな」
 …そうなんだ。俺が屋敷に帰った理由は、手持ちの金がなかったからじゃないか。なのに、また追い出されて…しかも、補充してないもんだから、結局ここまで来るもの足りなかったんだ。情けないと言えば、それまでなんだが。
「とにかく、泊めて貰うからな」
 変に媚びてる場合じゃない。尤も、今日はその媚びも通じるはずもない。ここは、押し通すしかない訳だ。
 だが。
「…勝手にしろ」
 思いの外、デーモンはあっさりとそれを許した。俺からぷいっと視線を逸らせると、書斎の方へと足を向ける。
 そのドアの隙間から零れているのは、デスクヘッドの明かり、だろう。
「…無茶、するなよ。まだ、声だって嗄れてるクセに…」
 多分、溜まった仕事を片付けているんだろう。自分の体調が思わしくないって、わかってるクセに。
「余計な御世話だと言ってるだろう?泊まるなら勝手に泊まればいい。吾輩の職務の邪魔、するな」
 とことん機嫌が悪いようだ…思わず吐き出した溜め息。
 変なところで強情を張るのは、俺も同じなんだけどな。でも、それを押し通されると、何だか虚しくなる。
 俺の大きな溜め息を背中に、デーモンは書斎へのドアを閉ざした。

◇◆◇

 その夜…ソファーに寝ていた俺は、夢を見ていた。

 ぼんやりとした空間に、俺は呼び出されていた。
 目の前にいるのは、微かな光を纏う彼女。
「…御前……」
 つぶやいた俺の声に、彼女は小さく微笑んだ。
 呼びかけなくても、誰かなんてことはわかっていたはずだったのに…俺は、彼女の名前を口にしていた。
「…ガイア…か?」
 彼女の声は、聞こえない。ただ、その言葉の代わりに、小さな微笑みを零す。
 間違いない。彼女は、ガイアだ。御互いに、ずっと敵だとばかり思っていた相手。俺が初めて目にしたその姿は、多分、デーモンの好みであろうことに間違いはない。
「俺の前に出て来て、どうするつもりだ?俺を諭すつもりなら、大きな御世話だぞ」
 つい、口を突いて出た刺のある言葉に、ふとその微笑みが途切れる。すっと変わった表情は、酷く強張っているように思えた。
 それが俺に対する警戒であることは、言うまでもない。
「…御前が何を言おうと、俺は、御前には従わない。デーモンを手放すつもりもない。わかってるだろう?」
 その顔が、哀しく歪む。
 傷つけようと、思っていた訳じゃない。ただ……
 一つ、溜め息を吐き出す。
 ずっと、敵だと思っていられたら…そう、思い続けていたのなら、きっと俺だってこんなに苦しいとは思わなかっただろう。彼女を傷つけたことで、自分がこんなに追い詰められるだなんて。
 思う壷、だ。
 もう一つ、溜め息を吐き出す。そして、ついでに吐き出した言葉。
「……御免、言い過ぎた…」
 はぁ…。
 自己嫌悪に陥りながらも、その俺の思いだけは届いただろうか。
 暫しの沈黙。
 嫉妬していたのは確か。どんなに俺が愛しても、デーモンの心の中からガイアが消えることはない。それが、悔しくて……羨ましくて。妬ましくて。そして、口を吐いて出る言葉は、感情をひた隠しにする、無機質な言葉になってしまうんだ。
 言葉では、多分、俺は気持ちを告げることが出来ない。
 溜め息を吐き出そうとしたその時、ガイアの纏う気が、一瞬変わった。
 何かが、聞こえたような気がした。
----泣イテ、イル……
 それが、ガイアの声だったのかはわからない。ただ、その言葉が指し示すのが、デーモンであると言うことだけはわかった。
 瞬間、俺の意識は、現実に引き戻されていた。

◇◆◇

 いつの間に降り始めたのか、外はまた冷たい雨が細かく降り始めていた。
 ひんやりと冷たい空気の中、微かに聞こえたのは、呻き声。
----泣イテ、イル……
 あれは、俺への呼びかけだったのだろうか。
 そんなことを考えながら、俺はソファーを降り、デーモンの寝室へと向かった。
 そのドアをそっと開けると、ベッドの中には身体を丸くして眠っているデーモンの姿がある。わざわざ傍に近寄らなくても、魘されているのはわかった。
 歩み寄り、その額に手を当てる。
「…馬鹿だな…無茶、しやがって…」
 思っていた以上に、額が熱い。魘されているのは、熱の所為だろうか。
 何か冷やすものを…と思って冷凍庫を覗きに行くと、そこに暫く使われた形跡のないアイス枕が固まっていた。
 タオルと水差しも一緒にトレーに乗せ、寝室へと運ぶ。
 最近、こんなことばっかりだ。デーモンが熱でも出さなけりゃ、俺はこの部屋に立ち入ることはない。それが、俺の自制でもあったから。
 部屋へ戻ると、デーモンの様子は少し落ち着いているようだった。さっきまで眉間に寄せられていた皺もなく、良く眠っている。
 俺は、小さな溜め息を一つ吐き出した。
 幾度ここへ足を踏み込んでも、俺がこのベッドで、デーモンと肌を合わせることはないんだ。その事実が、この日に限っては酷く寂しく思えた。
 抱きたいと思ったのは、一度ではない。幾度もだ。だがそれは、真実には成り得ない。
 ガイアが、いる限り。
 低レベルな嫉妬だと言うことは、わかってるんだ。こうしている間にも、デーモンの意識にガイアが語りかけているんじゃないかと思ってしまう。
 俺だけ、置いていかれたようで。
 アイス枕の上に頭を乗せ、その寝顔を見つめた。その時ふと、その目蓋が開いた。
「あ…起こしちまったか?」
 俺の声に、デーモンはぼんやりと俺の顔を見つめていたが、やがてその両の目から、零れ落ちた涙。
「お…い……」
 何だよ、急に…
 問いかけようとした俺の声は、口を開いたデーモンの声に先を越された。
「そこに…いたのか?」
「…え?」
「何処かへ…行ってしまったかと思った…」
 泣きながら、俺の首へと腕を回す。まるで、母親に甘える子供のように。
「デーモン…」
 肩に押しつけられた額が、熱い。
 先程までの、つっけんどんの態度とはまるで違うことに戸惑いを覚えつつも、熱の所為で弱気になっているんだろうとも感じる。具合の悪い時は、誰だって情緒不安定になるものだしな。
 身を任されるままに抱き留めた身体が、酷く熱い。
「…大丈夫か?」
 問いかける声に、返って来た言葉は。
「……寒い」
「…そう言われてもな…」
 確かに、この季節にしては、部屋の空気もひんやりと冷たいんだが…この後の及んで寒いと言われると…
「傍に…いてくれ」
 ぽつりとそうつぶやかれて、一瞬、ドキッとする。先程の思考が戻って来るじゃないか…
 僅かに息を飲んだ俺を、デーモンは感じただろうか。
「…エース」
 何かを求めるかのように、顔を上げる。熱と涙の所為で潤んだ眼差しが俺を捕え、そして…離れることを許さないかのように、俺を引き留める。
 こう言う顔をされる度に思う。俺は、デーモンに試されているのではないかと。ガイアとデーモンに挟まれ、どうにかして逃れようとして足掻いている俺を、じっと観察されているかのような眼差し。
 デーモンは、俺の弱点を知っている。だからこそ、こうやって俺を引き留める。ガイアが見ていると、知っているクセに。
「…わかったから…そんな顔、するな」
 何度、その台詞を口にしただろう。そして、わかっているのに、またその言葉を口にしてしまう。
 デーモンの眼差しから、逃れる為に。
「傍に、いてやるから。心配するな」
 デーモンを抱き締め、その髪に口付ける。それだけの行為で、まるで全てを満たされたかのようなデーモンの表情に、俺は言葉を紡ぐことも忘れていた。
 ただ、愛しいと思うだけで。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
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