忍者ブログ

聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

嫉妬 3
こちらは、以前のHPで2001年1月28日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。(基本DxAです…/笑)
6話完結 act.3

拍手[1回]


◇◆◇

 どれくらいの間、唇を重ねていたのかはわからない。
 容赦なく降っていた雨は、細かな霧雨となっていた。
 首へと回していた腕を解き、すっかり濡れて落ちた前髪を掻き上げ、俺は大きく息を吐き出していた。
「…貪欲」
 ぽつりとつぶやいた声が、聞こえただろうか。
 俺と同じように前髪を掻き上げ、雫を落としていたデーモンからも、くすっと小さな笑いが零れる。
「貪欲なヤツに、貪欲と言われてたくないな」
「…何とでも」
 シャワーを浴びた後のように、すっかりずぶ濡れになってしまった身体を起こし、空を見上げる。
「ガイア、怒ってるぞ」
「たまには、怒らせて置こう」
 くすくすと笑いながら、デーモンも立ち上がる。二悪魔して、すっかり泥だらけだ。
「また、シャワー浴び直しだ」
「一緒に入ろうか?」
「馬鹿言うな。二名では入れる広さじゃないだろう?それに、御前の声を潰したら、俺が怒られるんだ。鉄則ががあるだろう?ヴォーカル一番、ギターは二番」
「三時のおやつは文明堂?」
「…黒糖カステラは好きだけどな…」
 さ、馬鹿もここまでだ。
「本気で風邪ひきそうだ。早く帰ろう」
 そう言って屋敷へと足を向けたが…デーモンは、その場から動く気配がない。
「…デーモン?」
 振り返ってみれば、デーモンは酷く真剣な顔で俺を見つめていた。
「…おい」
 もう一度声をかけると、その口元が小さく動いた。
「信じて…くれないか?」
「…デーモン…」
 再び、そう問いかけられた。
 大きく息を吐き出し、デーモンは言葉を続ける。
「…ガイアにとって、御前は敵、だったのかも知れない。だが、憎み切れないところもあったはずだ。御前だって、大切に思ってくれていただろう?この、惑星のことを」
「……」
「御前の本当の気持ちは…わかっているつもりだ」
 そう言われ、ドキッとする。
 雨の中、本当に泣いていたのは、誰だっただろう。
 何を…求めていたんだろう。
 渇いていたのは…飢えていたのは、何に対してか。
 細かに降り続く雨は、心の隅にまで、しっとりと染み込んでいくようで。それが酷く、奇妙な感覚だった。
「…御前の言う通り、吾輩はガイアを放って置くことが出来なかった。吾輩にとっての"今"、ガイアのことで頭が一杯なのは確かだ。だが…やっぱり、一番愛してるのは…エース、御前なんだ。ガイアはちゃんとわかってる。だから…」
「もう、良い」
 そこで言葉を遮らなければ、何処まで話が続くかわからない。
 小さな吐息を吐き出し、俺はデーモンから視線を外す。
「もう…良いから」
「エース…」
「わかってる、から。御前の想いも…ガイアの想いも」
----だから、そんな顔、するな。
 俺の想いは、いつだってそうだ。そうやってでしか、その眼差しから逃れることが出来ないんだ。
 全てを見透かすような、真っ直に俺を見る眼差しから。
「…行こう」
 すっと、デーモンに向け、手を伸ばす。するとデーモンもその表情を和らげ、微笑みを浮かべる。
 伸ばした手は、俺の手を堅く握り締めていた。

◇◆◇

 翌朝、昨日の雨が嘘のように、すっきりと晴れ上がった空は、とても眩しかった。
 どう言う訳か朝早くに目が覚めた俺は、大きな欠伸を吐き出しつつ、窓を開けた。
 雨上がりの空はうっすらと霞がかかっていて、空気もしんと冷たい。
 ふと、裏の木立ちへと視線を向ける。まだ朝も早いと言うのに、そこにはデーモンの姿があった。
 何かと話をしているかのように、目を閉じて空を降り仰いでいる。
 木立ちの間から零れる朝日が、デーモンを白い光で包み込む。
 その姿が、とても綺麗で…息を飲むくらい、美しくて。
 まるで、ガイアに抱かれているようだった。
 到底俺には、手に入れることが出来ない、幻のようなもの。その輝きで、デーモンを包み込むガイア。たった一つだけ許された、それはガイアの姿なんだろう。
 そんな姿を見せつけられたら…俺は、嫉妬するしかない。
 俺には…そんな目映さで、デーモンを包むことが出来ないのだから。

 服を着替え、小さな溜め息を吐き出しつつリビングに降りて来ると、キッチンにはルークの姿があった。
「どしたの?そんな顔して」
 俺の顔を見るなり、笑いを零すルーク。
「…別に」
 コップに水を注ぎ、一気に煽る。その始終を見ていたのか、ルークはくすくすと笑いを零していた。
「なぁんだ、ガイアに嫉妬してるの?」
「……」
「図星」
 尚もくすくすと笑うルークに、俺は一瞥をくれる。
「別に良いだろ」
「ま、良いけどね」
 笑いを押さえると、窓の外へと視線を向ける。
「…でも、ホント。俺でさえも嫉妬したくなっちゃうよ。あんたが苛々するのもわかるよ」
「ルーク…」
 そうだ。こいつも、デーモンに惚れてたんだった…
「綺麗、だよね。ガイアも…デーさんも」
 目を細めた視線の先には、デーモンが見えるんだろう。
 白く優しい光に包まれた、幻のようなデーモンが。
「…ガイアってさ、凄く魅力的だと思うよ。デーさんじゃなくたって、魅かれると思う。でも…ガイアが必要としているのは、デーさんだけなんだよね。デーさんだけが、ガイアから愛されてる。必要とされてる」
「……」
「あんたも、辛いところだよね」
 苦笑しながら、朝食の支度を進めるルークに、俺はどう言葉を返していいのかわからなかった。
 いつもなら、そんな皮肉なんか気にしないはずだったのに…笑って済ませられる、それだけのモノだったはずなのに。
 それが今は…無性に寂しく思えて。
「俺には…デーモンが…」
 口を突いて出たのは、俺自身でも驚く程堅い声だった。
「…何を考えてるのか、わからない」
「…え?…」
 すっと、ルークの表情も変わった。
 昨夜は…俺を一番愛してくれていると言った声も、今では夢だったんじゃないかと思ってしまう。
 やっぱり、デーモンの頭の中は、ガイアのことで一杯なのだから。
「…ガイアは…俺に見せ付けているんだ。デーモンは…自分だけのモノ、だと…俺に…」
「ちょっと…あんた、何言ってんの!?」
「……」
「エース…?」
 踵を返した俺の目の前に、いつの間にかデーモンが立っていた。俺たちの話を聞いていたのかも知れない。酷く強張った表情。
「…エース…」
 つぶやいた声が、掠れている。
「昨夜の雨で、声、潰したんじゃないのか?」
 気を遣った俺の声にも、デーモンはきっと俺を睨み付けて声を荒立てる。
「吾輩の声なんて、どうでも良い…っ!」
 そう叫ぶ声でさえも、やっぱり掠れていて。
「…馬鹿だな。自分から身体を冷やすからだ」
 ポンと頭に手を置くと、その手を振り払い、そのまま俺の頬を叩いた。
「やっぱり、吾輩のことを信じてないんじゃないか!」
 うっすらと涙の浮かんだ瞳。その目が、俺を睨み付けている。
「…今は、ガイアのことだけ、考えろ」
 その眼差しを逃れる為には、その場から立ち去るしかなかった。
「エース!?」
 背後から追って来るルークの声にも振り向かず、そのまま俺は、玄関から外へと出た。
 もう、気晴らしに行くしかないよな。

 夕方の日差しから夕闇へと変わり始めた頃、部屋に閉じ込もったままのデーモンのところへ、ライデンがやって来た。
「…はい。ゼノン特製、蜂蜜入りホットカリンジュース」
 掠れている声を気にしてのことだろう。暖かいマグカップをテーブルの上に置いても、デーモンはベッドの端で膝を抱えたまま、うんともすんとも言わない。
「…ルークから聞いたよ。またエースと、喧嘩したんだって?」
 追い出されないのをいいことに、ライデンは居座ることを決めたようだ。床に腰を降ろし、デーモンと同じように膝を抱える。
「…エースは、吾輩のこと、結局信じてなかったんだ」
 掠れた声でそう零すデーモンに、ライデンは小さな吐息を吐き出す。
「ん~…俺には良くわかんないけどさぁ…でも少なくともエースは、デーさんのこと、俺たちよりも良くわかってると思うけどな…」
「だったら、何で今はガイアのことだけ考えろだなんて言うんだ?ガイアが…吾輩が自分のモノだと、エースに見せ付けているだなんて…」
「だから、俺はエースじゃないからわかんないってば」
「…悪い…」
 それが八つ当たりであることを自覚したデーモンは、溜め息を一つ。
「ま、飲んだら?」
 立ち上がったライデンは、テーブルの上に置いてあったマグカップをデーモンに渡すと、自分もデーモンの隣に座り込む。
「…エースさぁ、ホントにデーさんのこと、心配なんだと思うよ。だから、デーさんが何をしたら一番辛いかってことも、ちゃんとわかってるんじゃないかな」
「……」
 デーモンは膝を抱える腕に顔を埋め、ぴくりとも動かない。それを横目で見ながら、ライデンは小さく息を吐く。
「今…デーさんが一番、失って辛いモノ……デーさんよりもエースの方が、わかってたのかもね。だから…」
「…もう、良い」
 掠れた声が届く。途端、ライデンは口を噤んだ。
「…エースなんか……嫌いだ」
「デーさん…」
「自分は…嫉妬の捌け口があるクセに、吾輩にはそれを許してくれない…デートに行けば機嫌を悪くするし…ガイアと話をしてれば、吾輩を突き放そうとする…狡い」
「…ま…確かにそりゃそうだけどさぁ…」
 意外と、嫉妬深いからな、エース…
 独言のようにつぶやいたライデンの声に、デーモンは大きく溜め息を吐き出していた。
「大丈夫。エース、帰って来るからさぁ」
「…そう言う問題じゃないんだ。いつも…置いていかれるのは吾輩だ。エースは自由気ままに動き回れるのに、吾輩にはそれが許されない。吾輩が副大魔王だったからか?だから、それが許されないと言うのか…?」
「…俺に言われてもねぇ…」
 困ったように眉を寄せたライデン。デーモンの話し相手と言うより、すっかり愚痴を零されてしまっている状況がどうも苦手と言う表情である。
「…ね、冷めるよ」
 先程から一向に口を着けないマグカップを気にして、そう言葉を発する。
「…いらない」
 突き返すようにライデンの手の中にマグカップを戻したデーモンは、そのまま自室から出て行ってしまった。
「…もぉ…嫉妬深いのは御互いサマじゃんよぉ…」
 溜め息を吐き出しつつ、ライデンは仕方なく己の手の中のマグカップのホットカリンジュースを口にしていた。
PR
COMMENT
NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 
  
プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
バーコード
ブログ内検索
Copyright ©  -- A's ROOM --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by petit sozai emi / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]