聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
Disaster 2
こちらは、以前のHPで2003年12月21日にUPしたものです
※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
7話完結 act.2
※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
7話完結 act.2
エースとの回線を終えたルークは、そのままデーモンがいる副大魔王の執務室へと足を運んでいた。
そのドアをノックすると、直ぐに返事が返って来る。
『どうぞ』
声に促されて執務室に入ると、デーモンはいつもの通り、書類に埋もれていた。
「ゼノンのことで何か進展でもあったのか?」
にこやかに問いかけるデーモン。だが、ルークの表情に、それが良い報告ではないと言うことを感じたらしい。
「何か…あったのか?」
そう問いかけた声が、先程とは違って何処か重い。
「さっきね、エースから連絡があって……」
エースから聞いた話を繰り返すルーク。そして、先程自分がエースに報告したことも。
全てを聞き終えたデーモンは、小さな溜め息を吐き出す。
「"錬叛刀"、か…」
「デーさん、知ってるんでしょ?"錬叛刀"が、何処から来たのか」
デーモンならば知っていると踏んで問いかけた言葉に、暫しの沈黙が訪れる。
「…デーさん?」
不安そうな表情を浮かべるルークに、デーモンはその金色の眼差しを、控え目に向けた。
「…吾輩も、"錬叛刀"の話は…詳しくはわからないんだ…」
その奇妙な言い回しに、ルークは妙な不安を感じていた。
だが、デーモンが抱いている気持ちも、ルークにはわかっているつもりだった。
だからこそ、それ以上口を開くことは出来ない。
「…そう。わかった。じゃあ、ダミ様に聞いてみるよ」
どうにも、曰く有り気な雰囲気が漂っている。もしかしたら、一筋縄ではいかないかも知れない。そんなことを考えていたルーク。
すると、デーモンはそんなルークの意を察したのか…困ったように眉を寄せ、口を開く。
「"錬叛刀"に関しては…ダミアン様も口が重い。吾輩も…剣の説明と、扱い方を聞いたくらいだ。何処から来たか、なんて考えもしなかったが…余り、触れるべきではないのかも知れない」
「…デーさんの気持ちはわかるよ。でも…だからって、知らん顔は出来ないでしょ?ゼノンの生命がかかってるんだ。ダミ様だって…話をすれば、ちゃんとわかってくれるはず。それに…エースははっきり言わなかったけど…この件の裏に、何かある」
「…何か…?」
問いかけたデーモンに、ルークは頷いた。
だが、そこでのんびりしている時間はないのだ。
「とにかく、詳しいことは後で話す。まずダミ様のところに行って来るから」
ルークは踵を返し、皇太子の執務室へと向かう。
デーモンが"錬叛刀"に対して抱いている複雑な想い。それは、ルークも十分わかっていた。
その剣こそが、かつてデーモンが過去のエースを殺した剣なのだから。
そして…そこにまた、何か絡まっている。それは…不安でしかない。
歩み道すがら、ルークもまた大きな溜め息を吐き出していた。
皇太子の執務室にやって来たルークは、そこでもう一度、デーモンに語ったことと同じことをダミアンへと告げた。
そして、デーモンの時と同じように、それを問いかける。
「ダミ様は…"錬叛刀"が何処から来たのか、御存じですよね?」
真っ直にダミアンへと向けられる、黒曜石の瞳。その真剣な眼差しは、否定を認めないようで。
小さく溜め息を吐き出したダミアンは、ルークの希望通りの言葉を吐き出した。
「あぁ、知っているよ」
だが、そこに続く言葉は、ルークの希望通りではなかった。
「…だが…全てを、御前が知る必要はない」
「…ダミ様…」
ルークに向けるダミアンの眼差しは、いつもの柔らかいモノではなかった。それ以上、ルークが立ち入ることを否定する色がはっきりと見えていた。
「ゼノンを討った剣が"錬叛刀"と関係あるのかどうか、追求しなければならないと言うことはわかった。だが、あの剣は…関われば、誰かが不幸になる。そうわかっている以上、御前を踏み込ませる訳にはいかない」
いつになく、きつい口調。冷たい、眼差し。
「…踏み込まなければ…仲魔を助けられません。このままでは…もっと、仲魔を不幸にします。貴方は俺に、現状をただ指を銜えて見ていろと?俺には…そんなこと出来ません。俺の事を心配して言っているのなら、そんな配慮はいりません。今問題なのは俺のことではなく、ゼノンの生命に関すること、です」
ルークの眼差しもまた、真剣そのものだった。
「最愛の悪魔が目の前で討たれ…それを留められなかったと心を痛め…そんな仲魔の姿を、見ていることしか出来ない。そんな状態では、俺たちの絆はバラバラになります。助けられたはずの生命を見過ごすことは…俺には出来ない。貴方がそれを受け入れたとしても…俺は…絶対に嫌です。それに…エースは、はっきりとは言いませんでしたが、俺に警告しました。"気をつけて動け"、と。そこには、きっと何か裏があります。もしかしたら…"魔界防衛軍"と、ロイドの件と、俺の影に住み着いた"遣い魔"の件と…全部繋がっているのかも知れない。だったら尚更、俺は…見逃すことは出来ません」
ダミアンは、大きな溜め息を一つ。
勿論…ダミアンとて、ゼノンを見捨てるつもりはない。けれど…割り切れない想いが、その奥深くに潜んでいる。そのココロの奥底の傷は…未だ、癒されてはいなかった。
ほんの一瞬…ダミアンの表情に、翳りが見えた。
そんなダミアンの姿を、ルークはじっと見つめていた。
"錬叛刀"を…あの場に封じたのは…多分、このヒトだ。それは、ルークの直感。そして…その先には一体、何があったのだろう…?
ルークは小さく息を吐き出すと、ゆっくりと口を開いた。
「…あるところに…一振りの剣があったそうです」
そこから続く言葉を、ダミアンは表情一つ変えず、黙って聞いていた。
「…その剣は、魂だけを壊せると言う特殊な能力を持っていたそうです。そしてその剣は、いつからかその国に存在していました。けれど、それがいつからそこにあったのか、知っているのは限られた者だけでした。そして、何処か他の国に、それと同じ剣がもう一振り、存在しているであろうことがわかりました。けれど…どうして、別々の国に同じような剣が存在しているのか…そっくりな二振りの剣は、どうしてバラバラにあったのか…そして、どうして…その片方が、今使われたのか…誰も、わからないと言います。……勿論、俺はそんな剣は見たことはないし、全部聞いた話ですけれど」
そう、言葉を綴ったルークの黒曜石に、微かに光る何かがあった。
ルークの言葉をただじっと聞いていたダミアンは、小さく吐息を吐き出す。
そして。
「…御前が、誰からその話を聞いたのかは知らないが…一つ、大事なことを聞き忘れたようだね」
「…え?」
「何故、"持ち込まれたのが一振りだったのか"、と言うことだ」
「ダミ様…」
思いも寄らず、語られた言葉に、ルークは僅かに息を飲む。
「それは…元々、その一振りの剣は魔界の物ではなかった、と…?」
そう、問いかけてみる。
するとダミアンは、再び小さな吐息を吐き出した。そして椅子から立ち上がると、ルークに背を向けるように、窓の外へと視線を向けた。
「昔…ある者に聞いた話だ。その者がまだ生を受ける前に、一名の堕天使が一振りの剣を携えて魔界へ降り立った。その堕天使はやがてその者…"彼"の守護者となり、必然的に"彼"の傍近くにいることとなった。時は流れ、やがてその堕天使は様々な理由から"彼"の守護者を辞め、姿を消した。その時、"彼"に残されたのが…その堕天使が携えて来た"剣"だったそうだ。故に、その一振りの"剣"は、堕天使の唯一の形見となった。"彼"は堕天使から、その剣は堕天使が仕立てたモノで、二本で一対であることを聞いていたそうだ。だが、堕天使が携えていたのは一振りのみ。何故、対であるはずの二本の剣が離れ離れになっているのか…理由は簡単だった。対であるが故に、二本を揃えてはいけないのだ。もし、二本が揃った時には破滅を呼ぶと、堕天使は言ったそうだ」
「…破滅…?」
「そう。堕天使が持ち込んだ剣は、魂を削除すると言う特殊能力を備えていた。恐らく、残されたもう一振りも、同じ役割を果たすのだろう。その二本が揃った時に引き起こす"破滅"を…御前はどう思う?」
そう問いかけられ、ルークは僅かに息を飲んだ。
一振りの剣が魂を削除し、もう一振りも同じ能力を持つ。御互いに魂を削除する能力を持つその二本が揃った時に引き起こされる"破滅"と言ったら…
「…"反魂"…ですか?」
魂を失った肉体には生命の保持期限がある。その期限を過ぎた肉体は滅びる。それが、自然の摂理であるはず。
だが、その剣によって削除されたはずの魂が、もう一振りの剣が揃うことによって再び蘇ることになれば…それは魂のみのカタチとして、滅ぶことのない、永遠の苦しみを味わうことになる。
それが"破滅"なのだとすれば…。
「御前の言う通り、その"破滅"が指す意味が"反魂"なのだとしたら、自然の摂理に反するね。自然の摂理に背くことは、何者にも許されない罪だ。それは、魔界だけじゃない。どの世界にも共通して言えることだ。だからこそ、対である剣を揃えることが出来なかったのだろう。そしてまた、剣の暴走を防ぐ為、一振りのみを消滅させることが出来なかった理由でもあるのだろう」
そう。確かに、その通りだ。
一度死んだ魂を復活させること…つまり"反魂"は、確かに違法行為になる。
けれど…まだ、"魂が還るべき器"が死んでいなければ…まだ、還る場所があるのなら。
「…肉体が生きていれば、"反魂"も罪ではないですよね…?」
「ルーク…」
ルークの言葉に、ダミアンの眼差しが真っ直に向けられた。
その眼差しの意味は…問わなくてもわかっているつもりだった。
「俺が…"錬叛刀"を持ち出す許可を下さい。今なら、まだ間に合うんです。ゼノンは…ゼノンの肉体は、まだ生きているんです」
そう口を開いたルークに、ダミアンは小さな溜め息を吐き出した。
「…ルーク。先ほどの話を本気にした訳ではあるまい?あれは、"錬叛刀"の話ではない。かつて、聞いた話だ。それが真実かどうかはわからない。"破滅"が"反魂"であるとも限らない。わたしは…御前が"錬叛刀"に触れることは許さないよ」
「ダミ様…」
先程までとは違って、今度ははっきりとそう口にしたダミアン。ルークには未だ、その意図が掴み切れなかった。
「どうしてですか?どうしてそんなに、俺が関わることを拒むんですか?それが…"あのヒト"が持ち込んだ剣だから、ですか…?」
思わず問いかけた言葉。その胸の奥が、小さく軋む音が聞こえたのは…きっと、気の所為ではない。
「…言った筈だ。御前が全てを知る必要はない、と」
「………」
真っ直ぐに見つめたルークの眼差しを受けるダミアンもまた、その眼差しを逸らすことはない。つまりは、引くつもりはない、と言うこと。
このままでは、何処まで行っても平行線を辿るだけである。いつまでもそんな状態では…時間がない。
「…なら…俺が関わらなければ良いと…?」
小さく息を吐き出したルークは、そう切り出す。
「どうするつもりだ?」
出方を変えたルークから視線を背けず、ダミアンは問い返す。
「俺以外なら良いのでしょう?デーさんに…否、デーモン閣下に頼みます。それなら文句はないはずですよね?閣下は、一度"錬叛刀"を扱ってますから、何も問題はないでしょう?」
「…デーモンが…もう一度あの剣を手にすることを、素直に受け入れると…?」
「…状況が状況です。俺が駄目なら、そうするしかない。それは、閣下もわかってくれると思っています」
敢えて、デーモンをいつも通りの呼び名ではなく、敬称で呼んだルーク。それだけ真剣であると言うことだった。
けれど、今日のダミアンは…いつもとは違う。どうしても、ルークの心を…存在を、突き放しているようで。それがとても苦しい。
その姿を見つめながら、ダミアンは視線を伏せた。
「…デーモンを呼んでおいで」
「……御意…」
ルークも眼差しを伏せ、小さくつぶやくと踵を返した。
どちらも…心中は、穏やかではなかった。
副大魔王の執務室に戻って来たルークは、とても不機嫌そうに眉を寄せていた。
「…どうした?」
問いかけた声に、ルークは大きな溜め息を一つ。
「…何で?何でダミ様は…俺が"錬叛刀"に触れることを許してくれない訳?理由も教えてくれなければ、俺は全てを知る必要はないって…切り捨てられた感じ…」
「…ルーク…」
「…ダミ様が…デーさんを呼んで来い、って」
ルークはそう言うと、ソファーへと腰を落とし、天井を振り仰いだ顔を両手で覆った。
「…訳わかんない…」
多くを語らないダミアン。だからこそ、ルークは不安で仕方がないのだろう。けれど、デーモンにはダミアンの気持ちも良くわかっていた。
「…まぁ、吾輩が戻るまで気を宥めていろ」
そう言い残し、デーモンはルークを執務室に残してダミアンの元へと向かった。
隣のダミアンの執務室へとやって来たデーモンは、ダミアンの顔を見るなり溜め息を零した。
「どう言う言い方をしたんですか?ルークは…全く、納得していませんよ?」
「…そうだろうね。わたしも納得していないんだ。何処まで行っても平行線でしかない」
こちらも溜め息を吐き出したダミアン。
「ルークの気持ちは…痛いほどわかっているよ。ゼノンを…仲魔を、助ける為。その使命に燃えている。どうやら、そこに"魔界防衛軍の残党"が絡んでいそうだと言うことも含めてね。だが…その気持ちだけでは、"あれ"は扱えない。真実を知って…平然としていられるとでも?」
「…ダミアン様…」
いつになく…ダミアンは迷っている。こんなに苦悩しているダミアンは…デーモンも、見たことがなかった。
「…ルークは…貴方が思っているほど、弱くはないはずです。真実を…伝えてみては…?」
ゆっくりと、そう訴えたデーモンに、ダミアンは大きな溜め息を吐き出す。
「伝えるべきだと…本気でそう思うかい?」
机の上に神経質そうに指を組むダミアン。その表情の上にあるのは、僅かに沈痛さを見せる面持ち。
「わたしはね、ルークが"錬叛刀"と関わることは、今でも反対だよ。御前ならばわかると思うが、エースが関わることも反対だ。けれど、そこにゼノンの生命がかかっている。御前が制すれば、きっとエースも危険を回避出来るだろう。だが、ルークは時々無茶をする。それが、彼奴の命取りになる」
「けれど、いつまでも隠し通せるモノではないと思います。あの剣を使う事態になれば…恐らく、あの剣に纏わる曰くを知っている誰かが…もしかしたら、もう一振りの剣の本来の持ち主が、口を開くのでは?ただ単に、魂を喰らうだけの剣ではないと言うことを」
デーモンも…そしてダミアンも、大きな溜め息を吐き出していた。
一度…あの剣を握ったデーモンは、わかっていた。あの剣が…魂を喰らうだけではない、と言うことを。
ただ、デーモンも深いところまではわからないのだ。前回、あの剣を使うことになった時…ダミアンが、どんな想いで、デーモンにその話をしたのか。
そして…本当は、何を言いたかったのか。
「…今回出て来たと言うもう一振りの剣は…天界にあったはずだ。現在の持ち主はわからないが…"奴等"が天界にも手を伸ばしたことは間違いないのかも知れない。そこは、はっきりさせないとね。だから、御前に頼むんだ。もし、誰かの口からその真実を聞くことになったとしても…わたしは、口を噤むよ。例え、卑怯だと…卑劣だと言われようとも、わたしはそれが…ルークの生命を護るべき正当な理由であると、言い立てるつもりだよ」
「…ダミアン様…」
ダミアンの言葉は、とても重い。
ダミアンがルークを想う気持ちは良くわかる。そして、ルークの切ない思いもまた、良くわかる。だからこそ…デーモンは、自分が頷かなければと、覚悟を決めるしかなかった。
「…これ以上、ルークを迷わせない為にも…"錬叛刀"を持ち出す許可を、頂きます」
溜め息と共に吐き出されたその言葉に、ダミアンは溜め息を吐き出す。
「…良いんだね?」
「良いも悪いも…エースも駄目、ルークも駄目では…他に該当者がいないでしょう?まさか、雷帝たるライデンにその役割をさせるつもりはないでしょう?生命の危険がある以上、貴方がその手段を選ばないことは、良くわかっています。このまま吾輩が許可を貰えなければ、またルークが乗り込んで来ます。その方が良いですか?」
「…まぁ…そうだね」
溜め息を吐き出しながら、ダミアンは一枚の書類にサインをする。
「ほら、許可証だ。持って行け。但し…御前も、素手では触るな」
ダミアンはそう言って机の引き出しから小さな箱を取り出すと、更にその中から肘くらいまであるであろう、黒の長手袋を取り出した。
「これは、特別の仕立て方をしてある。防呪対策、と言う程度だがね。ないよりはマシだ」
「…わかりました」
デーモンはダミアンから許可証と手袋を受け取ると、真っ直ぐにダミアンを見つめた。
「…ルークには、指一本触れさせませんから」
「…あぁ、頼んだよ」
そう言ったダミアンは、それ以上口を開かなかった。
デーモンは一礼をして執務室を出る。そして、自分の執務室へと戻った。
そこに待っていたルークは、相変わらずソファーに座り、天井を見つめていた。
「…許可は?」
デーモンの方を見ようとはしないルーク。
「あぁ…快諾ではないがな。ゼノンを助ける為に、一応許可は貰った。だが…」
「…だが?」
そこまで聞いて、ルークはやっとデーモンへと視線を向ける。
「…御前とエースは、剣に触れるな。それが、条件だ」
「…そう…」
大きな溜め息を吐き出したルークは、今度は顔を伏せ、その顔を両手で覆う。
その姿がとても苦しそうに見えて…デーモンの心中も、当然穏やかではない。けれど…こうすることしか出来ないこともわかっていた。
「…これから情報局に行って、そのまま雷神界へ行くつもりだが…御前はどうする?」
小さな溜め息を吐き出したデーモンは、ルークにそう問いかける。するとルークは顔を上げ、ソファーから立ち上がった。
「行くに決まってるじゃない。こんな所で…ダミ様と二名で残されたって…大人しく待っていろって言われたって、俺は落ち着かない。邪魔だろうが何だろうが、一緒に着いて行くから」
真っ直ぐにデーモンを見つめた黒曜石の瞳。その深い色は、思い詰めた色が見え隠れしている。
「…なぁ、ルーク…」
デーモンは一旦ソファーに腰を下ろすと、立っているルークを見上げた。
「吾輩はな…ゼノンを助けたいのは勿論そうなんだが…ライデンのことも、エースのことも…勿論、御前のことも、みんな護りたいんだ」
「…何さ、急に…」
ルークも再びソファーに腰を下ろすと、再び真っ直ぐにデーモンを見つめる。デーモンもまた、ルークを真っ直ぐに見つめたまま、小さな溜め息を吐き出した。
「御前だって…仲魔を、護りたいだろう?」
「当たり前じゃない。だからこうして頼みに来たんじゃない。時間は、刻一刻と過ぎているんだ。のんびりしている場合じゃないのはわかってるでしょ?」
「あぁ、わかっている。だから、貴重な時間を割いてもこうして御前と話をしているんだ」
「…デーさん…」
再び、デーモンが息を吐き出す。
「…頼むから、冷静でいてくれ。それは…御前だけじゃない。吾輩は多分…エースにも、同じことを言うと思う」
「…どう言う事…?」
小さく、息を飲んだルーク。
「冷静に、物事の真実を見て欲しい。興奮した頭では…先走った心では、真実は見えない。今回は、エースの時とは状況がまるで違う。剣を握る吾輩一名が、苦汁を飲めば済む、と言う問題じゃないんだ。御前たち全員が、関わることになるはずだ。ゼノンを取り戻すのは…それだけ大変なことだ。方法とか、そう言う事だけではなくて…そこに関わる、御前たちの感情の問題、だからだ」
「……じゃあ、デーさんはやっぱり知ってるんだ。"錬叛刀"のこと…」
問いかけたその言葉に、デーモンは小さく首を横に振った。
「特別なことを知っている訳じゃない。御前が知っていること以外には、一つだけだ。それは…剣を握った"本魔"にしかわからないことだ。だから、吾輩もダミアン様と同じことを御前に言う。御前は、そこに立ち入るべきではないと。この先は、何が起こるか…正直、吾輩にもわからない。だからこそ、御前を護りたいんだ。吾輩も…ダミアン様も。それだけは、理解してくれ。闇雲に、御前が関わることを否定している訳じゃない。まぁ、関わるなと言ったところで、御前も引かないだろうから、吾輩はもうそれ以上は言わない。だから、御前も…この先にある真実に、覚悟しろ」
「……わかった」
剣を握った本魔だけが、知っている真実。だからこそ、そこに立ち入るなと警告するのだ。そしてそれは…デーモンだけが経験した訳ではないのだと。ルークにも…それは察することは出来た。
剣を封印したのは、ダミアン。そして…その真実の全てを知っているのも、またダミアンなのだ。
目を瞑り、大きく息を吐き出したルーク。気持ちの全てをリセットは出来ないけれど…助けなければならない仲魔が、待っているから。
目を開けたルークは、再び、デーモンへと視線を向ける。
「…俺は、大丈夫。行こう。ゼノンが…待ってるから」
そう言った表情は、幾分和らいでいる。
ルークはルークなりに、自分の気持ちを落ち着かせたのだろう。
「…あぁ、行こう」
デーモンは小さく微笑むと、ダミアンから受け取った手袋を填め、外套を羽織る。
そして、二名は情報局を訪ね錬叛刀を受け取ると、雷神界へと向かった。
運命のドアは、再び開かれようとしていた。
COMMENT
プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
カレンダー
カテゴリー
最新記事
(06/23)
(10/08)
(10/08)
(09/30)
(09/10)
(09/10)
(08/06)
(08/06)
(07/09)
(07/09)
アーカイブ
ブログ内検索