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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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DISHARMONY 4 
こちらは、以前のHPで2002年10月05日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。
(基本DxAですが、色々複雑です…スミマセン…/苦笑)
4話完結 act.4

拍手[2回]


◇◆◇

 保護された二名は、そのままそれぞれの屋敷へと戻ることとなり、直ぐに医師たるゼノンがデーモンの屋敷を訪ねて来た。
 上半身を起こしてベッドに納まっているデーモンは…肌の色艶は良いし、纏う気もとても安定している。どう見ても、怪我魔には見えない訳で…。
「…怪我してる、って聞いたんだけど…」
「あぁ……打ち身とか擦り傷程度の怪我は、していたんだが…いつの間にか、治っていてだな…」
 怪訝そうにそう問いかけるゼノンから気まずそうに顔を背けるデーモンは…赤い顔をしている。怪我が治った理由は…前日の行為の結果だと、デーモン自身わかっているのだから。
「…まぁ…一応、診察するけど…服、脱いでくれる?そうしないと診察出来ないし…」
 必要以上に上掛けに包まっているデーモンにそう声をかける。
 溜め息を一つ吐き出したデーモンは、諦めたように上掛けから出ると、ガウンと部屋着を脱いで上半身を露にする。
 その裸の肌に散らされた、無数の赤い花弁。それが誰に付けられたかなど…聞く必要もない。
 その姿を一瞥したゼノンは、溜め息を一つ吐き出すと、デーモンに背中を向けた。
「…表立っての外傷はないね。御免ね、着て良いよ」
「……あぁ…」
 デーモンが部屋着を着て、ガウンを羽織り直すと、ゼノンはデーモンの方へと向き直る。そして、ベッドの端に腰を下ろした。
「…一杯回り道したね」
「…ゼノン…」
 赤い顔をしたままのデーモンに、くすっと小さく笑ったゼノン。
「そのキスマークの数を見れば、まぁ…頗る元気じゃないだろうとは思うけど。でも、顔色も良いし、動けるようになったら職務に復帰して良いよ。俺は、念の為エースの様子を見に行って来るけど…まぁ、エースも直ぐに職務復帰だね」
「…なぁ、ゼノン…」
 デーモンは、僅かに顔を伏せる。
「…吾輩は…間違っていないよな…?」
「…デーモン…?」
 問いかけられている意味が、ゼノンにはわからなかった。
 けれど…デーモンの表情が、酷く不安げで。
「間違っていると思うの?」
 反対に、ゼノンが問い返した。
「同じ道を辿らない為に、選んだ道じゃないの?その為に…エースを、受け入れたんじゃないの…?」
 問い返された言葉に、デーモンは小さく溜め息を吐き出す。
「勿論、そのつもりだ。エースと…離れるつもりはないし…もう、失うのは御免だ。だから…受け入れたんだ。でもな…昔のエースに…言われたことがある。全てを満たされたら、何かを失うんじゃないかと。それを、今のエースに当てはめる訳じゃない。ただ…不安がない訳じゃない。それが怖いんだ…」
 溜め息をと共に吐き出された言葉に、ゼノンは小さく笑う。
「不安は、ちゃんとエースに言えば良いんだよ。エースなら…ちゃんと、受け止めてくれるよ。今のとか、昔のとか…そう言う言い方は好きじゃないけど…でも、御前が踏み込んで縮めた距離は、決して裏切らない。俺は、そう思うよ」
「…そうだろうか…」
「少なくとも、俺たちはそうだったよ」
 そう言って、ゼノンは昔を思い出す。
「…みんなに迷惑かけまくって…ライデンを不安にさせて。そんなこともあったけど…それでも、今こうして一緒にいられるのは…俺たちなりに、ちゃんと答えを出したと思ってるから。まぁ、まだ通過点だし…先はまだまだ長いけどね」
 その言葉に、溜め息を一つ。
 確かに、その通りなのかも知れない。それは、ゼノンとライデンを見ていればわかることだった。
 どんなに揉めたとしても、いつの間にかまたちゃんと元に戻っている。それは、御互いにちゃんと向かい合っているから。
「今まで回り道した分、これからは真っ直にぶつかってみたら?そうすれば、結論は見えると思うよ。まぁ…また、キスマークが増えるだけかも知れないけどね」
「…ゼノン…」
 再び、頬を朱に染めるデーモン。
「エースは強いよ。だから、何の心配もない。それを、ちゃんと信じてあげて。御前の気持ちが真っ直ぐエースに向いているのなら、きっと…大丈夫」
 にっこりと笑ったゼノンは、そのままベッドから立ち上がった。
「じゃあね。俺はエースのところに行くから」
「…あぁ、有難う」
 くすっと笑って、ゼノンを見送ったデーモン。その表情は…先ほどよりも、すっきりして見えた。

 デーモンの屋敷を出たゼノンは、宣言通りそのままエースの屋敷へとやって来ていた。
 けれど案内されたのは寝室ではなく、書斎、だった。
「…元気そうだね」
 机に向かって仕事をしているエースの姿に、ゼノンはくすっと笑いを零した。
「まぁな。別に俺は、怪我してる訳じゃないし、魔力さえ戻ればどうってことはないしな。念の為屋敷にいろって言われただけで、仕事をするなとは言われてない。三日、無駄にしたからな。仕事がたまっているんだ」
 そう言いながら、エースは仕事の手を一旦止めると、椅子から立ち上がってコーヒーを淹れに立つ。
「デーモンのところに行って来たんだろう…?」
 控えめに、そうゼノンに問いかけながら、コーヒーのカップを一つ、ゼノンに手渡す。
「まぁね。元気そうで何より、だったよ。でもあのキスマークは、ちょっと…やりすぎ感は否めないけどね」
 くすくすと笑うゼノンに、エースはほんの少しだけ顔を赤らめる。
「…やっぱり見たのか…」
「まぁ、医者ですから。診察するには、見ない訳にはいかないしね。まぁ…今までの反動ってことで、目を瞑るよ」
 ゼノンはそう言うと、コーヒーに口をつける。
「彼奴…何か言ってただろう…」
 エースもコーヒーを啜りながら、ふと、ゼノンに問いかけた。
「何かって…何を?」
「…御前に…言わなかったか?その……この先に不安があるとか…」
「…そう言う事…」
 小さな吐息が零れる。
 やっと、繋いだ想い。昨日は流石に気持ちも昂ぶっていて、エースにも余裕がなかった。けれど、こうして屋敷に戻って来てみれば、やはり無理に踏み込んでしまったのではないかと…後悔の念が、ない訳でもなかった。
 不安があるのは、エースも同じこと。
 それを察したゼノンは、そんなエースの姿をじっと見つめた。
 そして。
「自分で、十分わかってるじゃない。まぁ、このまま黙ってるのも何だしね、はっきり言うよ」
 そう言ってゼノンは、顔を上げてエースを見つめた。
 そして、にっこりと微笑む。
「信じているんでしょう?デーモンのこと。だったら、御前がちゃんと受け止めてやれば良い。それだけのこと、だよ」
「…ゼノン…」
 ゼノンに向けられている視線には、不安が見え隠れしている。だからこそ、ゼノンも敢えて笑ってみせた。
「デーモンが不安に思っていることも確かだよ。でも俺は、御前に全部ぶつければ良いって言ったよ。エースならちゃんと受け止めてくれるから、って。御前なら出来るって、俺も信じているし。恋悪魔同士のことはね、本当は周りがとやかく言うことじゃないと思ってる。自分たちで、歩いて行く道だもの。御前たちがちゃんと向き合えれば大丈夫。俺は、御前たちのことに口は挟まないよ」
「…そう言う奴に限って、色々口出しするんだよな…」
 溜め息と共に吐き出された言葉に、ゼノンは笑いを零す。
「だったら頑張れば?愚痴零されないように」
「…まぁ…な」
 くすっと、エースが笑った。
「御前なら、大丈夫だよ。色々御節介もしたけど…少なくとも俺は、もう心配してないから」
 その言葉は、とても心強かった。
「コーヒー有難う。いつでも職務に戻って大丈夫だよ」
 ゼノンはそう言い残すと、にっこりと笑って書斎を出て行く。
 その背中を見送ったエースの眼差しは、とても柔らかかった。

◇◆◇

 翌日。動けるようになったデーモンは、報告書を出す為に皇太子の執務室を訪れていた。
 そしてそこで、思わぬ姿を目にする。
「…御前、何でここにいるんだ?当分戻らないんじゃなかったのか…?」
 そこにいたのは、つい先日、当分戻らないと言い切って任務に出かけたルーク。
「…だって…ダミ様が、戻って来いって…」
 気まずそうにそう零すルークに、ダミアンはくすくすと笑った。
「まぁ、そんな顔をするな。御前が自ら行かなくても良い仕事だろう?それに、御前の機嫌をまず直さないとね。デーモンも御前に話したいことがあるだろうしね」
「…ダミ様…」
 僅かに顔を赤くするデーモンを横目に、ルークの機嫌はまだ直らないらしい。
「何さ、話したいことって…」
「…それはだな…」
 ダミアンの前では、流石に言い辛い様子のデーモン。それを察したのか、ダミアンはくすくすと笑う。
「まぁ、報告書は貰ったしね。自分の執務室でゆっくり話をしておいで」
「…はぁ…」
 ダミアンにそう言われてしまったら、もうそれに従うしかない。
 一礼をして、ダミアンの執務室を後にする。そして、隣のデーモンの執務室へと場所を変える。
 ルークはデーモンの後ろを歩きながら…じっと、その姿を見つめていた。
 そして、執務室に入ってドアを閉めるなり、その言葉を発する。
「仲直り、したの?」
「…唐突だな…」
 デーモンは小さく溜め息を吐き出すと、コーヒーを淹れに行く。そして、ソファーに座ったルークの前にカップを一つ。自分の執務机の上に一つ置くと、漸く口を開いた。
「…色々…心配かけたな。だが…一応…大丈夫だ」
「…何、その一応、って…」
「あー…っとだな…」
 自分で言った言葉に、自分で困惑している。
 そんなデーモンの姿に、ルークは溜め息を一つ。
「まぁ…良いけどね。俺も子供じゃないし、"それ"を見れば、あんたとエースがどうなったかなんて想像つくし」
「…"それ"って…何のことだ?」
 思わず問い返したデーモン。
「…気付いてないの?」
「…何に?」
 きょとんとしたデーモンの表情を見るからに…多分、本当に気付いていない。
 そう察したルークは、自分の首の後ろを指差す。
「……マーキングされてるよ。首の後ろ」
「…っ!!」
 慌てて手で押さえるデーモン。その顔は真っ赤、である。
 前は見えても、後ろは見えなかった。それは、デーモンには盲点だった。勿論、エースはそれを知っていて、わざとつけたのだろうが…。
「…初心かよ…」
 その仕草に、ルークも流石に笑いを零す。
「そんな見えるところにマーキングするくらいだもん。見えないところはもっと大変なことになってるでしょ?」
「……マーキング、って…御前なぁ…」
「じゃあ、はっきりキスマーク、って言った方が良い?あんたが自分の所有物だ、って言う証なんだから、どっちも変わらないと思うけど」
 くすくすと笑うルークの姿に、デーモンは苦虫を噛み潰したような顔をしている。
 でも…ルークの機嫌が直ったのなら、それでも良いか…と思ってみたり。
 ルークは一頻り笑うと、未だ気まずい表情を浮かべているデーモンに、にっこりと微笑んだ。
「この前は御免ね、キツイこと言って」
「…いや、悪いのは吾輩だからな。御前に言われて…正直、耳が痛かったし…胸も痛かった。ダミアン様にも、御前を泣かせたのは如何なものかと、釘を刺されたしな…」
「…泣いてないし…」
 何処まで過保護なんだか。ルークは、そう思って小さく笑う。
「…やっぱり、御前は強いな」
 小さく息を吐き出したデーモンは、そう言って目を細める。
「御前がはっきり言ってくれなかったら…吾輩は、まだ足踏みしていたかも知れない。本当に…エースとの間にもっと深い溝を作って、修復出来なかったかも知れない。だから、御前には感謝してる。御前が…吾輩の参謀でいてくれて良かった。だから、降りるだなんて言わないでくれないか…?」
「…本気にしてたの?参謀降りるって言葉」
「…ルーク…」
 にやりと笑うルークは…策士の顔、だった。
「本気で辞める訳ないじゃん。俺は、あんたに忠誠を誓ったの。あんたに出逢ったあの時、一生、あんたの参謀でいることに決めたの。だからあんたを護る為なら何でもするんだよ。時に、発破をかけたり…駆け引きしてみたりしてでも、ね」
 そう言って、一つ息を吐き出す。
「でもね…あの時、あんたに言った言葉は本物。俺は、エースを助けられなかった自分が嫌い。あんたを泣かせた…自分が嫌い。だから…今度こそ、どうしても助けたかったんだ。あぁでも言わないと、本気になってくれないでしょ?まぁ、あれで切り捨てられたら…それまでだと、覚悟はしたけどね」
「…馬鹿だな、御前も。そこまでしなくても…」
「そこまでしなきゃ、動かなかったでしょ?自覚してください?」
「……そうだな。悪かった…」
 素直に頭を下げたデーモンに、ルークは目を細めて笑う。
「エースの手…今度こそ、絶対離しちゃ駄目だよ?」
「…わかってる。もう…あんな思いは、御免だからな」
 デーモンもやっと、小さく笑いを零した。
 こんな些細なことが、倖せだと感じるなんて…何とも人間じみたものだ。そんなことをぼんやりと考えていた。
 そして、その倖せが、ずっと続くものであると…そう、思っていたのはデーモン一名ではなかっただろう。
 エースも、ルークも…そして、ダミアンも。予期せぬことが起こり得るなどと、誰が考えるだろう。
 この、倖せの真っ只中に。

◇◆◇

 魔界全土が、揺らぎ始めていた。
 不吉な程、緋い夕焼け。緋い月夜。それはまるで、戦いで流した血のようで。

 悪夢は、これから始まる。
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