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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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FROM NOW ON
こちらは、以前のHPで2001年8月25日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。(基本DxAです…/笑)

拍手[2回]


◇◆◇

「愛してるって言ったら、御前はどうしてくれる?」
 不意にそう言われ、戸惑ってしまう。
「どうって…」
 答えに困った吾輩を、彼奴は笑った。この吾輩の気持ちに、彼奴は何処まで気付いているんだろうか。
 今まで、何度も繰り返されて来た言葉。その言葉を、彼奴は何人の女に言ったのかはわからない。それは、誰でも同じではあるが。
 しかし。
「愛してるよ」
 そう、囁かれる度に、切ない気持ちになる。それがホントに、吾輩だけに囁かれる言葉なのか。それがホントに、彼奴の本心から言う言葉なのか。
 いつから、こんな気持ちになったのだろう。それを、彼奴は何処までわかっているんだろう。

◇◆◇

「デーモン、いる?」
 執務室のドアを開け、入って来た姿。すらりとした長身を包んだ、黒い軍服。
「どうした?まだ、終了時間には早いぞ」
 夕方の日差しに変わったばかりだと言うのに、彼奴は片手に彼奴の一番好きな洋酒の瓶を持っていた。どう考えても、職務中の姿ではない。
「あぁ、今日は早退。明日からまた遠出だから」
 そう答え、ソファーにどっかりと座り込む。
「吾輩はまだ、職務中なんだがな」
「どうやら、そのようだな」
 くすくすと笑いながら、彼奴はテーブルの上にその長い足を投げ出した。
「気長に待ってる。今日ばかりは、どうしても御前に付き合ってもらいたいんだ」
「勝手なことを…吾輩の都合も聞かんで…」
「どうせ、他に寄る所もないだろう?だったら、問題ないじゃないか」
 何の疑いもなく、笑ってそう言う彼奴の姿。それは…ずっと、心の何処かに引っかかっていた。
 御互いに、気持ちが通じ合ったことは幸せだと思う。けれど…出逢った頃の彼奴は、吾輩を良く思っていなかったはず。その想いが…どうして変わったのだろう?
「…どうして…吾輩だったんだ…?」
 思わず、聞いてしまったが…彼奴は一瞬、きょとんとした表情を浮かべたが、すぐに笑い出した。
「どうしてかな。まぁ、嫌い嫌いも好きのウチ、ってところか?結局のところ…憎んでいようが、惚れていようが…ずっと御前の存在が傍にあったことには違いないんだ。気持ちが変わったって、不思議はない。それに御前は…俺の狂気を、受け止めてくれた。そして、死ではなく…共に生きると、約束してくれた。だから…御前を信じようと思ったんだ。それに、御前に飽きたんだったら、もっと早く見切りを付けているさ」
「…だよな」
「……?」
 溜め息を吐いた吾輩を、彼奴は首を傾げて見つめていた。
 わからないだろうな。この気持ちは。
「何だ、ブルーデー?」
「そうじゃない」
「じゃあ、どうしたんだ?」
 彼奴の問いかけに、どうしても正常な答えを返せない。
「…ちょっと、待っててくれ」
 吾輩は溜め息と共にそう言葉を吐き出し、続き間の方へ足を向けた。どうしても、真っ直に顔を合わせることが出来ない。
 そのドアを締め切り、彼奴と隔離した空間を作る。そうでもしなければ、どうしようも出来ない。
「…デーモン?」
 ドアの向こうから、彼奴の呼ぶ声が聞こえる。
「具合でも、悪いのか?」
「…いや、そうではないが…」
 ドアに身を任せて小さく答えると、気持ちを落ち着けるように大きく息を吐く。そして、戸棚の中からグラスを二つ取り出すと、それを持って執務室へと戻った。
「まぁ…呑もうか」
「…デーモン?」
 無言で、支度をする。職務が終わった訳ではないが、余り長い間、彼奴を待たせるのも気が引けると言う気持ちと…素面でいるのが気まずい、と言う気持ちと。
 グラスの中に酒を注ぎ、彼奴はその一つを、吾輩に手渡した。
「秘蔵の酒だぞ。ま、御前の機嫌が直るかはわからないけれどな」
「……じゃあ、頂こうか」
 微笑む彼奴の姿に、吾輩はグラスの中の酒に口をつける。確かに、エースが自慢するだけあって美酒だ。
「…いつ、帰って来るんだ?」
 喉を潤してから、そう問いかける。
「さぁ。予想は付かないが…でも、そんなに長丁場にはならないだろうな。ルークもいるしな」
「そう…か」
 そうか。ルークと共に、出発か。
「…どうした?」
「何でもない。気にするな」
 気丈に言ってみたものの…どうしてだか、吾輩自身にも答えは出せない。
「御前は…いつも俺には、一名で抱え込むなとか言うクセに、自分の時はそうやって隠し通そうとする。ある意味では…卑怯だよな」
 彼奴は不機嫌そうに、言葉を発した。
 何だ。少しは、察していたのか。
「…俺に…話せないことか?」
 その真っ直ぐな眼差しに、吾輩は思わず目を伏せた。
 果たして、言って良いものだろうか。どうせ、笑って受け流されるのがオチだろうが。
「デーモン」
「…御前が、任務から帰って来たら話す。だから、それまでは何も…聞かないでくれないか?」
「まぁ…御前がそう言うなら、それでも良いけどな。だが、俺が帰って来たら、きっとだぞ」
「あぁ。わかった」
 彼奴は吾輩を抱き寄せ、唇を合わせる。
 確かな温もりは、そこにちゃんとあった。

◇◆◇

 彼奴が任務で遠出をして、一週間余りが経った頃。職務の終了時間間際に、彼奴はやって来た。
「只今」
 軽くノックをした後、ドアを開けて入って来た彼奴の第一声。
「御帰り」
 思っていたよりも早い帰還だった。だが、書類を片手にそう返した吾輩の声が、彼奴には気に入らなかったらしい。ドアに寄りかかり、不機嫌そうな表情を浮かべているじゃないか。
「何だ?」
 思わず問いかけた声に、一言。
「つれない」
「…は?」
「別に、両手を広げて出迎えろと言ってる訳じゃない。でも、折角早く帰って来たってのに、何だ、そのぶっきらぼうな言い方はっ」
 そんなこと言われてもなぁ…他にどうしろって言うんだか。
 そんな表情を浮かべた吾輩を見て、彼奴は小さく笑いを零した。
「御前の悩み、話してくれる気になったか?」
「……」
 突然、そう言われても…
 一瞬戸惑った表情を浮かべた吾輩を、エースはドアに寄りかかったまま、目を細めて見つめていた。
「俺では、駄目なのか?こんなに傍にいても…御前を助けられないのか…?」
「そうではないが…」
「なら…話してくれ。御前が、まだ俺を信じてくれているのなら」
「エース…」
 そんな言われ方をしたら、話さない訳にはいかないではないか。全く…
「…たいしたことではない。ただ…」
「ただ?」
「御前が、ホントに吾輩だけを愛しているのかと思ってな」
「は?」
 つぶやいた声に、エースは声を立てて笑った。他悪魔の気も知らないで。
「そんなことで悩んでたのか?御前は」
 エースは吾輩へと歩み寄ると、執務机の端に腰掛けた。
「仕方ないだろう?何の確証もないんだ。人間界にいた頃からの延長みたいに…我々の関係は、身体の関係もない。抱き締めて、キスするだけだ。それも、吾輩に限って、だ。他の女は抱くクセに…」
 溜め息交じりの吾輩の声に、エースは笑いを納めた。そしてその代わり、僅かにだが目を伏せる。
「他の女って…人間界にいた頃の"清水"の話だろう?俺じゃない。それに、御前は特別だ。本気だからこそ…だったんだがな」
 小さな溜め息を吐き出したエース。そして、暫く何かを考えているように口を噤んでいたが…やがて、ゆっくりと言葉を吐き出した。
「…"清水"が御前を良く思っていなかった、って言うこともあって…キスだけは大目に見てくれたが、それ以上は手を出さない約束だったからな。そこで完全にきっかけを逃したのもそうなんだが…臆病なんだな、俺は。全てが満たされてしまったら…その後は失うだけのような気がする。勿論、御前がどうの、と言う訳じゃない。ただ…俺自身が…変わるのが怖いんだな、きっと」
「……」
 吾輩も、大きく息を吐き出す。
 わかっていたはずだった。エースは…本当は、とても繊細だと言うことを。それを蔑ろにしたのは…吾輩自身、か。
「…また仮面を被られるよりは…ずっとマシ、か…」
「デーモン…」
 小さくつぶやいた声に、エースは吾輩の顔をじっと見つめた。
 仕方ない。エースに、こんな寂しそうな顔をさせたままでは、吾輩としても気が重いんだ。
「わかった。御前の気が済むまで、現状維持だ。だがな、一つだけ注文があるんだ」
「注文?何だ?」
「他の奴には、絶対に言うなよ」
「…何を?」
 そこまで言わせるか、こいつは。
「…"愛してる"って…な」
 一瞬の間。直後、噴き出したエース。
「言う訳、ないだろう?御前以外の奴に」
「わからんぞ。何せ、確証がないからな」
「…しつこいっ」
 僅かにムッと眉を潜めたものの、エースも満更悪い気はしていないんだろう。
 そっと腕を伸ばし、吾輩を抱き締めたエースは、その耳元で小さくつぶやいた。
「…御前こそ、俺以外の奴に言うな。御前に嫌われたら、俺は…」
 生きていけない。
 そのつぶやきは、エースにしては弱気な台詞だ。だが、それを答えとして取るのなら、吾輩だけを見てくれていると言うことになるのだろう。
「大丈夫だ。御前を手離したりしない」
「…絶対、だぞ」
「…エース…」
 傾けられた頬は、すぐに重なった。いつもより…とても優しい。
 甘い…口付け。
「…愛してる、デーモン」
 重ねられた唇から零れた言葉。
 今は、それを信じるしかない。
「エース…」
 名を呼んだ声に、態度で反応する。
 それ以上のカタチは、エースの言う通り、今は必要ないのかも知れなかった。
 エースが傍にいてくれるだけで、満足出来るのだから。

◇◆◇

 夢を、見た。
 青く輝いていた惑星が、眠りに着く夢を。
 彼女の存在が、全てを壊し始めるとも知らずに。
 今はただ、自身が護るべきモノを見つけるのが精一杯であった。だから……

 青く輝く美しい惑星は、いつしか吾輩を捕えて離さない存在となっていた。
 それを、彼奴はどう思うだろう?
 真実は…まだ、吾輩にもわからなかった。

◇◆◇

「愛してるって言ったら、御前はどうしてくれる?」
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筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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