聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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HIGHER SELF 1
名もない要塞。立っているのは俺と、蒼き悪魔ルーク。
俺たちの目の前には、既に消えてしまってはいるが…武装天使たちの残骸がつい今し方まで横たわっていた。
「…んだよ…あっけないじゃんか。こんな奴らに手間取ってた訳か?御前らは…」
「…悪かったねっ。だって俺りゃぁ作戦参謀だからって、リエラは戦わせてくれなかったんだもん」
拗たようにそう言ったルークの声に、思わず苦笑する。
部隊はもう引いている。残っているのは、俺たちだけだ。
「まぁ良い。終わったことだしな。とにかく、帰ろうか」
「んっ」
俺たちは背中に翼を構え、空に浮かび上がった。俺の翼は漆黒だが、ルークの背には真白な翼。俺でさえも、見惚れてしまうくらい良く似合っている。
「エース。俺さ、デーさんに用事があるから先に帰っててよ。出来れば、書類まとめてくれてると嬉しいなっ」
俺を見下ろし、ルークは微笑む。
「…仕方ねぇなぁ…ったくぅ。わかったよ」
呆れた溜め息を吐いた俺に、ルークは再びにっこりと微笑む。
「サンキューっ!」
そう言い放ち、一名でさっさと飛び去って行った姿を見つめ、俺は再び溜め息を一つ。
「あの副大魔王に逢いに行くのが、そんなに楽しいのか?俺は嫌いだね、あんな傲慢で態度のデカイ奴は」
独り言をつぶやき、大きく息を吐く。
ルークと言う奴は、昔からどうもわからない。あの副大魔王に一目惚れしたと言うことを聞いた時から、妙な奴だとは思ってたんだが…な。
まぁ、それは扠置き…どうも最近、ネガティブ思考が強くていけない。
最近特に気になること。それは、俺が記憶喪失で失った記憶と言うモノについて。
みんな何かを知っているのだろうけど、誰もが貝の口。まぁ俺の日常には全く支障がないのなら、それでも良いかとは思った。だが、それでも気になることには間違いない。
それに、近頃…妙な夢を良く見る。
それは、青い夢。それも…必ず、俺が殺される夢。
何を意味するのかは全くわからないが…その夢を見た後は妙に切ない。殺されているのに奇妙な話だが…目が覚めたら泣いていたと言うことも、何度かあった。
しかし、そんなことを誰かに相談出来るかと言えば…出来るはずもない。
ゼノンにでも話せば良いのかも知れないが…話したからと言って、その夢が消えるとも思えない。
結局誰にも話せないまま、時間が過ぎて夢を忘れるのを黙って待つしかなかった。
執務室の窓から侵入するのは、最早ルークの専売特許となっていた。
「やっほ~、デーさんっ」
「…ルーク。ちゃんとドアから入って来いと、何度も言ってるだろうが…」
呆れたように溜め息を吐きながらも、デーモンはちゃんとルークを迎え入れてくれる。そんな寛大なところがルークは堪らなく好きなのだが。
「終わったのか?」
デーモンに尋ねられ、窓枠に腰かけたままのルークは満面の笑みを零す。
「まぁね。やっぱり、相棒との相性って大事ね」
「そりゃぁそうだろう。御前が長年一緒に組んで来た相棒だからな」
軽く受け流すように、デーモンは言葉を発する。いつもなら、笑ってくれるはずなのだが…今日は、そんな笑みも零れない。
職務に戻ろうとするデーモンの後ろ姿を見つめ、ルークは目を細める。いつになく暗いその表情の裏に、まだ割り切れない彼がいることに、ルークは気付いていた。
「…御免ね…」
「…ん?何がだ?」
急に謝ったルークに、デーモンは怪訝そうに問いかける。
「俺だけ…エース、独占してるみたいで…」
そう零したルークの表情は、笑ってはいない。笑顔の消えたルークは…まるで…火が消えたみたいで。
「…気にするな、そんなこと。第一、独占も何も…相棒だろう?御前の」
「…デーさん…」
笑ってみせるデーモンの姿が、とても痛々しく見えるのは…多分、気の所為じゃない。
「また…痩せたね、デーさん。背中が小さくなった…。まだ…夢に見るの?エースのこと」
「…たまにな」
そう答え、デーモンは目を伏せる。
実のところ、たまにどころか毎日のように夢に見ている。だがそれを口にすれば、また余計な心配をかけてしまうとわかっているから、デーモンはそれ以上は何も言えない。
赤い、夢。
その色は薄れても想いだけは…情熱だけは、消えることのない炎のようで。その夢を見る度に、変わってしまったエースと顔を合わせるのが辛くて仕方がなかった。
僅かに聞こえた、ルークの溜め息。
「俺は…好きだよ。デーさんのことも、エースのことも。だから…正直、デーさんを見てるのも、エースを見てるのも辛い。でも…俺は、笑うよ。俺が心配かけちゃ駄目だもんね。俺が…こんなこと言うのは、これっきり。今日だけ…許してよ…?」
つと、頬を流れたのは一筋の涙。けれどそれを拭い、ルークは笑った。
「また、明日ね。今度はちゃんと、報告書持って来るから」
「…あぁ」
ルークはそれだけ言って、再び窓から飛び立って行った。
その前向きな姿は…いつでも、彼らに勇気をくれる。
だから…自分も、前を向いて進まなければ。
そうは思うものの…なかなか、思うようには進めない。
けれど…自分で、選んだ道だから。後悔はしない。
幾度も繰り返した思いを、今一度、心の中で噛み締めていた。
日は過ぎ、俺は先日の任務の報告書をダミアン様に出し終え、ついでの用事で副大魔王の執務室を訪れることになった。
「…ったく…何も、俺に頼むことないじゃないか…」
ダミアン様の命(めい)で書類を副大魔王の執務室に届ける羽目になってしまったのだが…この足取りが極めて重いんだな。それは、俺が副大魔王と顔を合わせるのが嫌だから。
何故かと問われると、答えに困るのだが…とにかく、嫌なモノは嫌なんだ。しかしダミアン様の命を断る訳にもいかず。
わかってはいるんだ。ダミアン様が、面白がって俺に仕事を押しつけていることは。まぁ…仕方のないことだとは思っているが。
それは扠置き。
溜め息を吐きつつ副大魔王の執務室の前までやって来た俺は、そのドアを叩こうと腕を伸ばした。その時、ふと零れて来る声に気付いた。
『…今日は遊びに来た訳じゃないんだよ。ゼノンに頼まれてね』
この声はルーク、だ。また執務を抜け出したのかと思いつつ、思わず聞き耳を立ててしまった。その内容は…
『…夢の、こと』
俺は一瞬息を飲んで…思わず気配を殺す。
『…あんたが頻繁に魘されてるなら、もう一度催眠分析をしようか?って。いつまでも、執着するのは辛いでしょ?』
『無駄だろうな。催眠分析をしても。ゼノンだってわかってるだろうが。吾輩の夢は、彼奴の色だと言うことは』
『…でもさ、また酷いことにでもなったら…今度こそ、取り返しは付かないんだよ?エースの時と同じように…ううん、それ以上に酷くなることだって…』
話の主旨は掴めないが…どうやらこいつらは俺のなくした記憶に関し、重大な事実を隠しているらしい。
だったら何故、俺に話してはくれないのか。何故隠し通すのか。俺の記憶を、俺が知って何が悪い。
無性に腹が立って…俺は、手に持っていた書類を、無意識に手放していた。床に落ちた書類の紙擦れの音が小さく響いた瞬間、俺はそのドアに、思いっきり蹴りを入れていた。
直ぐに内側からドアが開かれる。
「…っ!!エース…いつから、そこに…?」
目を見開き、驚いたように問うルーク。俺は書類を拾うことすら忘れ、ルークと…そしてその向こうに見える副大魔王を、しっかりと見据えていた。
「…俺の時とは、どう言うことだ」
俺は二名を睨み付けたまま、そう問いかける。瞬間に目を逸らすのは、ルーク。副大魔王はと言えば…真っ直に、俺を見つめていた。
「…デーさん…」
副大魔王を振り返ったルーク。不安げな表情を浮かべるこいつは、主犯じゃない。と、言うことは。
「答えろ」
俺は、視線を副大魔王のみに向けた。決して、逸らさない奴の眼差し。その眼差しは、僅かに熱を帯びていて。
「わかった。話してやろう。どうせ、いつかバレることならば」
「デーさんっ!」
副大魔王の声を遮るかのように、ルークは声を上げる。
「ルーク、御前は黙ってろ」
副大魔王にそう言われ、ルークは口を噤んだ。しかし、その表情は、物言いたげで。
副大魔王はルークの眼差しから逃れるように背を向け、背後の窓から外に目を向けた。
「御前が記憶喪失になったと言うのは、あれは嘘だ。正確に言えば…御前は…精神(ココロ)が、壊れていた。それを助ける為に…吾輩は、その原因とも言える、御前の魂の一部分を殺した。それは、御前が望んだことでもあり…吾輩たちが、御前を助ける為には最良の手段だった」
「殺した…だと!?俺の魂を、殺したのか!?何の権利があって、御前がそんなことをしたんだっ!!」
思わずカッとなって怒鳴る俺の身体を、ルークが留めていた。
「あんたが望んだんだよっ!デーさんだって、散々悩んだんだからっ!あんたに、デーさんを責める権利なんてないよっ!!」
「うるさいっ!貴様は黙ってろっ!!」
俺は思わず、魔力を以ってルークを跳ね飛ばしていた。
「…っ!!」
感情の所為で魔力の制御が出来ず、無残にもルークは壁に激突してしまったが、そんなことに構っていられない。
殺された俺の魂。失った俺の記憶。その全てが今の俺の知らないところにある。突然そんなことを言われ、冷静でいられるはずがない。
今の俺の中にあるのは、彼奴への憎しみと言うか、押さえ切れない感情だけ。
ルークは背を強く打った為か、壁によりかかったまま、ぐったりとしていた。
「ルークっ!!」
咄嗟に駆け寄ろうとした副大魔王の前に立ちはだかり、俺は押さえ切れない感情を、彼奴にぶつけた。
「貴様だけは許せねぇ…っ!!」
そう声を発するのと略同時に、俺の拳は副大魔王の頬をしっかりと捕らえていた。
「く…っ」
辛うじて踏み留まったと見える奴のその眼差しは、次の瞬間には、真っ直に俺を捕らえていた。唇の端から流れる血を拭い、その言葉を発する。
「初めから、御前に許して貰おうなどとは思ってない。御前が吾輩を憎むのなら、それも良かろう。ただ、一つだけわかっていて貰いたいのは…御前の生命を、無駄には出来なかったと言うことだ」
「情けの押し売りか!?そんな言葉で瞞されるかっ!!」
「言っただろう。許して貰おうとは思わぬと。後は、御前が決めることだ。吾輩は、事実を伝えただけだ」
「だったら、決めてやるっ!俺はもう二度と、貴様の顔を見るのは御免だっ!」
ここまで来たら俺自身でも感情を留めることは不可能だった。頭に来たついでに口走った言葉は、取り消すことは出来ない。尤も、取り消すつもりもない。
俺は振り向きもせずに、執務室から駆け出していた。
行き先は決まってはいなかったが、副大魔王に拳を向けた以上、情報局に戻れないことぐらいはわかっていた。
廊下を走り抜けようとしたその時。俺と、反対方向から歩いて来る、見慣れた姿。
「…エース?」
そいつは不思議そうにつぶやいていたが、俺は止まることもせず、ただ我武者羅に走り抜けた。
一刻も早く…そこから、逃れる為に。
「…大丈夫か?ルーク」
自力で立てずに壁に凭れているルークに手を貸し、その身を起こさせる。
「…デーさんこそ…大丈夫?」
「あぁ、吾輩は大丈夫だ」
やっとで立ち上がったルークは、自分の状態など気にも留めずにデーモンの頬にそっと触れた。その指先が淡く輝き、腫れていたデーモンの頬を癒して行く。
「…悪いな」
デーモンは小さくつぶやき、僅かに目を伏せる。
今度こそ、エースに嫌われてしまったか。
そう、聞こえたのは幻聴ではないだろう。
「…御免ね…俺が、あんな嘘言ったから…」
「御前の所為じゃない。誰も、そんな風には思っていないだろう?」
「でも…エース…昔に戻っちゃったし…あんなに…デーさんのこと、嫌うなんて…」
ルークはうなだれるように下を向き、小さくつぶやく。
「あれが、本来のエースだったんだろう」
----仕方ないだろう。
デーモンはルークの頭をポンポンと軽く叩きながら、そう言葉を続けた。
しかし、一番辛いのはデーモンなのだ。あれ程愛していると言った存在が、今は自分を憎んでいるのだから。そしてそれを、目の当たりにしたのだから。
デーモンとルークの両名が、深く沈んでいたその時。
「…デーモン、エースが今、物凄い顔で走って行ったけど…」
そう言いながら入って来たのは、ゼノンだった。
「あぁ…」
言葉を濁すようにつぶやいたデーモンの声に、ゼノンはただただ頭を傾げるだけだった。
我武者羅に走って来て辿り着いたのは、聖地に程近い草原。大きな木が、そこに一本だけ立っていた。
前にここに来たのは、どれくらい前だっただろうか。俺はそう思いながらその木に凭れかかり、地に座り込んだ。
「…クーヴェイ……」
懐かしむように流れる言葉。
俺の気が荒立っているのは、全て彼奴が勝手に俺の魂を殺したからだと、そう思っていた。そして、その感情を全て彼奴にぶつけたつもりだった。
それなのに……憎んでいるはずなのに…胸が苦しいのは、何故だろう。
「…何なんだよ…一体…」
小さくつぶやき、身体を幹に任せる。優しい温もりが、俺の身体を包んでくれる。
いつの間にか俺は…そのまま、意識を手離していた。
ぼんやりと明るい空間。そこが何処だか、わからない。
『…エース』
「…?」
懐かしい声に呼ばれ、俺は振り返った。
「…クーヴェイ…」
振り返った先に立っていたのは懐かしの奴、レイラ=クーヴェイ。昔俺の補佐をしていた…そして、俺が心底信頼していて…とても大切だった存在。
クーヴェイは昔と変わらぬ笑顔を俺に向ける。まるで昔に帰ったような気分を感じた。
そう…クーヴェイが死んでしまってからこいつの中の時間は止まっているのだから、無理もない。
これは、夢だ。クーヴェイは、俺自身の手で弔ったのだから。
けれど…夢でも、構わない。現実では決して逢えないこいつと向かい合っているのだから。
胸の奥が、小さく波を立てる。あの頃の想いが…俺を、呼び戻し始めていた。
「御前に…逢いたかった。もう一度」
あの頃を取り戻すように言葉を発した俺に、クーヴェイはすっと表情を曇らせる。
『エース…本当に、忘れてしまったんですね…』
「何の…ことだ?」
問い返した俺の声に、クーヴェイは頷く。
『貴方が覚えているのは、閣下に対しての憎しみだけなんですね…あれ程、閣下を憎まないで下さいと、御願いしたのに』
「……」
その声が、酷く寂しげだったものだから、俺は口を閉ざすことしか出来なかった。
憎まずに、いられるはずがない。こいつを失った原因がそこにあるのだから。
だがクーヴェイは、そんな俺の気持ちを既に見抜いていた。
『一つ、貴方に伝えて置きたいことがあったんです。それは、憎むばかりでは、大切なことは何も見えないと言うことを』
「だが、彼奴の判断ミスで御前を失うことになったのは事実だ。それに、俺の魂を殺したことも。彼奴が、自分でそれを認めたんだ。憎む以外にどうしろと?」
『確かにそうかも知れません。でもわたしのことはともかく…貴方のことは、そうしなければ貴方の生命が助からなかったのは事実なんです。一番最良の…そして最期の、手段だったはずです』
そう言葉を紡ぐクーヴェイは、その事実を全て見知っているようにさえ思える。
「俺は…死んだって構わなかった。そうすれば、御前の傍に行けたのに」
思わずそうつぶやいた声に、クーヴェイは小さく笑いを零していた。
『無理、ですよ。エースには。貴方は、現世に思い残すことが多過ぎます。貴方は、まだ死ねないはずです』
「クーヴェイ…」
そう、言い切られても…俺は、真剣にそう思ったんだけどな。だが、俺のそんな想いを軽く受け流し、クーヴェイは話を本題に戻すべく、表情を引き締めた。
『最終的に貴方を助ける為に決断を下した閣下は、何度も自問自答を繰り返したはずです。貴方を助ける為に、その魂を犠牲にするか。それとも、魂を助ける為に貴方を犠牲にするか。魔界にとって、貴方は必要不可欠な存在です。ですから、貴方を見殺しには出来なかった。それは当然のことでしょう?』
「…そりゃあな。わからなくはない。でも…それと、彼奴が俺の魂の一部を殺したことと、何の関係があるって言うんだよ。大体、彼奴が殺した俺の魂は…どうして、殺さなければならない状態だったんだよ。御前がこんな話をするんだ。真実を、知ってるんだろう?」
誰もが、口を噤むその理由が知りたい。自分の事なのに、自分だけ蚊帳の外にいる感覚は…決して、嬉しいものじゃない。
けれど、クーヴェイは小さく首を横に振った。
『わたしから、それを伝えることは出来ません。けれど…多分、誰もが同じ気持ちです。いつかまた…貴方が、同じ気持ちを抱いてくれることを信じているんです』
ゆっくりと、そう言うクーヴェイの声。その口調は、とても優しくて。
こいつは一体、何を俺に伝えようとしているのだろう。それさえも、今はわからない。
「…俺は…」
つぶやく声は、掠れていて。喉の奥が、無性に渇いているようで。
何を求めているのかわからないのに、その渇きだけは感じられる。
クーヴェイはにっこりと微笑み、言葉を続けた。
『思い詰めないで下さいよぉ~。そんなに悩むことではないんですから。ただ、自分に…正直に、生きて下さい』
クーヴェイの、呑気な口調が懐かしく。俺は、久し振りに心が安らぐ気がした。
「…クーヴェイ…有難うな…」
俺がそうつぶやくと、クーヴェイは、にっこりと微笑んで見せた。それが、俺への最後の忠告であるかのように。
ひんやりとした空気が、身体を包んでいた。肌寒さに、ゆっくりと目を開けた。既に日は落ちて薄暗くなっている。
「…クーヴェイ…」
俺は、大きく息を吐き出した。
憎むなと言われて、はいそうですかと直ぐに切り替えられる頭を、俺は持っていなかった。
でも、それでも…それが彼奴の、頼みなら。
「…仕方がない…取り敢えず…帰るか」
小さくつぶやき、重たい腰を上げる。吹き抜ける風は、多分…
「…またな。クーヴェイ」
俺は、今まで凭れていた木の幹に、そっと頬を寄せた。
僅かに、暖かい。幹の堅い感触はあるが、確実に暖かさを持っていた。
俺はそのまま、王都へと足を向けた。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
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