聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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STILL ALIVE 12
こちらは、以前のHPで2003年10月04日にUPしたものです
※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
13話完結 act.12
※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
13話完結 act.12
次の日から、ゼノンは己の執務室と研究室の整理を始めていた。
「…どうなされたのですか?」
いつもとは違うその様子に、怪訝そうに首を傾げたのは、報告書を持って来ていたレプリカ。
「うん…ほら、あちこちひっくり返して資料捜しをしたからね。きちんと整理しておかないと、次が困るでしょ?」
「まぁ…そうですけれど…」
そう言われても、何か素直に納得出来ないところがある。
それは、口にして上手く説明出来ない、奇妙な不安。
ゼノンの背中を見つめながら、レプリカは小さく問いかけた。
「…何処にも…行かれませんよね…?」
「…どうして?」
その手を休め、振り返る。その眼差しが、一瞬揺らめいたように思えた。
「ゼノン様が…考えそうなことですから…」
不安げに曇ったレプリカの表情。それを見て、ゼノンはくすっと小さな笑いを零した。
「不安なら、引き継ぎでもしておく?御前なら、次期局長になれそうだよ」
「ゼノン様…そんなことを言ったら、副官に失礼ですよ」
レプリカは当然、真剣な表情をしている。
「わたくしは、本気で…」
「わかってるよ」
レプリカの言葉を遮り、ゼノンは微笑んだ。
「御前にそんな顔をさせるなんてね…俺もまだまだだね。主失格だ」
「…ゼノン様…」
笑いを零しながらも、その眼差しは笑ってはいない。だからこそ、レプリカは後に引けない思いでいた。
今、話しておかなければ…ゼノンが消えてしまうような気がして。
「…わたくしが貴方様に忠誠を誓ったあの日から、ずっと…貴方様を見て来ました」
「…レプリカ?」
真っ直ぐにゼノンを見つめる眼差し。それは、一点の曇りもない。
「局長になられる前から…ライデン様に出逢うよりも、もっと前から…貴方様を知っております。一番近いところで、ずっと見て参りました。だからこそ…不安があるのです。貴方様が考えそうなことは…わたくしにはわかります」
「…そう。だったら、口出しはするな」
「ゼノン様…っ」
いつにない強い口調と共に、大きく息を吐き出したゼノンは、視線を下へと落とした。
他に聞いている者は、いない。だからこそ…長年仕えてくれたレプリカにだけは、伝えておこう、と。
「ライデンは…一国を背負う王になる。今までずっと、騙し騙し来たけどね…もう、そんな呑気なことを言っていられないんだ。けじめはつけなきゃいけない。俺は……彼奴には、相応しくはない」
「…どうしてですか?誰がそんな結論を認めると思いますか?ライデン様は、そんなことは望んではおられないでしょう?」
「ライデンがどうの、と言う問題じゃないんだよ」
「…ですが…っ」
「もうおしまいにしよう」
一歩も引かないレプリカの姿。今まで、ここまで食って掛かって来たことはなかっただろう。けれどそれは全て、主たるゼノンの為に。忠実であるからこそ…納得出来なかった。
「御前と言い合っても、どうにもならない」
「…ゼノン様…」
「…俺は、御前と出逢えて良かったよ。しがない研究者だった俺を信じてついて来てくれた。本当に、感謝してる。だからこそ…わかって貰いたいんだ。俺は今でも単なる研究者で…何かあればその身位なんて言うものは、直ぐに消えてしまうと言うこと。今まで、ずっと局長でいられたのが不思議なくらいだもの。自然発生である俺は、王家の血筋のダミアン様やライデンとは根本的に違う。元々有力者の血筋のデーモンともまた違う。自分の実力で身位を掴み取ったエースやルークとも違う。ただの…本当に、運の良い研究者だった。それだけの話なんだ」
「そんなこと…ゼノン様も、その実力を評価されたからこそ、局長になれたのではないのですか?」
「だから、運が良かったんだ、って。俺は、"鬼"になりたくないばっかりに、戦う場からも逃げた。研究でだって、そんなに大した結果を残した訳じゃない。運と、ヒトの良い上司に恵まれただけ。彼奴等とは、元々の土俵が違うんだよ」
そんな弱気なことを言うゼノンを、レプリカは真っ直ぐに見つめたまま。勿論、自分が信じて付いて来た主なのだから…何があっても、最後まで信じ通すつもりではいる。
ただ…ゼノンは、そんな気持ちを…何処までわかってくれているだろうか…?
震える吐息を吐き出したレプリカ。
「…せめて…ライデン様にだけは…」
「…御前が心配することじゃないよ。ライデンには…良い仲魔が沢山いるから。寧ろ…俺と関わる方が、雷神界にとっては心配の種だったのかもね」
くすっと、ゼノンが笑った。そしてその手を伸ばして、レプリカの頭の上にそっと乗せる。
「有難うね、心配してくれて」
「…わたくしの…大事な主、ですから。どんなことがあっても、貴方様を想う気持ちは…あの頃と、何も変わりませんから…」
小さくつぶやいたレプリカの言葉。その想いは、ゼノンも良くわかっていた。
ずっと…その想いに応えることは出来なかったけれど…何よりも…その気持ちが嬉しかった。
「…有難う」
その言葉が、全てだった。
全ての結論が出る日がやって来た。
研究室で最終的なカルテの確認をしたゼノンは、その報告書を持って皇太子の執務室を訪れていた。
ダミアンは、今やすっかり回復して執務に戻っている。
「…そう。それじゃあ、ウイルスはもう完全に消えた訳だね?」
その報告を聞いたダミアンは、目の前に立つゼノンにそう問いかける。
「えぇ。そう言っても過言ではありません。まだ数名、魔力が戻り切らない者もいるようですが、確実に回復に向かっていますから。念の為、《赤の種族》の血液から培養した抗体ウイルスも出来ていますし、同じウイルスは最早出回らないと思います」
「そうか。御苦労様だったね。誰よりも、御前が一番苦労したね」
にっこりと微笑むダミアン。
「色々…御迷惑をおかけ致しました。ダミアン様と約束した通り、何とかウイルスを撲滅させることが出来ました」
深々と頭を下げ、そう言葉を紡ぐゼノン。その姿を、ダミアンは目を細めて見つめていた。
「少なくとも、わたしは迷惑をかけられたなんて、思っていないよ。御前には、色々と世話をかけたしね。何より…御前のおかげで、わたしは何モノにも代え難いモノを手にすることも出来たしね」
それがルークの存在であることは、ゼノンにもわかっていた。
それはとても喜ばしいこと。ルークの想いも、やっと報われたのだから。
「有難う」
不意に、ダミアンのその言葉が耳に届いた。
「ダミアン様…」
胸が一杯になる。今まで溜まっていた想いが一気に溢れ出して、言葉に詰まる。
その瞬間、不意に緩んだ涙腺。
はらりと、一筋頬を伝った涙に、ダミアンはくすっと笑いを零した。
「泣かない、泣かない」
「…はい」
涙を拭って、微笑んでみせる。
それが、精一杯の想い。
自分がこれからしようとしていることに対しての、せめてもの償いだから。
「それでは、失礼します」
「御苦労様」
ダミアンは、それ以上何も言わなかった。だから、ゼノンも何も言わずに踵を返した。
その日の夕方。雷神界から戻って来たライデンが、構成員を集めての全快祝いを開こうと声をかけて歩いていた。ダミアン、デーモン、エース、ルークの執務室を回って、最後に文化局のゼノンの執務室を訪れたのだが…そのドアは固く閉ざされたままで、主は不在のようだった。
「いないのかなぁ…研究室かな?」
怪訝に思いながらも、地下の研究室へと足を進める。そして、ゼノンがいるはずの研究室のドアをノックする。けれどそこも、ドアが開かれることがなかった。
「…可笑しいな…」
奇妙な胸騒ぎがする。
慌てて踵を返し、ゼノンの屋敷へと向かった。
そして、その屋敷のドアを叩くと、中から現れたのは使用魔たるレプリカだった。
「レプリカ、ゼノン帰ってる?」
「…いいえ?まだ御戻りになられていませんけれど…?」
「え…?」
レプリカの答えに、ライデンはドキッとした。
何かが可笑しい。
その脳裏に過ったのは、一筋の不安。
「…まさか…」
「ライデン様…?」
その険しい表情のライデンに、レプリカも異様さを感じたのだろう。だが、呼びかけた声も、ライデンの耳には届いていない。ただ、不安だけが、唯一の感覚だった。
「…いないんだ…何処にも…」
奇妙な不安から、パニックに陥りかけているライデンを目の当りにして、レプリカはぎゅっと目を閉じる。
この時が来てしまった。そんな思いで…レプリカは大きく息を吐き出すと、ライデンへとその視線を向けた。
「…他の方に、連絡を入れます。一緒に捜していただきましょう」
「…何か知ってるの…?」
レプリカのその姿に、ライデンは震える声で問いかける。けれどレプリカは首を横に振った。
「…何も…聞いてはおりません。ですが…このままでは…きっと、もう御戻りにはなられないかと…」
「…どう言う事…?」
ライデンを真っ直ぐに見つめるレプリカの茶色の眼差しは、とても苦しそうに見えた。
「…ゼノンが帰って来ないって…どう言うことさ…何でだよ…っ!何処にも行かないって約束したのに!何でだよ!!」
思わず声を荒げ、レプリカの胸元を掴みあげる。勿論、レプリカに何の罪もないことはわかっている。けれど…その想いを、何処にぶつけたら良いのかわからなくて。
ライデンの気持ちを痛いほどわかっているレプリカは、ライデンにされるがまま。けれど、その眼差しだけは背けなかった。
「…まだ…何もわかりません。わたくしも一緒に捜します。ですから…」
その言葉に、ライデンは大きく息を吐き出すと、レプリカの胸元を握り締めた手を緩めた。
「…御免…」
「…わたくしは、大丈夫です。御待ち下さい。今、連絡を入れて参ります」
ライデンをリビングに促すと、レプリカは書斎へと足を向ける。
不安で一杯の想いは、ライデンもレプリカも同じこと。けれど…ライデンの手前、レプリカが感情を露わにすることは出来なかった。
ただ黙って、自分の仕事を全うするだけだった。
緊迫した空気の中、どれくらいの時間が経ったのかは良く覚えていなかった。
レプリカと共に心辺りを捜し回ったライデンであったが、結果は無駄足に終わっていた。
ゼノンの屋敷に戻って来ると、そこにはルークが待っていた。
「…ゼノンを捜してくれって…どう言う事?一体何があった訳…?」
状況もわからずにそう頼まれたルーク。勿論、あちこち捜してはみたものの、その姿を見つけることが出来ず…合流場所のこの屋敷にやって来たのだった。
「ルーク…」
ルークの顔を見て、少し緊張が解けたのだろう。ルークを見つめるライデンは、今にも泣き出しそうな顔をしている。
その時、エースがやって来た。
「ゼノンに一体、何があったんだ?」
同じように、怪訝そうに眉を潜めたエースが問いかける。ルークも首を傾げたまま、じっとライデンを見つめていた。
「…ゼノンが…いなくなっちゃった…」
ぽつりとつぶやいた声。
「…まさか…冗談だろ?」
「執務室は?研究室には行ったのか?」
エースとルークが相次いで問いかける声にも、ライデンは首を横に振った。
「執務室も研究室も鍵がかかって開かない。気配もない。ここにも帰ってない。レプリカと一緒に捜したけど、森にもいないし…他に、彼奴が立ち回りそうなところにも…何処にもいない…」
涙声でそう答えるライデン。エースとルークは、大きく溜め息を吐き出して顔を見合わせている。
「じゃあ、ここの書斎は?何か手がかりぐらいないのか?」
そう言ったエースの声に、レプリカが首を横に振った。
「書斎には、わたくしが先程皆様に連絡する為に入りました。けれど、いつもと何も変わりはありません。掃除も我々が行っていますので、何かあればわかります」
「そうか…。じゃあやっぱり、執務室か研究室だな。とにかく行ってみよう。何か手がかりがあるかも知れない。合い鍵は…レプリカ、知ってるか?」
エースの問いかけに答えたのは、ライデンだった。
「…合い鍵は、ないよ」
「ない?どうして?」
「ゼノン…自分の留守に、他の奴が執務室に入るのを嫌がってた。重要な研究の書類もあるから、って。だから、合い鍵はないんだ。少なくとも、俺はそう聞いてた」
「ホントか?」
問いかける声に、レプリカが頷いた。
「はい。執務室の鍵は、ゼノン様が御持ちの一つだけです。多分、副官の翠雨様でもゼノン様がいない時には執務室に入ることは出来ないと思います。ですが、研究室なら…もしかしたら…」
「じゃあ、まず研究室に行ってみよう」
そう簡単に見つかるのなら苦労はしない。そんな意識が過ぎったものの、悲痛そうなライデンの前でそんなことは口が裂けても言えない。
それは、エースもルークも…そしてレプリカも、抱いていた想いだった。
連れだって文化局へとやって来た彼等は、ゼノンの研究室の前で足を止めた。
「…少々御待ち下さい…」
そう言うと、レプリカは踵を返すと、走って何処かへと行ってしまった。そして暫し後、再び走って戻って来た。
「…御待たせ致しました…」
そう言うと、ドアについている番号のプレートを外した。そしてその裏に填め込まれた研究室の鍵を取り出した。
「…そんなところに…」
「多分、これで開くと思います」
そう言うと、鍵を鍵穴へと入れ、そっと回す。カチリと言う音と共に、研究室の鍵は開いた。
「…開きました…」
その言葉に、誰もが思わず息を飲む。
この向こうに何があるのか、想像もつかない。勿論、何もない可能性は大いにある。
ゆっくりとドアを開け、電気をつけて中へと足を踏み入れる。
がらんとした研究室の中は…資料が棚にきちんと納まっているだけで、余計なモノは何一つ出ていなかった。
ついこの間まで、ここには終日ゼノンの姿があった。けれど今はまるで…もう何年も使っていない研究室のようにも思えた。それくらい、何の気配もなかったのだ。
大きな溜め息を吐き出し、エースは研究室の中をぐるっと見回した。
「…ハズレだな…」
「…そのようだね…」
ルークも同じように溜め息を吐き出し、ライデンを振り返る。
電源の落とされたコンピューターの前に立つライデン。その画面に映る顔は…生気も感じられなかった。
「…ねぇ…誰から鍵の場所、聞いたの…?」
感情の欠片も伺えない、ライデンのその声。
自分も知らなかった、研究室の鍵の在り処。レプリカも知らないと言っていたはずなのだから、誰かから聞いたとしか思えない。
その物問いたげな言葉に、レプリカは小さく息を吐き出した。
「…テオ室長から…聞きました」
「…テオ=ホリィか…」
久しく聞いていない名前だったが…誰もがその名前を聞いた途端に溜め息を吐き出した。
ゼノンの士官学校時代の仲魔たる"テオ=ホリィ"。ゼノンの同胞たる"天邪鬼"の彼は、レプリカの直属の上司でもあった。
以前…彼等の間で一騒動を巻き起こした、ゼノンの失踪事件。テオ=ホリィに振り回されたあの時は、この文化局の地下深くで、ゼノンの本性である"鬼"とのバランスを取る為に、ゼノンもその一室に篭っていたはず。それをふと思い出したライデンは、ほんの少しの期待をレプリカに向けた。
「…そう言えば…"鬼"はどうしてる?まだ、あの場にいるの…?」
思わずそう問いかけたライデン。もしも、"鬼"がまだ閉じ込められたままなら…ゼノンの居場所がわかるかも知れない。
けれどレプリカは、首を横に振った。
「テオ室長の話では…ゼノン様は、数日前に既に"鬼"をあの場から解放しているそうです。ですから、多分…今は、ゼノン様の身の内に」
「そう、か…」
ささやかな希望を一つずつ潰してくれる。それだけ、覚悟の失踪なのだろうとの予測は付いた。
「…じゃあ…執務室を見て来るか…」
最後の望みは、そこしかなかった。
重い足を引き摺るように、彼等は研究室を後にして、主のいない執務室へと向かった。
執務室の前までやって来た四名。もう一度そのドアノブに手をかけたライデンだったが、やはりそこは固く閉ざされたまま、開く気配はない。
「退いてろ」
エースが、一歩前へ出る。そしてその手に魔力を集めると、ドア目掛けて能力を放つ。当然、そのドアは強制的に開かれた。
執務室に踏み入った途端に感じたのは、奇妙な違和感。思わず、誰もが息を飲んだ。
「…ここも、か…」
きちんと整えられた執務室。その全てが、何かを覚悟して整えられたかのように整頓されていた。
「…いつの間に、こんなに綺麗に…」
独り言のように零したルークの声に、小さな溜め息を吐き出したのはレプリカ。
「数日前…こちらに報告書を届けに来た時に…片づけをしているゼノン様と遭遇致しました。その時から…不安は…ずっとありました。でも…ゼノン様は、わたくしに口出しするな、と…」
「…何で…」
小さくつぶやいた、ライデンの声。
「…けじめを、つける為だと。自分は…一国の王となられるライデン様には…相応しくはないから、と…」
「………」
とても、空気が重い。
「申し訳ありません…その想いを知りながら…わたくしには…留められませんでした…」
俯き、唇を噛み締めたレプリカの表情に、後悔の色が浮かんでいた。
誰も、レプリカを責めることなど出来ない。彼を責めたところで…主に逆らえなかった気持ちは、痛いほどわかっていたから。
「…あんたの所為じゃない…」
「…ライデン…」
執務机を真っ直ぐに見つめていたその瞳から、はらりと零れた涙。
「…御免な…俺が余計なこと言わなければ…王位継承の準備が始まっただなんて言わなければ…まだ、いてくれたかも知れなかったのに……」
「…おい、大丈夫か…?」
ライデンの様子が可笑しい。そう思ってエースが声をかけた瞬間。ライデンの足下が崩れ、床へと倒れ込んだ。
「ライ…っ!」
慌てて手を差し伸ばしたエース。その腕の中のライデンは、完全に意識がなかった。
大きな溜め息が零れる。
「……レプリカ。医務室に連れて行ってやってくれ」
「…畏まりました…」
大きく息を吐き出したレプリカは、エースの腕からライデンの身体を引き渡される。
「ルーク、手伝ってやれよ」
「…何で俺な訳…?」
眉を潜めるルークに、エースは溜め息を一つ。
「俺は急用。ほら、さっさと手伝う」
「…もぉ…勝手なんだから…」
文句を言いつつも、ルークは手を差し伸べる。
医務室へ向かう背中を見送りつつ、エースは改めて執務室の中をぐるっと見渡した。
研究室と同じように、綺麗に片付けられた部屋。けれどここには…引っかかる何かがある。
そう思いつつ、更に奥へと足を進める。そして、机の一番上の引き出しから、その奇妙な波動を感じ取ったエースは、徐ろにその引き出しを開けた。
すっかり物がなくなった引き出しの中に入っていたのは、一通の封筒と、小さな水晶の付いたペンダント。そして、真白な仮面が一つ。仮面に関してはエースも咄嗟に意味がわからなかったのだが…一緒にある、と言うことは、何か意味があるものなのだろう。
「…まだ、思い残すことがあるのなら…こんな結論を出すなよな…」
溜め息と共に、その三つを手に取る。
そして、エースは執務室を後にした。
エースが医務室へと向かうと、そこにはベッドに横たわるライデンと、傍で見つめるルーク。そして、口を噤んだレプリカの姿があった。
「…ライデンの様子は?」
問いかけた声に、ルークは大きな溜め息を吐き出す。
「ショックで気を失ったんだろうって。倒れた時もあんたが直ぐに手を出したから何処もぶつけてないし、目が覚めたら大丈夫だろう、って。医師はね、一応雷神界に連絡しに行ってる」
「…そう、か…」
未だ、意識の戻らないライデン。その顔を、寂しげに見つめていたルーク。
「…相応しくない、って…何なんだろうな。今までずっと…傍にいたのにね…」
「まぁ…ライデンとの関係については、昔から何度も悩んでいたからな。今回のことで…全部捨ててしまう決心が付いてしまったんだろう。これが、少しでもライデンの救いになれば良いんだけどな」
そう言ってエースが取り出したのは、先程ゼノンの執務室の机の引き出しから持ち出して来たモノ。一通の封筒と、水晶の付いたペンダント。そして、真白な仮面、だった。
「…何、それ?」
眉を潜めるルークに、エースは溜め息を一つ。
「詳しいことは、これから相談しよう。俺はこれを持って、先にダミアン様のところへ行く。デーモンも呼んでおくから、ライデンが動けるようになったら、一緒に来てくれ。一応…御前もな」
エースはその視線をレプリカへと投げる。その視線を受けて、レプリカは小さく息を飲んだ。しかし、今何を言う事も出来ず、ただ小さく頷いていた。
「…畏まりました」
エースの手の中にあるモノが何を意味するのかは、まだ良くわからない。だが、ゼノンが残して行ったと言う波動は、ルークも感じ取った。
「ライデンのこと、頼むな」
「了解」
エースは踵を返し、医務室を出て行く。
「…折角…みんな倖せになれると思ったんだけどな…」
小さくつぶやいたルークの声を、レプリカは唇を噛み締めたまま、黙って聞いていた。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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筋金入りのオジコンです…(^^;
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