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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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STILL ALIVE 2
こちらは、以前のHPで2003年07月12日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
13話完結 act.2

拍手[1回]


◇◆◇

 その日の夕方、己の執務室でウイルスのデーターと格闘しているゼノンの元を、エースが訪れていた。
「…あぁ、いらっしゃい」
 エースの姿に、大きな溜め息を吐き出したゼノン。その溜め息に、エースは怪訝そうに眉を潜めた。
「何だよ、顔見るなり溜め息って…」
「…ルーク、ダミアン様の所に行ったって。御前が言ったんでしょ?」
「…そのことか…」
 ソファーに腰を下ろしたエースは、大きな溜め息を吐き出す。
「俺の服に、ダミアン様の血が付いてたんだ。それを目ざとく見つけたルークから問い詰められてな…行っても会えないと言ったんだが…」
「…ルークだからね…知られたら最後だとは思っていたんだけど…」
 小さな溜め息を吐き出したゼノン。そして、持って来た書類の束をエースの前にばさっと無造作に置く。
「はい、報告書ね」
「そうイラつくな。ルークのことは俺が悪かったよ。でもな、あの剣幕で押し切られてみろ。言わない訳にはいかないだろうが」
「だからって、言ってしまったらもっと傷付くじゃないのさ」
「だから悪かったって…」
 いつになく荒れているゼノン。まぁ…ここは、エースが折れるしかない。
 溜め息を吐き出しつつ、エースはそう言って頭をぼりぼりと掻く。そして改めて、ゼノンに問いかけた。
「まだ…見当も付かないのか?」
 流石に、ゼノンもいつまでも怒っている訳にも行かない。仕事は仕事で、きちんとしなければ。
 大きく息を吐き出して心を鎮め、口を開いた。
「まぁね。調査結果は、一向に進歩がない。どう言う訳か、分析結果が出ないんだ。要は…今まで見たことがないってこと。つまり、治療方法がまだ見つからないってこと…」
「ウイルス性の…って言ってたよな?」
 その書類に目を通しながら、自分の向かい側に座ったゼノンに問いかける。
「ウイルス性の病気であることは確かなんだ。ほら、人間界でもあったでしょ?血液の病気で、血小板の減少で血が止まらなくなるってヤツ」
「それだ、って言うのか?」
「それと同種、とは言い切れない。あれだって、ウイルス性の病気じゃないしね。それに、現状としては、一応表面上の傷は塞がってるんだ。ただ、内側の傷が癒えない。薄皮一枚の下は、絶えず出血してるってこと。血が止まっているように見えるだけ、厄介だよ。それに加えて、ずっと続いている微熱も体力も奪って行くしね…」
 その言葉と共に、溜め息が零れる。
 悪魔に備わっている一際高い自然治癒力ですら、その病には役に立たないと言うことなのだから。
「ダミアン様だからまだ何とか持っているものの…これが一般の悪魔だったら、今頃どうなっているか…」
 そうつぶやいて、ふとダミアンの言葉が脳裏を過った。
「…そう言えば、エース…最近、デーモンと会ってる?」
 尋ねた声に、エースは再び怪訝そうに眉を潜めた。
「何だよ、藪から棒に…言って置くが、喧嘩はしてないからなっ」
「いや、そう言うことじゃなくて…何か、気が付いたことない?」
「…気が付いたこと?」
 その質問の意図が良くわからず、首を傾げているエースに、ゼノンは言葉を補う。
「だから…例えば、顔色があんまり良くないとか、食欲がないとか、良く眠れないとか…」
「体調云々、ってことか?」
「まぁ…ね」
 暫しの沈黙。そして口を開いたエース。
「言われてみれば、少し元気がないな。ダミアン様のことを心配しているんだろうと思っていたんだが…あんまり直ぐに何処が悪いって訴える方じゃないから、気にもしていなかった。それがどうかしたのか?」
「ちょっとね。ルークの方は?」
 的確な答えを得られないままに次を問いかけられ、当然エースは渋い顔である。
「ちょっと体調が悪いみたいだ。この前、俺の執務室の前で倒れた。眩暈がしただけだって言ってたが…多分、軽い貧血じゃないかと思ってるだろうな。具合が悪いなら御前に診て貰えって言ったんだが、それどころじゃなかったんだろう。丁度、皇太子宮に行く前だ」
「そう…」
 やはり、ダミアンの言葉は的確だったと思いつつ、ゼノンは大きな溜め息を吐き出す。
「どうした?」
 それを怪訝に思ったエースは、真っ直にゼノンを見つめていた。
「ルーク…皇太子宮でも倒れてるらしいんだ。そこにデーモンもいたみたいなんだけど…」
「…デーモンからは何も聞いてないぞ?」
「単なる貧血だと思ってるだけだろうからね…」
 ゼノンはそう言うと、小さく息を吐き出す。
「…デーモンとルーク、呼んで来てくれない?検査がしたいんだ」
「ルークだけじゃなく、デーモンも…?」
 問い返す言葉に、ゼノンは再び溜め息を吐き出し、その目を伏せた。
「何が起こっているのか、俺にもまだ何もわからないよ。ただ…多分、何かが起こり始めているのは、間違いないんだと思う。だから、最悪の事態になる前に…ね」
「……」
「とにかく、なるべく早く頼むよ。俺はいつでも出来るように、検査の用意をして置くから」
 尋常ではない状況に、エースは訳もわからずに頷かざるを得なかった。

 翌日、早速デーモンとルークの検査が行なわれた。そしてその結果の出た数日後、エースはゼノンの執務室にやって来ていた。
「どうだ?結果は」
 何処か不安げな表情を見せるエースに、ゼノンは小さな微笑みを一つ。
「そんな心配そうな顔しなくても、大丈夫だよ。検査の結果で言えば、デーモンは大きな異常も見られない。ただちょっと、疲れてるみたい。魔力がちょっと落ちて来てるかな、って言う程度だよ。ゆっくり静養すれば問題ないと思う。デーモンにも、そう伝えたよ」
「ルークは?」
 問い返す声に、ゼノンの微笑みが静かに途切れる。
「うん…ちょっとね。やっぱり、体調が優れないみたい。原因は良くわからないんだけど、貧血気味。免疫力も少し落ちてるかな。最近、忙しいみたいだし…気持ちも荒れてるしね…同じ日に二回も倒れてるから、出来ればゆっくり休んで欲しいんだけど…多分、拒否されるだろうね…」
 検査の結果は、両名とも大きな異常は見られなかった。ただ、それが本当に安心出来る結果だったのかどうか、ゼノンには判断し切れないところもあったのだが。
「それはそうと…ダミアン様の様子は?」
 ほっと一息吐き出したエースが、次に問いかけた言葉。
「変わりない。微熱も下がらないし、傷も内部は全く癒えない」
 それが、胸の奥に引っかかっている。
 表情の優れないゼノンに、エースは溜め息を一つ。
「御前も少し休んだ方が良い。ダミアン様のことと、デーモンやルークの心配と、日常の執務とじゃ、休む暇がないだろう?」
 ゼノンもこのところ荒れている気がする。多分…夜もゆっくり眠っていないのだろう。
 けれど、エースのそんな心配も、一笑で終わらせてしまう。
「俺は大丈夫。丈夫だけが取得だからね。まぁ、デーモンとルークも、今回の検査はそれ程悪い結果じゃなかったけど、ちょっと様子を見た方が良いかも知れないね」
「それは俺に任せろ。休める時に休んでおかないと、肝心な時に御前に倒れられでもしたら一大事だからな」
 相変わらず心配そうな表情を見せるエースに、ゼノンは小さな微笑みを一つ返す。
「わかってるよ。今日はゆっくりするから、心配しないでよ。ライデンも久し振りに遊びに来るって言うから」
「なら、良いけど…」
 幾らゼノンでも、久し振りに帰って来るライデンを放っておいて、研究室に籠もり切りになることはないだろう。それがエースに安堵の溜め息を吐き出させた。
「エースも気を付けてね」
「丈夫だけが取得だから」
 くすくすと小さな笑いを返し、ゼノンの執務室を後にするエース。ただその胸の内は、奇妙な不安の波があることは言うまでもない。
 はっきりと検査の理由も告げないゼノン。何かを隠しているのがわかるだけに、エースも心の底から安心は出来ないのだ。

◇◆◇

 その夜、ゼノンが言っていたように、彼の屋敷を訪れたライデンの姿があった。
「どうした?顔色、良くないみたいだけど」
 ゼノンと顔を合わせたライデンの第一声が、それであった。
「ちょっと、疲れてるだけだよ。ここのところ、忙しかったから」
 平然とそう返す言葉に、ライデンの表情が曇る。
「…ダミ様のこと…?」
「ライ…」
 余計な心配をかけないようにと、連絡はしていなかったはずである。だがライデンは、それを何処からか聞きつけていたようだ。
「一応…雷神界の跡取りとして、情報網だけは確保してるから。あんたが何も言わなかったのは、理由があるんだろうとは思ってたんだけど……微熱と怪我…治らないんだって?」
「…大丈夫だよ。そんな顔しないで」
 魔界でのことに、ライデンを巻き込んではいけない。ゼノンのそんな意識を読み取ったのか、ライデンの表情は暗いままである。
「胸騒ぎが、するんだ。嫌なことが起こりそうな予感がする」
「…ライ…」
 その胸騒ぎが、誤審であって欲しい。ライデンが見せた表情は、それであった。
「…大丈夫…ダミアン様だもの…」
 ゼノンはそう零すと、腕を伸ばしてライデンを抱き締めた。
 多分…それは、自分自身に向けた言葉だったのだろう。
 一番…不安で堪らないのは、ゼノン自身だったのかも知れない。
「今日は…癒してあげるからね」
 そう言ったライデンは、ゼノンの背中に腕を回し、ポンポンと叩く。
 抱き締めたライデンの温もりだけが、今一時の安らぎだった。

 時同じ頃、デーモンの屋敷にはエースの姿があった。
「検査の結果、届いたんだろう?」
 テラスのテーブルにグラスを運ぶデーモンに向け、エースはそう言葉を放つ。
「あぁ。異常なし、だ。ただ、ゆっくり休め、とな。どうせ御前も、聞いて来たんだろう?」
 くすくすと笑って見せるデーモン。その表情には、自分の健康に対する不安など、微塵も感じない。
「ルークは貧血気味だってさ」
「そうか。ダミアン様の寝室の前で倒れたし、顔色、悪かったからな…」
 先日の様子を思い出すように、デーモンは言葉を零す。
「ゼノンに聞いて驚いた。ダミアン様のところに行く前に、俺の執務室でも倒れたんだ。同じ日に二回も、だ。それなのに、休もうとしないしな…」
 今、一番落ち込んでいるのは、他の誰でもなく、ルークなのだ。今は、その気持ちを押し殺すように、仕事に忙しく動き回っている。その気持ちを察してやるだけでも胸が痛いと思うのは、きっとデーモンだけではないだろうが。
「御前は…ダミアン様に会ったのか…?」
 ルークが口走った言葉を思い出したデーモンは、小さく問いかける。
「…ゼノンが往診の時に、少しだけな。どうしても、ダミアン様のサインが必要でな」
 ルークに聞いたのか?
 問い返すと、デーモンは僅かにその眼差しを伏せた。
「ルーク…相当ショックだったみたいだ。無理だって言うことはわかってるはずなんだが、何度も結界を破ろうとして…傷だらけになって。泣きながら、訴えてた。その後倒れたんだが…それでもダミアン様は、ドアを開けないだろう?それで尚更、傷付いただろうな」
「そればっかりは、仕方がない。原因が何もわかってないんだ。危険な目に合わせる訳には行かないって言う、ダミアン様の親心だろう」
「それはそうなんだろうが…ただ、ルークは割り切れないところがあるんだ。常にダミアン様から可愛がられてたから、急に突き放された、みたいに思ったんだろう」
「…ルークはただそれだけの感情じゃないだろう?」
 ルークがダミアンに向ける感情が、単なる尊敬や敬愛だけでなくなっていることは、エースもデーモンも気付いていた。当然、ゼノンも。だからこそ、第三者から見ればダミアンの親心も、ルークにしてみれば突き放されたように思うのかも知れない。
「今は…様子を見るしかない。元気になりさえすれば、まだダミアン様の方から声をかけてくれるさ」
「…だと良いんだが…」
 デーモンまで暗い表情を見せかけたので、気持ちを切り替えるかのように、エースはくすっと小さな笑いを零す。
「明日は休暇だろう?御前もたまには、ゆっくり休んでろよ」
「わかってる」
 久し振りの休暇は、確実に休息に当ててやりたい。エースのそんな気持ちも、デーモンには良くわかっていた。
 だからこそ、自分も落ち込んでいる場合ではないのだ。
「今夜は、泊まって行くんだろう?」
 気持ちを切り替え、そう問いかけた、デーモンの声。
「いや…今日は帰る。俺がいたら、休めないだろう?」
 気遣う声にも、笑いが返って来る。
「馬鹿言うな。何年来の付き合いだ。御前がいて休めないようなら、とっくに追い帰してる」
----だから、今夜は一緒にいてくれ。
 テラスのテーブルを挟むように向かい合って座り、微笑みを零す。そんなデーモンの仕種が、エースにはとても心地良く感じる。
 自分は、ここにいても良いのだと。自分だけが、デーモンの隣にいることを許されている時間なのだと。
 自然と、エースの表情に微笑みが戻る。
 今この時だけは、ダミアンのことも、ルークのことも、忘れてしまえるような気がしていた。

 その日の夜も更けた頃。
 ベッドで束の間の休息を得ていたエースは、ふと目が覚めた拍子に、隣で眠っているはずのデーモンがいないことに気が付いた。
「……?」
 いつから、隣にいなかったのだろう。温もりがほとんど感じられないシーツの上を、ぼんやりと手が追っている。
 その時ふと、微かな声が聞こえた。
「…デーモン、そこにいるのか…?」
 身体を起こしてその声の根源を辿ると、微かな明かりが零れているのは、トイレだった。そしてその締まり切っていないドアが、異様に不自然だった。
「…デーモン?」
 怪訝そうに眉を潜めながら、隙間から覗き込んでみる。そこには、トイレの便坐を抱え込み、床の上に座り込んでいるデーモンの姿があった。
「…おい」
 その異様な光景に思わず声をかけると、伏せられていた顔が僅かに上を向く。その顔は真っ青で、既に尋常ではない。
「…寒い…頭、痛い…」
「…え?」
「気持ち、悪……っ」
 そう零すなり、再び便坐を抱え込む。
「おい、ちょっ……」
「………っ」
「デーモン…っ」
 慌てて駆けより、その背中を擦ってやる。その背中が…奇妙なほど、冷たかった。
 その惨劇は、明け方まで続いた。

◇◆◇

 明け方になり、薄くなり始めた睡魔の合間を縫って聞こえて来た呼び出し音に、ぼんやりとその目蓋を開いたのはゼノン。
「ん…」
 隣に眠るライデンは、まだ青い睡魔の中を漂っているらしい。微かに声を漏らし、寝返りは打ったものの、まだ目蓋はしっかりと閉ざされている。
「…何だろう、こんな時間に…」
 溜め息を吐き出しつつ、そっとベッドを抜け出して隣の部屋のコンピューターの前に立つ。だが、呼び出しだけで、通信自体は入っていない。それは…奇妙でしかなかった。
「…デーモンの屋敷…」
 嫌な予感がする。
 そう思った瞬間、ゼノンは身を翻す。そして、自分の後ろに立っていた姿に、一瞬ドキッとして足を止めた。
「…起きてたの?」
 そこには、心配そうな表情を浮かべるライデンの姿がある。
「デーさん…どうかしたの?」
 異様な雰囲気で何かを察したのだろう。そう口を開いたライデンに、ゼノンは大きな溜め息を吐き出す。
「まだわからないよ。行ってみないことには…でも、こんな朝早くからの呼び出しだから、何でもないってことはないと思うんだけどね…」
 自分が気付かなかっただけで、呼び出しはもっと前からだった。そこに記録されていた最初の時間は、真夜中だった。それから数回に渡り、呼び出しは繰り返されていたのである。
「俺も、行く」
 真っ直ぐな眼差しを背けないまま、ライデンはゼノンにそう言葉を放った。
「駄目だよ。魔界のことに、御前を巻き込む訳にはいかない」
 即答はしたものの、相手の表情はどう見ても納得しているようには思えない。大きく首を横に振り、息を吐き出すその表情は、とても苦しそうで。
「魔界のことじゃない。デーさんのことだよ!?仲魔じゃないかっ!俺にだって、関わる権利はあるよっ」
「ライ…」
「…心配、なんだよ…多分、このまま何にも関わらず雷神界に戻ったら…俺は、きっと後悔する。どうしてあの時、傍にいなかったのか、って。どんなことでも、手を貸さなかったのかって…」
 嫌な予感は、ゼノンも感じていた。それが現実にならなければ良いと思いつつも、ダミアンが残した言葉も気がかりだったのだ。
「俺も行くよ。あんたが幾ら駄目だって言ったって、俺は付いて行くからね」
 その真剣な眼差しは、ゼノンでさえも拒むことが出来なかった。
「…わかった。その代わり、結果がどうなっても…責任は取れないよ?」
 溜め息を吐き出しつつ、そう言葉を放つと、ライデンは小さな笑みを零した。
「大丈夫。俺はそんなに柔じゃないから」
「…全く…ヒト一倍、病弱なクセに…」
 しょうがないな。
 小さく吐き出した言葉にさえ、ライデンは動じない。
 さっさと服を着替え、ゼノンと共にデーモンの屋敷へと向かった。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
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但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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