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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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STILL ALIVE 3
こちらは、以前のHPで2003年07月26日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
13話完結 act.3

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◇◆◇

 デーモンの屋敷のドアを叩くと、待ち兼ねたように迎え入れたのは、この屋敷の使用魔であるアイラ。
「御待ちしておりました…」
 心配そうな色を乗せたその言葉を聞きながら、案内されるままデーモンの寝室へと向かう。
「入るよ」
 軽くノックをしてそのドアを開けると、ベッドの傍の椅子に座っているエースの姿が目に入った。
「御前まで…」
 ゼノンの背後にライデンの姿を見付け、エースは溜め息を吐き出す。エースも、出来ればライデンには関わらずにいて欲しかったのだろう。
 その身の安全を守る為に。
「ライデンのことは、本魔の意志だからしょうがないよ。それよりも…デーモンは?」
 姿が見えないと言うことは、眠っているのだろうと思いつつ、そう問いかける。
「今、眠ったところだ」
 小さな溜め息が一つ。
「様子は?昨夜から具合悪そうだったの?」
「昨夜は元気だった。少し酒が入ったんだが、夜中に急に具合が悪くなったみたいで、俺が気が付いた時には、もうトイレの住魔になってた。真っ青な顔で、寒い、頭痛い、気持ち悪いって訴えながら、結局、一晩中嘔吐だ。胃の中のモノ全部吐き出しても納まらなくってな。身体も冷え切っていたから、俺も一晩中、背中だの腹だの擦って、漸く落ち着いて眠ったんだ」
 エースの小さな溜め息に、ゼノンはベッドの中のデーモンの顔を覗き込むと、その額にそっと手を触れる。
 エースの言う通り、熱はないが、その代わりにとても冷たい。首から背中にかけて手で触ってみると、更に冷たくなっているのがわかった。微熱のダミアンとは違って、デーモンは低体温になっているようだ。エースの方を向くように横を向いて、エースの手を力なく握ったまま小さく丸まって眠っている。心なしか窶れているように思うのは、やはり昨夜からの嘔吐の所為だろう。
「検査結果は、異常なしのはずだろう?酒だって、グラス一杯のワインだ。急性アルコール中毒になる程の量じゃないはずだ。それであれだけ吐くのは可笑しい。それに、魔力も随分減ってる。多分、平均以下にまで、だ」
 その言葉だけで、尋常ではない状況だったことを察することが出来る。
「…取り敢えず、暖かくしてあげて。あと、書斎のコンピューター、貸してくれる?もう一度、カルテを確認してみる」
 間違えた判断をした覚えはない。だが、デーモンの身体は、確実に異常を訴えているのだから、もう一度確かめてみるしかないのだ。
 コンピューターの前に座り、医務局の閲覧パスワードを打ち込む。開いたデーモンのカルテは、多少魔力が減ってはいるが、他のことに関しては確かに異常なしを記していた。
「やっぱり…」
 やはり、何度見返したとしても、そのデーターは何一つ異常を記してはいないのだ。
 全く訳がわからない。
 そんな溜め息を吐き出しながらデーモンのカルテを閉じた時、ゼノンの背後からそれを見つめていた見つめていたライデンが、その口を開く。
「ねぇ、ゼノン……カルテって、各局の医務室のも入ってるんだよね?」
「…え?あぁ、そうだけど…それがどうかしたの?」
 確かに、ゼノンが見ていたのは、医務局で管理している全てのカルテの中の物。患者のカルテは医務局を利用した者のカルテだけではなく、各局の医務室からも医務局へと送られて来て、一括で管理されている。だが、それを突然ライデンが口にした理由がわからない。
 眉を潜めたゼノンに、ライデンは画面の一角をじっと見つめたまま、それを指さす。
「この時間に…何で、増えるんだろう…?どの局も、宿直しかいないはずだよね…?」
「え…?」
 言われるままに視線を向けてみれば、確かに表示されているカルテの枚数が、確実に増えているのだ。
「ちょっ…何これ…」
 時刻はまだ朝も早い時間である。どの局も、まだ閉館しているはずの時間に、書き込まれているカルテの枚数が増え続けているなどと言うことは、常では有り得ないのだ。つまりは、宿直の者が、どんどん体調を崩している、と言う事。
 慌てたのは当然ゼノンである。未だ嘗て経験したことのない奇妙なカルテの増加に、たった今送られて来たばかりのカルテを確認する。
「…軍事局の…?」
 それは軍事局の医務室から送られて来たカルテだった。
 医務室のコンピューターに回線を繋いだゼノンは、夜勤担当の医師が画面に出るなり、口を開く。
「どうしてこんな時間に患者が増えてるの…?」
 画面の向こうの医師…リンは、こんな時間にゼノンが回線を繋いで来たこともそうだが、突然カルテの増加のことを問いかけられ、戸惑ったような表情を見せた。
『あ、あの…宿直の兵士たちのカルテです。貧血や頭痛、吐き気と言う程度ですが、次々にやって来て…』
「…何だって?」
『数時間前まで…いえ、酷い者は数分前まで、常と同じように生活していたはずなのに、突然症状を訴えるんです。そんなようなことが、数日前から続いていて…何処の局でも、同じような症状がかなり出ているそうです』
 ゼノンが息を飲む音が、静かに響く。
「…わかった。また後で連絡する」
 そう言うと、一旦その回線を切る。そして再び送られてくるカルテを、一枚一枚確認していた。
「…ねぇ…」
 暫く見守っていたライデンであったが、その奇妙な報告に、思わずその口を開いた。
「《青の紋様の種族》ばっかりって…可笑しくない?」
 ライデンの言葉に、ゼノンは大きな溜め息を吐き出す。
「気が付いた?俺もそう思ってたところ。正確に言えば、ここ数日のカルテでは《青の種族》が七割、《紋様のない種族》が二割、だ。《赤の種族》は一割程度。そのほとんどが執務中や訓練中の怪我だ。それも、ごくごく軽い程度のね」
 奇妙な不安が、胸の奥で渦巻いている気がする。
 もしもそれが、例のウイルスの所為だとしたら…感染経路がはっきりしていない状態で、既に蔓延し始めたのだとしたら。それも、限られた種族に。
 デーモンの嘔吐や頭痛、低体温も、ルークの貧血も、そのウイルスの所為だとしたら…のんびりはしていられない。直ぐ傍にまで、ウイルスは広まっているのだから。
「…研究室に行って来る。デーモンはエースが見ててくれるだろうけど…ルークのところには誰もいないんだ。ライデン、行ってくれる?」
 背後のライデンを振り返り、そう問いかける。
 もしも、限られた種族にのみ感染するのなら、赤の紋様を戴くライデンに感染する可能性は少ないだろう。勿論、エースやゼノンも。確証はないのだが、今はのんびりしている場合ではなくなったのだ。
 それを察したのか、ライデンは小さく頷いてみせる。
「何かあったら、研究室の方に連絡して。多分、そこに籠もることになると思うから。それから…」
 一旦言葉を切り、アテにならないと思いつつも、用意した言葉を口にする。
「ルークの屋敷の使用魔たちにも…気を付けるように言ってくれる…?」
 それは、余りに心許ない言葉だった。だが、ゼノンの口から零れたその言葉に、ライデンは微笑みをみせた。
「わかった。あんたも無理しないでね」
 そう言葉を残し、ライデンは踵を返した。その背中を見送ったゼノンは、コンピューターの回線を切り、再び寝室へと戻って来た。

 そこには、待ち構えていたかのようなエースがいる。
「どうだった?」
 問いかける声に、ゼノンは今わかっている状況を全て伝えた。もしかしたら、デーモンもルークも、ウイルスに侵されているのではないかと言うことを。そして念の為、ライデンにルークの屋敷に向かって貰ったことも。
 全てを伝え終えると、エースは大きな溜め息を吐き出した。
「…まだ、症状はほとんど出ていないけど、これからどうなるか、俺にも想像付かないんだ。ダミアン様のように、微熱が続くかも知れないし、デーモンのように低体温になるかも知れない。怪我をしたら血が止まらなくなるかも知れない。尤も、同じウイルスに感染しているとしても、種族が違うから、症状に関しても同じになるとは限らないからね。これから研究室に行って、カルテを元に調べてみるよ。だから…デーモンのこと、頼むね」
「…あぁ」
 エースの表情は優れない。デーモンがウイルスに感染しているであろうと言う報告で、ショックを受けたことが明らかであった。
「…もし…ウイルスに侵された身体が、やがて死を臨む結果になったとしたら…」
----魔界は、滅びるな。
 ぽつりとエースの口から零れた言葉に、ゼノンはぞくっとしてその腕で自分の身体を抱き締めた。
 ダミアンは…それを見透かしていたのだろうか。自分が侵されているのと同種のウイルスが、既に蔓延していることを知っていたのだろうか。
「このまま、見ているだけ、なんてことはないよ。俺だって、出来る限りのことはする。みすみす…大勢を見殺しになんか出来ない」
 そう口を開いたものの、ゼノンの心の何処かに、もう駄目かも知れないと言う微かな想いもあったのだ。
 未だに原因はわからない。何処から来たウイルスで、どのように感染するのかもわからないうちに、蔓延してしまった。そんな掴み所のないウイルスを相手に、何処まで対応出来るだろうか。
「…エースは…どう思う?」
 ふと、問いかけた言葉。
「ウイルスを…倒せると思う…?」
 その言葉に、エースは顔を上げ、ゼノンを見つめた。その琥珀色の眼差しは、酷く鋭く光っている。
「倒せると思うか、じゃない。倒すんだ。魔界が滅びるなんて、許さない。ウイルスに侵された身体が滅びるなんてこと…絶対に」
 そこには、愛する者を護り抜く、強い想いがあった。だからこそ、エースは真っ直ぐに向かっていけるのだ。そこに、デーモンがいるから。
「…御免。そうだよね。残されている俺たちが悲観していたら、誰も助けられないよね。道を、探さなきゃね」
「…しっかりしろよ」
 立ち上がったエースは腕を伸ばし、ゼノンの髪を軽く掻き混ぜる。
「戦ってるのは…御前だけじゃないんだからな。でも、無理はするなよ」
「…わかってるよ」
 デーモンもルークも、大勢の兵士たちも…そして何よりダミアンも、みんな自分の身体と戦っているのだ。それを思うと、負けられないと言うのは必然の想いである。
「じゃ、後は頼んだよ」
「あぁ」
 エースに見送られ、ゼノンは研究室へと向かった。

◇◆◇

 研究室にやって来たゼノンは、早速カルテを引き出し、その分析にかかっていた。
 他の局員たちが登庁して来て、騒がしくなり始めた頃。その研究室を訪れたのは、軍事局の医務室で夜勤担当の若手医師、リン。
 以前、リンもゼノンの研究室で過ごした経験もあり、夕べのゼノンの様子が異様な程落ち着かなかったことが気になっていた。なので、夜勤明けであるにも関わらず、日勤への引継ぎを終えるとわざわざ研究室へと足を運んでいたのだ。
 コーヒーの入ったカップを持ってやって来たリンは、そのカップをゼノンの傍に置いた。
「何か、急ぐ理由でも…?」
 その身に纏う慌ただしさを感じる気に、リンはそう問いかける。
 するとゼノンは、大きく息を吐き出しながら、隣に立ったリンを降り仰ぐ。
 薄い灰色の眼差しに、透き通るような肌色の皮膚と中性的な顔立ち。長い見事なストレートの銀糸の髪の毛のリンは、本当に悪魔なのかと疑われそうな程、天使の容貌に似ていた。尤も、その内側の能力は、純粋な悪魔ではなく龍の一族のモノであるが。
「のんびり構えていては、手遅れになりそうだからね」
 ゼノンの口から零れたその言葉の重さに、リンは小さく息を飲み込んだ。
 ゼノンを師と仰ぎ、医師としてまだ駆け出しではあるがゼノンと同じ道を歩き始めたばかり。夜勤担当の医師として軍事局の医務室にいるとは言え、元々この研究室に在籍していたリンの実力は、ゼノンも良く心得ていた。
 だからこそ、その言葉を口にしたのかも知れない。
「御前は…どう思う…?」
「……?」
 問いかけられた言葉の意味が良くわからず、首を傾げるリンに、ゼノンは言葉を続けた。
「《青の種族》が七割、《紋様のない種族》が二割…個体数が元々違うからそう分けてしまうと《青の種族》が圧倒的に多く見えるけど、全体数の比率で考えればほぼ同等だと思う。《赤の種族》の一割は除外するとして、残り九割の種族に関して…ほぼ同様の症状を訴える者が急増している。御前なら、どう判断する?」
 コンピューターの画面を見つめたまま、ゼノンはリンにそう問いかけていた。
 ゼノンの中で、答えは既に出ている。ただ、他から見てそれが真実であるかどうかと言うことを確かめてみるつもりで。
 ゼノンと同じ画面を見つめながら、リンは小さく吐息を吐き出す。
「…《青の種族》と《紋様のない種族》に同様の症状を訴える者が出ていると言うことは、同種の病原体が存在している、と言うことですか…?」
「そう言うことだね」
 的を得ている答えに、ゼノンは別の画面を呼び出した。
「ここに一種のウイルスがある。このウイルスの感染ルートは、不特定多数と接することがないダミアン様の例から考えても、空気感染の可能性が高い。但し、その根源が何処であったのかはわからない。《青の種族》、《紋様のない種族》が発病してることからも言える通り、その感染ルートはダミアン様に接触する可能性の高い、枢密院からじゃないかな。ダミアン様が発病したのが約一週間前。それからは一切外部との接触を絶っているから、デーモンの発病が昨夜と言うことを考えると、ウイルスの潜伏期間はほぼ一週間から十日…」
 デーモンの発病前後に、感染者が急激に増えていることから考えても、ゼノンのその仮定に間違いはないだろう。
「感染者は微熱、若しくは低体温、頭痛、吐き気、貧血などの軽い症状から、悪化すると魔力は急激に低下し、血液に異常が見られる。怪我をして、一見傷が塞がったように見えても、内側は癒えることなく血を流し続ける。最終的には傷口から組織が破壊され…その身体は死に至るであろうと思われる」
 淡々と語る声は、常と変わらない。だが、その胸の内は当然尋常ではない。それを察しているのか、リンも黙ってその言葉を聞いていた。
「ただ一つ、そのウイルスに感染しないのが《赤の種族》だ。今のところ、《赤の種族》に関し、何処からもそのような症状は現れていない。怪我をしても、完治しているところを見ると、感染していないと言うことが明らかだ」
「…つまり…《赤の種族》には、そのウイルスを跳ね返すだけの能力があると…?」
「まぁ、そう言うこと。各種族の能力が、そこに関係しているんじゃないかと思う」
 《赤の種族》だけが持っている能力。それが、ウイルスの弱点であると言うことは、明確である。
「炎と…光、ですか?」
「そう言うことになるね」
 《赤の種族》が司る能力は、炎と光。《青の種族》が司る能力は、水と風。大まかにだが分けられたその能力が、今回のウイルスの感染ルートの何処かに重なっているのだろう。《紋様のない種族》に関しては、その両の能力の配分によって、感染していない者も存在している。微妙なバランスで、ウイルスは広まっているのだ。
「元々、感染率が九十%、死亡率も五十%を越える感染ウイルスであっても、流行の末期が来ればその能力が弱くなると言われてるだろう?そこに加えて、ウイルスを治す抗体が生まれるから終結するんだ。多分《赤の種族》には、今回のウイルスに対するその抗体が、元来の能力として備わっていたんじゃないかと思う。だから、例えウイルスの感染経路にいたとしても、無意識のうちに《赤の種族》特有の高い自然治癒力で発病を押さえることが出来たんじゃないかな。だから、《赤の種族》には感染が広まらなかった…」
 大きな溜め息を吐き出しつつ、ゼノンはコンピューターにその仮定を打ち込んでいく。
「今のところ、《青の種族》の感染率は八十%以上と思われる。《紋様のない種族》に至っては、そこに司る能力によるバランスが重なるから、ほぼ五十%…」
 桁外れなファイルの確認を進めるにつれ、その感染率の高さに、目を見張らざるを得なかった。
「《赤の種族》の感染率は…ゼロ、だ。基本的に《赤の種族》は炎や光を司る能力を持つ者がほとんどだからね。ウイルスがそれに弱いのだとすると、それを上手く利用すれば、ウイルスを殺せるかも知れない。ただ…他種族間での能力の譲与は難しいとされている。上手く混じり合えなければ、それは爆弾と同じだからね」
 大きな溜め息を吐き出し、ゼノンはコンピューターの画面から目を離す。
 その時不意に、緊急の呼び出し音がなり、ドキッとして発信先を確認したゼノンは、溜め息を一つ。
 それは、ルークの屋敷からの呼び出しだった。
 急いで画面を繋ぐと、そこにはライデンの心配そうな表情があった。
「どうした?」
 そう問いかける声に、ライデンは大きく息を吐き出す。
『…ルークが倒れた』
 その言葉に、ゼノンの表情にやはり、と言う色が浮かんだ。
「…いつ?様子は?」
 冷静に発する言葉に、ライデンも多少、落ち着きの色を見せ始めた。
『さっき。十分くらい前。吐き気を訴えて、数回の嘔吐がある。顔色も悪い。魔力も低下してる。多分…昨夜のデーさんと同じだと思う。でも、熱もないし、低体温にもなってない。そこは違うかな…』
「わかった。取り敢えず今は、様子を見て。酷くなるようだったら、もう一度連絡を入れて」
『…わかった』
 ライデンとの回線を切ると、ゼノンは再び溜め息を一つ吐き出す。そして、呼び出したルークのカルテに、その症状を書き込んだ。
「状況は、どんどん悪くなる一方だ。この分だと、患者はまだまだ増えるだろうね。それを救う可能性は…今はゼロに等しい。でも、だからと言ってそのまま見過ごす訳にはいかない」
「…どうなさるおつもりで…?」
 問いかけるリンに、椅子から立ち上がったゼノンは窓辺へと向かう。
「方法は…なくはない。賭け…と言うよりは、臨床実験、と言わざるを得ないかも知れないけど…一つの可能性にかけてみようと思う。上手く行けば…」
----ウイルスを、倒せるかも知れない。
 小さくつぶやいたその背中に、リンは最後の希望の光を見ていたのかも知れない。
 偉大な師である、ゼノンの背中。今は…その判断に従うしかない。
「デーモンの屋敷に行って来るから。もし何か緊急の連絡があったら、そっちに回すように伝達だけしておいてくれる?」
「御意に」
 踵を返したゼノンであったが、歩み始めてから再びその足を留め、リンを振り返った。
「夜勤、御苦労様。ゆっくり休んで」
 その小さな優しさに、リンは軽く微笑む。
「はい。ゼノン様も…御気を付けて」
「うん。じゃ、行って来るから」
 再び歩み始めた足は、今度は止まることなく、研究所のドアの向こうに消えた。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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