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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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STILL ALIVE 4
こちらは、以前のHPで2003年08月02日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
13話完結 act.4

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◇◆◇

 再びデーモンの屋敷を訪れたゼノンを、エースが出迎えた。
 デーモンの様子を見に寝室へ向かうと、アイラが用意した毛布に包まり、眠っていた。
 その額にそっと手を触れると、その冷たい感触に溜め息が零れた。
 デーモンを起こさないようにリビングへと向かった二名だったが、リビングに入るなり本題に入った。
「…それで?御前が持って来たのは進展か?それとも、最悪の状況報告か?」
 ソファーに腰を降ろしてそう問いかけるエースに、ゼノンもそれに習って腰を降ろしながらゆっくりと口を開く。
「最悪ではないけど…まぁ…強いて言うなら、両方かな」
「…どう言うことだ?」
 怪訝そうに眉を潜めるエースの顔を眺めながら、ゼノンは言葉を続けた。
「じゃあ、悪い方の状況報告からね。さっき、ライデンから連絡があったんだけど、ルークが倒れたって。吐き気を伴い、数回の嘔吐と、魔力の低下の症状がみられている。ライデンの判断からすると、多分デーモンとほぼ同じ症状。でもデーモンみたいに体温の低下はないみたいだから、少しはマシかな」
「それで、進展の方は?」
 小さな溜め息を吐き出しつつ、エースは問いかける。
「ウイルスの弱点と思われるモノが見つかった」
 その思いがけない言葉に、暫し、言葉を失う。
「…本当か?」
 やっとで口を出た言葉にも、ゼノンは表情を変えない。
「まだ、仮定でしかない。でも、今の状況で判断すると、それが弱点ではないかと思う」
「何なんだよ、その弱点、って言うのは…」
「多分、読んだ方が早いよ。まぁ、ちょっとこれを見てよ」
 差し出されたのは、ファイルされている書類。それを手に取り、ざっと目を通していたエースは、その報告に顔を上げる。その奇妙な状況報告に、当然眉を潜めつつ、独言のように言葉を零す。
「《赤の種族》には、感染しない…?」
 そのつぶやきに、ゼノンは言葉を返した。
「はっきりとした確証はない、でも、多分そうじゃないかと思う。《赤の種族》に関しては、そう言う報告を受けていない。言い方を変えると…ウイルスは、《赤の種族》には感染出来ない。つまり、《赤の種族》の持つ能力の所為で、感染経路が閉ざされていると言うことになる」
「《赤の種族》の能力って言うと、炎や光ってことか?」
「多分ね。ただ、それが本当にウイークポイントであるとしても、有効なのは《赤の種族》に限って、なんだよね。恐らく、《赤の種族》の能力そのものがウイルスの抗体となってるんだ。それを上手く利用出来れば、ウイルスを倒すことが出来るかも知れない。ただ、基本的に他種族間で能力の譲与は出来ないでしょ?あくまでも…基本的に、と言わせて貰うけどね」
 ゼノンがそこまで言葉に拘わっている状況に、エースは暫し口を噤んでいた。だが、やがて開かれたその口は、ゼノンが濁した言葉をはっきりと告げていた。
「状況によっては、譲与も可能だ、と言うことだな?」
「…まぁ…ね。でも俺が言いたいのは、魔力の譲与じゃない。能力そのものの譲与だからね。魔力なら、誰にだって分け与えることは可能だよ。でも、基本的な能力って言うのは、種族によって受け入れられないモノが多いから、下手をすれば爆弾を与えることに成り兼ねない」
「で、御前の言う状況によって…と言うのは、どう言う状況を指してる訳だ?」
 凡その見当は付いているのだろうが、敢えてそれを問いかけるエースに、ゼノンは小さく笑いを零す。
「御前ならわかると思ったんだけど?」
 その言葉に、エースは溜め息を一つ。
「…はっきり言えよ。間違えてたらどうするんだよ」
「間違える訳ないじゃない。俺だって、エースならわかるだろうと思って言ってるのに」
「……ったく…要するに…抱けば良いんだろう?」
「ほら、わかってるじゃない。でも、体調が悪いからって、通り一遍に簡単に済ませれば良いんじゃない。きちんと…その想いを、繋いで欲しいんだ。俺が求めているのは、誰にも負けない御前たちの絆の強さ。御前の能力を受け止めて、自分の能力に出来るかどうかは、デーモンが御前の想いをどれだけしっかり消化出来るかにかかっているんだ。その手段をどう取るかは、御前に任せるけど…正直、俺にも確証はない。他種族に譲与した能力が、ウイルスの抗体と成り得るって言う決定打はまだないんだ。だから、御前に…」
「実験台になれと?」
「御免ね、言ってしまえばそう言うこと。典型的な《赤の種族》と《青の種族》が目の前にいるのに、他に誰に頼むって言う訳?申し訳ないとは思うけど、御前たちに頼るしかないんだ」
 表情をすっと変え、そう言葉を返すゼノン。その眼差しは、真剣そのものだった。
「まぁ…状況が状況だしな。文句は言わない。だが、デーモンのことはともかく、他の奴らに関してはどうするつもりだ?まさか、全員を全員、相手にするって訳じゃないんだろう?他の奴に、そこまで深い想い入れはないぞ?」
 小さな溜め息を一つ吐き出したエースは、ゼノンに向けそう問い返す。
「同種族間なら、もっと簡単な方法があるよ。だから、その能力を持つデーモンを、最初に治すんじゃない」
「と、言うと…」
----言魂、か。
 小さく発した声に、ゼノンは小さく頷く。
「正確に言えば、禍歌(まがうた)、ね」
 言魂師であるデーモンには、それは容易いことであることは、明白である。
「多分、デーモンになら出来るよ。《歌》は、思っている以上に影響力が強いから。《赤の種族》の能力を乗せることが出来れば、同種族間ならまず大丈夫だと思う」
 ある種の呪文に旋律を与え、より強力な魔力を持たせる禍歌は、デーモンならではの術法である。元来、言魂師にとっての歌(旋律)は、言魂に能力を与える強力な補助魔法とされている。昔から言霊師の歌が一目置かれていたのはその為だった。
「とにかく、今はまだ最初の段階だから。この臨床実験で、エースからデーモンへの能力の譲与が上手くいくかどうかって言うことが先決なんだけどね」
「それが上手くいかなけりゃ、話にならないってことか」
「まぁ…言ってしまえばね」
 諦めとも思える、小さな溜め息を吐き出したエース。
「…で、御前の考えている臨床実験の予定はいつなんだ?」
 前髪を掻き上げながらそう問いかけるエースの仕種の中に、小さな照れがあることに気が付いたゼノンは、くすっと笑いを零す。
「ヒトにやれって言われて出来るモンじゃないって?」
「いや…そう言うことじゃないが…」
 僅かに、顔が赤い。その表情に、ゼノンは柔らかな笑みを浮かべたが、眼差しはとても申し訳ないと言った色を見せていた。
「御免ね。ホントは、デーモンの体調を見て…と思ったんだけど、どうやらそうのんびりもしていられない状況みたいだから」
「それじゃ…」
 言いかけた言葉を飲み込んだエース。その言葉を発したゼノン。
「微熱と違って、低体温だと身体の中身の機能を維持するのが難しくなる。幾ら外側から暖めても、身体の中まで暖めるのは困難を極める。だから、出来れば今夜。デーモンの体調によって今夜が無理そうだったら、明日。出来るだけ早く」
 デーモンが体調を崩したのは、昨夜である。今朝まで容体が納まらなかった状況にありながら、いきなりそう言われても、エースとしては本当は乗り気ではないのだが…しかしながら、ゼノンにここまで言わせる状況が目の前にあると言う現実に、出るのは溜め息だけである。それを拒否する言葉など、到底発せられるはずはなかった。
 何としてでも、助けなければ。それは、誰もが同じ想い。
「…わかった。今のところ、デーモンも落ち着いているから、無理しない程度に…と言うことで良いか?」
「勿論。その判断は御前に任せるよ」
 酷く、心が重い。本来ならば、まだ下すべきではないその決断を下したゼノンの表情は、とても苦しそうにも見えた。
「…御免ね」
「御前が謝るなよ」
 小さく吐き出したゼノンの想いを察し、エースはそう口を開く。
「御前が医師だからって、その責任の全てを背負う必要はないんだ。ウイルスが蔓延したのは、御前の所為じゃないだろう?出所だってわかってない状況の上に、俺たちには感染しないのなら、自分の身体で確認のしょうがないんだ。仕方がないじゃないか」
「それはそうだけど…」
「わかっているなら、諦めるな」
 その言葉に、ゼノンは小さな笑いを零した。
「エースは流石だね。いざと言う時にもしっかりしてる。御前は強いよね」
「御前を信頼してるからだろうが」
「あんまり信頼されても困るんだけど」
----期待を裏切ることにならなければ良いんだけどね。
 そうつぶやき、ソファーから腰を上げる。
「じゃあ、俺は一旦ルークのところに行って、それから研究室に帰るから。後は宜しくね」
「やるだけのことはやってみるさ。御前も、無理するなよ」
 背中を向けたゼノンに、エースはそう言葉を送る。
「御互い様、ね」
 くすっと笑いを残し、ゼノンは部屋から出て行った。その背中を見送ったエースは、溜め息を一つ。
「…さて、デーモンにはどう説明するかな…」
 改めて目の前にある問題に、エースの口から零れるのは溜め息ばかりだった。

 ゼノンがルークの屋敷を訪れると、出迎えたのはライデン。
「ルークの様子は?」
 寝室へと向かいながら、そう問いかける。
「今は落ち着いてる。話も出来るよ」
「そう」
 まだ、症状は軽い方であろう。ただ、今後がどうなるのかはまだわからないが。
「まだ…何も話してないんだけど…」
 そう零したライデンの表情は、何処となく感情を抑えているように思える。
「良いよ。俺から話すから。取り敢えず、対策だけは実行する手筈を整えて来たから」
「…対策?」
 怪訝そうに眉を潜めるライデンに、ゼノンは小さく頷いた。
「もう寝室だから、そこでルークと一緒に聞いてよ」
 確かに、もう寝室は目の前である。ゆっくり話を聞くことは、どうやら無理なようである。
 頷き返すと、ライデンは寝室のドアを軽くノックをする。
「ルーク、入るよ」
 ゆっくりとドアを開け、中へと入ると、ルークはベッドに上半身を起こしてこちらを見ていた。
「いらっしゃい。そのうち来るんじゃないかとは思ってたけど、早かったじゃん」
 その顔は、意外と元気そうである。安堵の小さな溜め息を零したゼノンに、軽く微笑みが返って来る。
「ま、座ったら?」
「そうさせて貰うよ」
 ソファーに腰を落ち着け、隣にライデンが座るのを見届けてから、ゼノンはその口を開いた。
「御前にね、話さなきゃいけないことがあるんだ」
 そう切り出すと、ルークの表情はすっと強ばる。
「…やっぱり、何かの病気なんだ。食中りするようなモノは食べた記憶がないから、変だとは思ってたんだけど…」
「まぁ…ね。でも、ルークだけじゃないんだ。事態は、多分御前が想像しているよりももっと深刻なんだ」
 その言葉の意味するところに、その表情は更に固くなった。そして、ライデンもまた、真剣な表情でゼノンの横顔を見つめている。
 現在までにわかっている状況を、順を追って語って行くその唇。その言葉の一言でさえも聞き逃すまいと、じっと見入るルークの表情を、ライデンは見つめていた。
 ルークの胸の内は、尋常であるはずがない。
 ダミアンが自分やデーモンを退けた理由も、既に明らかにされている。そして何より…ダミアンが案じていた通りに、自分もデーモンも、同じ病に侵されているなど。
「…助かる可能性は?」
 ゼノンに問いかけたルークの声が、微かに震えていた。
「確証がある訳じゃない。でも、ウイルスが《赤の種族》に対しては発病出来ないのは確かなんだ。だから、その可能性にかけて、デーモンとエースで臨床実験を行うことにした。エースは《赤の種族》の中でも、取り分け原種に近い、強力な能力を持つ種族だからね。上手くいけばそこから対処法が見つかる」
「…そう」
 その声も、表情も重い。もしもその結果が思わしくなければ、それ以上の良い結果は望めない。それをわかっているからこそ、僅かな可能性に賭けるしかないのだ。
 うつむいたルークの表情は、伺えない。大きなショックを受けているのは確かなのだ。だが、そう落ち込んでばかりもいられない。
 臨床実験の第二ステップでは、ルークが鍵を握っているのだから。
「ダミアン様を助けるのは、御前だよ、ルーク」
「…何で、俺…?」
 予想外の声に、ルークは驚きの表情を浮かべた顔を上げる。その怪訝そうな表情に、ゼノンは微笑みをみせた。
「多分、御前でなければ助けられない。デーモンを助けられるのがエースだけであるようにね」
「……」
「少なくとも俺は、そう信じてるよ?」
 その微笑みに、傷ついた胸の内が僅かに癒されたような気がした。
 ゼノンが確信しているのは、その絆の深さ。異種族間の能力の譲与が唯一可能なのは、その全てを受け止めてきちんと消化出来る相手であること。何があっても、心の底から信頼し合える絆の深さが必要なのだ。だからゼノンは、エースの能力を譲与する相手に、デーモンを選んだ。そしてまた、ダミアンを救う為に、ルークを選んだのだ。
 その意を察したルークは、困惑した表情である。しかしその想いに嘘は付けなかった。
 自分一名だけでは、成し遂げられない。しかし、ゼノンはそれを可能だと言った。その言葉の指す意味は一つしかない。
 自分もまた、ダミアンに必要とされていると言うこと。それに、今になって気が付いた。
「とにかく、今は結果を待つしかないから。それまで、安静にしてて」
「…わかった」
 伏せられたルークの頬が、僅かに赤い。
「大丈夫。俺が着いてるから」
 いつになく赤くなるルークに、くすっと小さな笑いを零したライデンが口を添える。
「でっ…でも、いつまでもライデンにいて貰って良い訳?雷神界の方は…」
 本来ならば、ライデンが関わるべきではない。それは、ルークにも良くわかっていた。だからこそ問いかけたその言葉に、ずっと黙って聞いていたライデンは僅かに頬を膨らませる。
「俺だけ除け者にする訳っ!?」
「いや…そう言うことじゃないけど……ちょっとゼノン!笑ってないで、何とか言ってよぉっ!」
 くすくすと笑っているゼノンに向け、ルークは慌てて言葉を放つ。だが、ゼノンの笑いは納まらない。
「しょうがないよ。帰るつもりがないんだから」
「だからってさぁ…」
「ライデンの気が済むまで、置いてやってよ」
「…んもう、ゼノンはライデンに甘いんだからぁ…」
 こっちは病魔だぜ!?
 そうは言うものの、本気で怒っている訳でもない。その口元に浮かんでいる小さな笑いに、ゼノンはライデンの顔を見て小さく笑った。
「じゃあ、俺は研究室に帰るよ。何かあったら連絡頂戴」
「わかってるって」
 心配しないで。
 そう言って笑うライデンに、ゼノンは少しだけの安堵の溜め息を零した。
「俺、玄関まで送ってくから」
「うん。じゃ、気を付けてね」
「ルークもね。無理しないで」
「わかってる」
 手を振り、見送るルークに背を向け、ゼノンはライデンと共に寝室から出て行った。
 玄関へと向かいながら、ライデンは小さく言葉を紡ぐ。
「…良かった。あんたが笑ってくれて」
「…ライ?」
 思いがけない言葉にライデンを振り返ると、その眼差しは真っ直自分に向いていることに気が付いた。
「ずっと…思い詰めてるみたいだったから。俺がこっちに来てから、一回も笑ってくれなかったんだもん。俺だって心配だから、無理矢理居座ってるんだもん」
 確かに思い返してみれば、ダミアンの怪我を境に、心の休まる時がなかった。研究者として、医者として、常にその分析に追われていたのだから、それは無理もない。
 ライデンは、魔界の為と言うよりも…ダミアンやデーモン、ルークと言った仲魔の為と言うよりも…誰よりもゼノンを案じてここに残ることを決意したのだと。今頃になってそれに気が付き、大きな溜め息が零れる。
「…御免ね。気が付かなかった」
「…そうじゃないかと思った」
 くすっと、ライデンは一つ笑いを零す。
「あんたはいつもそうだもんね。研究者として、医者として、誰よりも責任を背負ってるのはわかってるよ。誰よりも忙しく動いていないと落ち着かないのもわかってる。そう言う性分だから、それを止めはしないよ。でもだからこそ、俺自身があんたが見えるところにいたかったんだ。あんたを、見守っていられるようにね」
「ライ…」
「ホントは、もっとゆっくり話したかったんだけど、しょうがないよね」
 頑張ってね。
 そうつぶやいた唇は、そっとゼノンの唇に重なった。
 ゼノンが唯一、安らげる場所がここにある。それを、思い知らされた一瞬だった。
「…じゃあ、ね」
「うん」
 ゆっくりと、ドアが閉まる。ゼノンは再び、緊張の世界へと戻って行った。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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