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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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かがやきのめ 3

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは、以前のHPで2004年09月19日にUPしたものです。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
4話完結 act.3

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◇◆◇

 彼はその後直ぐ、皇太子宮へと帰って行った。
 王宮の、雷帝の寝室に残ったのは、この部屋の主であった上皇と、現雷帝のライデン。そして、その伴侶のゼノンの三名。
 夕べ、眠りに付いていた上皇を目覚めさせる為に地下へと降りたライデンとゼノンは、無事に上皇を目覚めさせた後、ずっと上皇が使っていたこの部屋へと再び呼び込んだのであった。
「…御前は、ここを使わなかったんだな」
 掃除は行き届いていたが、使われた形跡のないかつての自分の寝室を見て、上皇はライデンにそう問いかけた。
「まぁ…ね。ここは、親父の部屋、って言うイメージだったから。だから、侵す気にはなれなかったんだ。俺にはまだ、皇太子宮の自分の部屋が一番合ってるし。子供たちが大きくなるまで、もう少し…ね」
 そう言って笑うライデンに、上皇は小さな溜め息を吐き出していたのは言うまでもない…。
「御前はいつまで経っても変わらないな」
 良い意味でも悪い意味でも…と言う意味を、ライデンは何処まで察しただろうか。ただ、久し振りの父親の姿を、満足そうな微笑で見つめているのだった。
「…それで?わざわざワシを叩き起こした理由は、先の子供のことなのか?」
 溜め息を吐き出しつつ、先程会った孫の姿を思い出す。
「まぁ…そう言うことです」
 ライデンの変わりに答えたのはゼノン。
 双子で産まれた時は、流石に驚いた。そして、その後どう育てていくのか、ライデンとゼノンの意向を聞き、それに反対はしなかった。勿論、それで大丈夫なのかと思う気持ちは少なからずあったのだが、彼らが"親"として決めたことなのだからと、敢えて口出しはしなかった。それが今になって叩き起こされ、どうしたら良いかと相談されていると言うのだから、不安は的中していたと言うことになる。
「彼を…ゼフィーを、魔界へ連れて行くのだろう?」
「…はい。そのつもりです。ただ…今までここで育ててしまった上に、夕べ偶然に自分の身の上を知った彼を…わたしもライデンも、このタイミングで思いきって連れて行く勇気が持てなくて…」
 素直な気持ちを吐き出したゼノン。ゼノンにとっても、上皇は父親のような存在だった。だからこそ、何でも素直に相談出来る、頼り甲斐のある相手でもあったのだ。
「親父は…いや、父上は、俺が魔界へ行く時どんな気持ちだった?」
 表情を引き締めたライデンが問いかける。
「それは、心配していたに決まっているだろうが。御前のような未熟者で迷惑をかけやしないか、とな」
 真顔で答える上皇。
「…悪かったね、未熟者で…」
 確かに、ライデンが魔界へ降りた頃はまだ子供だった。だから、何も言い返せず、頬を膨らませるライデン。けれど、その顔を見て、上皇はくすくすと笑った。
「だがな、ワシは御前を信じていたぞ。御前ならきっと大丈夫だ、とな。だからこそ、迷惑はかけるだろうがそれも御前の成長の過程なのだと覚悟を決めて、全てを魔界へ委ねたのだ」
「…父上…」
 柔らかくライデンを見つめる上皇の眼差し。それはまさに、父親の威厳たる眼差しだった。
「子供を信用しない親が何処におる?例えどんな子供だろうと自分の命を分け与えた存在だ。信用出来ない訳はあるまい?まぁ、当時の大魔王陛下に頭は下げたがな。それもまた、親の役目だ」
「そりゃ、俺だってゼゼのことは信用してるよ。ララよりもずっとしっかりしてるし…だけど、行きたくないって泣いた姿見たらさ…」
「泣いて嫌がったら、いつまでもここに置いておくつもりか?」
「そうじゃないよ。でも…」
「ならば、なるべく早く連れて行くべきであろう?時間をかければかける程、情に絆(ほだ)されれば絆される程、御互いに離れるのが辛くなるのではないか?ワシは、良いきっかけだったと思うぞ」
 確かに、きっかけが必要だった。
 それは、ライデンが魔界へ降りた時も同じこと。あの時は、デーモンが待っていると言ってくれたから…。
「…今度は、俺からゼゼに話してみるよ」
 ゆっくりと口を割ったのはゼノンだった。
「上皇様の言う通りだよね。時間をかければかけるだけ、往生際が悪くなるのかも知れない。俺もゼゼとララの父親だから。だから…彼らのことをもっと信じてあげたい」
「ゼノ…」
 ライデンも、彼らを信用していない訳ではない。勿論、信用しているのだ。ただ、あんなカタチで真実を聞いてしまった彼を直ぐに手放すことが、彼の絶望に変わるのではないかと言う不安があったから。だから、躊躇ってしまうのだ。
 けれど、ライデンの表情でその胸の内を察したのだろう。上皇はライデンの頭にそっと手を乗せ、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「旅立つ子供には、勇気が必要だ。だがそれ以上に、子離れする親の方にはもっと大きな勇気が必要となる。御前も親になったのならそれはわかるはずだ。だがな、突き放す訳ではない。見護ってやるのだ。辛くなったらいつでも戻って来て良いのだと教えてやるのだ。帰るべき場所を護り、待っていてやることが、親がしてやれる尤も大切なことではないかな?振り返れば、必ずそこに待っていてくれる。だからこそ、子供は安心して遠くへ行く勇気も得られるのだ」
「…父上…」
 目を細めてライデンを見つめる上皇。それはまさに父親の姿。幾つになっても、その関係は変わらない。ずっと、父親として、両手を広げてライデンを護って来たのだ。いつでも帰って来て良いのだと、安息の地を護って来ていたのだ。
 それが、親が子供に与えられる、最大の愛情の証として。
 ライデンの瞳から零れ落ちた涙。ゼノンも久し振りに見たライデンの泣き顔を、上皇はただ、目を細めて見つめていた。
「変わらないな、御前は」
 そう言う上皇に、ライデンは照れたように袖口で涙を拭って笑った。
 変わらぬ親子の姿。それは、ゼノンがずっと憧れていた姿でもあった。
「…ありがとう…ございます。勇気が出ました」
 ゼノンの口から零れた言葉に、上皇はにっこりと笑った。

 少し休みたいと言う上皇を寝室に残し、ライデンとゼノンは雷帝の執務室へとやって来ていた。
「…やっぱり、親父を起こして良かった」
 そう呟いたライデンの瞳に、先程までの涙はない。すっきりとしたようにも見えるその表情に、ゼノンは小さく微笑んだ。
「やっぱり上皇様は偉大だね」
「うん。俺はまだまだ適わない。そう簡単に親父は超えられないよ」
 笑うライデン。その顔は、昔に戻ったようだった。
 父王を慕う、皇太子だった頃のライデンに。
「…俺ね、あの子たちが生まれた時、あの子たちのこと信じてるから、って言ったじゃない?」
「うん、言ったね」
 彼らが生まれた時のことを思い出しながら、ゼノンはライデンの言葉に相槌を打つ。
「今も信じてる気持ちは変わらないよ。でも、あの時よりも臆病になってたのかも知れない。あの子たちが大きくなって来てさ、色んなことも理解し始めてるでしょう?いつか、自分たちの出生のことを聞いて、ゼゼが魔界へ降りなければならない運命だと言うことを知った時…産んだ俺は、絶対恨まれるだろうな、って言う不安もあった。信じてはいるけれど、それに確証はないんだ、って。俺がそう思っているだけであって、あの子たちにとっては、それは恩着せがましいことであって…重荷になってるだけかも知れない、って」
「…彼らはまだそこまで感じ取れないよ」
「そうだろうね。でも、何れそうなるんじゃないかって言う不安だよ。でも、親父の話を聞いてさ、俺がいけなかったんだって改めて思った。俺が不安になったら、あの子たちはもっと不安になるんじゃないかって。俺は、いつも親父の姿を見てた。でかい身体でどんな時でも屈しない、偉大で強い親父を見てた。だから俺は安心して魔界へ行けたのかも知れない。ここへ帰ってくれば、いつでもあの親父がいてくれるって言う確証があったから」
 昔を思い出すように言葉を紡ぐライデン。そしてそのライデンも、偉大だった上皇に少しずつ似て来ていると、ゼノンは思っていた。
「…御前も、強くなったよね。泣かなくなったし」
 そう言って、くすくすと笑うゼノン。
「…さっき、久々に泣いたじゃんよぉ…」
 頬を膨らませるライデン。
「それで良いんだと思うよ。上皇様の前だから、御前は"子供"に返れたんじゃない?それが、親子でしょう?」
「…だと良いけどね」
 ライデンも、くすっと笑う。そして、微笑むゼノンを見つめると、再び小さな笑いを零す。
「でも、俺が強くなれたのはね…」
----あんたと、子供たちがいてくれたから。
 にっこりと微笑む姿は、出会った頃の子供ではなかった。けれど、その無垢な笑顔は変わらない。
 様々な経験をして、楽しいことや嬉しいことだけではなく、辛いことも哀しいことも沢山経験してもなお、その心は穢れない。それでも何も変わらないのは、元来からライデンが持っている心根だったからだろう。
 その無垢で真っ直ぐな心が、子供たちにも受け継がれているように。
 それは、ゼノンの細やかな願いだった。

◇◆◇

 王宮から帰って来た彼は、中庭に座り込み、ぼんやりと空を見上げていた。
 夕べの出来事からまだ半日と経っていないなずなのに、それがとても長い時間のように思える。
 生まれ育ったこの皇太子宮。中庭から見る景色。遠くに聞こえる使用魔や官吏たちの声。何も特別だと思わなかった全てのことが、この先自分には与えられないのだと言うことが、彼にはまだ信じられなくて。
 そして、今朝会ったばかりの上皇の存在。
 初めて会ったその存在は、不思議の何モノでもない。けれど、何処か温かくて…安らげる場所のような感覚だった。
 小さな溜め息を吐き出しつつ、彼は目を伏せる。
 とその時、近付いて来る足音が聞こえ、ふっと顔を上げた。
 そこに立っていたのは、先程と同じ…。
「…父様…」
「…隣、良い?」
 その問いかけに小さく頷くと、ゼノンは彼の隣に腰を下ろした。そして、今まで彼がしていたように、空を見上げた。
「…夕べ…ライデンから話は聞いたよね…?」
 ゆっくり、そう紡ぎ始めたゼノン。
「…うん…」
 彼は、下を向いたまま。
「魔界は怖い?」
 今度はそう問いかけられ、暫し口を噤む。
 ゼノンが暮らしている場所とは言え、王宮を一歩も出たことのない彼にしてみれば未開の地。怖くないはずはない。だから、彼は小さく頷いた。
「そう…だよね。それが当たり前だよね。見ず知らずの土地だもの、怖くないはずはないよね」
 俯いている彼に、ゼノンの表情は見えない。けれどその声は…何処か笑いを含んでいるようで。それが、彼にとってはちょっとした不快でもあった。
 けれどその思いは、その後続いたゼノンの言葉に一掃されてしまう。
「みんな…同じだよ。御前だけじゃない。ライデンも、同じ思いをしたんだよ」
「…父上も…?」
 思わず顔を上げてゼノンを見上げる。けれど、ゼノンの眼差しは未だ空を向いていて、彼を見下ろすことはない。
「そう。ライデンも、たった一名で魔界へ修行に行った。顔見知りの仲魔はいたけれど、生活をするのは初めての場所。踏み出す勇気は必要だったと思うよ。そして何より…とても、怖かったと思う」
「……」
「でも、それが当たり前なのかも知れない。みんないつかは、自分の足で歩き始めるんだよ。怖いなんて言っていられない状況だってある。自分がやるべきことを見つける為に、みんな歩き始める。それが、大人になると言うことだと思う」
「…父様は…?父様は…怖くなかったの…?」
 小さく問いかけた声に、ゼノンはその視線をやっとわが子へと降ろした。
「俺は、自然発生だから、親はいないんだ。護られる温もりを知らなかった。恐怖なんて、感じている暇はなかった。自分の命を護ることが精一杯で…他悪魔に優しくすることも…愛することも、出来ないと思っていたんだ。でも、俺を変えてくれたのは、ライデンだった。愛される温もりも、護られる優しさも、全部与えられた彼奴は、俺とは正反対だったのかも知れないけれど…だからこそ、芯は強かったんだと思うよ。必ず、"護ってくれる親"がいたから」
 彼は、今朝見た上皇の姿を再び思い出していた。
 隣に立つ父王の表情は、いつもと違っていた。
 伴侶であるゼノンに向ける微笑でもなく…子供である自分たちに向ける微笑でもない。
 それは多分…今の自分が、父親を見る眼差しと同じなのかも知れない。
「…御前は、俺たちが必ず護ってあげるよ。一生、雷神界に暮らすことは出来ないけれど…帰って来てはいけない訳じゃない。いつでも、戻って来て良いんだよ。その為にライデンは、この地を護っているんだと思う。御前やララが、安心して戻って来ることが出来る安息の地であるように」
 微笑むゼノンの姿に、彼は口を開くことが出来なかった。
 頭の中はフル回転で、幼いながらに、ゼノンの言うことを理解しようと努力していた。
 大人になる為に…彼に必要なこと。
 小さな吐息を吐き出した彼。その彼の頭の上に、ゼノンはそっと手を乗せた。
「御前は、一名じゃないよ。俺も、ライデンも…それから、魔界にいる俺たちの仲魔も、みんな御前を助けてくれる。そのうちに、御前もきっと自分の仲魔を見つけられる。不安になったり、辛いこともあるかも知れない。でも、仲魔がいればきっと乗り越えられる。だから、心配はいらないんだよ」
「…父様…」
 ゼノンは、彼の頭をそっと抱き寄せた。
 その温もりは、紛れもなく親の暖かさ。
 彼は…その温もりを、忘れてはいけないと思った。
 そして、その温もりを失わない為に必要な"勇気"を、抱き寄せられたゼノンの中から見つけたような気がしていた。
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自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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